YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「率直に言いますと、山の翁の一人が敵に捕らわれているのです。これが他の山の翁であれば心配はありませぬ。敵に捕らわれた時点で命を絶っていましょう。ですが今回囚われた山の翁は歳若く、また、自分で自分を殺せぬ厄介な体質───救い出さねば、いずれ我々の情報を漏らすかもしれないのです」*1
「しかし、あの者が収容された砦は円卓の砦。攻め落とす事は難しいのだ。少数精鋭による侵入も試みたが、帰ってきた者はいまだにいない・・・」
まぁ、そんな事を言われて即決するのが藤丸立香と言う人間なのだ。というか断る理由も特にないんだよね。
「よし、任された!」
「くっ、即決か!」
「おお、それは頼もしい。そう言ってくださるとこの呪腕、確信していましたぞ!で、どうだ百貌の。立香殿が信頼出来ないと言ったな?我らの窮地を二度も救えば文句はなかろう。いや、すべてはこの後の仕事によるが」*2
「・・・人質を一人、用意してもらおう。助ける、と言って逃げる輩も多い。ここに貴様らの仲間を一人、置いていけ。砦に捕らわれた山の翁と交換だ。それなら私も異論はない」
その申し出は妥当なものである。しかしこちらには置いて行ける人材が一人いる。そう、ベディヴィエール卿である
「それではベディヴィエール卿を人質としましょうか。厳重に見張ってくれればそちらとしても納得が出来るはずです」*3
「うむ。あの円卓の騎士か。それであれば釣り合いがとれような」
「話は決まりましたな。では立香殿?」
「うん。少数精鋭で行こうか。俺とマシュとアルトリアさんとハサン二人。それで行くよ」
ここはどこかのテント。目覚めた男がここに一人。
「ん・・・」
ん?なんだここ。テントか?
「おう、目覚めたか兄ちゃん」*4
「ここは・・・エジプト側か」*5
「そうだな。しっかし驚いた。アンタ1週間も眠ってたんだぜ?」*6
「マジか。うへぇ・・・ん?そういやここ一体なんなんだ?」*7
「んー・・・ここの主人今は居ねぇんだよな・・・」
「なら会わなくていいな。*8帰ってきたら伝えてくれ。会えてよかったってな*9・・・行ってくる」
「では行くぞ。砦には私が案内する。丸一日はかかるが・・・その前に軽い準備運動だ。幸先が良いのか悪いのか・・・賊に囲まれた。迂回する時間も惜しい。蹴散らして進むぞ!」
まぁただの賊に追い込まれるほど弱くもなく。さらっと進んで砂嵐が出てきた辺りまで戻ってきたのだった。
「風が出てきたな。ククク。我らにとって砂嵐など揺籃の習い。まさに吉兆よ」
「ああ、分かりづらくて申し訳ない。百貌めはこう言いたいのですよ。『砂嵐であれば聖都の兵に見つかるまい、我々はツイている、今のうちに急ごう!』と」
「いちいち通訳せずともよいわ!」
「わたしたちだけでは迷子になる砂嵐ですが、ハサンさんたちがいるなら安心ですね。*10これなら聖都軍に接触する事もなく、速やかに砦まで行けそうです」
そんな時ドクターがなんか唸ってた。なんでだろう?
『ん・・・んんん?』
「どうしたの、ドクター?」
『んー・・・いや、とりあえずサーヴァント反応が
「サーヴァント反応だと・・・!強いのか!?Aランクの猛者か!?」
『なんていうか、キラキラしていて、それでいてふわふわしていて、でもガッシリしてる!円卓の騎士ではありえない、カラー豊かなサーヴァントの反応だ!』
「それって色モノって事じゃ・・・」
そんな時、悲鳴が響いた。この悲鳴は余り強くない人の悲鳴だ。なんとなぁく直感的にそう思った。
「きゃああああああああーっ!助けてぇー!誰か何とかしてぇー!」
「聞こえました、女性の悲鳴です!マスター!」
「助けにいこう!」
「フォーウ!!」
「なっ・・・相手の力量も計らないうちに助けに向かうというのか、あの愚か者は!」
「いやいや。今回は本能より理屈が上回った見える。人助け、という理屈がな。立香殿はあれで危険感知は一流だ。勝ち目のない戦いであれば、もう少し躊躇するぞ?」*12