次回は主人公の設定を書いてから第一章に移ります。
2025年10月4日追記
星遺物の誤字を修正しました。ご報告ありがとうございます。
《第九軌道人類史》―――魔界上空。
浮遊大陸 GARDEN 『ランヴィリズマ』。
GARDEN 第二層 ”中枢区画” 最高中央指令室 PM13:03。
任務が終わり、我らが本拠点のGARDENへと帰還した俺たちは現在――――
「―――で?魔剣ごと神域を吹き飛ばしたついでに
「あはは...、どうかな?あってるかな?」
「はい!異論ありません!」
苦笑しながら改めて問いかけるメイズさんに、カノンさんがにこにこと笑顔を浮かべながら返答する。明らかにブチギレている人がいる前で何故こんな笑顔ができるのか。やっぱりこの人天然なんじゃないか?肝が据わってるとか度胸があるとは違うよな。
「
「こら、シオン!上層にいるときはちゃんと陛下って呼んで!」
シオンさんはこんな時でも平常運転らしい。というか全員そうか。
「はぁもう、どうなっているのかしらウチのKINGたちはっ!人類の危機よ?滅ぶのよ?そのためのGARDEN、そのための騎士団よ!なのに、作戦は無視するわ、目標物は消失するわ...人類を救う者としての自覚はあるのかしらっ!」
ぐうの音もでないド正論パンチ。確かに普段から結構ふざけ倒してる感があるのは否めない。俺は真面目にやってるからあんま関係ないけど。
「特に闇虚!あなたも立派な騎士の1人でしょ!?どうして久条運命を止めなかったの!」
と思っていた時期が私にもありました。なんか知らんけど巻き込まれた。しかも圧倒的理不尽。こんな横暴が許されるのか。
「お言葉ですけど、ガーデナーとして任務を行っている時の俺は、立場も権限も陛下より下です。そのうえ、陛下から信じてくれと言われて断ることなんてできません」
どうよこれ。割と完璧に近い返答じゃね?部下としては満点だと思うんだけど。同僚でもあるけど。
「......まあいいわ。あなたに関しては、元々の仕事を見事に完遂しているものね。しかも追加の相手もした上での参加。はっきり言って素晴らしい功績よ。今回は不問とします」
おっしゃ、上手く丸め込めたぜ。
「そんな素晴らしい功績を収めた優秀なあなたには、特別にもう1つ任務を与えるわ♪」
なん......だと。そんなバカな、間違いなく事実に基づく正論を言ったはずなのに......絶対上手く丸め込めたと思ったのに......
「......その任務はいつ出動ですか?」
「もちろん、この後よ♪」
「虚、目が死んでる」
「暴走天使を3体も相手したのに......虚くん、ご愁傷様」
「大尉、今度おいしいバームクーヘン食べに行きましょう...!」
おかしいなぁ...許されたはずなのに殺されそう。俺、昨日からまだ1時間しか寝てないのになぁ......しかもその前には5徹してるし。任務中に過労で死ぬんだろうなぁ......
「こーら。マリア、虚くんをいじめちゃめっ、だよ」
女神かな?そのままいい感じに宥めてください。
「それにね、虚くんはまとも寝れてないの。普段からそうだから判りづらいけど、今日はいつもより隈が酷いんだよ。虚くん、昨日寝た時間と今日起きた時間がいつか教えてくれる?」
「昨日というより今日なんですが、寝たのは5時ですね。そのあと6時に起きたので、睡眠時間は1時間です。5徹した後だったので達成感がありました。......というか、メイズさんなら判りますよね?」
「うん、教えてくれてありがとう♡」
俺とメイズさんのやり取りに、他の5人が絶句する。
「5...徹......?1時間......?健康に悪すぎる......」
「もうほとんど仮眠じゃないですか......」
「その状態で暴走天使を3体も同時に相手してたの......?」
「マリア、悪いけどこれは流石に問題だと思う。虚はしばらく休ませるべきだよ」
「そう...みたいね。私もこれは想定外よ......」
「という訳で、虚くんはしばらくお休みです。ゆっくり休んでね♡」
勝っ...た?......勝ったぁぁぁぁぁ!!!!!!
「......いいんですか?」
「もちろん。いーっぱいがんばったご褒美だからね。今日はお部屋に帰っても大丈夫だよ」
「......!ありがとうございます!失礼します!」
過去最速で敬礼をし、司令室を飛び出す。久しぶりの休みだ。じっくりゆっくりしっかりと堪能せねば...!
―――第六層 市街地区画。
軌道エレベーターを降りた俺は、来る連休の恵みにウッキウキで歩道を歩いていた。
すると、前から見知った人物が歩いてきた。
「おっ、虚じゃーん。今日の任務はもう終わった説でてる?」
「
俺に魔術を教えてくれている内の一人で、人類最高峰の魔術師。
魔術の総本山で、魔術師の血族「鶴喰」の中でも数少ない起源に到達した魔術の
「なんかすごい嬉しそうじゃん。もしかして、何か良いことでもあった説でてる?」
「今日からしばらく休みになったんですよ。久しぶりの休暇なので、どうやって過ごそうかと考えてるんです」
「いいね!俺もしばらく授業サボりてぇ...」
あなたちょいちょいサボってますよね?とは言わない。何故なら今の俺はすこぶる機嫌が良いからだ。連休最高!
「それとさぁ、前から言ってるけど」
ぶっちゃけ研究してる方が楽しくて...と話していた鉉覇さんが、徐にそう切り出した。
「俺は年上だからともかく、同年代以下の
「あはは...考えときます......」
いや無理なんですが。俺は普通に歳とるけど貴方たちは固定ですよね?たとえ同年代でもその歳のまま何十年も過ごしてる人たちにタメ口なんて利ける訳ないでしょ。新手の年齢詐称だからね?永遠の17歳をガチでやったらダメなんよ。
まぁ、
「っと、そろそろ
「はい。会議、頑張ってください!」
手を振りながら走っていく鉉覇さんを見送り、やがて姿が見えなくなってから再び歩きだす。
さて、どうやってこの連休を満喫しますか。
―――第六層 市街地区画 闇虚の家。
1人の人間が住むにはかなり広い家。それが、闇虚に与えられた住居だった。
全ての窓が閉ざされ、陽の光を一切拒むその家に家主が帰宅する。
薄暗い部屋の中を通り、闇虚は剣帯から外した愛剣をソファーに放り投げる。
テーブルまで歩き、首に掛けていたペンダントを外し呟く。
「どれくらい経ったんだろうね。毎日大変だけど、なんとかやれてるよ」
返答はない。それもそのはず、闇虚の言葉は
「俺も、そろそろ夢から覚めないとな。いつまでも魘されてるわけにはいかないし」
ペンダントをテーブルに置き、普段着に着替えるべく引き出しを漁る。薄暗い部屋の中でもなお輝きを失わないそのペンダントには、こう刻印されていた。
―――【NEW GAME】と。
騎士ズ「5徹+1時間睡眠で戦闘するとか頭おかしいんじゃねぇの......?」
総司令官「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
闇虚「頭痛ぇし耳鳴りするし幻覚見えそう......でもギリギリ戦えるからお仕事するお(絶望)」
ママ「無理したらめっ、だよ」
さて、次回は闇虚の設定を書きますが、せっかくなのでリリィの本屋風に書いてみます。
ところで解る人には解る話なんですが、リリィの本屋ってめちゃくちゃ地球の本棚ですよね。最初見た時めちゃくちゃ既視感あってびっくりしました。