YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「と言うかふと思ったんだけどさ」
「柳星のその一言が一番怖いよね」*1
「獅子王が獅子王たる理由ってどこにもなくね?」
「どう言う事ですか?」
「アレがIFなのは理解してんだよ。でも何でだろうなぁって」
「・・・確かに、私であればあの槍を使うのは極力避けるはずです」*2
どうなんだろうな、そこら辺
「・・・それについては分かってないのだ。我々が召喚された時、獅子王はすでにあの姿だった。*3君たちの言う魔神王とやらに侵された気配もない。乱心したと背く騎士もいたが、そもそも乱心する理由がどこにもなかった」
「て事はやっぱり変質なのか。同化と呼ぶべきアレで合ってるのか・・・めんどくさいな・・・」
「何度か言ってたね。女神ロンゴミニアドだって」
「そそ。やろうとしてる事は理解してる。人を保存する事で人理を残そうとしてんだよ。人理に価値を見出しただけではあるけどな。人命を捨ててる時点でこうなるのがスタンダードか・・・?」
「てことは本当に女神様って事?」
「・・・あたしたちでいう神様じゃないけどね。御仏は慈悲深くなくちゃなれないもの」
「だが何故だ!何故そんな事になった!アーサー王が目指したものはブリテン島の平和、人々の穏やかな営みだった!その騎士王が、何故そんな姿になったというのだ!」
「・・・・・・」
「そんな目で見ないでください柳星。流石に槍を使い続けないと分からない領域なんでしょう。というか身体が成長してる事に驚いてるんですよ私は。肉体の成長なんて止まって当然だと思ってましたから」
「あー、確かにカリバーンに選ばれた時点で成長は止まるよな」*4
ところでさ。そういやここって人理がまともに存在してるせいでカルデアと繋がるのよね。俺が今切ってるから向こうからは分かってないと思うけど。
「ちなみに獅子王を倒さない選択肢ってあるの?」
「有るというかそもそも俺も倒そうとはしてないぞ?*5人理を巻き込みすぎるなって言いたいだけで完全に隔離させればセーブデータになるし。てことでさっさと太陽王のところに向かうぞ」
「なんと・・・!?オジマンディアスに協力を請うと言うのか、カルデアは」
「だな。というかアイツの持つ聖杯の奪取は絶対だし。後アイツの目を覚まさせるのも俺の役目よ」
「確かに盲点ではあったがあり得ない話ではないか。獅子王を放っておけばエジプト領も消える。それが分からぬ男ではあるまい。条件さえ示せばオジマンディアスは我々に協力する。エジプトの王は、益のある交渉を無下にはしない」
「てことでレッツゴー。あ、ここまで来たらほぼ未来が確定するから三蔵と藤太の両名には一旦帰ってもらいます。一旦向こうのハサン達と合流してくれ。作戦は停滞してないからそのまま進めてオケだと伝えてくれればいい」
「うむ、了解した」
「ランスロット卿。遊撃騎士隊40騎、出撃準備整いました」
「よし。他の騎士達はこの場に残り、報せを待て。山の民たちとの合流許可が下り次第、ここの軍勢を聖都付近の隠し谷まで移動、待機だ」
「ハッ!卿もご武運を!」
てことで砂漠を移動。例によって最適化諸々のルーン魔術組んであるから割と快適に進めてるんだよな。
「てことで到着」
「あまり道中での困難とかも無かったね」
「まぁそう言う風に進んだからね。当然よ」
てことで伝令は既に出してある。約束通り戻って来たよーってだけではあるけどな
「・・・ん?んんん?」
「今度は何!?」
「いや、オジマンディアスって相手の実力を測れるからこそ獅子王とは不可侵を結んだんだろ?」
「そうだな」
「じゃあ山の民と喧嘩してない理由は?なんでニトクリスが攫われかけておきながら何もしてない?」
「あ、確かに。なんか舐められたらそこまで、みたいな感じだよね?」*6
「・・・これ俺が単身で行った方が早かったりしない?」
「えぇ・・・どうなの?」
「一応アメリカ特異点において単身での暗殺は報告済みなので行けるとは思いますが・・・」
「んじゃ、行ってくる。夜までには何とか戻ってくる様にしてみるわ」
ふぅ・・・やるか
「乱王塵殺、裏。零行くぞ・・・!」
ヒャッハー!突撃ダァ!
「っと、やっぱり中にスフィンクスは多いな。まぁ放置放置。今回はもう一度俺が首落とすのが役割なんだし」
あ、ニトクリスとすれ違った。ついでに気絶させとこ。
てことで到着。ここまでガッツリ隠形やればそりゃバレないか。そもそも初代の暗殺にも気付かなかったんだろうし
「───シッッッ!!」
しゃっ!首斬り成し遂げたり!
「何者!」
「や、太陽王。二度目だね、首落とされるの」
「貴様・・・!まさか山の翁だったのか!?」
「正解!てことで改めて。二代目キングハサン、【簒奪】のハサン・サッバーハだ。まぁ生まれながらの名前だと無疆柳星でもあるから好きに呼ぶといい」
「戻って来た理由は同盟か?・・・というか首が落ちそうで落ちないのだが」
「そう言う風に斬ったからね。その違和感に36時間くらい悩みな。てことでこっちからの要望は2つ。聖杯寄越せ、あと聖都に攻めてくれない?」
「このファラオたる余に対してなんと軽い口回し!しかし、しかしなるほど、キングハサンを襲名していたか・・・今の斬り方も納得の強さ。というか貴様、前回会った時には気付いていたな?」
「だね。まるで俺の様な斬り口だと思ったけどこの特異点に初代居るならそれで確定するじゃん?んでアンタは耄碌はしててもファラオではあるんだしなら同じ手段取れば納得してくれるかなぁって」
「では何故指摘しなかった」
「そりゃアレよ。指摘してたら今後の予測がズレる。というかあの時はファラオが居る方がイレギュラーなんだから特異点の全貌を把握したかったからね。もしあそこで名前出して同盟組んでたら今頃もっと最悪の事態になってたと思う」
「耄碌・・・か。何故そう感じた」
「だってそうだろ?なんで太陽王と冥府の鏡が揃ってるのに聖都攻めないのさ。それって即ち諦めてるってことじゃん?俺が居て、カルデアのアイツらが居て、なんなら便乗してくるであろう山の翁が居るのに攻めない理由はないじゃん?」
「しかしあのタイミングではまだ勝算は無かった。例え獅子王を倒したとして人理焼却により世界は燃え尽きる。であれば余は余の権限で余の民を救うまで。他のものなどどうなろうと知ったことではあるまい?」
「そこ。そこが耄碌してるって言ってんだよ。ファラオなんだったらこの世界の一つや二つ救ってみせろよ。その程度もできないならファラオなんざ辞めちまえ」
王を名乗るなら、世界を征服するか救済するかはしてみせろよなぁ・・・騎士王でさえ出来たんだからさぁ・・・
「しかし余が守るのは神々の法。その結果臣民を庇護しているだけであるがその点はどうする?」
「あー、そこは無視していいだろ。確かに太陽王は支配して脅かす方の王だから障害になりたいのはわかるけどさ。今回一回くらい人々の為に立ち上がって文句を言ってくる神なんか殺してしまえばいいんだよ。神は人のおかげでそのカタチを保って居られるんだからその基礎が崩れ去ろうとしてる今立ち上がらずして何がーってさ」
「───くはははは!そうか!言われてみれば確かにそうか!余が守るのは神々の法であり神ですらない!ならば余の行動を当事者ですら無い神々に咎められるのは御門違いという奴か!」
「てことで手伝ってくれるな?」
「良いだろう!しかし条件がある」
「まぁ条件を加える権利はあるよな。聞こうか」
「余とニトクリスを同時に相手取り、正面から勝って見せよ!貴様の暗殺スキルは認めるが正面戦闘は前回の慣らし戦闘しか知らぬが故な!」
「オーケーオーケー。ならニトクリス待つか。アイツ道中で気絶させたのよね」
「ふむ、唐突に倒れたから何が起きたかと思ったが貴様の仕業か。なら納得よ」
「と言ってもすぐに起きると思うよ。殺すつもりはなかったから」