YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
戦闘はカルデア側が優勢だった。それもそのはずである。マシュの性能が真名解放以降と予測されていたレベル以上の実力の為、本気をイマイチ出しきれていないモードレッドには負けるはずがない。*1
「チクショウ、何やってんだオレは!
そうして、モードレッドは兜を脱いだ。それは本気を出すと言う事である。ちょっとだけ粛正騎士は離れた。その分の皺寄せはこの場にいないもう一騎のセイバーに向かうだろう。*3
「モードレッド卿、兜を外しました!あの鎧と【暴走】のギフトは相性が悪いようです・・・!」
『そうか、不貞隠しの兜・・・!確かにあの鎧はアーサー王に叛逆する為のもの、獅子王からの祝福とは反発するだろうね!てことは、まだ全力じゃあなかったってことか!?』*4
「ああそうだ。テメェら雑魚ども*5相手に本気を出した日には、円卓の笑われ者だ。*6・・・だがな。それで負けてちゃ笑い者にすらなれねぇ。オレの面目なんざ捨ててやる。この山とテメェら、まとめて消し飛ばしてやるよ」
しかし、この場に新たな戦略が増える。ガシャ、という鎧特有の音が聞こえてきたからだろうか、モードレッドもその音がした方向を見る
「剣を納めよ、モードレッド卿。貴方のしようとしている事は本当に騎士たる行いでしょうか。私にはそうは見えない」*7
「・・・!?*8なっ、・・・どう言う事だよ!?なんで貴方がこの場に居るんだ!?」*9
「私もサーヴァントですから。召喚される可能性は否定出来ないでしょう?それにカルデア曰く貴方達に対する抑止力としての側面もあるようです」*10
「そうだとしてもだ!貴方が行ってきた事は侵略とも取れる行為だった!それなのに、そうだというのに!貴方がオレ達を非難するというのか!?」*11
「・・・ええ。確かに私達は侵略をしていた、と言って間違いではないです。しかし、それは生き残る為だった。それに、侵略であって殲滅ではない。*12今の貴方達とは違うのです。貴方達は侵略した上で虐殺をしているのです。そんな行いを是とした覚えは私にはありません」
「チッ・・・!」
「本来ならば今この場で貴方を断罪してもいいのですが、我々の目的は貴方ではない。*13この場で去ると言うのなら今回は見逃しましょう。確かに貴方達は
「・・・・・・そう言うのなら、*14今回はオレの負けだ。部隊も全滅してるしな。この村も
そのまま、モードレッドは去っていった。
『モードレッドの反応、離れていくよ。見逃してよかったのかい?』
「ええ。私独自の判断でしたが、これが最善かと。あのまま争っていたならばモードレッド卿の
「・・・業腹だが、致し方なし。この場で自爆されては西の村を守れぬ。そもそも、敵に攻め込まれた時点で我らの負け。それを分けに持っていったのだ。これ以上は望めまい」
「それにしてもアルトリアさんさ。騎士の誓いって本当なの?」
「どう言う事ですか、リツカ」
「柳星から聞いたんだけどさ、『誓いとか約束は相手を縛れるから使い方次第なんだよなぁ』*16って言ってた事があったから。モードレッドの誓いはアルトリアさんから見ても信用できるかな?」
「・・・ええ。確かにモードレッド卿には叛逆された身ですが、それは彼*17にも信念があってのこと。騎士として落ちぶれてはいないでしょう。もし誓いを破ったのならば、その時は彼を騎士ではなく倒さなければならない敵として扱うだけのこと」
『でもこのタイミングでアーサー王がこちら側にも居る事がバレて問題はないのかな・・・』
「それは・・・」
『問題ありません。・・・っと、貴方とは初めましてですね、セイバー:アルトリア・ペンドラゴン。アーサー王と呼んだ方がいいかしら?カルデア所長、オルガマリー・アニムスフィアです』*18
「所長!」
「オルガマリー所長、その、大丈夫なのでしょうか・・・?」
『ええ。大分落ち着いたわ。時間かかってごめんなさいね。でもこれからは私も復帰するわ。・・・さて、ここに柳星から貰っていたメモがあります。中身は【第六特異点に於いて自分がいない状況に於ける藤丸立香の召喚後の推奨すべき行動】です。基本的にはクラス毎に分かれてますが、幾つかのサーヴァント・・・主に円卓関係者ですね。そちらについてはそれぞれ書いてあります。騎士王を召喚した場合は【早めに敵陣営と顔合わせを済ませる事。決戦まで争いを持ち越せればベスト。どうせ敵は円卓なんだから顔見せれば動揺誘えるだろ。まぁこっち側になるとは思えないが、騎士道敵に動揺の隙ついて殺すのはちょっと嫌な感じがするからなぁ・・・】だそうです。なのでこの状況は彼が望んでいた状況ですね・・・どうやって敵が円卓だと見抜いていたのかしら・・・』
「ほら、使ってる宝具同じなら気付くこともあるとかじゃない?」
「?どう言うことですか、リツカ。その者はロンゴミニアドを扱えると?」
『そういえば柳星が居なくなってからの召喚だから会ったことないのよね。ええ、そうです。彼はロンゴミニアドを扱えます。更に言うならエクスカリバーも、恐らくアロンダイトやガラディーンも扱えるかと』*19
「そんな高潔な人が居たのですね」
「どうだろ、高潔ではないんじゃないかな・・・本人も裏技だって言ってたし・・・」
「裏技?」
「ええ、どうやら柳星さんは自身の霊基を組み替えてサーヴァントの宝具やスキルを扱えるようにしてるらしく。好んで使ってたのはロンゴミニアドですね。なぜなのか聞いたら『なんだかんだ言って俺はアーサー王に憧れたからな』だそうで」
「そうですか。他人の為に自らの命を差し出せるような人物が、私に憧れていると・・・それはとても嬉しいですね。王として邁進した甲斐もあったというものです」
そして騎士王は微笑む。その身体はまるで少女の様であるが、なるほど、そりゃ柳星も惹かれると言うわけだと立香達は納得したのだった。
「・・・あの、腕がどうかしたので?」*20
「いえ、お気になさらず・・・問題ありませんので」
なお、ベディヴィエールは忘れられていた。
「城持ってるの?」
「ええ。私は所謂汎人類史ではありませんので。私が妖精圏の女王、モルガン・ル・フェです」
「なるほど・・・?異聞帯って事かな?」
「おや、知ってるのですか」
「そんな単語を聞いたことがある程度だ。まぁてことは今俺達の対処してる事が全て終わってからだな。妖精圏を探すのは」
「それならブリテンにありますが?」
「はぁ!?聞いた事ねぇよ。地球の表面に出てきてないんじゃねぇのか?」
「そうかもしれませんね・・・さて、それでは私もそろそろ行きますね。では貴方が来るのを待ってますよ?」
「おう、いつかは必ず行ってやるよ」