YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】   作:柳瀬塔矢

43 / 190
短め。今後数話は短いかな・・・


3-1 ローマ・1

 

「───ふう。今回も無事、転移に成功しましたね先輩。風の感触、土の匂い───どこまでも広くて青い空・・・不思議です。映像で何度も見たものなのに、こうして大地に立っているだけで鮮明度が違うなんて」

 

「やっぱりレイシフトは緊張する?」

 

「はい、レイシフトは緊張します。でも、この精神状態はそれとは無関係のような気がします・・・なんていうか、圧倒されている、のでしょうか。フランスの時は驚きばかりだったから。やっと、この景色と向き合えている気がするんです」

 

「フゥー・・・ンキュ、キュ?」

 

「フォウさん!?」

 

「また付いて来ちゃったのか!?」

 

「まぁ・・・着いてくるだろうな、とは思ってたが・・・」

 

「キュー、キャーウ!」

 

「フォウさん、今回も同行すると言っています。*1狭い基地より外の世界の方がいいそうです。その意見にはわたしも同意なのです。戦いは怖いものですが、こうして新しい世界を知るのは嬉しいので・・・でも、この時代の空にも【あれ】が見えているんですね。あの光の輪。前回、フランスの空にも存在していたものと同一です。いいえ、同一であるように見えます。正確に観測できている訳ではありませんが。あれは、一体、何なのでしょうか。あんなにも大きな───」

 

『光の軸か。相変わらず観測できないんだ。こちらからはしっかりと観測できないんだよ。けど、確かに気になる現象だ。引き締き調査は進めておこう。ところで、そこは・・・おや?首都ローマ・・・では、ないのかな?』

 

相変わらず見えるあの光輪帯・・・やっぱり偽物の太陽(フェイク・ノヴァ)と似てるんだよなぁ・・・ま、今すぐ起動するようなモノには見えないから少しばかり放置でもいいのか

 

「だな。丘陵地だぞここ?どうなってんだよ。俺のレイシフトの方に合わせたのか?」*2

 

『あれ。おかしいな。こっちも確認したよ、そこは首都じゃないね。転送位置は確かに固定化したはずなんだけどなあ・・・えーと、そこは首都ローマ郊外にあたる場所のようだ』

 

「転送座標の調整ミス・・・ですか?時代については?」

 

『時代は正しいよ。特異点の存在する一世で問違いない。ローマ帝国第五代皇帝───ネロ・クラウディウスが統治する時代。それは確かだ。しかし、おかしいな。どうして首都からズレたんだ?先年に皇太后アグリッピナを毒殺したとは言え、今はまだ、晩年のネロ危急の時代ではないんだけどな。皇帝が人々に愛されている時代の、繁栄の都ローマが・・・君たちを出迎えるはずなんだが』

 

「一つ、単純にそっちのミスで俺のレイシフト位置にズレた。二つ、特異点の影響である。どっちだろうな?」

 

『うん、何かしらの理由があるのかも知れない。周囲に何か変わったものは見えないかい?』

 

「フゥー、フォーウ!」

 

「・・・聞こえてきます」

 

『なに?』

 

「これは───多人数戦闘の音と思われます。丘の向こうのようですね」

 

『多人数戦闘?いや、いやいや。有り得ない話だ。この時代に首都ローマ付近で本格的な戦闘があったなんて話はないぞ。なら、それはつまり───』

 

「歴史に異常が起きている。そういうこと、ですね」

 

「フォウ!」

 

「ま、なにが起きてるのか分かりやすいのはありがたいか?」

 

「あれは・・・間違いありません、戦闘中のようです。片方は大部隊で、もう片方はきわめて少数の部隊です。大部隊は【真紅と黄金】の意匠。少部隊もまた【真紅と黄金】ですが、意匠が異なります」

 

『真紅と黄金は古代ローマで特に好まれた色彩だね。他に特徴は?』

 

「・・・女性です。数名の小部隊を率いているのは、年若い女性一名。ほとんど一人で敵部隊を相手取っています。首都方面へ雪崩れこもうとする軍団を、たった一人で」

 

「きわめて強力な個人です。サーヴァントでしょうか?」

 

『いや、サーヴァント反応は感じない。君も気配は感じていないね』

 

「はい」

 

「サーヴァントじゃねぇなこりゃ。ただ多少抑止力の影響が見えるぞ?つまりは味方だな」

 

『なら確実だ。その女性はこの時代の人間だよ』

 

「個人的な感想ですが───彼女(ジャンヌ)に少し、似ています。根拠はないのですが」

 

『ジャンヌに?尊いもののために立つ聖人系かな?んー・・・この時代の人間で、そういった人物は・・・思い当たらないなあ。ボクの知識不足か。ともかく、だ。有り得ないはずの戦争が発生している訳だね。それなら───』

 

「あの女性を助けよう」

 

「はい。わたしも先輩の強気な方針に賛成です。

フォウきんも湧き立っています。」

 

「キューウ!キュキュ、キュ!」

 

『相手はサーヴァントや怪物ではないようだけれど、規模が規模だ。注意したまえ!』

 

「はい!」

 

「さて、どことなぁく感じるこの予感・・・当たらなければいいなぁ?」*3

*1
どうして言語が理解できるんだよ。マーリンの魔術か?

*2
柳星はレイシフト時藤丸から多少離れるというデメリットがある。そこを調整しなくてはならないからレイシフト適正が若干落ちてるのだ。もし調整しなくていいなら適正は100なんだけどね

*3
感じてるのは複数のサーヴァントの気配。しかも聖杯経由。さぁ、誰が来るのだろうか?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。