YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「───あ。見えました、立香様。あそこに見える寺院がアズライールの廟です。ですが・・・」
「むう。やはり初代様はお怒りか。あのような門番まで用意されているとは・・・」
「死霊系か。なら俺が終わらせてやるよ」
久しぶりだな、これ使うの
「火よ、炎よ、焱よ、我が意思は天にある。我が情けは秤の上にある。傾き、嘲り、全てを
まぁ死霊系なんざ所詮天秤に載せれば消滅できる程度でしかないんだが・・・火力増してるな。土地補正か?*1
「んじゃ進むぞ」
てことでやってきました霊廟アズライール。
「この重圧・・・魔力反応も、サーヴァント反応も、物音も生命の気配さえ皆無です。なのに・・・なのに、全身の震えが止まりません。精神ではなく魂が、この寺院に留まることを全力で拒んでいます・・・!」
直後、死の気配がしてみたから弾いたが・・・*2
「何事ですか!?敵影、発見出来ません!」
位相ズラすとかそう言うのは俺の特権だろうがよ。なんでただの冥府の番人がそんな事するかねぇ・・・
「───魔術の徒よ」
声が響く。聞いたことの無い声である。しかし理解してしまう。なるほど、これがアズライールかと。
「はあ───!」
「・・・!」
「はぁ・・・」*3
「ちょっ、どうしたの!?三人ともいきなりひれ伏しちゃって!まだ何も出てきてないわよ!?」
うるせえ、黙ってろクソが!*4この場で不用意な発言は死を招くって言うのに!いやはや、カルデアとの通信を殺したのは正解だったな
「・・・うむ。黙っていろ三蔵。出来れば息も吸うな。この御仁に襲われてはたまらない・・・今の拙者があと三十、いや四十、歳を取ってようやく一射届くか、という武の極みだぞ、これは・・・!」
もっとだよ!俺だから分かるが、本気のアズライール相手にするなら人の身では敵わんよ、大前提が神殺し故な!*5
「───魔術の徒よ。そして、人ならざるモノたちよ。汝らの声は届いている。時代を救わんとする意義を、我が剣は認めている。だが───」
ちっ、
「だが、我が廟に踏み入る者は悉く死なねばならない。例えそれが、我が後継だとしても。死者として戦い、生を捥ぎ取るべし。その儀を以て、我が姿を晒す魔を赦す。静謐の翁よ、これに。汝に我が祭祀を委ねる。───見事、果たして見せよ」
直後、ナニカが静謐に入っていくのが見えた
「ぁ───ああ、ああああ!?ひぃ、やぁ・・・!?」
「静謐殿・・・!この気配、意識を乗っ取られましたか・・・!初代様!お使いになられるのなら私を・・・!静謐には荷が重すぎまする!」
「たわけ。貴様の首を落とすのは我が剣。儀式に使えるものではない。さりとて、簒奪の身では取り込まれる。故の選択である。静謐の翁の首、この者たちへの供物とせん。天秤は、一方のみを召し上げよう」
「そんなコト、出来るわけがないだろう・・・!?」
「
・・・ん?過程を問わないならすぐじゃないの?これ。よくよく考えたらそうじゃん。*6
「
うん。俺に憑依させたら取り込まれるって事は俺が特攻持ってるって事で。そもそも魂についての分野で言ったら俺以上って中々居ないわけで。その上で静謐の魂は視認済みだから調整ついでに異物の排除も余裕になる訳で。
「静謐さん、沈黙!霊基異常、無し・・・!?」*8
「ま、こうなるよな。全く。甘いぜ?」
「・・・我が後継なれど、どちらかの鐘を鳴らすかと思われたが。どちらも救うとは、気の多い男よ。だが、結果だけを見ると言ったのはこちらだ。過程の善し悪しは問わぬ。───解なりや」
直後、俺達の前にやっと姿を現した。冥府の炎に身を纏い、仮面で顔を隠した剣士。
「よくぞ我が廟に参った。山の翁、ハサン・サッバーハである」
「剣士・・・?山の翁の初代が剣士なんて・・・」
「そんな事言ったら俺はランサーだぞ。ならセイバーでも良くないか?」*9
「・・・初代様。恥を承知でこの廟を訪れた事、お許しいただきたい。この者達は獅子王と戦う者。されど王に届く牙があと一つ、足りませぬ。どうか───どうか、お力をお貸しいただきたい。全ては我らが山の民の未来の為に」
「・・・二つ、間違えているな。以前と変わらぬ浅慮さだ、呪腕」
「・・・と、申しますと?」
「魔術の徒に問う。獅子王と戦う者───これは真か?汝らは神に堕ちた獅子王の首を求めている、と。その言に間違いはないか?」
「・・・正直、分からない」*10
「立香殿!?」*11
「うんうん。嘘言っても仕方ないものね。だって顔も知らない相手は殺せないわ。せいぜい文句を言うくらいでしょ?」
「───牙が一つ足りぬ、とも申したな。果たして、後一つでいいのか?」
「・・・正直な所、現状だとハサン達では全然足りない」*12
「立香殿・・・!?」*13
「魔術の徒よ。汝らは知らねばならぬ。獅子王の真意。太陽王めの虚言。人理の綻び。そして───全ての始まりを。それが叶った時、我が剣は戦の先陣を切ろう。太陽の騎士、ガウェインと言ったか。我が剣は猛禽となってあの者の目玉を啄もう。我が黒衣は夜となりて聖都を呑み込もう」
「ごめんなさい、骸骨の偉い人!言っている意味が全然分かりません!もっと分かりやすく言って、分かりやすく!」
「三尊ちゃ───ん!?」
「つまりはアレよ。『砂漠の方に異物があるから調べてきてね。そしたら戦争を始めるからガウェインはなんとかするよ』って言ってんだよ。分かったか?」*14
「然り。砂漠の只中に異界あり。汝らが求めるもの、全てはその中に。砂漠の中においてさえ、太陽王めの手の届かぬ領域。砂に埋もれし知識の蔵───その名を、アトラス院という」
「っ・・・!」
「魔術の徒よ。人理焼却の因果を知る時だ。それが叶った時、我は戦場に現れる。───天命を告げる剣として。では呪腕の翁よ。首を出せい」
「はい待った。それ後で良くない?」
「邪魔立てをするつもりか、後継」
「いや殺すべきではあるよ?それが絶対の摂理だし。でも対トリスタンにシャイタンの呪い使いたいのよ。奥の手的な使い方にはなるけどあるとないとでは天と地の差が生まれる。だから全て終わってからで良くない?」
「ならぬ。我を見た時が終わりの時である。この時代の翁であるのならばこの摂理は揺るがぬ」*15
「それ言うならそのことを俺以外のメンツは知らんよ?それ知ってるのそこの静謐と呪腕本人除いて俺以上誰も居ないぞ?」*16
「やはりな。やはり貴様は何も変わっておらぬ。諦観も早すぎる・・・面を上げよ、呪腕。既に恥を晒した貴様に、上積みは赦されぬ。この者達と共に責務を果たせ。それが成った時、貴様の首を断ち切ってやろう」*17
「・・・ありがたきお言葉。山の翁の名にかけて、必ず」
「アトラス院に急ぐが良い。残された時間は少ない。獅子王の槍が
まぁその聖なるものは返還済みなんだけど。