リメイクとはいっても設定からぜんぜん違うので初めて読む方でも安心ですよ。
でも旧作を読むともっと楽しめますよ
連邦操作部シャーレ
そのオフィスにて一人の大人がディスプレイを眺めている。
外の世界からやってきた大人、先生その人であった。
先生はディスプレイに表示されたメールを前にして腕を組んだ。
「アビドス高等学校か…」
メールの内容は地域の暴力組織に学校が襲撃されているので助けてほしいというもの
生徒のことを何よりも優先する先生にこの手の依頼を断る理由はない。
早速、立ち上がって諸々の準備を始める。
「アロナ、アビドス高等学校の情報とかあるかな?」
『はい!ちょっと待っててくださいね』
シッテムの箱のメインOSであるアロナが数秒間自身のこめかみに指を当てると
大量のアビドス高校に関する情報が画面上に展開される。
先生は適当に流し見て、必要な情報をピックアップする。
「砂嵐による衰退、それに伴って治安の悪化に生徒の減少…物資は多めに持っていくか」
『街の中でも遭難するなんて言ってる人もいますね』
「まさか、冗談だろう」
『あっ先生、これを見てください』
そう言ってアロナが1枚の資料を持ってくる。
それはヴァルキューレ警察学校が発行している手配書だった
「これがどうかしたの?」
『この手配書に載っているのはヘルシングという傭兵団です。金を払えばどんな依頼も請け負う集団でキヴォトスのいたるところで事件を起こしています。そんなやつらが最近アビドスで目撃されたとの報告がありました。アビドスに行く際は気を付けてくださいね』
「?まあ、わかったよ」
指名手配犯とはいえアビドスにいるかもというだけで注意するように言うアロナに先生は疑問を持つが特に深く考えず準備を続けた。
そして数日後、アビドスへ出発する先生
持っていった地図が全く役に立たないとも知らずに…
アビドス自治区にて
先生は案の定遭難していた。
「はあ、はあ、あぁ」
いつもの頼りになる大人の姿はなく、そこにいるのは慢心で死にかけている頼りない大人だった。
息も絶え絶えに歩き続けていた先生だったが結局道半ばで倒れてしまう
川の向こうに死んだおばあちゃんが見え始めた頃
「ん、大丈夫?」
救いの手が差し伸べられた。
数分後
「ぶはぁ!はー、ほんと助かったよ君は命の恩人だ」
「ん、大げさ」
なんとか現世に戻ってきた先生は生の喜びに打ち震えながら水を飲んでいた。
そして改めて感謝しようとした所で眼の前の恩人が着ている制服に見覚えがあるのに気づいた。
「もしかして、君ってアビドス高校の生徒?」
「そうだけど、もしかしてお客さん?」
「ああ!アビドス高校に物資を届ける予定だったんだが、この通り遭難しちゃってね。まさか本当に街なかで遭難するとは思わなかったよ」
「この辺は砂嵐ですぐに道が変わるから慣れてないと危険」
恩人は自分の乗っていた自転車を押してくると荷台をポンポンと叩いた
「ここに乗って、アビドスまで送ってく」
「いいのかい!本当に何から何までありがとう」
「ん、どういたしまして」
恩人が自転車に乗り込んだ後自分も荷台に跨る。
「そういえば自己紹介がまだだったね。はじめまして。僕は連邦生徒会直轄、連邦捜査部シャーレの先生だ。君の名前は?」
「アビドス対策委員会2年生の砂狼シロコ。よろしく、先生」
お互いの自己紹介が終わった所でシロコはペダルに足をかけた。
「それじゃあ先生、出発するからしっかり捕まってて」
「心配ご無用さ、こう見えて意外と鍛えてあるんだ。大の大人が生徒にしがみつく姿なんて見たくないだろう?」
「ふーん、まあ舌を噛まないように気をつけてね」
そしてシロコがペダルを漕ぎ出して十秒後に先生は力一杯シロコの制服を掴んでいた。
* * * * * * * * * * *
「ふう、いい汗かいた」
「もう乗らない…絶対乗らない…」
アビドス高校の校門前でシロコは汗を拭って爽やかな笑顔を浮かべていた。
先生は殺人的な加速とドリフトにしっかりとトラウマを植え付けられていた。
「ん、それじゃあ先生。アビドス高校にようこそ」
トラウマを記憶の彼方に追いやった先生はアビドス高校を見渡す。
事前の情報からかなりひどい状態だと推測していたのだが思いの外綺麗に掃除されてある。
「ここの掃除はみんなでしてるの?」
「うん、生徒の人数が少なかった昔は清掃員?が代わりに掃除してたらしいけど今は毎週掃除当番を決めてるの」
その他諸々の説明を受けながら校舎に足を踏み入れる。
外から見た通り中も綺麗に掃除されてある。
そのまま一階を進んでいくと『アビドス対策委員会』と書かれたプレートが目に入ってきた。
「おじゃましまーす」
「みんな、お客さんが来たよ」
シロコに促されるまま教室へと入る。
中はそこにあっただろう椅子と机を取っ払って長机を置いた会議室のようなスタイルだった。
そして長机に向かっていた
「シロコ先輩遅いわよもう会議始めるところだったんだから。てゆうかその人誰?」
「おはようセリカ、この人はシャーレの先生。私達に物資を届けに来てくれたみたい」
「ということは私達の救援要請が受理されたんですね!良かった〜」
「フフッこれで思う存分戦えますね♣」
「おいおい、あんまり無駄遣いはするなよ?」
「・・・」
親しげに話し合う様子から対策委員会の仲の良さがわかる。
だがそれはそれとしてほおって置かれるのは寂しい
「あの〜そろそろいいかなぁ?」
「あぁすいません先生!コホン。では、挨拶も兼ねてみんなで自己紹介をしましょう」
「じゃあ私からさせてもらいますね。
はじめまして先生!アビドス対策委員会2年生の十六夜ノノミです♦よろしくお願いします!」
「次は私ね。
アビドス対策委員会1年生の黒見セリカよ。言っとくけどアンタのことイッチミリも信用してないから!」
「ちょっとセリカちゃん!すいません先生、セリカちゃんは大人の人が苦手で…
あっ私はアビドス対策委員会1年生の奥空アヤネです。主に皆さんの支援を担当しています」
「相変わらず真面目だねぇアヤネちゃんは。おっと次は私か
アビドス対策委員会3年生坂東リノアだ、よろしくな。そしてこっちの無口なやつが」
「…3年生鍋倉メイサ。……よろしく」
「ノノミ、セリカ、アヤネ、リノア、メイサ…うん、みんなよろしく!」
どうやらみんな仲良くしてくれそうだ…セリカは追々仲良くなっていくとしよう
と、そこで教室の扉が開いた。
「ふわぁ〜みんなおはよー」
「ホシノ、おそかったじゃないか。我らが対策委員会にお客さんだぜ」
「んん〜?わお、もしかしてシャーレの先生ってやつ?」
「ホシノ先輩知ってたんですか?」
「うん、まあ噂でね。それで先生はこんな所になんの用で来たの〜?」
「ああ、アビドスからの救援要請を受けてね。君たちに物資を届けに来たってわけさ」
「お〜それはありがたいね。あっそういえば自己紹介がまだだった。
アビドス対策委員会3年生の小鳥遊ホシノだよ。よろしくね〜」
そういって差し出された手を握ろうとした
が、それは叶わなかった。
『アビドス対策委員会に告ぐ、即刻校舎を明け渡し投降しろ!投降しなきゃ校舎もろとも吹き飛ばすぞ!』
外から聞こえてきた物騒な警告のせいで
「皆さん、ヘルメット団です!戦闘準備を行ってください!」
「あーもう!朝っぱらからめんどくさいわね!」
「はあーこのまえ撃退したばっかだってのに」
「うへ〜全くだよ」
「ん、速攻で終わらせる」
「終わったらみんなでお茶しましょっか♥」
「・・・」
どうやらあのヘルメット団という輩達が件の暴力組織のようだ
各々が自分の武器を取り校庭へとでる。
「やっと出てきたか対策委員会。今日こそこの校舎は我々ギスギスヘルメット団がいただくぞ!」
「ん、何度聞いても仲の悪そうな名前」
「黙れ小娘!お前にこの名前の何がわかる!」
「う〜ん、センスの悪さと仲の良さ?」
「総員撃てぇ!」
流れるように始まった戦闘を教室の窓から眺める
「オラァ!死ね!」
「ん、遅い」
「ギャ──!」
「喰らいなさい!」
「お前ら!こっちから来るぞ!」
「いやまて後ろにも…アダァ!」
「隙ありです〜」
各自のレベルは相当高く、人数の差を物ともしない
そしてその中でも特に目立つのが
「よーし、いっくよ〜」
「援護は任せな!」
「…サポート、する」
ホシノ、リノア、メイサの三人
ホシノが前線で暴れ
リノアはホシノが動きやすいように場を荒らし
メイサの狙撃で二人の届かない敵を倒す
最も長い間一緒にいた最高学年ゆえの完成された連携
しかしそれはあくまでホシノ達だからできること
後輩も同じように動くのは難しい
「ひゃあ!」
「ノノミ先輩ごめんなさい!」
「それよりセリカちゃん前!」
「え?あうっ!」
「はっはっは、あいつらの連携はザルだ!あっちを狙え!」
シロコたちは連携の穴を突かれ劣勢気味となる
ホシノたちも援護に回りたいがいかんせん敵の数が多い
「クソッ私達の時より数が多いな!奴さん相当もらってんな!」
「装備も結構良いの使ってるよね〜。これは相手も本気ってわけか」
今はなんとか持ちこたえてはいるがそれもシロコ達の内一人でもかければ瓦解する
「シロコ先輩に今物資を、ノノミ先輩右から来て…左からも来ます!」
アヤネのオペレートも目まぐるしく変わる戦場では1テンポ遅れてしまう
自身の力不足を痛感するアヤネ
「アヤネ、僕が代わろう」
しかしそこには先生がいる
生徒が困っているのであれば助けるのが彼の役割である
「先生…」
「指示は僕が出す。アヤネは物資輸送に集中してほしい」
「!…わかりました」
シッテムの箱を起動させ無線機の回線につなぐ
「みんな聞こえてるかな」
「えっ先生!?」
「今から僕が指揮を取るから、みんな従ってくれ」
「ちょっと待って!私はアンタのこと信用してな…」
「8時の方向に4人!セリカとシロコで挟撃!ノノミはドローンについて行って!」
「はっはい!」
「ん、了解」
「ええ!ちょっとみんな!」
シロコに続いて遅れながらも指示に従ってくれるセリカ
アヤネにドローンを使ってノノミを誘導してもらう
「ノノミはそこで待機!ホシノ、なるべくヘイトを稼いで十秒後2時方向に離脱!」
「りょーかい!」
「リノアはホシノの離脱と同時に敵を追い込むんだ!」
「はいよ!」
戦場で大事なのは流れを掴むこと
流れを掴んで相手の二手三手先を読みそれに合わせて
アヤネの改善点はセオリーばかりに頼ってしまう所
ハマれば強いが臨機応変に対応するには弱い
まあそれも覚えているセオリーの数が膨大であれば関係のない話だが
「す、すごい…」
十秒後、アヤネは眼の前でノノミに蹂躙されるヘルメット団たちを見ながらそう呟く
先生が指揮をとってから一瞬で状況がひっくり返る様はまるで手品のようだ
「クソ!全員撤退だ!」
リーダー格の団員が指示を出すとヘルメット団は一斉に去っていった
掴み取った勝利、一同は歓喜の声を上げた
「やったー!勝ちました!」
「ん、私達の勝利」
「うへーおじさん疲れちゃったよ」
「お疲れ様!ホシノ!」
「…勝ち」
ホシノたちが喜び合う中、セリカは一人不満げな顔をしていた
「お疲れ様、セリカ」
「あっあんた!…」
「うん?なんか言いたげだね」
「!う〜…そのアンタのことはまだ信用してないけどじ、実力だけは認めてあげるわ!」
「ははは、光栄だね」
「なに笑ってるのよ!認めたのは実力だけだから!勘違いしないでよね!」
「はいはい、わかってるよ」
「っ!この〜!」
どうやらセリカとも多少は仲良くなれたらしい
このまま一緒に盗んだバイクで走り出すくらいには仲良くなりたいものだ
そんな事を先生が考えている時にアヤネの声が響いた
「皆さん、注意してください!前方1km先から何かが…あれは、大型戦車!?」
アヤネの声に一番早く対応したのは先生と3年生達
「みんな!早く校舎の中に入って!ここはもう射程圏内だ、いくら君たちでも直撃はまずい!」
「メイサ!あの戦車狙えるか!」
「…無理、弾かれる」
「私が直接行く。リノア、メイサ、援護して」
「ダアー、クソッそれしかないか!」
「…了解」
確かに先生たちの対応は早い、しかしそれよりも早く主砲は徹甲弾を撃ち出していた
「みんな、伏せ────」
徹甲弾は寸分違わず先生へと迫り…
直前で炸裂した
舞い上がる粉塵で周囲が見えなくなる
「ケホッケホッ今、なにが?」
わけもわからぬまま混乱する先生たちを無視して再度砲撃音が鳴る
しかしそれも先生たちに直撃する前に炸裂する
「今の…誰かが落とした…」
視界が悪い中でもスナイパーであるメイサは2回目の砲撃の際に確かに見た
砲弾が一回り小さな
そして3回目の砲撃がされることはなかった
「…大型戦車の大破を確認しました。けど、一体誰が」
アヤネの持つタブレットに映っているのは
装甲に大穴が空いて炎上する戦車と逃げ出しているヘルメット団達
ドローンで周囲を見渡すがそれらを起こした人物は見当たらない
「…ねえメイサ、本当に砲弾が撃ち落とされるのが見えたの?」
「うん…でも、あり得ない」
「メイサの言う通りだ。秒速1.8kmの砲弾を撃ち落とせる人間なんているわけねえ。いや、まあそれが見えたメイサも大概だけどよ」
「…じゃあ人間じゃなかったとしたら?」
ホシノの言う人物?に心当たりがあるのか、リノアとメイサは目を見開く
「まさか、帰ってきてるのか?」
「うん、噂では聞いてたけど。どうやら本当だったみたい」
「…二人共、見て」
そう言ってメイサが指を指す先には一人の人影があった
大きな日傘をさし、頭にヘイローを浮かべ、何より特徴的なのは身の丈を越す銃
「ホシノ先輩、あの人知ってる人?」
「ああ、そっかシロコちゃんがアビドスに来たのは先輩が
こちらが見ている事に気がついたのか手を振りながらこちらに走り出す人影
「あの人は私達3年生の先輩で元アビドスの生徒会長」
顔がはっきりと見える距離になり目を輝かせながらホシノ達へ向かう元生徒会長
「そして今じゃキヴォトス全土で追われてる傭兵団の副団長の」
遂に学校の敷地内まで入ってきた副団長
「ホシノちゃん久しぶりー!」
「梔子ユメ先輩だよ」
人影改め
元生徒会長改め
副隊長改め
梔子ユメは
用語解説
ギスギスヘルメット団
カタカタヘルメット団の後釜。ヘルメット団の中でも大きい派閥で二年前に現れ出した。
仲は別に悪くない。
傭兵団HELLSING
こちらも二年前から現れ出した集団。その全容は謎に包まれており構成人数、本拠地など一切不明
キヴォトス全土に現れ、行く先々で事件を起こしている。金次第で何でもやるとの事。
感想、評価、ここすき、誤字報告すべてが励みになりますどんどん送ってください
我らがノスフェラトゥは次話に登場予定
そういえば最近ヒラコーのドリフターズを読んだんですがやっぱ…セリフ回しを…最高やな!
追記2/11
間違えて旧作の方に投稿してしまいました
そちらは削除済みですので安心してください
お騒がせた人がいたらすいません