YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
オルレアーン
2-0 アバンって書くとアバンストラッシュみたいに見えるよね
ここは宮殿なのだろう。黒い鎧に旗を持った少女が魔法陣の前にいる
「ーーー告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意この理に従うならば応えよ。誓いをここに。我は常世全ての悪を敷く者。されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者。汝三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よーーー!」
その言葉に反応して魔法陣は輝きを増す。それに感動するのは・・・お前かよ。Zeroのキャスター・・・ただZeroのキャスター本人ではないんだろうなって。*1
「良く来ました。我が同胞たち。私が貴方達のマスターです。召喚された理由は分かりますね?破壊と殺戮、それが私から下す
「はい、畏まりました」
「手は出してないでしょうね、ジル?」
「もちろんですとも。ですがどうするか、は考えておいでで?」
「ーーー」
「おや、私めのアイデアは必要ですかな?」
「ああ、私が悩んでる、と気を使ってくれたのね。ーーーは、バッカじゃないの。いつまでも愚かだと殺すわよ、ジル。アナタは食事を取る時、今日はフォークをどう使おうか?なんて一々考えるの?それと同じですよ。彼をどうするか、なんて考えるまでもない些事ですので」
そうして連れられてきたのは1人の男。肥えており、まさに正しく司教である、と言えるであろう男だった*2
「・・・な、なんだ!?此処は、何処で、お前たちは一体・・・!?答えろ、答えないか!そこの・・・ヒィッ!?」
ところでこのタイミングの驚きって蘇ったジャンヌに対してなのか変わり果てたジル・ド・レェに対してなのかちょっと気になりますよね*3
「ああ、ピエール!ピエール・コーション司教!お会いしとうございました!貴方の顔を忘れた日はこのジャンヌ・ダルク一日とてありません!」
しかしこの司教はなにかあり得ないものを見るように、徐々に、徐々に目の前の現実を否定したくなるように。ただ只管に逃げたくなっていってしまうのです。しかしどうしてでしょうか?【彼らの信仰元であるキリストも蘇っている】というのに。
「バカな。バカな、バカな、バカな、バカな・・・!お、お、お、お前はーーージャンヌ・ダルク!?あり得ない!あり得るはずがない!三日前に死んだはずだ!殺したはずだ!じーーー」
「
「これは夢だ。悪夢だ。悪夢以外の何だというのだ・・・!」
「おやおや、現実から逃避を始めましたぞ。これはいけない、気付けをしなくては」
そして響く殴打の音。・・・三日目なんですね、ここ。キリストと同じやんけ。*4
「ぎゃぁぁぁ!!?ひっ、ひっ、ひぃっ・・・!」
「さぁ、どうします司教!?貴方が異端だと弾劾したジャンヌ・ダルクが此処にいるのですよ?十字架を握り、天に祈りを捧げなくて良いのですか?私を罵り、嘲り、踏みつけ、蹂躙しなくて良いのですか?邪悪なジャンヌ・ダルクがここにいると!勇敢な獅子のように吼えなくて良いのですか!?さあ、さあ、さあ!」
まぁそう言うけどさジャンヌオルタさんよ。高々司教だぜ?ましてや慈愛の聖女と言われたジャンヌを処刑する為にその責任を押し付けられたほどに立場の低い相手だぞ?敬虔な信徒であるわけないでしょうが
「た・・・」
「た?」
「たす、けて。助けてください。何でもします。助けてください、おねがいします・・・!!」
「・・・ハ、アハハハハハ!ねえ、聞いたジル!?助けて下さい、助けて下さいですって!私を縛り、私を嗤い、私を焼いたあの司教様が!あれっだけ取るに足りないと!私は虫のように殺されるのだと、慈愛に満ちた眼差しで語った司教様が、命乞いをしているなんて!」
だんだんテンション高くなってない?まぁしょうがないけど。
「ああ・・・悲しみで泣いてしまいそう!だって、それでは何も救われない。そんな紙のような仰では天の主には届かない。そんな羽のような信念では大地には芽吹かない。神に縋ることすら忘れ、魔女へ貶めた私に命乞いするなど、信徒の風上にも置けません。わかりますか司教。貴方はいま、自らを異端者だと証言してしまったのです。だから私は悲しくて悲しくて悲しくて・・・もう、気が狂いそうなくらい笑ってしまいそう!ほら、思い出して司教。異端をどういう刑に処すか、貴方は知っているでしょう?」
「・・・!?嫌・・・嫌だ・・・!嫌だ、嫌だ、嫌だ・・・助け・・・たすけ、てっ・・・!」
「残念。救いは品切れです。この時代には免罪符もありませんし。*5さぁ、足下から始めましょうか。私が聖なる焔で焼かれたのならば・・・お前は地獄の焔で、その身を焦がすがいい」
「ギャァァァァァァァァァァ!!!」
「・・・塵の一つも残さず掻き消えましたか。下らない時間を使わせました。ごめんなさい、ジル。」
「なにを仰る。これもすべて意義のある鉄槌ゆえ。他に生き残った聖職者たちはどうします?」
「そうですね。いちいち審問をするのも面倒です。彼らに食わせてあげましょう。喜びなさい。私の卑しい
「おお・・・おお・・・!なんという力強さ・・・!偽りのない真理なのか!これこそ救国の聖女!神を肯定し!人々を許す聖女に他ならないっっっっ!!帰ってきた・・・!私の光が・・・!貴方は本当に蘇ったのですね、ジャンヌ!では私も元帥として今一度奮い立ちましょう!まずは証を・・・我ら軍団の旗が必要ですな!ジャンヌ、何を旗印に掲げましょう。
「それでは
「ええーーーええ、そうでしょうとも。それが正しい。それでよいのです。人々に担ぎ上げられ、人々の側にされ、人々に利用され、人々に見捨てられた・・・だからこそ貴方は正しい。この地上の誰が、何が。貴方のその本心を、裁くことが出来るのでしょう・・・?」
作者としてはZeroだとリューノスケとジルのあの陣営の価値観は好きなんですよね。連続殺人犯としての価値観ではなく、【この世界は箱庭である】という価値観。そしてそれに対しての姿勢は好きなんです。とことん遊び尽くしましょう。とことん動き回りましょう。世界の作者はきっと大いに反応し、最適なツッコミをくれるのだろうから。
だからこそエクスカリバーで退去するのが最適解だったのだと思います。最後は星の光ともいえるあの剣で終わったのですから。