YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
村に帰ってきた。帰ってきてしまった。そして一つ気づいたのだがソレについては声に出さないようにする。*1
出迎えたのはアーラシュ・カマンガーだ。まぁ俺は初対面なんだけど。
「おう、お疲れさん!よくやったな!吉報、届いてるぜ立香!それで、そっちの三人が追加の人達かい?これまた珍しい出立だが・・・」
「初めましてアーラシュ・カマンガー。無疆柳星、【簒奪】のハサン・サッバーハだ。前は此処に来る途中で離脱したからな・・・会えて嬉しいと思ってる」
「あたしは玄奘三蔵!御仏のご加護を届けに来たわ!」
「拙者は俵藤太。見ての通り巻き込まれた通行人だ。───しかしなるほど、コレが西の村か。此処に来るまで村の様子はよく聞いていた。であれば───むっふっふ。長話も挨拶も後回しだ!まずはコイツをお見舞いしてやらねばなぁ!」
宝具の気配!?やるんだな、今!ここで!
「悪虫退治に工夫を凝らし、三上山を往来すれば汲めども汲めども尽きぬ幸───お山を七巻き、まだ足りぬ。お山を鉢巻、なんのその。どうせ食うならお山を渦巻き、龍神様の太っ腹、釜を開ければ大漁満席!さぁ行くぞぅ!対宴宝具───
するとその場に現れたのは終わりのない米の山。
「な」*2
「な」*3
「な」*4
「?」*5
「クハハ」
「なんだそりゃあ──────!?」
いきなりこんな事態になってしまっては混乱するのは当然のことである
「ななな、なんだこの滝のような穀物は!?食べ物か!?食べ物なのか!?」
「はい・・・!コレは間違いなくお米です!百貌さんもつい仮面を外してしまうほどです!」
「なんだそりゃあ、すげえアーチャーだなアンタ!コイツは何より頼もしい助っ人だ!」
「ええ。これ込みで御仏の加護よ?だからトータとあたしは出会ったんだから、ね!」
そんなこんなで宴が始まったのである。そんな中俺はとある場所に訪れていた*6
「驚いた。まだ生きてたのか、アンタ」
そこに居たのは動けそうにもないベディヴィエールの姿があった*7
「ええ。私も驚きです。・・・貴方は私の状態を知っているのですね?だから驚いている、違いますか?」
「正解、かな?まず俺はアンタがサーヴァントに擬態したただの人間である事を理解している。*8マーリンによって使命を課され、その使命が遂行されるまでは魂の消滅を防いでいた状態だ。そんな中ブリテン時代からの地続きであるアーサー王に聖剣を返還してしまったんだから・・・お前の命もあと僅かになるのはなんらおかしくない。流石の俺もすでに死んでてもおかしくない奴を生かし続けるってのは無理*9だから・・・いっその事もう消えるか?」
「それは・・・我が王の負担が増えませんかね・・・?」
「そもそも俺は最初からお前には期待してなかったんだよね。あの聖剣の存在は感じ取ってたからいつか貰えればそのまま戦力増強に出来たし。ベディヴィエールは使いこなせてなかったし。ヌァザの腕についてもそうだし」
「そうですか───」
「もしアレなら呼んでこようか?」
「・・・そうですね。お願いします」
「あ、いたいた。おーいアルトリアさーん?」
「む、呼びましたか柳星」*10
「ちょっとベディヴィエールが呼んでるから着いてきてくれません?今アイツ動けないみたいで。ヌァザの反動を読み違えたんでしょうねー」
「そうですか、では案内をお願いします」
「ベディヴィエール卿、入りますよ」
「ええ」
「一応俺が見届け人となろうか」
「お願いします───それで、話とは何でしょうか」
「我が王よ、私はどうやら此処までのようです。元より聖剣を湖に返還できなかった頃から始まった終わりの無きこの旅路。まさか貴方に遭遇し、返還できるとは思いもしませんでした」
「最初から、この土地を最後にしようと決めていたのです。それがかの魔術師との契約でもありましたから。しかし、何か───そう、運命的なナニカが告げていたのです。『この土地では出会いがある』と。此処が最後の希望でした。そして、貴方に巡り逢えた。貴方に聖剣を返還できた。ならば私の役目は此処で終わりなのです。元よりサーヴァントではなく人ですから、此処まで長生きしてる事がおかしいのでその揺り戻しでしょう」
「しかし、返還した事に何の後悔も無いのです。当たり前と言えば当たり前なのですが、私の目標は全てよりも優先されて聖剣の返還がありました。我が王を残して先に逝くのは心残りが生まれますが、貴方様ならばきっと最良の結果を残してくれるはずです」
「───分かりました。私、アーサー・ペンドラゴンの名の下に赦しましょう。今まで、ご苦労様でした。ゆっくりと休みなさい。サー・ベディヴィエール」
そして、ベディヴィエールの身体は崩壊した。
「1994年の聖杯戦争に於いて、バーサーカーはランスロット卿だったと聞く。あの時はこの様に和解できなかっただろう?」
「そうですね。王に人の心は分からない、とはよく言われますから」*11
「だが今回は違う。ちゃんとした別れが出来た。それは進歩だよ。ならばコレからもどうにかなる筈だ。例え相手が貴方の別側面だとしても。ソレが元々英雄王や征服王に忠告されていた未来だとしても」
「───そう、そう言えば彼らには言われた事がありますね。『そんな事を続けていればソレ即ち神になる』と。なるほど、確かにこの現状は神そのものと変わりませんね」
「コレがロンゴミニアドを使用し続けた弊害だ。もはやアレは止められない。だから───」
「迷うな、でしょうか?」
「だな。何があっても止まらないで欲しい。迷わないで欲しい。もう手を伸ばせる相手は少ないのだから」
ところでこのまま行くとまぁ高確率でランスロットはちゃんと味方になりますが和解出来るのでしょうか?作者には分かりません。頼むから衛宮セラピーが成功していてくれ