YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「───ふぅん、特異点、ね。世界に打ち込まれた七つのボルトのひとつ。それが、この時代のこのロンドン、という訳か」
「はい。そしてわたしたちは、特異点の原因であると思われる聖杯を探しています」
まぁ俺の彼に感じた疑問とか「そもそもヘンリー・ジキルは小説の人物では?」という所には口を出さないのが俺たちである。*1なにせ円卓の騎士ですら本物*2なんだからそりゃ居てもおかしくないよね、というのが見解だからだ
「そちらの事情はおおむね理解したよ。では、僕らの知る限りでの、都市の状況を伝えよう。およそ三日前から、夜毎に、生物の命を奪うほどの霧が都市に満ちている。霧が薄い場所ならなんとか、マスクで覆ったりすれば死ぬ事はないだろう。でも、濃い場所はダメだ。吸い込んだだけで通常の生物は魔力に侵されてしまう。素質や体質にもよるだろうけれど、酷ければ、一時間もすれば死んでしまう。正確な数はわからないが、僕の試算では数十万単位で死亡者が出ているはずだ。既に、完全な廃墟と化した地区もある。イーストエンドはほぼ全滅している。都市の全てが完全な廃墟と化すのも、もう時間の問題だろう。すべて、あの霧が原因だ。あまりに濃厚な魔力を帯びた常ならざる濃霧───僕たちもこれを魔霧と呼んでいる」
「死の霧に覆われるロンドン・・・二十世紀に発生するはずの時間に少し似ていますね」
『一世紀ズレているのかしら?それが特異点になってるのでしょうけど・・・そちらの事件もこちらで調査しておきます』
「魔霧だけではないよ。君達も、遭遇、戦闘をしたはずだね。この三日間───魔霧に加えて、ロンドンには他にも脅威の類が満ちている。魔霧に紛れて凶行を繰り返すものたちだ。魔術で形作られた
「報道・・・ですか?」
「ああ、魔霧発生の初日はまだ、新聞が発行されていたから・・・もう、届かないが。
「ふぅん・・・これまでとは違った意味でタイムリミットが存在するタイプか。*3さて、ジキル、モードレッド。こちら側からの提案だが、この特異点の聖杯探索に協力して欲しい。この魔霧も、
ロンドン、100年前、聖杯、まさかな・・・ないない。ありえないだろ。*4
「こちらとしては願ったり叶ったりだ。なあ、セイバー?」
「いいぜ、それが最善、みたいだしな」
『助かります。さて、マシュ。運のいいことにこのアパルトメントは
「マジ!?・・・うぉっ、マジだ。*5こりゃラッキーだな」
「はい。この部屋で召喚サークルを確立させることが可能です。もしかしてジキルさんは霊脈の存在を知った上で工房を作られたのですか?」
「いいや、僕は正規の魔術師じゃないから、ここは魔術工房って訳じゃない。ただの自室だよ」
「付け加えるとだな、魔術工房って本来こうやって好き勝手に動く事はできないんだぞ?なにせどこに何があるかわからんからな」*6
「まぁとにかく、自由に使ってくれて構わない。何をするんだい?」
『霊脈上にサーヴァントの召喚サークルを確立させてそちら側の戦力を底上げする・・・のが目的なのですが・・・そういえば一度もサーヴァントの召喚、やってませんね』*7
「そりゃそうだろ、俺の攻撃性能とマシュの盾に現地の英霊で充分だろうしな。それに立香の強みは現地の英霊に対して契約できる点だ。そりゃどっかしらのタイミングで一騎か二騎は呼んでおいた方がいいのはあるんだが・・・」
『その辺の協議は帰ってきてからね。確立、開始しなさい』
「了解です。ターミナルポイント、作成します───」
「霊脈支配・スタート」
さてさて、そもそもロンドンの霊脈って時計塔が管理してそうなんだよなぁ・・・さてさて、何が起こるかなっと
「む?この場に来るとは、誰だ?」
「ゲッ!?魔道元帥!?・・・はじめまして、真なる第二魔法の使い手。魔道元帥【キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ】。私は敵ではないですよ?ただちょーっとこの街の霊脈を一時的に支配したいだけで」
なんでこのジジイが現れてんだよ!?*8
「そうか、話は知っている。特異点探索だったな。いいとも、使いたまえ。時計塔は機能してないからな」
「おおうマジか。まぁ時計塔には何も期待してないからいっか」
「なんだ、お主。時計塔所属じゃないのか?」*9
「そもそも時計塔嫌いなんだよ、だって故郷の秘境がバレたら存続厳しくなっちまうって聞いてるし」
「ハッハッハッなるほど、確かにそれは間違ってないだろうな。お主の秘境は確かにそれほどの価値があるからな」
「やっぱりアンタには見えるのか。並行世界が見えるってどんな感覚なんだろうな・・・」
「それを言うならばお主の魔眼の方が儂としては驚愕に値するがな。アニムスフィアの末裔が生き延びるなぞ、観測できる範囲ではお主の所だけ故な」
「ほぉん、やっぱ過去を改変するっていうこの副産物は珍しいもんなんだな。今後も重宝することにするよ」*10*11
「うむ。そうするといい。さて、そろそろ支配も終わったのではないか?」
「───だな。終わったみたいだ。んじゃ、さよなら。魔法使い。次に会う時があればその時は現代がいいもんだ」
「ん・・・っと。帰還!」
「お疲れ様です」
「さて、悪いけど───君たちに頼みたいことがある」
さてさて、何を頼まれるのかねぇ
オフェリアの退場がとても重すぎます。まぁ生き残ったら生き残ったで今後どうするんだ問題はあるんですけど。コヤンスカヤが攫うかな?とか考えたり。だけどあの状態から生き残るとは誰も思えないだろうなぁ・・・