YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「砂嵐地帯を抜けました!バギー*1も絶好調、快適ですね先輩!・・・ところで、運転お疲れではありませんか?何でしたらわたしが代わりますが・・・」
「このハンドルは渡せない・・・ぜ?」*2
「まあまあ。そう仰らずに。まあまあ。後部座席でお休みください。ハンドルはわたしが、ええ。あの丘で華麗なジャンプを決めてみせますので!」*3
っと、交代か。
「そういえばさ、あの大量の荷物って何処に置いてあるの?」
「ん?ああ、虚数魔術を使用して四次元ポケットみたいな感覚でしまってる。*4取り出すには俺が居なくちゃ無理だけど俺が認めてる人なら誰でも取り出せる親切使用。*5流石に
「・・・ちょっと怖いね」
「そうか?・・・いや、確かにそうだな。*7だけど怖いって感情は大事だぜ?怖いってことは最悪の時に逃亡の選択肢が発生するからな。*8それは生存につながる大事な感情だ。・・・まっ、砂漠を抜けたらカルデアとも繋がるだろ。そしたら探索の効率も上がるだろうな」
「でも所長やドクター、ダ・ヴィンチちゃんは心配してるだろうね」
「だな。だけど少しは休めたんじゃないか?」
「休めた?どういうこと?」
「いいか?事故で失われたカルデアの職員は60人以上に及ぶ。その欠損を埋めれる人材は限られている。残った機材の運営にシバのメンテナンス。カルデアの炉の制御や作戦方針にレイシフト運用。加えて日々まいっていくスタッフのメンタルケア。これらの仕事をやってるんだ。外からの補給がない以上、中の人間でなんとかするしかないんだよ。これを三人・・・ダ・ヴィンチちゃんは基本この手の仕事には参加しないから二人か。二人でフォローなんて出来るはずがない。出来るとしたら天才だけだ。でもあの二人は決して天才なんかではない。英霊でもない。ただの人間、凡人だ。そんな人間が天才の仕事を任されたらまず何を犠牲にすると思う?」
「んー、時間とか、体力とか?」
「そうだな。まずその二つを犠牲にする。それでも足りないなら更に無理をする。薬とかで無理矢理思考速度を上げて、肉体的な疲労を誤魔化す。だからあの二人は基本休めない。知ってるか?マリーなんか偶にレイシフトの調整中寝てるんだぜ?ああいう時じゃないと寝れないのさ。それだけ辛いんだよ」*9
「知らなかったな・・・」
「フォーウ・・・」
「それに、カルデアからの通信もただの通信じゃない。特異点は現実そこにあるがもしもの世界でもある。つまりはここにいる、と言うだけで英霊じゃない俺達の存在は曖昧になる。ゲーム的に言うと俺達はバグみたいなものなんだよ。世界的には俺達は意味不明なんだ。特に立香はな。マシュはサーヴァントだし俺はサーヴァントになれるしである程度は問題ないが立香は純粋な人間だからな・・・だから、カルデアでは立香が【意味消失】しないように、常に存在証明をたてている。【藤丸立香】という人間の存在を常に証明して、レイシフト先での存在を確かなものにしてるんだよ。特異点はあやふやなところがあるからな。例え肉体があろうとも、何かの拍子で本来とは違う数値───本来とは微妙に違う能力をした状態がカルデアスに映ってしまうと、2016年には戻れなくなる。だから、管制室では常に俺達をモニターしている。あらゆる数値をチェックして、少しでもブレそうな箇所があれば『正常値』に戻している。これは僅かな差異、僅かな予兆も見逃してはいけない作業だ。所長やロマン含め、カルデア管制室のスタッフは文字通り、全身全霊で俺達の旅をサポートしてんだよ」
「・・・あれ?なら霊基編纂はどうなの?」
「あ、気付いた?アレな、少しでも編纂ミスったら数値のブレがカルデアから届くから毎度微修正掛けてる。だからまぁ立香が帰れなくなっても俺がいるならまだ帰れるんだよな。・・・だからってそれに頼るなよ?ミスったら死ぬから」
「うん、分かった」
!?急ブレーキ、何事だ!
「フォウ!?」
「急ブレーキ、申し訳ありません!ですが前方に敵影です、マスター、柳星さん!壁のようにこちらの行手を阻んでいます!あれを排除しなければ砂丘は超えられないかと!」
「おのれ、大ジャンプの邪魔を・・・!」
「イエス、マスター!快適なドライブの為、即時撤退していただきます!」
「いや、そのまま突っ込め!このバギーの隠し能力の出番だ!代われ、マシュ!」
「あ、はい!」
オッケー、数はそこまでだな。正面に進めば良さそうだな
「え!?急に消えた!?」*12
「虚数魔術を保存だけに使ってたらいつか壊れるからな!*13こういう化物を喰らうのも役割なのさ!*14このまま砂丘を越えるぞ!各自、ジャンプによる着地の衝撃に備えろ!アクセル全開・・・飛ぶぞ、テメェら!」
飛んだ先は草木も生えぬ本物の末世の地だった。んー、こりゃヤバいな
「───これが、十三世紀の中東・・・」
「余りにあついし大気の中の魔力濃度が薄すぎる・・・0.3とか人間の生きられる環境じゃねぇよ。*15まあ、砂漠の砂嵐も酷かったが、こっちも同じくらいに酷いな。予想通りって言ったら予想通りだけど」
「予想通り・・・?」
「これが魔術王の仕事、という事だな。アイツは人理定礎を乱すことで特異点を生み出した。その結果、人類史は不安定になり、アイツは過去に渡るまでの一切を燃やす、という偉業を行った。逆に言えば特異点にだけは人理滅却の波はこないんだが・・・ここまで乱れると特異点でも燃え尽きるんだな」
「そんな・・・いったい、この時代に何が・・・!先輩、囲まれています!あれは・・・」
・・・ちっ、こんなのもいるのかよ。この特異点。まぁそりゃ居て当然かぁ・・・