YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「・・・生存者、発見出来ません。皆さん・・・確実に、首を斬られて・・・」
「まぁ確実に殺すなら首は斬る必要がある*1からな・・・これを容赦がないと言えるのは何も知らん奴だけだ。この特異点ではああいうのがデフォルトなんだよ。アレくらいの忠誠心な奴がな」*2
ん?まだこの場に留まっている意思がある・・・?
「・・・おのれ・・・おのれ・・・この恨み、死んでも死にきれぬ・・・!なんという未熟さだ───敵の非道さを見誤るとは・・・!許せぬ───許せぬ!この無念を、いったい、誰が晴らせよう───!」
「アサシンの体から、これは───怨霊でしょうか!?」
「いや、シャドウサーヴァントだな。しかも本来の意味でのシャドウだ。冬木の時のような泥案件ではない。*3ここは・・・俺が出る。ハサンとして、せめてその恨みは・・・俺が受け止めよう」
槍を構えて・・・相手を見据える
「聞け、中東のハサンよ。汝の名は知らずとも我は名乗ろう。我は現代最後のハサン、簒奪のハサンなり。汝の怨み、我が引き継ごうではないか。さぁ───来いっ!」
すると、大振りな攻撃が来る。この程度の薙ぎ払いは意味が───
「なるほど、煙か。そのような方法が汝の主武装ならば・・・我には永久に届かんぞ」*4
魔力を流す。相手の霊基核を破壊出来る最小元を
「確か、師範が言ってたな。ハサンを殺す時はこう言えって」
必殺の型。俺にはあまりそう呼べる物はない。だが・・・この槍となら話は別だ
「聞け、晩鐘は汝の名を示した。我が槍、我が死相、今此処に在り。死を拒み、押し付けるが我が生き様───」
はぁ・・・こんなんだからキング・ハサンなんかの後釜とか言われんだよ。*5こんなに正確に殺す事は俺の役目じゃねぇのにな*6
「特別に、最後に言葉を残す時間を与えよう」
「おお・・・おおぉおお・・・最期まで、このような無様を晒すとは・・・・・・・・・介錯、かたじけない。簒奪殿よ。・・・まだ其方に温情があるのなら・・・どうか、同胞たちの供養を・・・・・・やはり、戦うしかなかったのだな・・・我が未熟さを笑え、呪腕の───」
「・・・サーヴァント・アサシン:【煙酔】・ハサン・サッバーハ、退去を確認」
「・・・マスター、柳星さん、あの」
「・・・この国の弔い方を教えてくれ」
「だな。頼まれたんだ。引き継いだんだ。だから・・・安らかに眠ってくれ」
俺達はあの後聖都を目指している途中、強盗に襲われていた女性を助け、護衛をすることになった。こちらの要求は情報。金などは一切取らないと明言したからか、相手も信用してくれたようだ
「ああ、ありがとうございます。おかげで助かりました。強盗たちを追い払ってくれたばかりか、護衛までしてくださって・・・」
「いえ、礼には及びません。こちらこそ、道を教えていただいて助かりました。皆さんはこの土地に住む方々ですよね。こんな大所帯で、どこへ?」
「どこへって、聖都ですが・・・?あそこだけは今も安全なんですから。侵略者達がやってきて、土地が燃えて、聖地も奪われて・・・でも、獅子王様が非道な十字軍を蹴散らして、聖地を我々にも開いてくれたのです。どこから来たか分からない騎士様ですけど、十字軍を蹴散らしてくれただけでありがたいじゃないですか。そりゃあ、聖地に恥知らずな都を建てられた、と嘆く人たちもいますけど・・・神の教えは不変のもの。都がどんなカタチだろうと、私たちの祈りは変わりませんから」
「つまり聖都は異民族でも入れるほどの都市だと?」
んな訳ない。騎士王ならともかく、獅子王が?そんなことを?しないだろうな。何かしらの天秤に測られてる。
「ええ、もちろんです。獅子王様は誰も拒まないと聞いています。聖都では一月に一度、聖抜の儀という難民を受け入れてくれる日があるんです。その日までに聖都に辿り着けば、後はもう何の心配もいらないのだとか。私たちも迷っていたのですが、村が焼けてしまったので・・・」
・・・つまり入れない奴は殺されるって訳か。*7やってる事十字軍とそう変わらなくないか?
「そうでしたか・・・それはお気の毒に。では村の皆さん全員で?」
「いえ、半数ですよ。・・・村には、聖都に滞在する騎士様たちを悪く思う者もいましたので・・・聖都を拒む者は山岳地帯に向かいました。あちらには山の民の村がありますから。でも・・・山岳地帯はとっくに不毛の地です。この地で生きたいと願うなら、聖都にしか居場所はないのですけどね・・・」
その後、遠目ではあるが他の集団を確認したので彼女をそちらに合流させ、俺たちとは別れることになった。結局お互いの名前は明かさなかったが、その方がお互いに利益だろうと言う判断である。
『それで、現在の状況ってどんな感じなのかしら?』
「そうですね。まだ何が敵で何が味方なのか、判別付かない状況です。エジプト領のオジマンディアス王。聖都と呼ばれる都市と、そこに居る獅子王。あとははさんこと、山の翁の方達ですね。この三つは、三すくみになっているのでしょうか?」
「太陽は獅子に弱く、獅子はアサシンに弱く、アサシンは太陽に弱い?」
「違うな。敢えて隠してる情報とかもあるからアレだが、正確には【太陽は動くつもりがなく】、【獅子は動く必要がなく】、【アサシンは決め手がない】が正しい。全体の総力はまだ未確定だが、トップの戦力だけで見るならハサンのトップたるキング・ハサンは太陽王の首を一度刎ねている。それでも滅ぼそうとしないのは山の翁的には放っておいて良い、と言う事なんだろう。そして太陽王自身は多分獅子王の力量を見誤っている。だから動かなくてもいい、なんて考えているんだろうな。そしてその見誤っている部分に、獅子王が動く必要性の無さが詰まっていると見ている」
『そもそも獅子王って誰なのかしら?獅子心王なら聞いたことがありますが、獅子王とは聞いたことがありませんね』
「会えば分かる。名乗るだろうしな・・・名乗るだけの理性、残ってるといいな・・・」
「では今後の方針は変わらず聖都に向かう、ということでよろしいでしょうか?」
「ただしこっからはスニーキング多めだ。騎士どもに見つかりたくないんだよな。厄介すぎる」
「了解しました」