YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
西の村が光に呑まれた。光は天から堕ち、ソレ即ち───
「これが獅子王の裁き。聖槍ロンゴミニアドによる浄化の柱。悲しい・・・何の理由もなく、言葉もなく。ただあるだけで
「サー・トリスタン・・・!これが、これが円卓の所業ですか!?これが、こんな非道が!王の振る舞いだと、正義だと唱えるのですか!?正気ですか!!」*1
「無論!正気でなく粛正が許されるものか!ヒトを残さんがため、我が王は聖断なされた!裁きに情があってはならない!彼の王はついに、人の心を完全に切り捨てたのだから!」
「それは・・・!」*2
ロンゴミニアドの弊害。それは人を捨てるという点。俺ですら実の所若干その弊害を受けてるんだよな。まぁ騙し騙しだがいつバレるか・・・*3
「これより5分の後、王の裁きはこの山に落ちる。さらばです、騎士王。もう会う事もないでしょう」
まぁそうなるよな。
「大丈夫ですか!?」
「トリスタンは帰った。お前らもさっさとこの村から離れろ」
『上空に高密度の魔力反応を確認!皆、一刻も早くそこから去りなさい!死ぬわよ!』
「・・・離れる事など出来ようか・・・だが静謐よ、我らの目的はわかっているな!」
「はい!我ら、たとえこの地で死のうとも立香様をお助けします!」
『直上、魔力観測値30000オーバー!こんなのどう対処しろっていうのよ!?』*4
「村の人達は・・・!?」
「そうです、私たちだけでは逃げられません・・・!洞窟に逃げた村人と合流しましょう!」*5
「いや、どちらも無理だ。逃げるのも、助けるのもな。こりゃあ、どう見ても全滅だ。初めから、あちらさんが本気になればこうなるのは目に見えていただろう?」
「おう、アーラシュ。ソレを知ってた上で俺はこの未来を選択したんだ。だからお前にも働いてもらうぞ」
「すまん。あっさりやられて谷底に落ちちまった・・・はあ、二日持たせると言ってこのザマだ。文句、苦情、叱責はじゃんじゃん言ってくれ」
「アーラシュさん・・・その傷・・・もう・・・」
「は?文句はねぇよ。こうなることは想定済みだった。一番はそもそも追跡されなかった事だが俺がミスしてんだから笑えねぇんだよ。ただどうなろうとも高確率でこうなってた。だから問題ねぇんだよ」*6
「失態は見せたが───こうして、名誉挽回の機会には間に合ったわけだしな」
「アーラシュさん・・・?」
「そこ、暗い顔すんなって。誰も彼もそうだが、おまえさんは特に似合わん。ついでに言うと、奮戦虚しく全滅、何で結末もな。なんで、俺も一度ばかり本気を出すよ。おまえさんらは洞窟まで下がっていてくれ。生き残った連中の面倒をよろしくな。安心しろ、洞窟まで衝撃は行かせない。単に、近くにいられるとやりにくいだけさ」
「てことだ、さっさと行きやがれ。俺は残る。ロンゴミニアドの対処はアーラシュか俺かアルトリアさんにしか出来ないんだからさっさと行きやがれ」
「そういうことだ。今まで世話になったな!ハサン殿、みなを洞窟まで連れていけ!」
「はい、おまかせを。さらば───さらば!この地で出会った、我が最大の盟友よ!」
「まだ話は終わって───!」
そうして呪腕に連れられて
「───よし、全員下がったな。あとは頭の上のアレと一対一って訳だ」
「うむ。相手取るに不足なし。いよいよ大一番でござるな、アーラシュ殿」
「って、アンタまだ残ってたのか!?座り込んで酒まで取り出して!」
「うむ。せっかくの大技、見届け人が一人なのはさびしかろうと思ってな。それにカルデアから聞いているが柳星殿は隠し事をする事が多い故、それならば拙者も見届けようと思ってな」
「んー、否定出来ない。なまじこの場面も見えてたからなぁ・・・それにこれから何が起こるかも分かるから本当に俺一人で見届けた場合話せるか微妙だしな・・・」*7
「なに、お主がしくじった時には拙者達がなんとかする。後顧の憂いなく、どうか存分に射られよ」
「・・・そうか、同じアーチャーだ、こりゃあ恥ずかしい所は見せられないな」
「後押しはしてやるよ。土地繋がりで令呪は使えるからな───令呪を以て命ずる。アーラシュ・カマンガーよ、その一射で、天から見下ろす傲慢な光の槍を貫いてみせよ!」
ぐっ、令呪ってこんな痛いの!?知らなかったんだけど!?ソレとも俺が相性悪いだけ!?*8
「了解した───陽のいと聖なる主よ」
「あらゆる叡智、尊厳、力を与え給う輝きの主よ」
「我が心を、我が考えを、我が為しうる事を御照覧あれ」
「さあ、月と星を創りしものよ」
「我が行い、我が最期、我が為しうる
「この渾身の一射を放ちし後に───我が強靭の五体、即座に
その一撃、まさにアーチャー。まさに宝具。それは確かにロンゴミニアドとぶつかり、貫き、打ち勝った。そして、これもまた予見していた事だが・・・
「アーチャー:アーラシュ・カマンガー、消滅を確認。貴方の最期を、俺は忘れませんよ」
「・・・感服のほかありませぬ。星を落とす者は多けれど、星を砕く神技は他に無し。まさに───見事なり、アーラシュ・カマンガー。八幡大菩薩が宿るかのような、渾身の一射であった」