50人目の『最弱の非公式騎士』   作:ジェネレータ

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久しぶりに更新します。と、その前に二つ謝罪を。
まず長らくほったらかしにしてしまい、本当に申し訳ありません。
理由は色々とありますが、挙げるとするなら別ゲーにのめり込んでいたり、リアルの方でとんでもないことが起こっていたりして更新する暇がありませんでした。

二つ目は投稿の順番についてです。
こちらは前回、先に闇虚の騎士情報について投稿すると予告していたのですが、投稿するのに必要な1000字を越えているにも関わらず1000字以上書けというエラー表示が出てしまい、予定通りの順番での投稿が難しい状態にあります。一つの区切りとしてどうしても先に投稿したかったのですが、どれだけ追記しても同じエラー表示が出てしまうため、やむなく第1章を始めることにしました。大変申し訳ありません。

それでは第1章開幕です。


第一章 かつて英雄だったキミたちへ
第1幕 本日の業務


―――――GARDEN ランヴィリズマ ”軍事局” 第三演習場。

 

「よく聞け。今からお前たちには、俺が独自に編み出した武術の基本となる歩法術を教える」

 

俺を取り囲むように整列する男たちに向けて命令する。

この男たちは最近入隊した新人ガーデナーだ。

彼らにはこれから基礎的な戦闘訓練を行うのだが、そのメニューの1つが俺の歩法術。

 

「俺の歩法術の仕組みは簡単だ。体内で暴発寸前まで煉り合せた『氣』を足裏に集中させ、それを背後に向かって噴射する。制止の際は、足腰と体幹を使いながら『氣』を移動の際とは逆方向に向けて噴射させる。実際にやって見せよう」

 

数歩下がり、スペースを確保する。体内で『氣』を煉り合せ、十分だと判断するとそれを足裏に集中させ、背後に向けて噴射する。瞬く間に数メートル移動した俺に驚愕する隊員たちを尻目に口を開く。

 

「これが俺の歩法術【刹那】だ。これが出来るかどうかで生存率に大きな差が生まれる」

 

これは事実だ。【刹那】が使えない者たちは天使との戦いでの死亡率が高く、逆に【刹那】が使える者たちは生存率が高い。

 

「速度は問わない。各自、まずは5メートル移動できるように取り組め。コツが掴めたやつは徐々に速度を上げろ。制限時間は2時間だ。死にたくないなら死ぬ気で覚えろ。始め!」

 

野太い返事を返し訓練に取り組む隊員たちを見ながら、どれだけの隊員がクリアするだろうと思う。

彼らには昨日までに氣の使い方を覚えさせている。だが、それを噴射させるのは困難だ。俺も習得するのに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

念のためメイズラボの医療棟まで最短最速で搬送できるよう手配しているが、死人も怪我人も出ないことを祈るばかりだ。

 

「頼むから死なずに覚えてくれよ...それが出来なきゃ死ぬからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前の仕事も終わり、ここからは新たな神域の調査任務を行う。

昼休憩を終えると同時に魔剣の孵化、オモイカネ*1の検証で世界の再構築が確認されたため、急遽それを調べることになったのだ。

 

「―――うん、間違いない。今回再現されたのは《第一軌道人類史》、それも後期エルスタニア帝国時代だ。滅亡深度*2は推定B++、一応は生活可能圏か」

 

纏めたデータを本部に転送する。

ギリギリだが、人が全く住めない環境ではない。まぁほっといたら人類終わるから滅ぼすんだけど。

それに、どのみちこの神域はもう駄目だ。とっくに異変が起こってる。

周囲を見れば、ホースのような物がそこら中に伸びている。ある程度の柔軟性があるらしく、屋根から垂れ下がっているものもある。マジでなんだよこれ、きっしょ。

というより......

 

()()()()()()()()()()()()()

 

明らかに空気が変わり、きしょいホース擬きが大量に伸びているにも関わらず、何故か住人が1人もこの異変に反応しない。

まるで自分たちは当たり前の日常を過ごしているとでも言うように。

 

歩きながらさらに周辺を探索する。

すると、道の真ん中に人間大の結晶が生えているのを発見する。

魔剣種子体。魔界と化した大地から無数に生える異物。成長し剣になる前に破壊しなければいけない。

量産型(アーキタイプ)の種子体だ。他にあるかもしれないし、こいつ含めて見つけ次第壊しとこう。

見た限り俺は敵認定されていないようだが、関係無い。むしろ起動される前に潰す。

ショルダーホルスターから拳銃型魔導呪具を引き抜き、種子体に向けて引き金を引く。

流し込んだ魔力が術式を組み上げ、種子体に着弾し爆発する。

葵さんには既に、〝神を狩る剣閃(ブレイドライン)〟の皆さんを招集するよう執行部に通達してもらえるように頼んであるが、彼女たちが到着するまでに数時間は掛かる。それまでに少しでも多く破壊しておこう。

粉々に砕け散った種子体を一瞥しながら、歩を進める。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

爆発音にすら気付かない住人たちを不気味に思いつつ種子体を破壊していると、どこかで誰かが戦う音が聞こえた。

急いで駆けつけると、そこには茶髪の女騎士が複数の天使と交戦していた。

見たところ奮闘しているが、流石に分が悪い。徐々に押し込まれている。

 

「やぁぁぁぁぁ!!!......くっ、このままだと...!」

 

そろそろ限界が近いのだろう。仮初の命とはいえ、見殺しにするのは気分が悪い。何より俺の信条に反する。仕方ない、助けるか。

魔導呪具をショルダーホルスターに収め、蛇腹剣を抜剣する。

取り敢えず、最も近くにいた天使の頭に挨拶代わりの【死閃】を突き刺して殺す。

余波で吹き飛ぶ天使共の首に展開した刀身を巻き付けて一纏めにし、2度3度と振り回してから地面に叩きつける。

叩きつけられた衝撃で首が落ちた天使共を見ながら思う―――()()()()()()()()()()と。

 

「え......?」

 

刀身を連結させた蛇腹剣を鞘に納め、呆然としている女騎士に声を掛ける。

 

「大丈夫ですか?怪我などは?」

「あ、はい!大丈夫です!危ないところを助けていただき、ありがとうございます!」

 

どうやら無事らしい。間に合ったようで良かった。

 

「申し遅れました。私は南エルスタニア市街部生活安全課警邏隊所属、ララベル=レターです!あなたは...?」

「アラン・アウロニスです。訳あって今は1人で行動していますが、普段は仲間と共に旅をしています」

 

思いつきの偽名とそれっぽいカバーストーリーをでっち上げて伝える。流石に闇虚だのGARDENだのは怪しすぎるからな。〝神を狩る剣閃(ブレイドライン)〟の皆さんには葵さんの方から執行部経由で話が伝わるため、設定が矛盾することは無い。

 

「先ほどこの国に着いたばかりなんですが......一体何があったんですか?」

「それが、私にもさっぱりなんです。数日前から空が真っ赤になって、気がついたら街の中まで真っ赤で......赤い結晶みたいなのもどんどん生えてきて、不思議な()()()()もどんどん出てきて......」

「っ......」

 

聞こえた()()()()に、思わず顔が強張ってしまう。

落ち着け、彼女は何も悪くない。ただ知っていることを教えてくれているだけだ。押さえろ。

幸いにも様子の変化には気付かれなかったらしく、ララベルはさらに情報を共有してくれる。

 

「しかも、私以外に異変に気づいている人がいなくて......みんなにはいつも通りのエルスタニアに見えているみたいなんです。

 そのせいで私、部隊長から変な子扱いされちゃってしばらく休めって言われてたんですけど、居ても立ってもいられず......」

「それで1人で戦ってたんですね」

 

普通に凄くね?天使は本来、ただの人間にとっては十分過ぎる脅威だぞ。俺が例外なだけで、ガーデナーですら基本的には1体を数人で囲んで連携しながら戦うもんだ。それを1人で?嘘だろ?よく手足もがれなかったな。

 

「あの、アランさんはあのバケモノたちについて何か知りませんか?あれにやられた人たちはみんな消えてしまって、街の人たちは居なくなったことも気にしてなくて。私、どうしたらいいか......」

「......奴らは天使と呼ばれる存在です。姿や種類は様々ですが、より大型だったりヒト型に近いほど、その脅威度は増していきます。この街に現れたのもその1種です」

「そんな...そんなのが居るんですか!?教えてください!どうすればあれの出現を止められるんですか!?」

「奴らを生み出しているのは、ララベルさんが見た赤い結晶―――種子体と呼ばれる物です。それを破壊すれば、天使の出現は止まります」

「......!」

「先ほど、俺の仲間に援軍を要請しました。じきに来ると思いますが、その間に1つでも多くの結晶を破壊しましょう」

「はい!」

 

*1
正式名称は「円環機構オモイカネ」。

第二層中枢区画の深奥部に位置する管理特区で研究されている特別な星遺物で、人造生成の世界図書館(アカシックレコード)と呼ばれている。

*2
神域の脅威判定の度合い。どれだけ深く歴史が根付いているのか、あるいは現人類が生存可能な環境であるのか、といった要素を総合して評価される。




ここから主人公をどう動かしていこうかめちゃくちゃ難しいです。

【異分子化について】
魔剣の種子体を破壊すると起こる状態。神域から発見されやすくなり、敵からの襲撃や妨害に合いやすくなる。闇虚も例外ではないが、本人は気にせず破壊している。曰く「今破壊しなければどのみち後で相手することになる。それが遅いか早いかだけの違い」らしい。
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