YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】   作:柳瀬塔矢

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裏です。しょうがないよね、眠ってるから。


2-8 ラ・シャリテ4(裏)

 

「っ・・・!」

 

「そろそろいいでしょう。念入りに、首と胴体は分けるように。」

 

「お二人とも行って下さ・・・!」

 

「え?」

 

「・・・何?」

 

「ガラスの・・・薔薇?」

 

「優雅ではありません。この街の有様も。その戦い方も。思想も主義もよろしくないわ。貴女はそんなに美しいのに、血と憎悪でその身を縛ろうとしている。善であれ悪であれ、人間てもっと軽やかにあるべきじゃないかしら?・・・ええ、そう。嬉しいわ、これが正義の味方として名乗りをあげる、というものなのね!貴女が誰かは知っています。貴女の強さ、恐ろしさも知っています。正直に告白してしまうと、今までで一番怖いと震えています。それでも・・・貴女がこの国を侵すのなら、わたしはドレスを破ってでも、貴女に戦いを挑みます。なぜなら、それは」

 

「貴女、は…・・・!?」

 

「まあ。わたしの真名をご存じなのね。知り合いかしら、素敵な女騎士さん?」

 

「セイバー。彼女は何者?」

 

「・・・」

 

「・・・答えなさい。」

 

「この殺戮の熱に浮かされる精神でも分かる。彼女の美しさは、私の目に焼きついていますからね。ヴェルサイユの華と謳われた少女。彼女はーーーマリー・アントワネット」

 

「マリー・アントワネット王妃!?」

 

「はい!ありがとう、わたしの名前を呼んでくれて!そしてその名前があるかぎり、どんなに愚かだろうとわたしはわたしの役割を演じます。我が愛しの国を荒らす竜の魔女さん。無駄でしょうけど質問をしてあげる。貴女はこのわたしの前で、まだ狼藉を働くほど邪悪なのですか?革命を止められなかった愚かな王妃以上に、自分は愚かな魔女であると公言するの?」

 

「・・・黙りなさい。貴女如きがこの戦いに関わる権利はありません」

 

「あら、どうして?」

 

「宮殿で蝶よ花よと愛でられ、何もわからぬままに首を断ち切られた王妃に、我々の憎しみが理解できると?」

 

「そうね、それはわからないわ。だから余計に貴女を知りたいの、竜の魔女」

 

「・・・なに?」

 

「わからないことは、わかるようにする。それがわたしの流儀です。だから今の費女を見過ごせない。ああ、ジャンヌ・ダルク。憧れの聖女!今のわたしにわかるのは、貴女はただ八つ当たりしているだけということ。理由は不明、真意も透明。何もかも消息不明だなんて、日曜日にでかける少女のようでしてよ?そんな貴女に向ける礼はありません。わたしはそこの、何もかも分かりやすいジャンヌ・ダルクと共に、意味不明な貴女の心を、その体ごと手に入れるわ!」

 

「な・・・」

 

「え、えっと・・・はい?」

 

「あ、しまった。しっぱいしっぱい。えっと、誤解なさらないでくださいね?」 今のは単に、『王妃として私の足下に跪かせてやる』という意味ですから」

 

『・・・壊れていく・・・ボクの中のアントウネット像が壊れていく・・・』

 

「・・・しかし、そうですわね。ここは戦場ですもの、語らいはこのあたりで。貴女は世界の敵でしょう?では、何はともあれまずは貴女が殺めた人々への鎮魂が必要不可欠。待たせしました、アマデウス。機械みたいにウィーンとやっちゃって!」

 

「任せたまえ。宝具、『死神のための葬送曲(レクイエム・フォー・デス)』」

 

「もう一人・・・!ああ、でもなんて壮麗で邪悪な音なんでしょう!」

 

「くっ、重圧か・・・!」

 

「ちっ・・・・・・!」

 

「それではごきげんよう皆様。オ・ルヴォワール!」

 

 

 

 

「・・・ふう。はい、ここまで逃げれば大丈夫かしら?」

 

「所長?」

 

『ええ。反応はもう消失しています。更に言うと、こからすぐ近くの森に霊脈の反応を確認しました』

 

「わかりました。ジャンヌさん、それから・・・マリーさん?」

 

「マリーさん、ですって!」

 

「し、失礼しました。ええと・・・」

 

「失礼じゃないわ、とっても嬉しいわ!いまの呼び方、耳が飛び出るくらい可愛いと思うの!お願い。素敵な異国のお方!これからもそう呼んでいただけないかしら・・・!」

 

「は、はぁ・・・ミス・マリー、とかマドモアゼル・マリー・・・では?」

 

「ダメ。ぜんぜんダメ。マリーさん、がいいのっ!羊さんみたいで!」

 

「それはメリーさんでは・・・?てか柳星重っ・・・!?」*1

 

「はい!はいはいはい!はじめまして、マリーさんです!話の早い女性は魅力的よ。当ててみせるわ、貴女、とてもおもてになるのではなくて!?」

 

「・・・マリーさん。話をしていいでしょうか?」

 

「ああ、ごめんなさい。わたしったらひとりで舞い上がって、はしたない。それで、ご用事は何かしら?」

 

「この近くの森に、強い霊脈が探知されました。拠点とするため、そこに向かいたいのですが・・・皆さん、問題ありませんか?」

 

「もちろん構わないわ。いいですか、アマデウス?」

 

「僕に意見は求めても無駄だってば。君の好きにすればいい、マリア」

 

「わかりました。問題はない、と思います」

 

「では、そこで腰を落ち着けて、これから先のことを話し合いましょう」

 

「・・・それでは、召喚サークルを確立させます。」

 

「やあ、君たち。十五世紀フランスの旅は堪能しているかな?では、早速だけど今回のレクチャーを始めよう。今回はサーヴァントのカテゴリについて。召喚可能なほとんどのサーヴァントは七つのクラスに分類される。剣騎(セイバー)弓兵(アーチャー)槍兵(ランサー)騎兵(ライダー)魔術師(キャスター)暗殺者(アサシン)狂戦士(バーサーカー)。各クラスには色々と相性があってね。例えばセイバーはランサーに、ランサーはアーチャーに、そしてアーチャーはセイバーに強い。ライターはキャスターに、キャスターはアサシンに、アサシンはライダーに強い。そしてバーサーカーは全てに強いが、攻撃された際は全てに弱い。いわゆる三すくみだ。敵サーヴァントと戦うときチェックしておきなさい。もちろん、一部のサーヴァントはこのカテゴリに入らないのだが、ね。その説明はいずれまた。よし、サークル設置完了。では良い旅を!」

 

「落ち着いたところで、改めて自己紹介をさせていただきますわね。わたしの真名はマリー・アントワネット。クラスはライダー。どんな人間なのかは、どうか皆さんの目と耳でじっくり吟味していただければ幸いです。それと、召喚された理由は残念なから不明なのです。だってマスターがいないのですから」

 

「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。僕も、彼女と右に同じ。なぜ自分が呼ばれたのか、そもそも自分が英雄なのか、まるで実感がない。たしかに僕は偉大だが、しかし、それでも数多くあった芸術家のひとりにすぎないんだが・・・ま、音楽のために魔術も多少は嗜んではいたけど、それだろて悪魔の奏でる音に興味があっただけなのに」

 

「わたしはマシュ・キリエライト。デミ・サーヴァントで真名はまだ分かってません。こちらは藤丸立香、私のマスターに当たります。それでこちらのぐっすりと寝ている方が無疆柳星、私達の作戦における特殊随行員であり・・・なんなんでしょうか?先達者?いえソレは違いますし・・・まぁ、仲間です」

 

「藤丸立香です。よろしくお願いします」

 

「ああ、よろしく。非戦闘系同士仲良くしよう」

 

「それからこちらが・・・」

 

「ジャンヌ。ジャンヌ・ダルクね。フランスを救うべく立ち上がった教国の聖女。生前から、お会いしたかった方のひとりです。」

 

「・・・私は、聖女などではありません。」

 

「ええ。貴女自身がそう思うている事は皆わかっていたと思いますよ。でも、少なくとも貴女の生き方は真実でした。その結果をわたしたちは知っています。だからみなが貴女を讃え、憧れ、忘れないのです。ジャンヌ・ダルク。オルレアンの奇跡の名を」

 

「・・・」

 

「その結果が火刑であり、あの竜の魔女なワケだが。良いところしか見ないのはマリアの悪い癖だ。そうだろう、ジャンヌ・ダルク?君の人生にはいささか変調がある。“完璧な聖人”なんて言われて傷つくのは他ならぬジャンヌ自身だ。いいかいマリア。君はいつも他人をその気にさせすぎる。たまには相手を叱り、否定する事も大切だよ。」

 

「そ、そんなこと、アマデウスに言われなくてもわかっています!いえ、毎日費方に言われています!こ、こうすればよいのでしょう?この音楽バカ!人間のクズ!音階にしか欲情しなくなった一次テフェチズム!そんなに楽譜が恋しいなら、いっそ音符にでもなったらどう!?」

 

「・・・自分で言っておいてなんだけど、君に罵倒されると、なんとも言えない感情がわき上がるな。だがまあ、やればできるじゃないか!そんな感じでジャンヌにもかましてあげなさい。もっと早く。もっと強く。もっと辛辣に!君が思うままの欠点を口にするんだ!」

 

「ノン、それは無理よアマデウス。貴方のような人間のクズには欠点しかないけれど、ジャンヌに欠点はないのだもの。」

 

「本気か。これは重傷だ。そこまでジャンヌ・ダルクが好きだったんだな、君は」

 

「好き、というより信仰ね。あとはちょっとの後ろめたさ。・・・小さじ一杯分ぐらいの、ごめんなさい。愚かな王族が抱く、聖女への当然の罪悪感」

 

「貴女の言葉は嬉しい。でも、だからこそ告白します。生前の私は聖女なんてものではなかった。私はただ、自分が信じた事のために旗を振って、その結果、己の手を血で汚しました。・・・もちろん、そこに後悔はありません。結果、異端審問で弾劾されたことも・・・私の死も。ですが流した血が多すぎた。田舎娘は自分の夢をじた。けれど・・・その夢の行き着く先がこれほどの犠牲を生むものか、その時まで想像すらしなかった。後悔はなかったけれど、畏れを抱く事もしなかった。

・・・それが私のもっとも深い罪です。私が聖女と呼ばれたのはあくまで結果論です。そんな小娘を聖女と呼ぶのは、どこか違うと思うのです。」

 

「・・・そう。ねえ、聖女ではないのよね?」それなら、わたしは貴女をジャンヌと呼んでもいい?」

 

「・・・・え、ええ。勿論です。そう呼んで戴けると、何だか懐かしい気がします」

 

「良かった。それなら貴女もわたしをマリーと呼んで。」

 

「貴女が聖女ではないただのジャンヌなら、わたしも王妃ではない、ただのマリーになりたいわ。ね、お願い、ジャンヌ。どうかわたしをマリーと呼んでみて?」

 

「は、はい。では遠慮なく。・・・・・・ありがとう、マリー。」

 

「こちらこそ、嬉しいわジャンヌ!それとごめんなさい、わたしの気持ちばかり押しつけて。貴女は自分への答えを見失ってしまったのね。なにもわからなかったあの日のわたしと同じように。ならそれは自分で見つけるしかない事柄だわ。わたしはジャンヌを思いっっきりエコヒイキしたいけど、それはぐっっとこらえて黙ります!一方的に信じるんじゃなくて、支援する!これが女友達の心意気よね、アマデウス!」

 

「そうだね。いいんじゃないか?女友達の心意気とか、スイーツな響きに満ちていてたいへん空虚だ。」

 

「わたしたちもいますよ。ね、マスター?」

 

「もちろんだ。・・・ただ俺達よりも柳星の方が信じてるっていうかなんていうか・・・」

 

「・・・ふふ、ありがとうございます。心強いです。それに、そうですね。彼の私・・・というよりも【救国の聖女】として伝わった伝承への彼の信頼はまるで私についてきてくれた人達のようで、少しばかり懐かしいですね」

 

「そういえば、彼は何故あんな戦場で眠っていたのかしら?」

 

「それは柳星さん本人に聞いた方がいいかと。あまり本人がいるところで本人の魔術的秘密は話すものでは無いって教わりましたから」

 

「そう、ならしょうがないわね・・・と思ったらほら、わたしたちに誘われてまた何か来たみたい!」

 

「や、君たちに誘われた訳じゃないと思うかね。まあいい。さっさと片付けて話に戻ろう!」

 

 

*1
そりゃ筋肉質だもの。重いよな。おいアマデウス、持たないのか?サーヴァントなんだから運ぶくらいは出来るだろ。え、やりたくない?ならしょうがないかぁ・・・

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