YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
4-0 アバンタイトルって最早アバンタイトルそのままでいい気がする
大海原。雷と嵐が支配する謎の海域。そこに二隻の海賊船が居た
「砲撃準備完了!」
「よし、撃ぇぇぇぇ───!!」
その一撃は確かに相手の船に当たるが損傷は見受けられない。まるで別次元のような耐久力である
「チクショウ、ダメだ!やっぱ効いてねえみたいっす!」
「ああ、見ればわかるよ!コイツぁマトモに相手する方がマヌケだねぇ!取り舵一杯、ズラかり時だよヤロウども!風に乗って離脱するんだ!」
「風!?こいつぁ、嵐って言うんじゃないっすかねぇ!こんな嵐で帆を張ったら、船が吹っ飛びますよ!」
「そりゃあいい、海賊だって空を飛びたくなる時もある!陸にあがってからのヨタ話が増えたじゃないか!女を口説くのに役立てな!空を飛んで帰ってきたなんて、シャレの分かる女なら一発で落とせるネタさね!」
「おおう、本気で浮いてますぜ我らがペリカン!?毎度のことながら姉御は滅茶苦茶ですな!」
「ああんペリカンだぁ?テメェ、いまアタシの船をなんて呼びやがった!?」
「ハインド、ゴールデンハインド号ッス!間違えましたー!オラしっかり掴まってな新入りども!うちの姐さんの強運は本物だ!信じてりゃあ今回だって生きて帰れる!陸にあがれば三等船員だろうと大盤振る舞いだ!こんなところでおっちぬんじゃねぇぞーー!」
「オォーーー!あんな凄えモンを見たアトなんだ!オレたちは死んでも船長についていくぜ!」
「バカなコト言ってんじゃないよ、アタシゃ死んだヤツに用はないからね!生きて働いてこその海賊さ!さあ、勝利の凱旋と洒落込むんだよ阿呆ども!さっさと帰って、呑んで騒いで暮らそうや!」
「オォーーー!ドレイク船長ばんざーーーい!海賊たのしーい!」
そしてその船を見送るはもう一つの海賊船。
「・・・この大渦の中を逃げ延びたか・・・英霊でもない身で、よくよく信じられん・・・だが───クク、ハハハハハ!それでこそフランシス・ドレイク、伝説は真実だった!ハハハ。ハハハ、ハハハハハ、アーーハッハッハドゥーフフフフフwwwwwwwwww!!!」
なんじゃぁこのオタクゥ!?
「───今日も、同じ時間に目が覚めた。体温を確認する。五感を確認する。客観的にも分かるように、わたしの名前を口にする。深呼吸して───眠るたびに消える可能性があると言われた、自意識を確認する。わたしはわたしだ。わたしは今日も、存在を許された『やあ、おはよう第二号。寒くはないかい?外の気温はマイナス70℃だ。今朝は特に冷え込んでいてね。まぁ、この部屋にいる限り関係のない話ではあるけど』いつもの挨拶だ。そしてわたしは『それはたいへんですね』と思った事を口にした。きれいで、快適な部屋にわたしはいる。『・・・何か不都合はないかな?気に入らないコトがあったら何でも言っていいんだよ』彼は表情を崩してそう言った。とても辛そうな顔でわたしを見ている。おそらく彼の体の一部が痛んでいるのだろう。大丈夫ですか、と口にした。『・・・ああ、ボクは大丈夫。余計な気遣いだったね。おはよう、■■。5110回目の覚醒、おめでとう』『ありがとうございます』と返答する。心からの気持ちだった。わたしはとても幸せだ。今日も一日、このきれいな世界を見ていられるのだから」
───とある日記より。
夢とは、いつか終わるものである。とは誰かが言いそうなことだ。
「いいかい?君のその才能は稀有なものだ。だからこそ君はそれを隠さなくてはならない。人類が衰退する速度は近年緩やかになっているがそれはすなわち神秘の減少と比例しているからだ。君のその才能は衰退の速度を上げるものだ。だからこそ、隠さなくてはならない」
これは、夢だ。なぜなら彼は既に死んでいるのだから。俺のこの才能、【アベレージ・ワン・エクストラ】に表向きなっているが・・・現実のところ本当の才能は俺自身が廃らせた。だが、世界はそれを望まない。だからこそ、【拒絶の魔眼】として人体に残ったのだろう。
それから数年後、今から少し前。
「結局、師範はどこかへ消えた。結局、爺さんたちはどんどん死んでいく。結局、ここには俺一人しか残らない」
目の前には天まで貫くほど巨大な一本の樹木。正式な名前も分からず、ただある事のみを認めているソレは俺の気持ちになど答えてはくれないのだ。故に俺は一人であるのだから。俺は一人のままここで生き、ここで過ごし、化物と争い暮れて、そしていつかどちらかが滅ぶ。俺か、化物たちか。その結末は・・・分からない。結局、街は燃えて、故郷は燃えて、海すらも汚染されて。星はクリーチャーに占拠され、俺は南極まで逃げてきたのだから。
「───夢の終わりってどんな気分なんだろうな」
目を覚ます。いつもの朝である。魔力は戻っている。魔眼の調子もいい。しかし、汗は止まらなかったようだ。シャワーで汗を流さなければ
「なんだ、このアザ・・・」
ふと、鏡を見て気が付く。背中に何かあざが出来ている。まるで蜘蛛のような・・・そんなアザが。しかし直接見ようとしてもなにも見えないのだから、きっとこれは幻覚かなにかだろうと結論を付ける。その後、軽めの朝食を取り、管制室へと向かう。昨日のうちから聞いておいて正解だったようだ
「遅い!なに遅刻してるのよ!」
「すまんな、だけど・・・うん。説明は要らん。立香とマシュはもう聞いているんだろ?」
「だね。今回は1537年の大海原だってさ」
「海相手はいい。俺も自由に動ける」
「あの、柳星さん。レイシフト前に一つ聞いてもいいでしょうか?」
「おう、なんだ?」
「柳星さんは先日の肉の柱について、どう思いますか?」
「・・・霊脈からの反応では、アレは一種の舞台装置だな。しかし生命を変貌させたのは聖杯側だ。フラウロス、つまりは
「柳星さん?」
「ああ、すまない。結論から言おう。魔神柱とは名前通り【魔神の柱】そのものだ。神を柱と数える風習に乗っかった感じだな。だから・・・まあ、総数が減ることはないんじゃないか?なにせアレは
「では、今後も別の魔神柱に遭遇する可能性はあると?」
「というか遭遇して初めて分かったが、オルレアンで現れなかったのがおかしいんだ、まぁジルだし人の姿は捨てないよなぁ・・・話を戻そう。今後も遭遇するか、だったね。遭遇するだろう。ソレは変わらないんじゃないか?ま。地面に埋まってる間かつ俺が掌握した霊脈の上なら滅ぼせるからどうにか出来そうだけども」
「・・・分かりました。そろそろ動きましょうか。所長もそろそろ怒りそうですし」
「だな」
『アンサモンプログラム スタート』
『霊子変換を開始 します』
『レイシフト開始まで』
『3』
『2』
『1』
『全工程
『グランドオーダー 実証を開始します』