YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
さてさて、ジキルのアパルトメントにフランを預けてやってきましたここはロンドンの
「・・・ロンディニウムの地下、か。地面の下に地下鉄ってのがあるとは知ってたが、まさか更に【下】があるとはな。しかも、この魔霧の濃度。深く潜るごとに濃くなっているんじゃないか?」
『どうでしょうね。こちらでは観測出来ていませんが、視認できるほどに濃度が上昇しているとなると・・・バベッジ氏の言葉は事実の可能性が高いわね。こうして、確かに地下への通報は存在していますし』
「魔術協会の仕業なのかな?」
「十九世紀半ばから、ロンドンでは地下鉄交通網が実現しています、ですがこういった地下手抜き交通網が実現されています。ですが、こういった地下通路は記録にありません・・・国家的な秘密条項の秘密事業の痕跡、でしょうか?」
『魔術協会が掘り進めていたのは大英博物館の真下だけですからね。*1個人がこっそりと
「そういやこんな話を聞いた事があるぜ。ロンドン塔の地下深くには───古きブリテン王ブランって奴の首が埋まってて、ロンディニウムを守護してる、ってな」
「首、ですか・・・」
んー、ブリテンの白い龍って聞くとアルビオンしか出てこないんだけど()*2
「面白い話だろ。ロンドン塔には色々あるぜ、カラスとか」
「あ、それならわたしも少しだけ知っています。ロンドンを守護する───」
「
「鴉ねぇ・・・日本とブリテンだとそんなに感性が違うもんなんだな、さすがに」*3
「・・・カラスはともかく、だ。そっちじゃこの地下通路、経路を追えないんだな?」
『申し訳ないわね。さっきのマシュの言葉通り、記録がありませんので。貴方たちには探索して貰うほか無いわけです。複雑な構造じゃないといいんですけれど・・・どうやら既に迷宮のような風情ですね』
「ロンドンの地下深く・・・知られざる地下通路、地下迷宮。ミスター・バベッジの言葉が正しければ、きっと、【大型の機械】が存在しているはずです」
「巨大蒸気機関・アングルボダだな」
『ええ。ロンドンに満ち渡る魔霧の発生源。聖杯を動力にしたという巨大蒸気機関・アングルボダ。消滅の直前に彼が言っていた物ですね。まさか、聖杯を機械に組み込んでいたとは・・・ですが、ある程度の納得も出来ます。異常なほどの魔力に満ちた霧の存在と、その蔓延。サーヴァントの感知能力を狂わせ、カルデアからの各種観測を阻むほどの異常な状況。聖杯の力を以ってすれば、なるほど、そんなことも可能なのでしょう。ねえ、柳星?』
「まぁな。なにせ聖杯の器としてホムンクルスを使うこともできるんだ。なら機械に組み込む程度簡単だろうよ」*4
「魔霧からサーヴァントが現界する、という仕組みについても説明は付きそうですね。聖杯を機械に組み込むことで、英霊召喚の機能が魔霧に付与されてしまった、と。そういった推測も可能です」
「しっかし、アングルボダと来たか。大層な名前だぜ」
「モードレッドはそのアングルボダって名前に関係があったの?」
『アングルボダは北欧神話の神性です。フェンリルや
「ロキとの間にな。とんでもねー女巨人だ。けど、嫌いじゃないな。なかなかいないぜ?そんな厄介なもんばっか生む女───いや、殴り甲斐がある。面の皮もさぞ厚いだろうし、とことんめった斬りにできるよな?」
さてさて、最下層に着いたけど・・・冬木の洞窟の奥に似てないか?まぁ道中で聖杯から漏れ出てる魔力を把握して
「何だ、こりゃ・・・?」
「・・・冬木の大聖杯に酷似していますね。凄まじい魔力です。ここまで巨大な魔術炉心、だなんて・・・」
『こちらでも観測できています。これは凄いですね。まぁ間違いなく、魔霧の発生源はまさしく
「こんなデカい機械は初めて見るぞ。アングルボダ、確かに巨人の名が相応しいか。詳しく見てみたいところだが───どうやら、最後の親玉の登場らしいぜ」
さてさて、出てきたのは青い髪がワカメ*6みたいな青年。うーん、爺じゃなかったけど・・・まぁ臓硯だろうな。ただアレは日本人用の偽名っぽいなにかだから・・・
「───奇しくも。奇しくもパラケルススの言葉通りとなったか。悪逆は、善を成す者によって阻まれなければならぬ、と。巨大蒸気機関アングルボダ。これは我らの悪逆の形ではあるが、希望でもある。ここでおまえたちの道行きは終わりだ。善は、今、我が悪逆によって駆逐されるだろう」
こんな喋り方だったか・・・?*7まぁ肉体の醜怪さに魂が引っ張られたのかもな*8
「ほとほと御託が好きな連中だ。語るな。ここで終わるのは、おまえの命だ」
「英霊モードレッド。円卓の騎士の十三人目にして、音に聞こえし叛逆の王か。おまえはこちらの側にいるべき存在だと思ったが、今や、善の勇者そのものか。皮肉なものだ」
「ハハっ、俺からしたらお前の方が悲しいよ、サーヴァントを無くしたマスターほど見ていて哀れな存在はいないと知らないのか?なぁ・・・マキリ・ゾォルケンさんよぉ!」
「いかにも。私はマキリ・ゾォルケン。この【魔霧計画】に於ける最初の主導者である。この時代───第四の特異点を完全破壊するため、魔霧による英国全土の侵食を目指す、ひとりの魔術師だ」
『英国全土ですって!?ロンドンだけじゃないというのね!流石に、それは・・・難しいと言わざるを得ないといいますか・・・』
ま、基本無理だよな。そんな事態になったら
「ロンドンのみの破壊では物足りぬ。この時代を完全に破壊することで人理定礎を消去する。それこそが、我らが王の望みであり、我らが諦念の果てに掴むしかなかった行動でもある」
「あっそ。こいつらは何か聞きたいようだが、生を捨てたアンタに俺は興味がない。*10どうせ大体分かったしな・・・構えな、何か隠してるんだろう?それを使わなくちゃあ俺にゃあ勝てねぇぜ?」
「うむ。最早、語るに及ばず。アングルボダは既に暴走状態へと移行している。都市に充満させた魔霧を真に活性化させるに足る、強力な英霊が、是より現界するだろう。かの英霊の一撃により魔霧は真に勢いを得、世界を覆い尽くす。そして、
「させるかよ。おまえを殺して、アングルボダを叩き壊す。オレでない癖にブリテンを蹂躙するおまえを、オレは決して許さない。おまえが人間であろうとな」
・・・長い!こいつら時間稼ぎしてんのか!?いいや、もう!虚数魔術で魔力炉探って・・・あ、これね聖杯。なら魔力回路をこっちに移して・・・あ、ここが詰まるのね。ならそれはこっちに流して・・・うん。これなら5分くらいバレないだろ。回収回収♪*11
「いいや、これ以上は問うまい。我らが王の力を以ておまえたちを消去する。最後の英霊を目にすることなく、お前たちは死ぬ。破滅の空より来たれ。我らが魔神───」
「ヒャッハー!トラップマジック発動だぁ!*12
「なんかハイテンションにえげつない事してない!?」
「というかオレですら若干引くぞ!?流石に戦闘にすらならないのはちょっとなぁ・・・」
「いいじゃねぇか。別にヨォ」
っと、マジの虫の息じゃん。
「・・・汝、狂乱の檻に囚われし者・・・我はその鎖を手繰る者───汝三大の言霊を纏う七天!抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!!」
「これは・・・英霊召喚の呪文!?」
「しかも狂化クラスの強制付与付きだ。こりゃあ抜け目ねぇな」
ま、流石に反動デカすぎたのかは知らんが確実に死んでるけどな
「所長、彼の最後の言葉は英霊召喚の呪文でした。それから・・・狂化をもたらすための一文も」
『残念ながらその通りね。全員、サーヴァントが来ます!彼が発していたのは完全な呪文ではありませんでしたが、魔霧や魔法陣が残りの呪文を肩代わりしました。サーヴァント反応がこちらでもはっきり確認できます。マシュも感じるはずよ、これは・・・大英雄クラスの魔力反応、いや───魔力反応、極めて増大!来ます!!全員、対ショック体勢!!』
そりゃ魔神柱にならない、なれないぞうけ相手にデカい魔術も宝具も撃たないよね、っていう