YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「ぜぇっ、ぜぇっ、はぁっ」
「うむ、良い風を捕まえたな!かつてない攻め攻めな船旅であった!」
「・・・三半規管も強化されていて助かりました。デミ・サーヴァントになっていなければ・・・うう、い、いえ、想像はしません」
「・・・ちょっと、やっぱり船に乗らなくて正解だったなって思ったぞ?」
「いいなぁ、柳星は海の上を走れて。俺も走れるようになるのかな?」
「そりゃどうだろうな?*1俺の場合魔眼使って走ってるから立香の魔術の果て次第じゃないか?」
『き、強烈な体験だったみたいだね。こちらからも君たちのバイタルでおおむね分かったよ。兵たちも船から出て来ないし・・・ああ、かわいそうに。皇帝自ら舵を握るというからには、きっと優れた操船技術を修めているのだろうと思ったけども・・・いや、いや待てよ。もしや?これはかなりの腕ということなのではないかな?荒波の如く危ういようでいて、しかし沈没せず。時に空を舞い、時にドリフトターン・・・』
「兵士を何人は船に投げ戻したことか・・・」*2
\\\ありがとうございます柳星どのー・・・///
「いえいえー・・・はぁ、どんな魔術組んだらこんな頑丈にできるのだかねぇ・・・」
『ともかく無事に、噂の島に到着したんだ。さっそく古き神とやらを───』
「全員、力抜け。確かに近づいてきてるがこりゃあ敵じゃねぇよ。にしてもまさか大当たりだとはなぁ・・・」
「あら、私を感じて
「この気配は───」
『何てこった。これは・・・』
「ロマン、ストップ。これ以上喋るな。*3お前は最低限のラインも知らないんだからこっちに任せて観測だけしとけ」
「ねぇ柳星。彼女が【古き神】って事であってる?」
「そうだな。ただ・・・どっちだ?見た目同じって分かりづらいよなぁ」*4
「あら、私の容姿を知っているのね。えぇ、そう。私は女神───名は、ステンノ。ゴルゴン三姉妹が一柱。古き神、と呼ばれるのはあまり好きではないのだけれど。でも、それでも構わなくてよ。確かに、貴方たちからすれば過去の神なのでしょうし。どうか好きにお呼びになってくださいな、みなさま。私の美しさは時間に依るものではありませんもの」
「英霊、ではなく神霊のサーヴァント?先刻と話が違います」
「だけどメドゥーサは現界してたしそりゃ神霊も現界するだろ」
「ええそうよ、この島に来たことだし一つ教えてあげましょう。強きものばかりが神ではない、ということよ。私や
「・・・?」
「ほら、マシュは守りの方が得意だろ?それと同じって事だろ」
「なるほど、やはり柳星さんは相手の意図を汲むのは上手いですよね」*5
「ふふ、素直な娘は好きよ。
「(あっ今、ぞくっとしました)」
「(余もぞくっとしたぞ!)」
「(なるほどな、そりゃ怖がる訳だ)」
「フォウ」
「・・・というか、だ!余を放って話を進めるのも大概にせぬか!だが大雑把だが話は理解したぞ。つまり、そこの女神は敵ではないのだな?ならば話は簡単ではないか。古き女神ステンノよ、我がローマへ来るとよい!余こそ、ローマだ。ローマ帝国第五代皇帝ネロ・クラウディウス。余は貴様*6を新たな神として受け入れよう。共に、連合帝国を倒そうではないか」
うーん、応じるのかねぇ?
「まぁ、とっても眩しいのね、貴女って。アポロンといい勝負。でもごめんなさいね皇帝陛下。私には戦う力はないの。本当よ?サーヴァントというかたちになって、多少のスキルや基本性能こそ得ているのだけれど・・・妹のように、雄々しく戦う力は持ち合わせていないのです」
「まぁ確かにこの霊基でメドゥーサのような戦闘されたら厄介すぎるけどな」*7
「なるほど、
「けしかけた?」
「けしかけた?」
「けしかけた、ですか?」
「まぁけしかけるよな」*8
「こほん、ふふ。いいえ、なんでもありません。それでは貴方たちには、女神の祝福をあげましょう。海岸沿いを歩いていくと、洞窟への入口が見つかるわ。その奥に、ね。宝物を用意したの。この時代には本来存在しない、とっておき。楽しい貴方たちにさしあげますわ。ふふ、こんなご褒美、滅多にしないのだけれど。だけれど、そこの貴方はここに残りなさいね?確かに祝福ではあるけども同時に試練でもありますから1人には残ってもらいます。いいわね?」
「そりゃ当然。俺抜きで挑んでもらいたかったしな。んじゃいってこいお前ら」
「うん。行ってくる」
「貴方には幾つか聞きたいことがあるのよね」
「メドゥーサの事か?それなら俺ですら伝聞だぞ?」
ああしんどい。いつまで目ぇ閉じてればいいんだ?*9*10紫色の瞳の魔眼だから取られそうなんだよなぁ・・・
「ええ、それでも構わないわ。どうして貴方は
「そりゃ聖杯戦争に召喚されたからだな。2004年に極東のとある都市で行われた聖杯戦争だ。まぁ優勝は出来なかった・・・いや、あの戦争に勝者なんかいないか」*11
「なるほど・・・それで、
「いや?特には姉の愚痴は言ってなかったと思うぜ?そりゃ多少は怖がっていたが本気で恐れていたわけではなかったしな」
「そう。ところで、何故貴方は目を開かないのかしら?」
「・・・んー、そんなに見たいのか?」
「ええ、直感ではあるけれど見た方が何か有益であるとは思うのよね」
しょうがないかぁ・・・
「ほらよ、これでいいか?」
「あら、その瞳・・・
「だろうな。俺も『他にいるはずが無いほどの希少性』って言われたことあるし」
「ただ・・・それ故に残念ね。貴方、その魔眼を使いこなせてはいないのではなくて?」
「やっぱり分かっちまうか・・・」
「力はなくとも神霊よ?分からないほうがおかしいわ。それに魔眼の練習には付き合っていたのですもの」
「へえ、そりゃ初耳。まぁそりゃそうか。一々そういうのは残さないもんな」
「それじゃ、回路を起動させなさい。そのまま対象を定めずにキープするのよ。その状態を数時間維持しなさい。そしたら私が最後のパーツを組んであげる」
「こりゃしんどい試練だなぁ・・・」