YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
アレからも歩き続け、夜になって2時間ほど。やっと城壁が見えてきた。いやぁ、流石獅子王っすね。こんなのも作れてしまうんだから。まぁ円卓の騎士全員がいるわけでもないんだし、*1聖抜の儀とやらを切り抜けられたらご対面かな。出来無さそうなら退却してハサン陣営と合流。さて、どう来る?
「外を拒絶するような巨大な白亜の壁・・・あれが・・・聖都・・・?」
「多分そうだろうな。ほら、そこら辺に物凄い数の難民がいるだろう?*2ならあそこの門が入り口だろうな。あまり近づきすぎるのも嫌な予感がする。少し遠巻きに見た方がいいだろうな・・・さて、そこの。死にたいか?」*3
誰かに見られている感覚とは不愉快なものだ。ましてやそれが蛮族なら尚更な
「へっへっへ・・・こいつは上玉だ。砂漠から来たのかい?裕福そうな服を着てらっしゃる。*4聖抜の儀に駆けつけたようだがねぇ。悪い事は言わねえ。ここで引き返しな。もちろん身ぐるみぜーんぶ剥いでから、だけどな?安心しな、相場の一割で買い取ってやる・・・ったく、獅子王様々と来た。ここで張ってりゃあ、アンタらみたいなカモがやってきちまうんだからなあ?」*5
「はぁ・・・良いか?今アンタが取れる選択肢は三つだ。一つ、何も見なかった事にして潔く帰る。二つ、俺達に寝返って味方になる。三つ、ボコボコにされた上で醜く逃げる。さぁ、どれを選ぶ?」
「四つ目、オレ達に追い剥ぎに逢う・・・さ!」
うおっと、割と筋良いな。ただのゴロツキじゃあないな?まぁただ、少し痛めつけるか。しょうがない、死を見せれば引いてくれるだろ
「ムシュフシュ・・・乱王塵殺」
まぁ、本来殺してしまうところを寸止めでの8連撃にしたんだけどな。*6ここで殺すのはまずい。今は0.1%くらいで入れる可能性がある*7のに0%になってしまう。・・・なに?元々入れるとは思ってなかったのかだって?当たり前だろ、俺は霊基編纂で無理矢理突破できるかもだが、それでもまだ霊脈支配をしていないんだ。いずれはガス欠になるだろうよ。つまりは入れないのさ。*8
「つぁ、まいったあ!降参、降参だ!しけた稼ぎで命を獲られちゃかなわねえ!」
「んで、ならせめて情報落としていけよ。アンタら、何者だ?」
「オレ達は楽しい欲張り共の集まり!十字軍が相手だろうと良い商売をしたもんさ!ま、聖都が出来ちまった後は、あっさり獅子王の補佐官殿に潰されたがね。オレは目端がきいたからなぁ。土下座して見逃して貰ったのさ。顔をあげたらオレ以外みーんな首をはねられていたのは今でも笑い話だがよ!」
「そうかい、なら行けよ。大体知りたい事は知れた」
「ヒュー!セルハンのお頭、お先!」
「あばよ、ヘンな兄ちゃんたち!・・・だが、引き返せってのは本気の忠告だぜ?悪い事は言わねえ。人間でいたかったなら、あの城には近づくな」
んー、やっぱりそうなのか・・・となると人理定礎の揺らぎの原因はアレか?*9
「・・・盗賊集団、撤退しました。珍しいですね、手心を加えるとは」
「だってそりゃそうだろ。明確に獅子王陣営で、サーヴァントではないんだ。ジキルのような混ざりものでもない。本当にただの現地人。そんな奴を出会って即殺してたんじゃあ、今後の信用問題に発展する。『現地人をいたずらに殺すわけではありませんよ』って知らせなくちゃあならんのさ」
「ところで、カルデアとあまり通信をしていませんが、そこに理由はあるのでしょうか?
「いいか?それはこれまでの相手が取るに足らなかったからだ。ジル・ド・レェもジャンヌ・オルタも、ローマ連合も、海賊どもも、魔霧計画の主犯達も。*10だが
聖都から複数の統一された騎士達が現れる。多分弱くはないが強くもないんだろうとアタリを付けて、さらに周辺を探る。・・・っと、急に空が明るくなった?やはり
「いきなり昼になった!?」
「はい、目の錯覚ではありません!これは一体───」
当たり前だが、難民たちも驚いている。となるとこれは予告されたことではないな?だが・・・んー、めんどい相手だな。引き伸ばすのは多分出来る。だが倒せるか?いや、それは無理だ・・・魔眼なら行けるか?試す価値は・・・ないな。魔眼は基本奥の手だ。こんな序盤に晒すような真似は出来ない。あとはハサンとしても動けない。それで中東のハサン達に迷惑が掛かる可能性もある。つまり俺が取れる手段は・・・霊基編纂か。だが、どのサーヴァントになる?・・・アイツしかいないか。俺ならなれるだろうな*12
「落ち着きなさい。これは獅子王が齎す奇蹟───『常に太陽の祝福あれ』と。我が王が、私に与えたもうた
「マスター、正門に騎士が現れました。あれは───あの、方は───」
「円卓の騎士、ガウェイン。夜を昼間にするカラクリは見抜けたが、それを説明するのは後だ。・・・こりゃあ、撤退かねぇ。いつでも退却できるように覚悟しておきな。俺達は生き残る必要がある。最悪俺が殿を務める。だから覚悟しろ───彼らを見捨てる覚悟をだ」*13
「皆さん。自ら聖都に集まっていただいた事、感謝します。人間たちの時代は滅び、また、この小さな世界も滅びようとしています。主の審判は下りました。もはや地上のいかなる土地にも、人の住まう余地はありません。そう、この聖都キャメロットを除いて、どこにも。我らが聖都は完全、完璧なる純白の千年王国。この正門を抜けた先には理想の世界が待っています」
その声に聴衆は歓喜の声をあげている。少しビビったから細かく何を言ってるかまでは聞こえないが、歓喜の声であることだけは分かる。それだけ信頼されているのだろう・・・吐き気がする。これから起こるであろう出来事がわかってしまったからこそ、吐き気がする