YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】   作:柳瀬塔矢

97 / 190
5-5 ロンディニウム:併合・2

 

「───ふぅん、特異点、ね。世界に打ち込まれた七つのボルトのひとつ。それが、この時代のこのロンドン、という訳か」

 

「はい。そしてわたしたちは、特異点の原因であると思われる聖杯を探しています」

 

まぁ俺の彼に感じた疑問とか「そもそもヘンリー・ジキルは小説の人物では?」という所には口を出さないのが俺たちである。*1なにせ円卓の騎士ですら本物*2なんだからそりゃ居てもおかしくないよね、というのが見解だからだ

 

「そちらの事情はおおむね理解したよ。では、僕らの知る限りでの、都市の状況を伝えよう。およそ三日前から、夜毎に、生物の命を奪うほどの霧が都市に満ちている。霧が薄い場所ならなんとか、マスクで覆ったりすれば死ぬ事はないだろう。でも、濃い場所はダメだ。吸い込んだだけで通常の生物は魔力に侵されてしまう。素質や体質にもよるだろうけれど、酷ければ、一時間もすれば死んでしまう。正確な数はわからないが、僕の試算では数十万単位で死亡者が出ているはずだ。既に、完全な廃墟と化した地区もある。イーストエンドはほぼ全滅している。都市の全てが完全な廃墟と化すのも、もう時間の問題だろう。すべて、あの霧が原因だ。あまりに濃厚な魔力を帯びた常ならざる濃霧───僕たちもこれを魔霧と呼んでいる」

 

「死の霧に覆われるロンドン・・・二十世紀に発生するはずの時間に少し似ていますね」

 

『一世紀ズレているのかしら?それが特異点になってるのでしょうけど・・・そちらの事件もこちらで調査しておきます』

 

「魔霧だけではないよ。君達も、遭遇、戦闘をしたはずだね。この三日間───魔霧に加えて、ロンドンには他にも脅威の類が満ちている。魔霧に紛れて凶行を繰り返すものたちだ。魔術で形作られた自動人形(オートマタ)、殺人ホムンクルス・・・不明の怪機械(ヘルタースケルター)───そして、連続殺人鬼。切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)と報道されていたものだ」

 

「報道・・・ですか?」

 

「ああ、魔霧発生の初日はまだ、新聞が発行されていたから・・・もう、届かないが。ロンドン警視庁(スコットランドヤード)も政府も、当然ながら事態を把握出来てないようだ。実質的には、既に政府機能は麻痺しつつある。外からの救援も魔霧に阻まれ、ロンドンは孤立状態だ。早くも、発生から三日。閉じこもった市民も長くは保たないだろう。魔霧は屋内には入り込まない性質がある、が、水や食料がなくなれば、ロンドンは全滅だ」

 

「ふぅん・・・これまでとは違った意味でタイムリミットが存在するタイプか。*3さて、ジキル、モードレッド。こちら側からの提案だが、この特異点の聖杯探索に協力して欲しい。この魔霧も、機械人形(オートマタ)も、不明の怪機械(ヘルタースケルター)も。聖杯由来・・・聖杯・・・いや、まさかな・・・コホン。とにかく、聖杯が見つかればこの事態は収束、特異点の修復が可能だ。ぜひ協力してほしい」

 

ロンドン、100年前、聖杯、まさかな・・・ないない。ありえないだろ。*4

 

「こちらとしては願ったり叶ったりだ。なあ、セイバー?」

 

「いいぜ、それが最善、みたいだしな」

 

『助かります。さて、マシュ。運のいいことにこのアパルトメントは()()()()にあります。この意味がわかりますね?』

 

「マジ!?・・・うぉっ、マジだ。*5こりゃラッキーだな」

 

「はい。この部屋で召喚サークルを確立させることが可能です。もしかしてジキルさんは霊脈の存在を知った上で工房を作られたのですか?」

 

「いいや、僕は正規の魔術師じゃないから、ここは魔術工房って訳じゃない。ただの自室だよ」

 

「付け加えるとだな、魔術工房って本来こうやって好き勝手に動く事はできないんだぞ?なにせどこに何があるかわからんからな」*6

 

「まぁとにかく、自由に使ってくれて構わない。何をするんだい?」

 

『霊脈上にサーヴァントの召喚サークルを確立させてそちら側の戦力を底上げする・・・のが目的なのですが・・・そういえば一度もサーヴァントの召喚、やってませんね』*7

 

「そりゃそうだろ、俺の攻撃性能とマシュの盾に現地の英霊で充分だろうしな。それに立香の強みは現地の英霊に対して契約できる点だ。そりゃどっかしらのタイミングで一騎か二騎は呼んでおいた方がいいのはあるんだが・・・」

 

『その辺の協議は帰ってきてからね。確立、開始しなさい』

 

「了解です。ターミナルポイント、作成します───」

 

「霊脈支配・スタート」

 

 

 

 

さてさて、そもそもロンドンの霊脈って時計塔が管理してそうなんだよなぁ・・・さてさて、何が起こるかなっと

 

「む?この場に来るとは、誰だ?」

 

「ゲッ!?魔道元帥!?・・・はじめまして、真なる第二魔法の使い手。魔道元帥【キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ】。私は敵ではないですよ?ただちょーっとこの街の霊脈を一時的に支配したいだけで」

 

なんでこのジジイが現れてんだよ!?*8

 

「そうか、話は知っている。特異点探索だったな。いいとも、使いたまえ。時計塔は機能してないからな」

 

「おおうマジか。まぁ時計塔には何も期待してないからいっか」

 

「なんだ、お主。時計塔所属じゃないのか?」*9

 

「そもそも時計塔嫌いなんだよ、だって故郷の秘境がバレたら存続厳しくなっちまうって聞いてるし」

 

「ハッハッハッなるほど、確かにそれは間違ってないだろうな。お主の秘境は確かにそれほどの価値があるからな」

 

「やっぱりアンタには見えるのか。並行世界が見えるってどんな感覚なんだろうな・・・」

 

「それを言うならばお主の魔眼の方が儂としては驚愕に値するがな。アニムスフィアの末裔が生き延びるなぞ、観測できる範囲ではお主の所だけ故な」

 

「ほぉん、やっぱ過去を改変するっていうこの副産物は珍しいもんなんだな。今後も重宝することにするよ」*10*11

 

「うむ。そうするといい。さて、そろそろ支配も終わったのではないか?」

 

「───だな。終わったみたいだ。んじゃ、さよなら。魔法使い。次に会う時があればその時は現代がいいもんだ」

 

 

 

 

「ん・・・っと。帰還!」

 

「お疲れ様です」

 

「さて、悪いけど───君たちに頼みたいことがある」

 

さてさて、何を頼まれるのかねぇ

 

 

 

*1
なにせ神話という【人類が観測できなかった】存在が明確に存在するのならそりゃ小説の登場人物くらいいてもおかしくないよね、という考え

*2
神秘が濃かったから、妖精郷で作られたからとかで簡単に聖剣からビームが出てちゃあ堪らない

*3
これまでのタイムアップ条件として、冬木は条件なし。オルレアンはフランスの崩壊。セプテムはローマ連合の勝利。オケアノスは契約の箱(アーク)にエウリュアレを捧げる事。という【明確に分かりやすい条件】だった。しかし今回は【一定以上人口が減ったらアウト】という何ともわかりづらい状態である。特異点の中でもトップクラスなんじゃないかな?イベント産の特異点は知らん。トンチキすぎる

*4
マキリの影を感じてしまった

*5
とりあえず休める場所最優先だったせいか霊脈の探知は怠っていた

*6
唐突に死んでも文句を言えない。それが工房

*7
召喚サークルで召喚したものといえば補給物資くらいである。

*8
ちなみに万華鏡みたいな世界。ハイスクールD×Dの狭間の世界みたいな。

*9
大体コイツ知ってるといえば時計塔orアトラス院or彷徨海なんだけど彷徨海って感じじゃないし錬金術って感じでもないからアトラス院でもない、なら幅広い時計塔かな?って予測を立ててた。なにせとあるタイミングから柳星の故郷の秘境が観測できなくなってるんだもの

*10
なおAチームには未来の固定ができる魔眼持ちがいる模様。オフェリア・・・

*11
いまだに傷心中のさくしゃ




オフェリアの退場がとても重すぎます。まぁ生き残ったら生き残ったで今後どうするんだ問題はあるんですけど。コヤンスカヤが攫うかな?とか考えたり。だけどあの状態から生き残るとは誰も思えないだろうなぁ・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。