YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「ん?何書いてんだ。マシュ?」
「フォーウ!」
「日記でも書いてるのかな?」
「あ、先輩にフォウさん、それに柳星さん。はい、そうなんです。実は───ドクターから頼まれたんです。戦記物っぽく、日記をつけてくれないかと」
『そうとも、ボクが頼んだのさ!せっかく君がローマ総督の1人になったんだからね!新・ガリア戦記というのはどうだろう。かつてカエサルが書いた本をオマージュした題だよ。これは面白くなるんじゃないだろうか。途中で神さまが出てくるあたりはうまく誤魔化して・・・』
「それ、機密漏洩とかになるんじゃないの?」
「だな。あとは神秘の秘匿とかそこらへんにも触れてそうだし*1・・・なにより残すなら冬木から全てだ。ローマだけというのはオルレアンに、それにこれから訪れる場所に悪いだろ」*2
『そうか・・・そうかぁ・・・まぁ、真面目な話をするとね?君たちが世界を救う事が出来たとして、だ。それから先のことをボクは少し考えてみた。もしも世界を救ったとしても、カルデアを襲った惨劇が覆ることはないだろう。そんなのあってはならないことだ。つまり───ボクらの給与については保証がない。後は、分かるね?』
「いや、そもそもなんだけどよ」
『うん、なんだい?』
「俺の扱いはどうなってんだ?*3俺はカルデアの職員じゃないんだぞ?*4少なくとも医療班のトップであるロマンはまだ給与がどうなるとか考えられるけど俺はどうなんだ?そこを知ってる上でアンタは取らぬ狸の皮算用をしてるって言いたいんだな?」
『うっ、確かに君の立場は実に不安定だ。なんなら人理修復後に出さなくちゃいけないだろうレポートに君の名前を一切合切隠した方が実は上手くいくのではないか、と思うくらいにはね』*5
「・・・なるほど、理解しました。では、この日記は速やかに破棄します。戦闘記録に関しては、後ほどダ・ヴィンチちゃんに届けますので」
『よぅし、正しい教育が行き届いてるぞ!チクショウ!』
(・・・ん?つまりマシュはロマンに育てられた・・・?どう言うことだ・・・?)*6
「でもさ、捨てるのは勿体無いよね」
「・・・」
「フォウ?」
「む、何だ?何の話をしているのだ。立香達はいつも楽しそうだな。余も混ざるがよい」
「おう、話しとけ話しとけ。霊脈の直上に近いから軽く動けるからな。連合の兵士達はこっちで吹き飛ばしておくからよ」
「ぬぅ、やはりそなたが来てから雑兵相手にする時間がかなり減っている気がするぞ」
「というか君って魔術師だったんだね。なんでガリアで試したときに使わなかったのか聞いてもいいかな?」
「そりゃ相手は一般的な剣と盾。なら力を見せるなら魔術で身体強化はしても魔術使うのはちょっと違う気がしてな」
「なるほどねぇ」
「失礼、今現在の報告をしていいだろうか」
「おお、荊軻か。うむ、報告をしてくれ」
「今現在、既に連合軍は明確な指揮の下にはいない。発生しているのは、我が軍と偶発的に遭遇した独立部隊との戦いばかり。戦況は明るい。そう言って良いだろう」
「うむ!余の軍は真の力を取り戻した、と言う訳だな!いいや、柳星にマシュたちもいるのだ。最早、大逆者どもなど余の軍の敵などではないわ!」
「油断は命取りになる。ネロ・クラウディウス。いや、時には隙などなくとも命は消えるか。連合首都の守りは未だ固い。それ故に、我が軍とぶつかる軍が脆弱とも言える」
「う、うむ。荊軻は用心深いのだな」
「貴殿は忘れたか?私はそもそも暗殺を生業とするものだ。策は得意とするものであり、同時に、最も警戒するものだ」
「ふうむ・・・」
「ま、国が滅ぶ理由なんて大抵が実力の無い慢心かとてつもなく強い革命の力だしな・・・っと、伝令が来たぞ?」*7
「恐れながら皇帝陛下に申し上げる!前方に敵軍の影あり!そうして後方にも、敵軍!」
「・・・ちっ、そういうことか!」*8
「まずいな・・・これは。ひとたび戦いを始めれば、あの二名は、敵を追ってどこまでも追撃しかねん・・・」
「そ、そうだ、柳星ならどうにか出来るんじゃ無い?」
「・・・無理だな。オルレアンのランスロットにやった狂化解除はアレは外付けだからできたんだ。*9あの2人は自前の狂化だから俺には否定できねぇよ」
「・・・ここで将軍たちを迷子にさせるわけにはいかぬ!すまぬ、柳星、マシュ、立香、頼まれてくれ!」
「了解です。後方に迫る敵軍を阻めばいい、ということですね。防御の戦闘であれば、比較的、得意分野です。比較的、ではありますが」
「ならその間に全て燃やしてしまえば解決だな?」
『何とか阻んだようね。残る敵軍は撤退したようです。三人ともお疲れ様。なんとか
「今後は後方も十二分に警戒しよう。敵は、こちらの軍の性質を理解しているらしい」
『サーヴァントの気配を感じたりはしませんでしたか?こちらでは、感知できませんでしたが」
「・・・そういうことか?いやいや、だとしたらやべぇな・・・」
『どうしたのかしら?』
「有りかよ、そんな
「■■■■■■■■」
「な、何だこの音は・・・!獣の咆哮か!」
「いいえ、サーヴァントな気配です。敵性サーヴァントが出現した可能性があります。まずは兵を退かしてください。人間ではアレには勝てない。皆、殺されます!」
「あいわかった!後方へブーディカを下がらせた途端にこれかっ」
「・・・ちっ、数が多すぎる!すまん、殲滅しきれなかった!」
「マスター、私の視界では既に確認できました。あれは・・・」
『魔力の反応多数。これは死霊魔術によるものね。しかし、やけに数が多いわね・・・キャスターの襲来なのかしら?』
「だとしたら亡霊に縁の近い王ってことになるぞ?」*11
「人間ではない敵性生物多数。ですが、咆哮するような個体は確認できません」
「霊脈から見てもバーサーカーっぽいのは見つからんかった」*12
「そうですね。私も同意見です。しかしマスター、まずは敵性生物の群れは掃討すべきかと」
「頼む」
「はい!」