YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
あの後。柳星がどうなったのかを藤丸立香達は知らない。故に、粛正騎士達の反応のみ、ここに記そうと思う。
「自らの命を引き換えにしての足止めとは・・・愚かだが、見事な覚悟だった。これほどの決意を持つ者がただの叛逆者のはずがあるまい。・・・フン。実のところ、あのアグラヴェインを焦らせるほどの相手だった*1、ということか」
そう言うランスロットだが、彼も確かに傷を負っている。その傷はまぁ無視できる程度ではあるが、思考に多少の乱れを起こす程度には深く受けている。*2この傷こそ、彼の残した突破口の一つになり得るだろう。
「ランスロット卿。こちらの負傷者は卿を含め七名*3ほどですが、馬を全てやられました。ここからの追撃は徒歩となりますが・・・」
「いや。私はともかく、お前達では追いつけまい。重装備の欠点だな。山越えには馬がどうしても必要だ。西の砦に伝令を送り、馬の補充をする。山岳地帯に詳しい現地人の手配も忘れないように。・・・聖都に戻るのは1週間後だな。ここからは山狩りになるぞ」
一方、残されたカルデア一向はとても重い空気に包まれていた。それも当然である。これまで武力の中心として、そして精神的支柱とも言える人が居なくなってしまったのだから。そのショックからか所長たるオルガマリーはDr.ロマンの判断で一旦離れてもらうことになった。*4
「フォーウ・・・」
「・・・すまない。まさか我々のために、あの男性が犠牲になってくれるなんて・・・」
「柳星は死んでないよ。きっと生きてる。ただちょっと、眠ってるんじゃないかな?」*5
「そう、ですよね・・・柳星さんは、戦闘に於いては間違いなく強いですから・・・きっと生きています・・・」
『・・・さて。辛気臭い話はここまでだ。山岳地帯に入ったわけだけど、村まではあとどれくらいなんだい?』
「ああ、これならあと1日で辿り着ける。ただ、問題があって・・・」
「・・・なんでしょう?もしや、村には結界的な守りがある、とかでしょうか?」*6
「いや、そういうんじゃない。水と食料のことなんだ。なにしろ50人分だからな。今までは少ないながらも彼が何とかしてくれたんだが・・・」
「そうでした。怪我人の手当ても、食料の調達も、水の錬成も柳星さんがしてくれていました・・・」*7
「フォウ、フォーウ・・・」
『万能すぎるのも善し悪しだな。彼も気付かないうちに頼り切りになってしまう。すまないが、食料の調達はもうできない。難民の人たちにはここから一日、飲まず食わずで村を目指してもらうしかない』
「みな限界ですから、この一日が峠となりますが・・・───いえ。食料だけなら何とかなりそうですね」
「ベディヴィエールさん?あの・・・まさか?」*8
「このような時に不謹慎ですが、私、旅には慣れていますので。人体に害なく食べられる動物の目利きには自信があるのです。凄いのです」*9
「フォウゥゥゥゥ・・・」
「幸いなことに向こうからやってきてくれました。彼等が我々を食べるか、我々がご馳走にありつくか───いざ、勝負!」
食卓には、見たことの無い食材が並んでいる。また、水も充分な領存在していた。
「円卓、アーサー王語録、その八!【栄養は ゲテモノ肉でも かわらません!】マシュさん!復唱をお願いします!」
「はい・・・栄養は、ゲテモノ肉でも 変わりません・・・」
「?いい肉じゃないか。ちょっと黒くてゲル状の脂身が出るが。」
「美味しい!マシュお姉ちゃん、これ美味しいよ!」
「はい・・・マシュ・キリエライト、食べます・・・生きるって、時に残酷なんですね・・・でも、柳星さんの為にも食べないと・・・先輩のお役に立てません・・・」*10
「そういえば驚いたよね。マシュの盾に柳星が残してくれた
『そう言えば柳星、宝石魔術・・・に似た様な魔術も使えた*11からね。きっとこうなると思って水を作る為の宝石を残してたんだろう。まさか、こんな贈り物があるなんてなぁ・・・』
「かたい・・・やわらかい・・・もちゃっとして・・・鼻にツンとくる香料が・・・脳に染み渡るようで・・・ありがとうございます、ベディヴィエールさん・・・気を遣ってミントを使ってくれたんですね・・・」
しかし、彼はミントなぞ使ってはいない。きっと魔物特有の感覚*12だろう。
「・・・いつまでも沈んでいられないね」
「・・・はい。何をするにしても、まずは前向きに、ですね」
「それは良かった。もう一皿どうですか?一つしか取れなかった貴重な部位がありますよ?ほら。このおっきな目玉」
「全力でお断りさせていただきます!」
・・・どこだ?ここ。そうだ。俺は・・・
「ふっ、まさかこんなに早く来るとはな」
師匠?
「構えろ。まだここに来るには早いだろう?」
なんだよ、師匠。少しは休ませてくれよ
「断る。どうせお前は私に構ってくれないだろう?」
だって師匠は師匠じゃん。闘う以外のコミュニケーションとれないじゃん
「そうだな。だから私はお前と
やめてくれよ。俺が師匠に勝てるわけないだろ?ここでさ
「ふっ、燃え尽きたか?確かに満足出来る終わりだったのかもな」
だろ?だからそうだな、少し寝かせてくれ。俺は休みたいんだ