YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「敵軍、撃破しました。味方の損害は軽微。先輩、柳星さん、お疲れ様でした」
「んー、普通すぎた」*1
「改めて、礼を言おう。預かり物の兵たちを失わずに済んだようだ。私はアサシン、荊軻。君たちと同じくネロ・クラウディウスの客将をしている。数多の【皇帝】を手に掛けられると聞いて参上したが、気付けばこうして将軍扱いをされている。もっとも・・・私は斥候や暗殺が得意でね。戦場を実際に駆け抜けるのは彼の役目だ。呂布───ん、敵を追ったままどこかへ行ったか・・・ん。そのうち戻ってくるだろう」
『荊軻。中国に於ける伝説の
「ん───?」
『ああ、ごめんなさい。彼らのサポートのような立場なのでこうして姿を見せない事は最初に謝っておきます。私達は【カルデア】から来ました』
「ふむ、詳しい事情を聞いてもいいかな?」
『ええ。私達はこの時代に特異点が発生した事を観測した為、その原因である聖杯の回収と特異点の修正の為に2016年から*3やって来ました。そちらにいるのは実働部隊のようなものです。黒髪の彼は藤丸立香、そこのデミ・サーヴァントであるマシュ・キリエライトのマスターで現地における指揮官でもあります。そしてそこの薄緑の髪の彼は無疆柳星。我々の作戦における現状の最強戦力と言っても過言ではありません。*4なぜサーヴァントより強いのかは我々も分かってませんが*5それでも信頼できる強さを持っていると言っていいでしょう。ブーディカとスパルタクスとは会ってると聞きました。彼はあの2人を相手に攻め勝った、と言えばある程度の指標になるかと思います』
「・・・凄まじいのだな、君は」*6
「住んでる環境が環境だったからなぁ・・・今の所どの特異点よりもあの山の方が・・・いや、冬木の聖剣*7やオルレアンのあの毒蜥蜴*8は山の化物クラスではあったか」*9
「ふむ・・・マシュに、藤丸立香。それに無疆柳星、君たちは異なる時代からの来訪者か。そちらの事情は概ね把握した。さりとて、こちらのやる事は変わらない。群がる【皇帝】どもを屠るだけだ。私も、呂布も。既にサーヴァントの【皇帝】を三騎は倒している。君たちとは競争だな」
「そ、そうですね。競争・・・」
「こっちは・・・何体だっけ?柳星」
「カエサル、カリギュラ、あとローマ皇帝ではないがレオニダス王も含めていいなら三騎だな」*10
「ふむ、ローマ皇帝以外も居るのか・・・」
「恐らく召喚されてるのは【皇帝】や【王】などの特性持ちに絞ってるんだろうな。その分抑止力に召喚されるのは【ローマ】関係か【王殺し】などの特性を持つ英霊になるんだろうな」
「なるほど、だから私が喚ばれたのか」
「やっぱり柳星ってこういう推測は速いよね」
「それくらいはしなくちゃだからな」*11
「しかし同数か。まぁ首都ローマに帰還し次第、ネロによる連合への大攻勢が始まるだろう。そこで、競争だ。敵将たる【皇帝】の首の数。私たちと君たちのどちらがより多く手にするか───ああ。少し、楽しみができた」
「そ、そうですね。楽しみ・・・」*12
「だな。こういうのはある程度楽しまなきゃやってられないからなぁ・・・上限不透明の敵ボスは競争してないとやってられない。今回はまだ召喚魔力を捉えられないからなぁ・・・カリギュラ相手にやっておけば良かった・・・」*13
「あ、やってなかったの?てっきりやってるものかと思った」*14
「強制帰還は唐突だからな・・・そこに差し込むのは難しいんだよ」*15
「ふっ、君とは話が合いそうだ。もし良ければその山の化物とやらについて帰りながら聞いてもいいかな?」
「あ、それ俺も気になる!柳星って山についてあまり語ってくれないから是非聞かせてよ!」*16
「んー・・・ならあの話するか。雅大蛇って呼んでた蛇の化物の話なんだが───」*17
さてさて、ここはとある宮殿と思われる建物の奥の方、オルレアンでジャンヌ・オルタ:プロト*18が居た場所に似てる。そこで2人が会話をしている。片方は緑色の杉田ことレフ・ライノール・フラウロス。*19カルデアスにオルガマリーを入れて殺したと思ったら実は生きてる、なんて事を知らない哀れな魔神柱。*20もう片方は・・・ここでは伏せておこう。サーヴァントなのは確かなんだけどね。せめて隠しておこうかなと、どうせ知ってる人は知ってるだろうけどね!*21
「───呂布の排除に失敗した、か」
「・・・如何する、レフ・ライノール」
「何、所詮どうということは無いさ。私には聖杯がある。忘れるなよ、既に言っただろう?私は、真にサーヴァントを召喚出来るのだ。*22自在に。それが如何に強力無比な英霊であろうとも!*23」
そして呼び出したるわ一騎の英霊。赤毛の少年であった。まるでどこかで見たことのあるような風貌・・・彼が誰なのかはきっと柳星なら分かるだろう。Zeroはまだ終わってなかったのだから
「・・・サーヴァント・ライダーか。ふうん。それが、僕のクラスという訳か。それで?僕は何をすればいい、マスター?」
「速やかにネロ・クラウディウスを抹殺するんだ。この時代を破壊し、これ以後の人理定礎を斬り崩せ」
「・・・軍隊を貸し与える。好きに、使え」
「分かったよ。要は、戦争をすればいいってことだね?」
「・・・然り」
「戦争。戦争か。戦争、ね。僕はきっと、
ここでも2人が話している。どうやらここは野営地のようだ。片方は先ほど召喚された赤毛の少年。もう片方は長い黒髪に眼鏡をかけ、煙草を吸う男性。UBWのラストにちょっとだけ出たグレートビックベン☆ロンドンスターである。*25
「───以上が、ネロ・クラウディウスの軍の概要だ。詳細はレポート形式に纏めておいた。後で目を通しておけ。私からの注釈はふたつ。*26ひとつ、敵将・呂布は災害のようなものだと考えろ。スパルタクスにしても同じだ。まともに正面から相手してやるだけ無駄だ。ただし、対処可能な災害だ。しかしもうひとつの方、無疆柳星については前者の二体よりも災害・・・まさに天災とでも言えるだろう。*27バーサーカーである二体は自動機械のようなものだから
コホン、と軽く咳払いをして話を戻す。
「ともかく、サーヴァントを二体軍から離れるように
「幸運が働いた、って事かな。僕、そんなに幸運のパラメーター良かった?」
「過ぎた後の幸運はただの現実だ。現実が、ただ、お前の利として働くだけのこと」*30
「ふうん。そういう考えもあるのか。まぁ、どっちでもいいや。僕は、あの子の顔を見てみたい。ネロ・クラウディウス。ローマ帝国、第五代皇帝。どういった王なのか。いや、どういった皇帝なのか、と言ってあげるべきか」
「その望み、私が叶えよう。必ず」
「ありがとう。でも、何だかへんな気分だな。僕はちょっと変化球の英霊だから、
「それはこちらの言葉だ。縁もゆかりもない英霊の依代にされ、*32過去へ飛ぶ、などと。元の時代の私はどうなったのか?この英霊と入れ替わったのか?それとも、
「でも、そうして君は来てくれた。僕の新しい先生だ。ね、諸葛孔明先生」
「違う。いや、英霊としてはそうかも知れんが───私は、ロード・エルメロイⅡ世だ」*34