YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
SiDe:円卓
夜。砦に赤い髪の騎士───トリスタンが来た。
「全隊、礼!円卓の騎士、トリスタン卿、ご来訪───!」
「・・・歓迎、ありがとうございます。ですが、今はその様な気持ちではありません。現場を見せていただきます。・・・どうか案内を」
「は!こちらでございます!」
そして兵士達は案内をしつつ昨晩の出来事を語る。曰く、いつ侵入されたのか不明な点。曰く、アグラヴェイン卿が砦の手前で排除された点。曰く、捕らえていた山の翁及び出自不明の弓持ち一人が解放、奪取された点。曰く、山の翁の毒による損害が出ている点。
「以上が昨夜の出来事です。叛逆者の奇襲により兵力は六割減少。*1現在、この砦は砦としての役割を果たす事ができない状況です」
「なんと痛ましい。聖都の騎士がたった一人の反乱で壊滅*2とは・・・この様な戦況、王が聞けばなんと嘆かれる事か・・・」*3
「・・・は。犠牲になった兵士二十五名、アグラヴェイン様がお連れになった二十六名。この葬儀を執り行うため、砦の兵士たちも一丸となって働いております。獅子王陛下であればこう言われるでしょう。弔いを済ませ次第、この雪辱を全力で果たせ、と。」
「・・・悲しい。私は、本当に悲しい。───その様な判断しかできない貴方たちに、この砦を任せて居たなどと」*4
「は───れ?」
フェイルノートの音が鳴る。それは刃の音である。それは切り落とす音である。結果、兵士の一人は今、首と胴体が分たれた。
「ひ、ぃ・・・!?トリスタン卿、何を───!?」
「同胞の死を悼む暇など誰が与えたのです。ああ・・・貴方達の無能さが、私は悲しい」
そしてまた一度、弦が音を奏でる。そしてまた一人、この世を去った。
「ト、トリスタン卿・・・!おお、お許しを、お許しを・・・!至急、追撃部隊を編成致します!名誉にかけて、山の民どもを殲滅いたしますので・・・!」*5
「急ぎなさい。彼らは馬で逃げた。であればその足跡、我が妖弦で辿るのみ。一日前のものなら十分に追跡可能です。この様な仕事は遊撃騎士の役割ですが、コレも獅子王陛下の思し召し。・・・急ぎなさい」
場面は戻って山の民の村。割とほぼ全員が揃って居た。
「良い朝を迎えられた様だ。昨夜は皆十分に英気を養えたと見える」
「あ、諸々あると思うけどその前に報告。いいか?」
『何よ・・・なんか怖いわね』
「昨晩ベディヴィエールが退去した。正確には退去ではなく死亡なのだが・・・まぁ変わらないだろ」
『何があったのよ、確かアガートラムの使用反動で倒れて居た筈よね?そこまで酷かったのかしら?』*6
「いや、単純に魂の劣化と誓約の完遂による寿命だな。まず大前提としてベディヴィエールはサーヴァントではない。サーヴァントに偽装された純人間だ。偽装したのはまぁマーリンだろうな。アイツくらいしかやりかねない奴がいない。んで誓約の内容だが【聖剣の返還】だな。アーサー王の聖剣エクスカリバーを本人の下へと返還する。その為にアイツは歩き続けてた。それが叶えられてしまったんだからそりゃ寿命なんざとうの昔に迎えてたんだし死んでもおかしくないんだよ」
『だとしたら今後の戦力はどうするのよ?円卓の持つギフトは彼くらいにしか破れないのよ?』
「そこは問題無いだろ。何せこっちには別側面とはいえ本人が居るんだからさ。なら破れるだろ。それに俺も居る。これまで封じてたが
『・・・待って、凄い嫌な予感がするのだけれど』
さて、騙り廻るとするか・・・!
「俺達カルデアの目的は獅子王との邂逅!山の民の目的は獅子王の打倒!それはほぼ同じ物である!獅子王は聖都から出ることを許されず、故に我らから侵攻するしか道はない!その為には円卓の騎士を破り、正面から進む以外に可能性は存在しない!故に!今ここに宣言しよう!今これより、聖都攻略の為の各行動を開始すると!」
『事態はやっぱりそうなるのよねぇ・・・貴方ならやりかねないとは思っていたけれど・・・』
『全面戦争って聞くと
「いやまぁアメリカの時は戦争していると誤認させてのアサシネイトだったからな。ここまで真っ向からの侵略侵攻はアサシンのやり方じゃねぇのよ。ざっと考えてみても俺らの戦力って五桁ないでしょ。違う?」
「・・・言ってくれるな。確かに、我らの軍勢は心許ない。現在、攻勢に出る事を賛同している村は半分くらいというところだ。前線に出られる戦士は七千程。聖都の騎士の数も一万に満たないが、我らとは質が違う。聖都の兵士は皆手強い。聖都の騎士一人に対してこちらは三人でかからねば勝ち目はない。加えて円卓の騎士が出てくれば通常の戦士では歯が立つまい。・・・それでも、これ以上は待てぬのだ。我らは疲弊する一方なのだから」
「ふむ。しかしサーヴァントの数ならこちらが上だろう。十字軍との戦いを生き延びた円卓の騎士は五騎。ランスロット、ガウェイン、トリスタン、モードレッド、アグラヴェイン。対してこちらは───」
「マシュ、アルトリアさん、アーラシュ殿、呪腕、百貌、静謐、藤太さん、三蔵、後は俺。九騎いる。だから振り分けさえ考えればどうにかできる。後は幾つか盤面の変更はありそうだしな」
「と、言うと?」
「確信がない。だから語れないが───『待て、しかして希望せよ』って奴だな。ランスロットにはマシュを、ガウェインには俺か───初代様を。トリスタンには呪腕さんをメインに。モードレッドには三蔵を、アグラヴェインには───ランスロットをぶつける。」
『『「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」』』*7
「アレ皆そんなに驚く事かな?割と妥当な気がするんだけど」
「いえ、そもそもランスロット卿には私をぶつけるのでは?その場合ランスロット卿は
「おう。多分そこは矛盾しない。退去させてしまったらしまったでまた別のプランあるし。まぁ俺らの味方だろ、アイツは」
『それにしても何でアグラヴェインにランスロットをぶつけるのよ!?裏切る───と言うかそもそも味方になる方がおかしいと思うのだけれど!?』
「いやほら、マリーも知ってるだろ?サーヴァントの弱点」
『───史実に於いての弱点はそのまま機能している点かしら?』
「そう。史実に於いて殺してきた相手には滅法弱くなる。それがサーヴァントの絶対だ。ならばアグラヴェインを殺したランスロットはアグラヴェインキラーになってるんだよ。だから味方につけた方が速い。それにアイツそもそも本当に円卓の騎士としての側面しかないとは思えないしアイツ裏切ってるしなぁ・・・」
俺も驚いたもん。砂漠にランスロットの私兵軍あるとは思ってなかったもん
「───そこは置いておくとして、だ。ならばこれは聞き間違いか?ガウェインに初代様をぶつける、と。その意味が分かってて言ってるのだな?」
「ええ。まぁでも───そんなん言ったら俺が二代目キングハサンだぞ?ましてや、あの人の不手際でしょ。こんな事態。霊脈から見たけどあの人は役目を途中で放棄したからね。それならその分の働きはしてもらうに決まってる」
まぁ呪腕さんがこの時代の人なのは知ってるけどさ。
そういやどうでもいい事ですがこれの執筆直前に弊カルデアの彦斎さんがLv.120の絆15、7/10/10/10/8となりました。黒曜石のナイフが足りねぇ・・・!なおほぼこの絆稼ぎの為だけに凡そ研鑽戦を300周ほどしてました。
追記(5/1の朝)
何故狂信者ちゃんこと雪轍のハサンの名前を知ってるのかと言うと彼女は所謂『エクストラNo.』なんですよね。人理の影に隠れてしまってるだけで存在自体は色濃く残ってた。その上で「こんな奴もいたよね」的な日記を残してた一般人がおりまして。その人のおかげで柳星は狂信者ちゃんを知ってました。並行世界視認系師匠はstrange fakeを見てません。あの人フランチェスカに煽られたくなくて探そうともしてないです。なのでスノーフィールド聖杯戦争は知りません。なおその魔術式を覚えてたからなのか霊脈を通じて同じ場所の並行世界を柳星は視認できるので(今回死んで出来るようになった。多分今後も死ぬ必要がある)今やってるイベントのアンティオキアパートについては認識しました。だから雪轍の名前を知ってる訳ですね。