YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
山を登ると何が見えるか。そう、街が見える。つまり?地上では分からない『窪み』が見えるということである*1
「ところで先輩、あの窪み、気になりませんか?山に登ってみて分かったのですが、荒野には不自然な窪みが点在しています。*2あれは一体なんなのでしょう・・・」
その発言に少年、ルシュドは不思議そうな反応をするのだった
「?お姉ちゃんたち、獅子王の裁きを知らないの?」
「なんでしょうルシュド。獅子王の裁き、とは?」
「うん。たまに聖都がぱっと光るんだ。そうしたらあんな感じになるんだよ。騎士たちが「獅子王の裁き」って言ってるから、ボクらもそう呼んでいるんだけどね」*3
その事を聞いてマシュ達は一つの結論に辿り着く。
「───まさか。それって、あのクレーターは───」
「宝具で破壊された跡・・・?」
『・・・ああ。元になったこの時代の土地に、あんなクレーターは存在しない。獅子王を名乗るアーサー王の宝具だろう。アーサー王は無差別に、超級の宝具を振るっている。それこそ空にある光輪帯のようにね。大気中の魔力濃度が高い理由もそれで説明がつく。・・・とんでもないな。この大地は文字通り、獅子王に滅ぼされようとしているんだ』
「・・・アンタら、獅子王の裁きを知らなかったのか?*4だから獅子王に逆らえたのか・・・いや、すまない。知っていてもアンタらは我々を助けてくれただろう。それは分かるよ。でも知っておいてくれ。オレたちにはもう、行き場がないんだってな。荒野にいてはいつ裁きが落ちてくるか分からない。砂漠に逃げても太陽王の魔獣に喰われる。山岳地帯は比較的安全だが、ここにはもう食べるものがない・・・オレ達が生き延びるには聖都に行くしかなかったんだ。それも、もう終わったがな」
「・・・そうだったのですか。話には聞いていましたが、これほどとは・・・円卓は既に堕ち、王はヴォーディガーンを上回る魔王と化した。聖都にいる獅子王は許されざる存在・・・この地にとって、倒すべき悪なのですね」
移動中のこと。立香はふと気になった事をロマンに尋ねていた
「ねぇロマン、アーサー王が使う宝具って
『うーん、確かにアーサー王といえばエクスカリバーを指す人は多いと思うよ。だけど獅子王は槍を持っていた。アーサー王で槍と言えば一つしか思い浮かばないかな。ロンゴミニアド。聖槍と・・・あっ』
「あれ、それって確か柳星さんが好んで使ってた宝具では・・・?」
『てことは資料がどこかにあるってことか!?うわぁ、いっつも見てないのがここに来て響いたか!?』*5
「てことは柳星と合流出来たらもしかしたら獅子王を無力化できるってことになる?」
『いや、それについては出来ないと思う。・・・まぁ、獅子王次第かな。聖剣も聖槍も、
「珍しいですね。ドクターが言い淀むなんて」
『当たり前だろう?柳星の
そもそもの話である。獅子王を止める為にはまずオジマンディアスをどうにかする必要がある。彼が現状最大の乱数だからだ。その乱数を定数にしない限り、獅子王には挑まないだろう。いや、挑めないだろう。まぁ、オジマンディアスは「一度見て来い」と言ったから少し落ち着いたらまた砂漠へと向かうつもりではいるが。
『もう三つは山を越えたんじゃかいか?随分と奥地までやってきたようだけど・・・いや、柳星の所もそうだったか』
「うん、もうすぐ村だよ。ボク、このあたり覚えてるもん」
「おや、ルシュド君はこれから行く村を知っているのですか?」
その問い掛けに彼は笑顔で答えたのだった
「うん。お母さんが前に連れてきてくれたんだ。その時にね、『困ったらここに来なさい』って」
それに同意するのは同じ難民である彼らだ
「ああ。山で暮らす者たちは、様々な事情から聖地を後にした人々だった。・・・それでも彼らは聖地に祈りを捧げる為、出来るだけ聖地に近い山間に村を作った。それが今から行く村だ。彼らが我々を受け入れてくれるといいんだが・・・」
『・・・そうか。サラセンの人たちの中だけでも、聖地にまつわる事情があるんだね・・・今は聖都が作られてしまって、それ以前の問題になってしまったワケだけど』
「・・・信仰のよりどころを目の前で奪われる・・・失われているのは命だけではない、と言うことですね・・・」
なぁ師匠、俺は寝かせてくれって言ったよな?この鳥居はなんなんだよ
「その鳥居ひとつひとつがお前の因縁みたいなものだ。それらを清算した後ならまぁすこしは眠る事を許そうじゃないか」
因縁?なんでそんなめんどくさいものを持ち出してきたんだよ・・・
「ほらほら、早く構えろ。言っておくが、因縁を清算するまでは眠る事は許さないからな。ここは死の国、ならば眠る必要は無いだろう?」
しょうがねぇな。確かに眠りたいが逃げるのは俺が俺を許せない。乗った。さぁ、始めようか───