YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「っしゃあ!こんなもんでどうよ!」
いい感じに戦闘できたんじゃないかなって*1
「フッ───遊びと言いつつ熱が入ったわ。おかげで首の調子も戻ったわ」
「ファラオ、いったい何が・・・いえ、この者たちを処罰なさるつもりですか?」
「無論だ。この者たちの目的は聖杯。その聖杯はいまや余の持ち物。であれば、いずれ殺し合うは道理。余はこの者たちを生かして帰す気はない」
ん?ニトクリスめ、そんなに何を驚いている?*2
「な・・・では、私はファラオの敵を、この手で御前まで引き入れてしまったと・・・?」
「そう、引き入れてしまったのだ。だが───ニトクリス。そなたには聖杯と、この特異点に関する知識は伝えておらぬ。それは余の落ち度だ。そなたの罪ではない。それというのも───・・・ふん。正直、第四あたりで息絶えたものと思ったがな。余の憶測も笑えぬわ」*3
はぁ!?第三と第五はかなりスキップした自覚あるんだけど!?*4特に第五!1週間だぞ1週間!アンタの予測よりもかなり速いと思うんですけどねぇ!?
「まったく───遅すぎる!遅い遅い、遅きにも程がある!カルデアのマスターよ!貴様らが訪れる前に、この時代の人理はとっくに崩壊したわ!」
「あ、やっぱり?そんな感覚はあったんだよね」
「どういうことですか?柳星さん」
その説明、そちらがしたらどうです?と視線を送るとまぁ案の定向こうが説明してくれるようだ*5
「この時代───本来であれば聖地を奪い合う戦いがあった。一方は守り、一方は攻める。二つの民族による、絶対に相容れぬ殺し合いだ。その果てに聖杯はどちらかの陣営に渡り、聖地は魔神柱の苗床となっていたであろうよ───おまえたちが、もう少し早くこの地に到達していれば、な」
「ドユコトだと思う?」
「ん?簡単だろ。呼ばれた。だから殺した。結局聖杯はオジマンディアスが獲得したってわけだろ。まぁ・・・ただ、聖杯使うような人には思えないんだよなぁ」*6
「フハハ、ハハハハハハハハハ!そうである!異邦からの客人よ!この余が!太陽王たる万能の余が!聖杯などという毒の杯を使うとでも思ったか!余は聖杯の持ち主であり、聖杯の守護者である!聖地になど、余はまったく興味がない!故に、心して聞くがよい。この時代を特例の特異点とし、人理を完膚なきまでに破壊した者は───貴様らが目指した
・・・うげぇ!?獅子王!?獅子王マジかぁ・・・てことは円卓が敵って事でしょ・・・?めんどくせぇ・・・本物の
「・・・はあ。嵐のような展開でしたね、先輩、柳星さん」
「うん。でもわりと嫌いじゃない」
「ま、古代の王様ってみんなあんな感じだしな」
「フォーウ」
「にしてもまさか、一戦交えた後、豪華な食事を振る舞ってくれるとは思わなかったね。その後の、『じゃあ帰れ』と神殿を追い出されるところまで含めてね」
「・・・はい。もう一度、オジマンディアス王の言葉を振り返ってみると───」
「客はねぎらう。当然だ。我ら砂の民、遠方より訪れた客人を無碍には扱わぬ。長旅の苦しさを知るが故な。だが、そう容易く協定を結べるとは思うな。加えて、お前たちには覚悟も矜持も足りぬ。この世界の真実、この世界の残酷さを見聞するがいい。その後であれば、余はもう一度のみ機会を与えよう。余はこの時代を支配する暴君。おまえたちは必ず、余の首を獲りに戻るだろう。その時はもはや客としては扱わぬ。余に刃向かう愚かな獣として迎えよう。では、我がエジプト領から追放する。まずは聖都を目指すがいい。話はそれからだ」
「と言うわけで、あれよあれよとここまで運ばれてしまいました・・・もっと建物の事とか、知りたいことがあったのですが・・・建築王、とてもせっかちで・・・」
「何の不満があるのです!王は貴方たちに貴重な水と食料まで与えているというのに!」
「はい。そこはたいへん感謝しています。『エジプト領を出るまでは野垂れ死なれては余の面子が立たぬ───』そう言って、大量の物資を分けていただきました」
「だな。神殿にあった素材も使わせてくれたしな。暴君なのは確かだが、気前がいいのもまた確かってことだな」
「・・・当然です。王は無慈悲な方ですが、勇者には寛大な方です。それに、王も貴方たちを気に入った模様です。藤丸立香の空気というか、雰囲気でしょうか。恐らく、貴方の緩やかな在り方が、遠い日のご友人に似ていらっしゃったのでしょう。ですが、それも一度きりです。ファラオ・オジマンディアスは恐ろしいお方。次に出会う時が貴方がたの死の運命。・・・それを決して忘れないように」
「・・・ねえ、柳星、後ろのソレ、なに?」
「これ?ほら、これから長距離移動がメインになりそうだしって事で作ってみた。簡易車。んじゃ、行くぞお前ら!目指すは砂漠の向こう!とりあえず聖都を目指す!」