YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「───と、言う訳です。暫くは世話になると思います」
「へぇ、異郷から。そっかぁ、そういうこともあるのかぁ」
『理解が早くて助かる。ブーディカと言ったね。君もサーヴァントだね?』
「なぁロマン、それって聞く意味あるか?目の前の人は今実際に存在して、ローマの為に戦っている。それが事実で、過去は関係ないんじゃないか?そんなんだからノンデリなんだよお前は」
『うぐっ、君からノンデリって言われるとなんだか心に来るぞぉ?』
はっはっはっ、俺もノンデリって言われる時もあるがロマンよ、アンタも俺以上にノンデリなんだよ
「いいよ、気遣って貰わなくても。そ、あたしは本当ならもう
うーむ、あまり世界史は学んできてないからなぁ・・・物凄い偏ってるんだよ。*1詳しく知らんことには口出せん
「はい。わたしの知る歴史ではあなたは───」
ん?ローマの関係者なのか?
「うん。そう。皇帝ネロとローマをあたしは絶対許さない。そう、ケルトの神々に誓いもした・・・そんなあたしが、現界した。まさか、自分が死んだ直後の時代に。復讐の機会かな、とも思ったんだけどねー。連合に食い荒らされてる
「ま、どんな勘違いであれ。相手の事を思うのなら確かに隠してた方がいいのは分かるが・・・やっぱり呼ばれるのはある程度の法則性でもあるのかねぇ?」*2
「うん、分かった。サーヴァントであることは秘密にしておくよ」
「うん。なんかあいつ、前以上に危なかしいから。余計な気遣いとかさせたら、何するか分からないし」
「・・・理解しました。あなたは、正しく英霊であるのですね。人々の夢見る英雄の姿。悪逆を制し、多くの人々を救う力の象徴として」
「にゃはは、ただの気まぐれだけどねー。そう見えたのなら、悪い気はしないかもだ」
『そういう風に言えるのは英霊にも多くはいないよ。女王ブーディカ、君の誇りは眩いな』
「・・・先輩。あの、話、ついて来れていますか?」
「・・・よく、分かってないです・・・」
「すまんが俺もだ。冬木の時やオルレアンの時の様な事前知識があった訳じゃない時代、場所だからよく知らん・・・」
「先輩はともかく、柳星さんまで分からないとは驚きました。少し解説しますね・・・彼女も英霊、サーヴァントです。この時代の少し前、皇帝ネロの軍団に殺された人物。ローマに蹂躙されたブリタニアの女王。そんな彼女が、こうしてネロの側に立っている。わたしは疑問に思ったんです。何故だろう、と───」
ふーん、そゆことねぇ・・・今度歴史学んでおこうかな
「そんなに難しい話じゃないんだ。要はネロより連合の連中のほうが気に食わない。こっちのスパルタクスにしてもそうよ。本人は圧政者の群れと戦ってるつもりなんでしょう。物騒な話だけど敵じゃないってだけ。ネロ公の味方になったつもりはないんじゃない?」
「ははは、既に闘技場の壁は崩れたのだ。最早、この大地全てが闘技場だとも」
「ね?」
「なるほど、確かにそりゃそうだ。戦う相手なんて幾らでも選べるもんな」
「(分かりません。なんで柳星さんは分かるんでしょう?)」
『(あの山に似た様な喋り方する人・・・ああ、あの偏屈ばあさん*3か。確かに似てるなぁ。スパルタクスはほら、狂化理解、とか・・・そういう、ね?)』
「と、ともかく。彼らもまた英霊、サーヴァントです。オルレアンの時と同じですね。特異点の時代には、複数のサーヴァントが現界している。けれど、全てが敵ではない。意思を以て、こうして正義の側に立つ人もいる」
「・・・ん?それは違くないか?正義ってよりかは単純に向いてる方向が同じなだけだろ。俺達の目的に偶々乗ってくれてるだけにすぎない。それを正義の側と呼ぶのは無理な話だ」
「どういう事ですか、柳星さん。私達の行い、この作戦は正義ではない、と?」*4
「んー・・・確かに正義なんだろうけどさ、それって俺達が
・・・っと、言いすぎたかな?だがこの考えはきっと変わらんよ。少なくとも俺達は侵略者とかそういう完全に関係のない外部の存在なんだ。偶々同じ様に外部の存在が関与するからその排除の為に出向いてるだけだからそれは正義では無くないか・・・?
「柳星さん・・・では、正義とはなんでしょう?」
「そんなんねぇよ。ある訳ない。正義ってのは人類が自らの行いから目を背ける為の言葉だ。実際誰かを救えばその人からは正義には見えるのだろうが・・・その救った人を貶めた存在からすればそいつからは悪に見える。なにせ邪魔された訳だからな。覚えておけ、マシュ。【誰かを救うという事は他の誰かを見捨てること】なんだよ・・・*6ま、その点こういう特異点の修復は悩まなくていいよな。修復してしまえば全てが無かったことになるんだから見捨てた人なんて現れない。恨んでくるのはレフ陣営だけ」
「ねぇ、柳星・・・それ。本気で言ってるの?正義は無いの?だとしたら・・・」*7
「はぁ・・・ま、忘れろ。藤丸やマシュがどう考えようと何も変わらんよ。俺達は生き残る為に修復しなくてはならない。それを正義と呼びたいなら呼べばいいさ」
・・・はぁ・・・なんかちょっと嫌われたかな?だがまぁ・・・それでもいいか。嫌われたとしてもやる事は変わらん。生き残る為に特異点を修復する。その点だけで俺達は動いてるんだから・・・
「───なんか、空気悪くなってきたね・・・んじゃ、この空気をリセットする為にも、そろそろ始めよっか」
「はい?」
「あんたたちの腕を疑う訳じゃないけど・・・ああいや、疑ってるのかな?ガリアは今、大半が連合の支配下だ。あたしたちでも攻めきれない。ガリアの支配者───【皇帝】のひとり、あいつは強い
『うえ!?何この悪い空気感!?何があったのさ!*9そんでもって理知的な女王かと思ったら、やっぱり剣で語る系の女傑なのかい!?』
「・・・俺はパスだ。正確には後でいい。マシュ、この気に攻めを覚えろ。いつ俺が役に立たなくなるか分からん。それと・・・その迷いはずっと覚えておけ。その上でどう向き合うか、彼女らにぶつけるといい」
「あ・・・は、はい」*10
「立香、俺へのその怒りは正しい。俺が同じこと言われても怒るだろうな。だからこそ、今はその怒りを覚えたまま、マシュに指示出してみろよ。感情の制御の仕方は覚えておいて損じゃない」
「・・・分かった。カルデアに戻ったら覚えておいてね、柳星」*11
「───おう」
「良い?んじゃ行くよ・・・真名ブーディカ、クラスはライダー!あたしの戦車はすっごい硬いんだから!」
んじゃちょっと離れますかね・・・
ここは野営地から少し離れた森の中
「・・・はぁ・・・ちょっと言い過ぎたか?」
『何があったのよ、1人になったりして』
「・・・ああ、マリーか。ちょっと言いすぎたのかもな・・・ほら、俺の正義に対する考えは知ってるだろ?」
『ああ、確かに貴方の考えはこの特異点修復ですら正義にはならないものね。そもそも正義なんてないのだから』
「そう、その事つい言ってしまってなぁ・・・」
『なるほど、藤丸立香は最も人間っぽい人間。あなたのように何もかも諦めてるわけでは無く、私達のように人の心を失ったと形容されてる魔術師のような考えでもない。所謂一般人らしい思考をしてるわね。それにマシュは何かの思想に染めてるわけではないから藤丸とその思考はとても似ている。確かに貴方のその思考を開示したら空気感は最悪になるわね』
「いつかはこうなると思ってたが・・・」
『でも見方によればまだこのタイミングで良かったわ。もっと後だったら修復不可能な関係になってたかもしれないのですから』
「なるほどなぁ・・・」
『貴方、人間関係の修復って多分やった事ないわよね?』
「だな、そもそもこんなに拗れた事もねぇよ」
『ふふっ、なら私は貴方が四苦八苦する所を楽しみに見てるとするわ』
ははっ・・・*12
「へいへい・・・っと、そろそろあいつらの模擬戦も終わっただろ。戻るとするか」
さて、折角だし1人で戦えるのはマシュだけでもない所を見せなくちゃな
「お、戻ってきたね?んじゃ次は君の番だ───では、参る!」
「無疆柳星・・・久しぶりに本気で行くぞ!」
柳星が正義の行いって何かを呼ぶときはきっと生き残りとは関係のない所で自らの命を投げ捨ててでも・・・うーん、ま。HFの衛宮士郎は確かに「間桐桜だけの正義の味方」ではあったと認めてるのは確かです。だからこそこの特異点修復は天秤すらもないのだから正義にはなれないって考えですね