YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】   作:柳瀬塔矢

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裏に脚注はつけない


3-21 ローマ・2(裏)

 

■■■■■■■■

 

「ははは。はははははははははははは。解放の時は来た。今、意思と肉体を以て圧政者に鉄槌を!」

 

「将軍たちが戻って来たぞ!我らに勝機あり、皇帝陛下に栄光あれ!」

 

「・・・なるほど、建国の王さまね。それであの調子ってワケかあ。あんなに暗い顔じゃ兵の士気に関わるんだけどなあ」

 

「皇帝ネロか?さほど暗くは見えないが。今も、戦場を巡って兵を鼓舞している。問題はないだろう」

 

「明るく振る舞っているけどさ。いつもより、だいぶ光の量が落ちてるよ。取りあえず、現状は人間の兵が相手ではあるし親玉は王宮に引っ込んでるからいいけど・・・またあのでかいのが顔出した時、狼狽えられたんじゃこっちが困るのよね。連合の土気はおかしいほど高い。みんな命を捨てる覚悟の兵ばかりだった。それどころか、民のひとりに至るまで、兵士気取りでころちの兵に襲い掛かってくる。それも神祖のカリスマだったんだね。まるで兵も民も光に集まる蛾みたいだった」

 

「敵の様子は、確かに。これまでにも感じていたことだが。連合の人間は盲目的だ。統治、統率されているという証かも知れん。だが、兵の士気はこちらも高いぞ。ネロも・・・やはり、様子はいつもと変わらん」

 

「そう・・・でしょうか。わたしにも少しだけ分かります。覇気というか、何か、雰囲気のようなものが。少し・・・翳っているような、気がします。よっぽどショックだったのでしょうか。建国王ロムルスが、連合の王であったこと・・・」

 

「確か、神話の人物だったよね?」

 

『そう。建国王ロムルス。七つの丘(セプテム・モンテス)にローマの都を打ち立てた大英雄だ。まさしくローマの神祖と呼べる人物さ。何せ、神の子だ。軍神マルスの子だそうだよ。軍神マルスとは、すなわち、ギリシャ神話に於ける軍神アレスに相当する神性な訳だけど───いや、脱線はやめよう。ともかくだ。実在かそうでないかはあまり関係がない。説明を受けた通り、英霊とは、人の夢見る英雄だ。つまり、ね。皇帝ネロもまた、ロムルスを夢見たんだろう。ローマを作りたもうた輝ける英雄としてね。それが、まさかの敵対者だった。ショックだろうね』

 

「例えばあたしが、ケルトの神々に裏切られるようなもんかな」

 

『近いかな。あとはそうだな、最愛の旦那さんに裏切られる感じとか』

 

「あたしの旦那は最高の旦那さん。世界がひっくり返っても裏切らないから」

 

『例えばの話だから・・・おっと、そろそろ君たちの出番のようだ。サーヴァントじゃないけど魔力反応だ。怪物の類かな』

 

「・・・私は、王宮への侵入経路を探る」

 

「じゃ、あたしは兵と皇帝を守るよ。マシュ、立香、任せていいかな」

 

「任せて」

 

「頼んだよ。んじゃいっちょ、頼りない皇帝を助けちゃおう!」

 

 

 

「・・・む、そなたか。マシュと柳星はどうした?ああ、マシュは厠か。そういうこともあるか。おまえたち、いつも一緒にいるものだから、そういう時も一緒なのかと思いかけた。許せ。それで、柳星は?」

 

「ドデカい一撃放つって言って・・・ほら、空中にいる」

 

「あやつが言うドデカいとは、どれほどの物か想像がつかないな」

 

「・・・」

 

「・・・情けない姿を、見せてしまったな。まさか、ああまで取り乱すとは。これまでにも、伯父上やカエサル殿の折、それなりに情けない姿を見せた気はしていたが。今回は、少し、こたえてしまった。ほんの少しだが・・・余は・・・もしや、とな。もしや、余の歩みが誤りであったのでは、と・・・無論、そんなはずはない。余こそがローマであり、第五代皇帝である。だが、建国王の声を聞いた瞬間、ほんの僅かではあっても思い浮かべてしまったのだ。もしや、と・・・先日、ああまで見栄を切ったというのに、情けないにも程がある。だが、確かに、思った。あろうことか・・・余も神祖に下れば良いのではないか、とな。いや、言おう。言ってしまうぞ。下りたくて仕方がない。それが、偽らざる内なる気持ちそのものだ!神祖だぞ!まがりなりにも建国王その人に他ならぬ!余の道が誤りであるなら、そう断ずるのであれば、任せてしまいたい。任せたい。連合の【皇帝】となって!だが───」

 

「だが、できぬ。それだけは、できぬのだ。神祖はきっと間違えている。連合の下にいる民を見よ。兵を見よ。皆、誰一人笑っていない!いかに完璧な統治であろうと、笑い声のない国があってたまるものか!ならば、余は・・・余は・・・」

 

「そういえば、別れる前に柳星から伝言があるよ。『もしかしたら悩んでるのかもしれない。人は憧れの前に現実を捨ててしまうのだから。そしたらぶつけてやれ。きっと向こう(レフ・ライノール)からしたらこんな人類(ローマ)なんてバカらしいのだろうよ。だったらバカでもいい。そのまま進め!』って。俺もそう思うよ。ネロが進みたいと思ったら、最後まで進んで、その栄華を待ってる人達に見せないと!」

 

「・・・そうだ。ああ、そうだな!そうであった。余は、大切なことを忘れるところであったぞ。何が相手であっても、迷うことなどない。余は、余のなすべきことを成そう。感謝する。目の覚めた気分だ」

 

「ただいま戻りました、先輩・・・あれ、ネロさん?」

 

「うむ、マシュか!戻ったならば、そろそろ最後の仕上げと行くかな!」

 

「?元気になってるような・・・先輩、ネロさん、明るくなってますよね?」

 

「そうかな?いつも通りだよ」

 

「そうですね。確かに、そうかも知れません。彼女は太陽のような人だと思います。だから、多くの人々の心をこうも掴んでいる。今も、彼女のために人々は戦っています。恐ろしいほどのカリスマです。そんな彼女だから・・・翳っても、すぐに、ああして輝ける」

 

「む、何を話している?遠慮せず余も混ぜよ。と、言いたいところだが、今は我慢だ。これより王宮を攻め落とす!荊軻が既に侵入の経路を見出した。少数精鋭でこれを進み、城内のロムルスを倒す・・・のだが、柳星は連れて行かなくていいのだな?」

 

「ええ。自己申告ですが彼は屋内戦は苦手なようで。それと相手がサーヴァントを召喚できる以上きっと切り札は残しておくでしょう。その時のために彼にも切り札の準備をしてもらってます。もし発動したら私達も無事とは言えないらしいのでその場合は即座に退避ですね」

 

「う、うむ・・・何者なのだ?あの男は」

 

「さぁ・・・?所長もドクターも断片的にしか知りませんし・・・」

 

「ま、まあ柳星の役割も確認できた上で、恐らく最後の戦いになるだろう。恐らく。余と共に、来てくれるか。マシュ、藤丸立香」

 

「もちろん!」

 

「うむ。では、行くとしよう!」

 

 




切り札、ちょっと頭悪い技なんですよね・・・周囲を無差別に巻き込んじゃう・・・まぁどう言う技なのかはあと数話したら分かるので。それまでは(裏)、つまり短めです。
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