ダンジョンで思い付き短編を書くのは間違っているだろうか 作:ミストリアン
内容:もしも原作のアポロンファミリア襲撃時に、静寂がいたら…
―――何事もタイミングと言うものは大事だろう。
盛大にやらかす瞬間に、とんでもない最大火力をぶち込めばどうなるのか。
それを見たくて、火種の中に爆薬をぶち込むようなものもいたりするわけで…そして、これもまたカオスがそう思ってやったかどうかは定かではない。
ただ、一つだけ言えるとすれば、「やっちゃったぜ☆」というセリフと殴りたくなる笑顔が似合うような相手なのは間違いないだろう。
なぜならば…
「貴様ら、この教会に何をしようとしているのだ」
「「「ーーーーーー!?」」」
「え…誰、ですか‥?」
アポロンファミリアによる、ヘスティアファミリアの拠点であった廃教会の襲撃。
このまま逃げるしかなく、今まさにベルがヘスティアの手を取って逃走しようとしたその瞬間、彼女が現れた。
(…ふむ、どういう状況か、はたまたはカオスの導きか…いや)
周囲が突然出現した謎の女性に警戒する中、その人物は…七年前に、確かに大穴に落ちて燃え尽きていったはずの静寂の魔女、アルフィアは周囲を見渡しながらすぐに理解した。
そこでアルフィアを見ている有象無象達は、まだ良いだろう。
だが、もう一人この場にいる中で、彼女の血が知らせてくる。
(ああ、なるほど。メーテリアの…この子か)
状況をまだ把握しきれていないのか、あっけにとられているベルの姿を見て、アルフィアはすぐに理解する。
この白兎のような少年は、愛した妹と憎むべき男の間に生まれた、大事な甥。
あどけなさがまだあるような少年になっているということは、当時から時間が随分離れた場所へ、出てしまったのかもしれない。
「まぁ、ここがいつなのかは後で聞くから良いとしてだ…貴様ら、ここを破壊しようとしたな?」
「「「っつ!!」」」
ベルから視線を動かして、周囲のアポロンファミリアへ、冷徹な目を向けるアルフィア。
感じとれる絶対強者の視線に対して、全員がびくりと生への衝動と根源的恐怖に身を震わせるが、彼らの答えを待っているわけではない。
いや、違う。ここに破壊の意志を持っていた時点で、既に命運は尽きていたのだ。
「『
たった一言、そのつぶやきだけ。
けれども、暗黒期を知っているものがいれば、それだけで絶望叩き落とされる。
そして次の瞬間には、アポロンファミリアの面々が、一瞬のうちにしてその場から消し飛ばされていたのであった‥‥
「ふむ。あれからずいぶん月日が流れた世界のようだが…まだ、弱いな」
コバエにも満たない冒険者の弱さに、アルフィアは少々がっかりしていた。
あの暗黒期を乗り越えたとしても、結局はまだ足りないものが多すぎたのだろうか。
「えっと、その…助けてくれたんですか…?ありがとうございます」
「む?」
そんな中で、彼女に対して勇気を振り絞って、お礼を言うのはベル。
突然現れた女性に警戒しないわけでもなく、自分一人では対応しきれなかった相手を一瞬にして屠るだけの実力を見て、圧倒的な差があるのはわかっているだろう。
だが、それでも彼女がしてくれたことには感謝の言葉を述べたのだ。
「助けた、というのは語弊があるな。私はただ、妹が大事だった場所を守りたかっただけだが…」
ベルの方に向き直り、淡々とそう告げるアルフィアだったが、その内心では目の前のベルに対して、じっくりと観察していた。
血の感覚から言って、間違いなく愛した妹メーテリアの子供であることは、間違いない。
あの暗黒期の中で、もしかしたら妹の子の元へ向かう未来があったかもしれないが…それはもう、無かった。
だがしかし、何の因果かこの時間軸に飛ばされたのであれば…きっと、何か意味があるだろう。
「…一つ聞きたい。お前は、冒険者になっているのか?」
「え、はい」
傍で彼の主神らしい神の女がはらはらとした表情で見ている様子だが、いかんせん不足感が否めない。
最弱そうなファミリアに籍を置いている様子だが…あの
「良し、なら話が早い。あの程度の者たちを片付けられるほど、鍛えるか」
「はい?」
ここにいられる時間はどれほどのモノなのかは、わからない。
アルフィアはもう、察している。この時間がどれだけの奇跡であり、長くはないものなのかもしれないということを。
ならば、この縁がある間に、妹の子供を徹底的に鍛えるのも悪くはないのかもしれない。
もう終わっていたかもしれない、人としての生。
けれども、与えることができるものがあるのならば、たっぷりと愛情をもって妹の子へ与えてやろうと考えるのであった。
―――同時に、どこかの太陽神の命日も、決定したのであった。
…書いてみて思ったけど、本当にあの場面でいなくてよかった
喜劇どころか惨劇が生まれかねんかった