YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
霊子ダイブという名のレイシフトをしたら、その先は船の上でした。*1
「・・・」
『・・・』
「ねえ、マシュ・・・」
「・・・確かに、海の上にレイシフトすることはありませんでした」
「でもさ、マシュ・・・」
「ええ、先輩。先輩の言いたいことはよく分かります・・・ドクター・ロマン。確か今回のレイシフトの調整は貴方がしてましたよね?何か弁解があれば、どうぞ」
『いやあ・・・その・・・マーフィーの法則だっけ?失敗する可能性があるものは、必ずその失敗の方向へと誘導される、みたいな?*2それにさ、考えてみたらさ。無人島にレイシフトロビンソンして、助けにくるのが28年後って可能性もあったじゃないか。すぐに使える足がある、というのはむしろメリットじゃないかな?かな?』*3
「でも例え無人島だとしても生物は現れてるだろうし、俺は海関係ないから何も変わらないと思うぞ?」*4
「フォウ・・・」
「・・・」
「よく分からねぇが・・・野郎ども、やっちまえ!」
「───やはり、ドクター・ロマンには何らかの処罰が必要なようですね!」
「ここは俺がでる。魔力使わないように動くならマシュよりかは慣れてる自負があるからな」
「行け行けぇぇぇーー!」
「ふっ、よっ、ほっ!」*5
うむ、やはりチンピラ相手なら魔力なんか必要ないな。・・・まぁ、まだ霊脈が見えないのも魔力使わない理由なんだけど*6
「・・・すいませんでしたーーー!」
「んじゃこの海がどこで、どういう状況なのかわかってる奴いるか?」
「いやあ、それが俺達にもさっぱりでよう。気付いたらこのあたりに漂流してたんでさぁ。羅針盤も地図もまるっきり役に立たねぇし。もう、何が何だか分からなくなったら、ほら、目の前の獲物を襲うしかねぇだろ?海賊の習慣として」
「なるほど、確かにそれはそうだな」
「え・・・ではどこかアテがあるわけではなく・・・自分たちの安全性も確保できていなかったのに、その場の勢いだけでわたしたちを襲ったのですか・・・?」
「オウサ、ハイホ〜♪だって〜♪それが〜♪海賊〜♪」*7
「・・・どうしましょう、ミュージカル風に唄われてしまいました・・・」
「ねぇ、他にアテはないの?」
「確かに自分たちはバカでもあるがアテもあるッス。この近くに海賊島があるって同業に聞いたんで。食料も水も乏しくなってきたので、ひとまずそこをあたろうと・・・」
「海賊・・・島?そこはその、やはり海賊が沢山いるのでしょうか」
「へえ。海賊島なんで」*8
『ふーむ・・・とりあえず、手掛かりらしい手掛かりはない以上、そこへ進むしかないか』
「だな。オラァ!野郎ども!その島に舵を取れ!行くぞぉ!」
「「「アイ、アイ、サー!!!」」」
さて、島に着いたはいいものの・・・
「ここが海賊島ですか・・・」
「ヒャッハー!女だ!獲物だ!なんか屈強そうな男もいるが狩りだ!」
「・・・陸でも海賊は元気なようですね、柳星さん。半分手伝います」
「おう、助かる!」
さて、とりあえず千切っては投げ、そこに更に重ねて投げて。で実力を叩き込んだところで現状の確認の為の尋問に移ったのだ。
「んじゃ、次」
「勘弁してつかぁさい。悪気があった訳じゃあないんです・・・海賊の本能なんです・・・」
「そんな獣みたいな本能・・・んじゃ次。現状、この海を把握してる人物は?」
「あー・・・だったら姉御じゃないかと」
「姉御・・・」
こりゃまた歴史が捩れてるな?
「へっへっへっ、聞いて驚け。我らが栄光の大海賊、フランシス・ドレイク様だ!」
『なんで急に居丈高になるんだ・・・』
「知らん、が。海賊ってそんなもんじゃねぇのか?」
『多分海賊としての必死のキャラ立てじゃないかな、と思う私である』
「んじゃお前、俺らをそいつの元に連れて行け。これは勝者からの命令であるから、嘘つくんじゃねぇぞ?」*9
「そりゃ勿論負けたからな。従うさ・・・ついてきな」
「・・・あ、そういやカルデア本部」
『ん。なんだい?』
「今回マリーは?」
『君が昨日関わった
「そうか。分かった」
「おう、この森を抜けたところに、大海賊フランシス・ドレイクの隠れ家がある。へっへっへっ、テメェたちはもうおしまいさ。ドレイク姉御の手に掛かれば、テメェたちなんか・・・」
『なんで一々三下口調なんだろうか、この人は』
「もはやそれが魂の性質なんじゃねぇのか?俺から見ても三下にしか見えねぇしな」*11
『いつの時代でもキャラ立ては重要だってコト。憧れの美女に体を作り変えるとか普通だって』
「・・・聖杯関係はキャスターが必要だろ、そろそろ
「さっきからどこともなくうるせえなあ!魔法?魔法か何かか!?」
「敗者は気にするな。お前が今するのは俺達をフランシス・ドレイクの元に連れていくことだけだ。何も気にするな。何も聞くな。考えることは許す。しかしそれで俺たちを疎かにしてはならない。いいな?」
「サッ、サーーーッッッ!!」
「柳星さん、人を脅す時に唐突に怖くなるのなんなのでしょうか・・・」
「あはは、でもそれもまた【彼らしい】と思うんだよね」
「マスター、柳星さん。とにかく前に進みましょう。フランシス・ドレイク。世界を開拓した偉大な英雄の1人です。時代的に大航海時代の真っ只中ですから───本物のドレイクなら、生前の人物と思われます。人類史でもっとも早く、生きたまま世界一周した渡航者。その活躍でイギリスは莫大な富を得て、当時、世界の海を制覇していたスペインを撃破します。決して沈まない太陽、と言われたスペイン。そのスペイン人から、
「ろくでもなさならロマンも負けてないと思う」
「だな・・・ただドレイク船長だからろくでもなさにも芯があると思うぞ?」
「それは・・・それもそうかもしれませんね。私はおそらく大食漢、タルを片手で掴んで一気呑みするような豪傑と想像されます」
「そうか・・・?姉御って呼ばれてるってことはそんな感じじゃない気がするんだよなぁ・・・ま、とにかく。協力関係に持ち込んでおきたいな・・・」