YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「敵軍前方でサーヴァントが召喚されたようだ。あの宮廷魔術師の仕業───では、あるまいな。ならば。お前か?」
「どうかな?僕は、ちょっとだの早駆けをしていただけだよ。そろそろ来るかな、とは思っていたけれど。こんなに早いとは予想しなかったよ」
「ほう?」
「地中海の女神の噂、知ってる?あそこには女神以外に二体の女怪*1がいるんだって。それで、ね。ピンときたんだ。
「私は好かんな。幸運に頼るような戦い方だ」*2
「まぁ、そう言わないで。先生。彼らの前方に隙を作ってくれたのは先生なんだし。早く準備をしようよ。彼が、時間を作ってくれている間にね」
「・・・良いのか?」
「うん?」
「連鎖的な召喚で現界したのであれば、アレは恐らく───」
「うん。ダレイオス三世だろうね。勇猛果敢、我が生涯に於ける好敵手たるペルシャ王。もっとも、今の僕にとってはそういう未来を知っている感じではあるけど。いいんだ。彼とは、彼とは一度戦った。戦うことになる。また戦いたいとも思うよ。でもね。今はいいんだ。今は、ネロ・クラウディウスだ。あの子と話したい」*3
「■■■■■■■■」
『凄まじいわね、こちらにいても空気の振動を感じてしまいそうだわ・・・魔力反応はあります。間違い無いですね、彼はサーヴァントです』
「言語による意思の疎通は不可能と判断されます・・・ちなみに柳星さんから何かアクションは出来ますか?」
「んー・・・無理だな。純粋なバーサーカーだし絡められてる*4わけでも無い。だから言語の通訳も無理。*5敵性サーヴァントと断定して良さそうだ。いくぞ、マシュ!藤丸は・・・あ?いや、いいや。*6初手で終わらせる」
取り出したるはこの特異点では初の武器。拳銃*7
「まさか・・・?でも前に当たらないって言ってませんでした?」
「そりゃ知恵ある人間のサーヴァントには当たらんが・・・*8武器もないバーサーカーに当てられないほどエイムが悪い訳でもないんだぜ?*9少し照準合わせればいいから・・・10秒くらい守っててくれ!」
「・・・了解しました!」
さて、風はほぼ無い。距離は充分。魔力の流れは・・・見えた。照準の選定、終了。あとは手ブレを・・・虚数魔術使うか*10
『ちょっと何よこの反応・・・!知らない魔術なんですけど!?』
「話しかけんな、マリー」*11
『・・・!』
「ふぅ・・・いつでもいいぞ、マシュ」
「ではカウント3で!3、2、1!」
【起源弾】、
「命中、魔力回路の乱れを確認。自滅するぞ、離れとけ!」*12
「■■■■■■■■」
ん、よし。・・・誰だったんだろうな
『ちょっと柳星、アレなんだったのよ!』
「ほら、普段使わんだろ?虚数魔術。手ブレをアレで制御した」*13
『はぁ!?ふざけた使い方してるわね!?』*14
「あ、あの柳星さん。いいでしょうか?」
「ん?なんだ?」
「先程所長に向けての語気が普段よりも強かった気がするのですが・・・」
「ああ、それはな───」
『ああ、彼って拳銃に魔術併用しようとするのと言葉遣いが戻るのよ。彼って元々凄い荒れてたんだから』*15
「その頃の話はやめてくれよ、マリー」
『ふふ、貴方を困らせられる機会は少ないですから』
「なんだか楽しそうで嬉しいです」
『嬉しい?何故そう思ったのですか?』
「だって所長、カルデアに来てからずっと肩肘張っててとても息苦しそうでしたから。*16そうやって笑うのは見た記憶がありませんし」
『・・・そう、そうね。確かに私はここの所長になってから余り笑えていませんから』
「歓談中失礼します!客将立香様、マシュ様、柳星様、申し上げます!皇帝陛下からの伝令です!後方にて敵の奇襲有り、しかる後にスパルタクス将軍及び呂布将軍が戦線を離脱!将軍二名は敵軍勢を撃破したもののそのまま残存勢力を追って離脱した模様です!そこに、左右からの更なる別部隊の奇襲あり。ブーディカ将軍が虜囚となって敵の手に落ちました!」
「!」
「敵勢力に【皇帝】を称する者や一騎当千と言える将の存在は?」
「は!そのような報告は受けておりません!」
「了解した、持ち場に下がってくれ。こちらはネロ皇帝陛下と作戦を練る」
「は!ローマに栄光あれ!」
「さて、ネロのところに戻るぞ。ここからは余り時間が無さそうだ」
「・・・」
あからさまに落ち込んでやがる
「・・・・・・」
そんなに落ち込むのか?まぁ落ち込むんだろうな
「・・・・・・・・・」
さて、どうするべきか
「───ネロさん」
「ん?いや、少し考え事をしていたのだと
「(思う・・・?)」
「(そういうことか、サーヴァントと混ざってるな?*17確かにネロ・クラウディウスとして見るならローマ帝国第五代皇帝のネームバリューで座に入れるから・・・特異点になったことでサーヴァントとしての自分と混ざってるな?)*18」
「先の戦いで我が軍は劣勢へと陥った。これは、厳然たる事実として余も受け入れよう。敵将たる【皇帝】とも渡り合える、余の将軍たち。うち二人が戦線を離脱、一人が敵の手に落ちた。先の二人については仕方がない。いや、余の采配の誤りだ。*19時間は些かかかるかも知れぬが、いずれ呂布とスパルタクスは戻ると余は信じよう。故に、今は───ブーディカを助け出す!幸いにして、敵拠点の砦を荊軻が発見した。一気呵成に攻め入って拠点を砕き、ブーディカを救うぞ」
『ちょっと良いですか?皇帝陛下』
「うむ、どうかしたか?」
『いえ、少し気になりまして。ブーディカを捉えたのはサーヴァントの筈です。一般兵士相手に彼女が遅れを取るとは思えませんから。だとしたら何故、敵勢力は砦に立て籠もっているのでしょうか?女神ステンノに教えてもらった連合首都はここからそう遠くもないのですから、そちらに戻った方が遥かに彼らにとって有利になるのでは、と思いまして』
「ふむ・・・」
「つまり敵は、こちらを誘い込んでいる。そういう事でしょうか」
『そうですね。ただこちらの軍を滅ぼしたいだけなら、さっき言った方法のほうがまだきっと
「・・・はい。人間とサーヴァント、その決定的な違いを把握した敵と思われます・・・柳星さんのカウントが人かサーヴァントかは分かりませんが」*20
「そんなんどっちでもいいだろ。実力だけならサーヴァント以上にサーヴァントしてる自覚はあるんだから・・・*21心意気はサーヴァントではないけどな。あんな英傑になれる自信なんてないぞ?*22だから俺は自称:人でいいんだよ・・・さぁ、立香。決断の時だ」
「うん。もし、このブーディカの拉致が罠だとしたらって考えたけどさ。罠なら、踏み潰せばいい。そう思わない?」
「おう、そうだな!」
「・・・先輩。考え方がバーサーカーみたいになってきてます。確かに、今回はバーサーカーの現界が多いですが、*23その・・・あまり、影響を受けるのは良くないと思います。ですが・・・わたしは、先輩の考え方が嫌いではありません」
「分かってくれるか、立香、柳星。ならば、共に征こう。目標は敵軍拠点、砦ひとつ!」
「あ、そういえばさ。柳星の魔術でどうにか出来たりはしないのかな?」
「虚数魔術なら・・・いや、扱いミスって存在抹消したらダメだからそれは却下。*24一度も見せてない土の大魔術もあるが*25アレはブーディカを殺す可能性があるし、同じ理由で【
「うむ。降伏してくるのなら受け入れるが降伏しないのならば殺すのは戦争の常であろう?」
「それもそうだな・・・てことで最優先は敵将の撃破とブーディカの救出だな」
「うん、行くよ!」