YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
「戻ったと思ったらまた魔霧の中か。やれやれだな」
「すみません、案内を頼んでしまって。わたしたち、ロンドン市街にはまだ不慣れで」
俺は俺で霊脈でしか土地を見れないからなぁ*1・・・なんか違和感ある霊脈だけど、まぁ無視でいいか*2
「あー、いいって、気にすんな。お前らが来なければ、オレの仕事だったんだ。むしろ礼を言っとくぜ。悪いな、あやふやな話に付き合わせて」
「いえ、モードレッドさん。そんなことは・・・」
『ジキル氏の協力者の一人、スイス人碩学、フランケンシュタイン氏の保護、か』
「あ、ロマンじゃねぇか。交代か?」
『うん。所長も張り詰めすぎてるからね。少し休んでもらうことにしたんだよ・・・と。*3何でも今朝から連絡が取れないらしいね。普段、君たちは無線で連絡を取り合っているのかい?』
「ジキルがな。奴の情報網なんだとさ。オレはよく分からん。都市のあちこちに協力者がいて、そいつらとしょっちゅう無線でやり取りしてるぜ。ヴィクターのじいさんは、昨日までは少なくとも無事だったんだけどな」
『ヴィクター・フランケンシュタイン、か───またも小説の登場人物と思いきや
俺はよく知らないんだよな。あまり本とかは読まないで生きてきたからなぁ・・・*4
「あの小説のモデルとなった魔術師の孫、というのがミスター・ジキルのお話でしたね。確かに、意外でした。メアリ・シェリーの小説の描写では・・・フランケンシュタイン博士は科学者でした。けれど、モデルとなった人物は実在の魔術師だった。事実は小説よりも奇なり、という極東の慣用句を想起しますね」
「まぁそりゃそうだろ。そもそも表社会では知り得ない部分、想像出来ても再現できない部分の世界で生きてるのが魔術師だからな。*5そりゃ奇なり、ともなるさ」
「科学者と魔術師ってそんなに違うの?」
「はい、本来であれば、魔術は科学とは相反する技術ですから。カルデアの存在は極めて例外的ですし、そう考えれば、やはり、世界的・歴史的には───」
『ああ、うん。でもね。例外は何にでもある。ある時代では、科学と魔術はほぼ同意義だった。神代なり古代なりではなくともね、たとえば、錬金術は化学の源流であるとも言うし。高名な科学者、化学者、学者として知られる人間が魔術師であった例は結構あるよ。そもそも、ほら。ダ・ヴィンチちゃんだってそうだし』
「あっ───」
『ん。呼んだ?ああ、科学と魔術の話。私は駄目だよ。だって、ね。私、万能だから。誰とも比較できないね。残念だね。じゃあね』
「あっ、通信途絶しました」
「丁寧にこっちも途絶しやがった。繋ぎ直すのめんどくさいんだが?*6ちなみに補足だが、俺の魔術は科学・・・というよりかは自然現象の具現化が近い。水圧を上げれば物は切れる。燃やせば燃える。摩擦熱は燃焼する。だからまぁ・・・人それぞれってところだな。結局は魔術と科学はゴールが同じ*7なんだから。魔法と科学が違う*8だけ」
「へぇ、そうなんだ」
「ソーホーあたりはもうすぐだ。おまえたち、気を抜くなよ。そろそろ来るぞ。ジキルのアパルトメントがあるシティエリアの端は、比較的穏やかだけどな。このへんになると、駄目だ。連中の縄張りだ」
「そのようだな。さっきからオートで発動するようにしてる
『さっきから動体反応が現れたと思ったら消えてるのはそれが原因か。報告くらいしておいてくれよ』
「いや、消えない動体反応が来たら分かるってところで、その場合
「それで今も戦闘にならないってわけか・・・ったく。宝具を好き勝手にぶっ放せりゃあな」
「その場合あんたの宝具と俺の宝具級魔術で街がぶっ壊れるだろ。まぁ放ちたい気持ちは分かる。多すぎるんだよ、普通に」
「ここは街中です。すみませんが、短気は抑えてください二人とも」
「分かってる。・・・分かってる」*10
「わーってるよ盾ヤロウ。ああもう、何か、お前に言われると変な気分だ」
「待ってください。盾ヤロウ、とはわたしの事でしょうか・・・!?」
まぁそりゃそうか。円卓の騎士の可能性が高いんだからそりゃ霊基見えたら盾ヤロウに見えてもおかしくはないもんな。*11
「あー?だって盾ヤロウだろ、おまえ。盾で守って、盾でぶん殴ってるんだから。それとも盾オンナの方がいいか?どっちでもいいぞ、オレは」
「・・・いいです。盾ヤロウ、でお願いします・・・」
疲れてやんの。まぁ慣れろ・・・多い!多すぎる!某金○一の犯人のやる事並みに多すぎる!
「だぁぁぁ!!!多い!多すぎる!ぶっ放すぞ!」*12
フィールド発動・・・
てことで街中から空中に向けて迸る赤い雷。きっと街の人達も驚いたろうな。まぁ範囲広すぎてどこから撃ったかなんて分からないだろ。
「うぉっ、眩しっ!?」
「はぁ・・・はぁ・・・これで少しは数減ったか?」
「まったく、無茶してはいけないと所長に言われませんでしたか?」
「悪い悪い、あまりにも多すぎてな!まぁこの程度なら1時間毎に撃てる!なにせ魔霧からも魔力徴収してるからね!」*13
「はぁ・・・ところで、モードレッドさん。少しだけ、お話いいでしょうか?」
「なんだ?」
「あなたに質問があります。あなたは、何故、ここで戦っているのですか?ミスター・ジキルは故郷の都市を守るため、と。では、あなたは何のために───」
んー、円卓の騎士だから、ではないんだろうな。
「もう言っただろ?父上の愛した
・・・あ、そゆこと?ならかなり捻じ曲がってんなぁ・・・
「ええ、と・・・その・・・はい。出会った時、すでにその話は聞いています。それはそうなんですが・・・怒らないで聞いて欲しいんですが、何故か、私・・・何か・・・違うような気がして」
モードレッドは悩んでるように見えた。その真実を告げるかどうか。少なくとも俺にはそう見えた。まぁアヴェンジャー適正ある奴なんて大抵捻じ曲がってるけどなぁ・・・
「・・・ったく。わかったよ。ジキルにも言ってねえんだけどな、コレ。オレは───ああ、
「それは、どういう・・・?」
「ようやく持ち主に相応しいのがやってきたってコト。聖杯はくれてやるよ。あと少しで屋敷だ。踏ん張れよー」
まったく、数が減ってるとは言え対処してる俺の気にもなって欲しいもんだね!