YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
彼らは盗賊を撃退した。
「・・・近距離に敵性集団なし。ひとまず聖都から距離を取れましたね、先輩」
「フォウ、フォーウ」
「お疲れ様でした。貴方たちの協力なくして脱出はできなかったでしょう。こちらの方々も、ぜひお礼がしたいと」*1
「・・・ああ。アンタたちが聖都の騎士どもを蹴散らしてくれたんだな・・・見ていたよ・・・ありがたい。ありがたいんだが・・・すまない。今の我々は、どうしても喜ぶことができない・・・アンタたちに心の底から感謝する事が・・・できないんだよ・・・」
「・・・分かります。あんな惨劇のあとで笑える筈がありません・・・」
「・・・すまない。それと、言いづらいんだが・・・アンタらは、どこまで我々に付いて来てくれるんだ?いや、守ってくれるのはありがたいよ。しかし、その───」
その時、轟音が鳴り響く。土煙が晴れると、そこには彼がいた
「ふぅっ、やーっと撒けた。*2あんなめんどくさいの相手にしたられっかよ」*3
「お疲れ様です。それで合流直後で申し訳ないのですが、今後の展望はあるのでしょうか?難民達は今こうやってあの場からは逃がせましたがこれからどうしようとするのでしょう?」
「んー・・・なるほど、俺達が信用ならんと。*4まぁ人種が違ければ最終的な目標も違う。*5加えて満足なお礼などできるはずもない。なるほど、確かに満足な護衛がされるとは考えられないな」
「・・・・・・・・・そうだ。アンタらに頼りたいが、見捨てられるのは怖い。*6だから聞かせて欲しいんだよ。何で我々を助けたのか、その理由を」
柳星は悩む。実の所、彼らは助けなくても良かったのだ。少しばかり今後が厳しくなるだけで、どうにでもなるとは思った。しかし、嫌な予感もまたあった。アメリカの時のような条件*7だったならばいつ人理定礎が崩れ去ってもおかしくはないからだ。だが、そのような説明をして彼らは納得できるだろうか?いや、出来ないだろう。彼らが求めているのはもっとシンプルな理由のはずなのだから。そして、その答えは予想通りの人物が答えた。藤丸立香だ。
「我慢出来なかったから・・・です」
「我慢出来なかった・・・まあ、そうだよな。・・・誰だって、あんなもの我慢出来ないよな・・・」
「まぁ目的っぽい目的もあったけどな。アンタらには情報を求める。信用を求める。金と戦力は要らない。*8アンタらには山の民のところに案内するという役目を与えたい。ほら、ここには如何にも聖都側な見てくれのやつが多いんだからさ。入ったらすぐに殺されちまう。*9だからアンタらに頼むんだ。アンタらを助け出し、この場まで連れて来た。という実績が俺たちは欲しい。それならばあの人達も無下には出来ないはずだ。俺達が全力で守り、山岳地帯まで逃げる。その後、アンタらには山の民との仲介を求める、どうだ?」
「ああ、そういう事ならみんなを説得できる!このままアンタらを信じようってな!ありがとう・・・ありがとう!さっきは助けてくれて、本当にありがとう!待っててくれ、みんなに話してくる!」
「・・・良かった。これで一致団結ですね。立香」
「だな」
「そうだね」
「とはいえ、彼らにも休息は必要でしょう。ここまで走り詰めだったと思われますから・・・本来ならゆっくり休んでもらいたいのですが、その余裕はありません。ここで半刻だけ休息を取り、北を目指しましょう。山岳地帯に辿り着くまで夜通しの強行となります」
「んじゃその説明は俺が行こう」
柳星説明中・・・
立香's SidE
「先輩、そろそろカルデアと通信してみてもいいんじゃないでしょうか?今は安全ですし、聖都からも離れています」
「そうだね。・・・あーあー、カルデア、聞こえてますか?」
『よーやく繋がった!もう、心配したんだよ立香くん!』*10
「・・・魔術による遠隔会話、ですか?声のイメージから、繊細そうですが芯の強い、機転の利く賢人・・・といったところでしょうか?」
『!やった、サーヴァントで初めての理解者だぞぅ!こんなに褒められる日が来るなんて!』
「その人、甘やかしちゃダメなんですよ」*11
『と、喜んでいる場合じゃなかったな。ボクはカルデアのロマニ・アーキマンだ。ドクター・ロマンと呼んでくれ。えーと貴方は・・・?』
「あ、そうじゃん。柳星が諸々端折ったから説明できてないんじゃん。*12ん?でもあの時はルキウスって呼ばれてたよね?確かに装備は聖都側だけどそれだけじゃないんでしょ?」
「ええ。私の真名はベディヴィエール。・・・その節は名前を偽り、失礼をしました。私も、貴方がたを信用できていなかったので・・・」*13
「初対面だし、しょうがないよ。それに、柳星なんか今でも隠してる事多いしね」
「彼と言う前例がありますし、なによりベディヴィエールさんにも事情があったのでしょう。なにより、助けていただいたのは真実です」*14
『まあまあ。今はちゃんと真名を明かしてくれたんだから、最大限の信用を得たって事で。サー・ベディヴィエール。貴方の事情はまだ分からないが、状況は明白だ。聖都は円卓の騎士たちに占領され、彼らはこの時代の一大勢力となっている。悪い事に、独裁者としてね。円卓の騎士。五世紀ごろに存在したアーサー王にまつわる英霊たち。円卓に集いし、誇り高くも最強の騎士たち。そしてキミは円卓の騎士の一人だ。本来なら彼らと共にある英霊だろう。なのにマシュを助けてくれた・・・一応ね、周りの反応とかはみてたんだ。だから分かったけど、粛正騎士たちの囲みを乱したのは柳星と、もう一人いた。たぶん、それはキミなんだろう?キミは正体を隠して難民たちに紛れ込んでいた。おそらく、誰にも見つからずに聖都に入るためだ。なのにキミは柳星の戦闘を見て、その混乱に乗じて聖都に入らず、騎士たちと戦った。君は味方だ。それも、
「どうでしょうね?彼に触発されたのは確かですが。
「・・・もしかしてだけどさ、柳星なら何か知ってたりしないかな?確かに隠し事とか多いけどさ、それは俺達が聞いてこなかったからであって、本当に大事な事は隠してはこなかった。だから隠してる今はそんなに重要なことではないのかもしれないけどさ、俺達と柳星って価値観ズレてるからね。聞けば何か分かるんじゃないかな?」
そう言うわけで、とりあえず柳星が戻ってくるのを待つ彼らであった。ちなみに柳星は魔術と偽って魔眼で軽い怪我や傷の手当てをしてる為、もう少し時間がかかりそうだ