YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
ここに1人の男がいる。男は薄い緑の服に身を纏い、本を持っている。
「さあ───吾輩を召喚せしめたのはどなたか!キャスター・シェイクスピア、霧の都へ馳せ参じました。と、言いたいところなのですが。どうやらこれは聖杯戦争による召喚ではない模様。さあ、これは困ってしまいましたね。神よ、吾輩が傍観すべき物語は何処にありや?答えはない、答えはない。ああ、神は私を見放したか。血湧き肉踊り、心震い魂揺らす物語は何処にありや!ならば吾輩はこう言うしかないでしょう。ああ、
「・・・ハズレだ。次」
モードレッドは彼を見ると落胆していた。何故か、何故か。それは本人にしか分からない。
「おお、これは。異様の霧の中にて、今度こそ貴方とこうしてお目に掛かれようとは」
「お知り合いですか?その、彼・・・キャスター・シェイクスピアと?」
「知らん。こいつはハズレだ。だが、本当に確認できたな。たった今、こいつは魔霧の中から現界していた」
「マスターが存在しないことは不幸ではありますが、こうして貴方とお会いできました。これも運命でしょう。今は貴方の物語を紡ぐとしましょう。噂に違わぬ物語を期待していますよ」
「あー・・・敵───ってワケでもなさそうだし。しかし、いよいよそうなると奇妙ではあるよな。
ここで、モードレッドは1つの気配を感じ取る。それは、ある意味望んでいたものだった
「・・・いや、待て。何だよ、夜の見回りは大当たりだったか?」
「はい?」
「来たぜ、お待ちかねの奴だ。なあ、おい!一度逃げ帰った割には度胸があるな!」
魔術師は落胆する。それは何故なのか、何故なのだろうか?
「・・・遅かったようですね」
「【P】か!」
「新たに現界したサーヴァントはそちらに確保されてしまったようですね。残念です。現界したのはキャスターのようですね。確保出来れば、私たちの良い仲間になったでしょうに」
その発言にて、モードレッドは一つの確信を得る。それは初めからの疑問への答えだった。
「ははあ、掴めたぜ。種を明かせば至極単純って訳だ」
「・・・はい。たった今、わたしも理解しました」
『魔霧から現界したサーヴァントを確保・回収し、自分たちの仲間にしていた、といったところね。理屈としては簡単ですが、容易いことではありません。英霊を自分たちの思うがままに動かすことなど、それは、
「───正解、とまずはお返ししましょう。その通りです。我々は、我々にとって必要な者がこのロンドンへと現れるのを待ち続けているのです。ですから、魔霧から現界した英霊を順次確保し、魔霧の拡大のため働くように【調整】しています。貴方たちを確保できなかった事、本当に、本当に、この私には残念でなりません。きっと、良い友人になれたでしょう。私たちは。お互いに」
「そんなはずはない。そう言い切れるよ」
「・・・はい、先輩。わたしもまったく同じ感想を抱きました。というよりこの場に柳星さんがいないことが救いですね」*1
「は!まったくだ!そんなのはこっちから願い下げだぜ!今度は逃がさん!切り捨てられる前に名乗ってみろ、魔術師!」
「───いいでしょう。今回は移送すべき触媒もない。ここで私が貴方達を確保します。私は、ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス。四大の精霊を操る者にして、真なるエーテルを求む者。もっとも、今は・・・望むものは異なりましょうがね」
「マスター、対サーヴァント戦闘です!指示を───!」
「うん。一度相手してるんだ、短期決戦で仕留めるよ!」
「マシュ!あいつの動きを止めれるか!?2〜3秒で良い。あと欲を言えば空中に飛ばされたら言うことなしだ!」
「了解です!」
普段あまり戦闘描写をしないからだが、マシュは魔術を弾く、相手を飛ばすなどを得意としており。*2つまりはどう言うことかと言うと。
「私の魔術も貴方の盾の前では・・・!?」
そう、パラケルススにとっては天敵に近しい存在なのだ。
「良いタイミングだ!ふん、それじゃあ蹂躙するか!是こそは、我が父を滅ぼせし邪剣───」
まぁ、当然ではあるが・・・モードレッドはアーサー王と敵対することができた人物である。勿論その宝具も威力が強く。いくらアベレージ・ワンたるパラケルススでも耐えることは不可能であった。
「・・・それでこそ。それでこそ、剣を持つ英雄です。ならば、悪逆を成す者が打ち倒されるのは道理でしょう。この世のすべての悪を斃して。この世のすべての欲に抗って。この世すべての明日を拓いて見せる者達よ。貴方たちの行く手に・・・どうか・・・真なる、光・・・を・・・」
「柳星さん風に言えば・・・サーヴァント・キャスター:ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス。魔霧計画に於ける【P】、退去を確認。・・・でしょうか。先輩、わたしたちの勝利です。久しぶりに柳星さんの力を借りずにサーヴァントに勝ちました」*3
「くそ、何の手掛かりも残さずに消えやがった。最後まで胸糞悪い魔術師だったぜ。何が、明日を拓いて見せる者だ。オレはそんなんじゃねぇぞ、ったく」
さて、そんな戦闘がありながら参加しなかったシェイクスピアはと言うと、
「
「あ?何だって?」
「いいえ。ただ、思い浮かんだ言葉にすぎません。なかなか悪くないものを魅せて戴けました。吾輩が目撃したのは一端だけですが、かの魔術師殿。なかなか良い