ダンジョンで思い付き短編を書くのは間違っているだろうか 作:ミストリアン
イレギュラーレコードを見たら書きたくなりつつ…メッチャ時間かかった
―――過去に、カオスは動いた。
それはほんのわずかな気まぐれ、そして同時に再演を望み、カオスの期待以上に彼は動いた。
だがしかし、それゆえにこの未来はまた変わり…交わることはないだろう。
…でも、ほんのちょっとだけカオスもまた、気になった。
彼女のその恋心を、もしも別の場所で…見ることが出来たら。
「アーディ、今日はどうする気だ?」
「うん、リオン。今日はオラリオ復興のためのお祭りのために、ダンジョンで魔石がちょっと必要で…一緒に来てくれる?」
「別に良いが…」
…道化師の騒動も忘れ去られそうになりつつも、その功績は消えたわけではない。
オラリオの中で生きた命が多くある中、復興の兆しを見せ、そんな最中にアーディはダンジョンへ向かっていた。
親友のリュー・リオンともに過ごす日々。
これも、あの首飾りが無ければもしかしたらなかったかもしれない日々であり…
「…ところでアーディ、まだその首飾りを?」
「うん。あの日、私を守ってくれた大事なもので…もう忘れてしまったけど、本当に大事な人の物だからね。壊れていても、大事なお守りが割には持っていたいんだ」
アーディの首にあった、新たな首飾り。
それは、かつて彼女を自爆から身代わりのように守ってくれたかもしれないものであり、アストレアファミリアの面々ももう思い出すことができない、不思議な人からの贈り物。
どうしても肌身離せず、どうもマジックアイテムだったようで元の形には修復不可能。
だからこそ、知り合いのファミリアに頼み、壊れた首飾りを小さく収納できる、特別な首飾りの中に入れることで、お守り代わりに持っているのだ。
「確かに私たちのファミリアに居候していたはずですが…、もう、輝夜もアリーゼも、皆も覚えていないのが不思議だが…ああ、でもアーディの心に残り続けているのは、少し癪なような」
「もう、やめてよリオン。お姉ちゃんの方も、それを知って『どこのどいつかもわからないが、妹に贈り物をした不届き物は確実に見つけ出し縛り上げる!!』と言っていたんだからさ」
「…シャクティなら確かに、やりかねないな」
ドが付くほどのシスコンの剣幕は、リオンも知っている。
だからこそ、もしもいたのであれば、その送り主は発見されたら無事では済まないだろうと、思わず憐憫な表情を浮かべてしまう。
とにもかくにもそんなたわいもない平和な話をしつつ、ダンジョンの中でゆっくりとモンスターを狩り、魔石が十分集まったので帰路に付こうとした…その時だった。
「…あれ?リオン、こっちに道があったっけ?」
「え?…本当ですね、ダンジョンのマップにはない…未開拓領域でしょうか?」
何度も訪れているからこそ、わかっているダンジョン内の地図。
その階層の中で、彼女たちはとある見覚えのない横穴を見つけだした。
未開拓領域…それはまだ、冒険者の手が入っていない場所であり、もしかすると一獲千金のお宝が眠る場所かもしれないし、モンスターが大勢潜む地獄の三丁目なのかもしれない。
警戒しつつも、ギルドへの報告が必要そうなので、軽く調査を行うことにして…その奥で彼女たちは見つけた。
「何でしょうか、宝箱?」
「今時、こんな古典的なものがあるの?」
突き当りにあった小部屋の中に、ぽつんと置かれていた一つの箱。
見るからに宝箱と分かるような感じがありつつも、同時に怪しさも溢れ出ていた。
「うん、百聞は一見に如かず、明けてみようかリオン」
「待ってください、アーディ。何かえげつないトラップが仕掛けられている可能性も…!!」
そうは言われても、好奇心がうずくのであれば仕方がない。
一応、耐異常のアビリティもそれなりにあり、この浅い階層ならばそこまで凶悪な物はないだろうと思っていたが…開けた瞬間、その認識が甘かったことを知らされた。
ペカァァァァァアアアアアアアア!!
「わっ、まぶしぃっつ!?」
「な、何がっつ…ああっづ!?」
彼女たちが感じたのは、猛烈な閃光。
あまりの眩しさに、思わず目を閉じたが、次の瞬間襲ったのは浮遊感。
恐る恐る目を開ければ…どのような状況なのか、すぐに理解させられた。
「「私たち、空から落ちてるーーーーーーーーー!?」」
先ほどまでダンジョンの、地下の中にいたはず。
だがしかし、今二人がいたのは大空であり…下に見えるのは、オラリオのような都市だろうか。
「いや、でも今はそんなことを考えている場合にも…いや、飛べない時点で私たち終わっちゃった!?」
「くっ、アーディ!!」
少しでもどうにかできないかと考えたが、大空ではなすすべがない。
空を飛べるマジックアイテムでもなければ、地面の赤い花として叩きつけられるのは必然であり…死を覚悟した、その時だった。
「---と、なんですか、二人とも、どこから!!」
「「!?」」
落下し、諦めの境地に行きそうになった時に、急に感じた人の声。
そしてすぐに落下していた浮遊感が収まったと思えば…二人は大空で、ある人物に捕まれていた。
「…え?疾風…いえ、でも幼いし、こっちは…?」
「…何て言った、アスフィ?」
「えっと…私でもわからないのですが、その…こちらの二人が、空から落ちてきました」
「えっと‥ヘルメス様?」
…ヘルメスファミリア、そのホーム内。
主神であるヘルメスはオラリオに戻ってきている中、突如として受けた緊急連絡。
眷属であるアスフィが何かを見つけたようで、何事かと思って来てみれば…そこにはあるイレギュラーが存在していた。
「…嘘だろ、リューちゃんはまだわかるとして、アーディちゃん…!?一体何が、いや、カオスの仕業か?それでも何をどうして…?」
「えっと、何がどうして…ヘルメス様がいるし、あの塔はダンジョンだからオラリオなのは間違いないとは思うけど」
「私たちが最後に見た時よりも、光景が違う…いったい、何が起きているんですか?」
「あー、えっと…そうだな、ちょっと整理して説明させてくれ。と言うか、二人の事情も聞かせてほしい」
何が起きたのか、すぐに理解しがたい。
しかし、神としてはカオスが元凶かもしれないということはすぐに思い当たり、ならばあとは当てはめてみるのみ。
そう考えて、お互いに情報を確認し合い…そろって驚愕した。
「嘘、ここは未来のオラリオ…!?しかも、アストレアファミリアが全滅しているって!?」
「私しかいないって、どういうことだ!?いや、それよりもアーディもいなかったって…!!」
「落ち着いてくれ、リューちゃん、アーディちゃん。二人の説明も、こちらとしては知っている者と違ってて…犠牲者数や、道化師の存在…こりゃ、厄介事の香りしかしないぞぉ」
「もしかして、私の苦労が増えますかね?…ははは…」
「あ、アスフィの目が深淵に…」
かくかくしかじかと話し合った結果、どうやら双方ともに異なる歴史がある模様。
その結果を知りつつ、ここはアーディも死亡し、アストレアファミリアも消えた…いや、今は別の都市で新生したものがあるらしいが、それでも違う世界のオラリオだとアーディもリオンもその真実を付け入れがたく、唖然とした表情を浮かべる。
ヘルメス側としても、本当はありえない歴史…まるで誰かが知っていた歴史を元にして、改変したような世界から来た彼女たちに驚かされつつも、何となくその原因にも心当たりが付いてきた。
(…道化師、覆面に、シルちゃんしか知らないはずの身代わりのペンダントや道化師の実力から…うん、まぁ、十中八九、彼が関わっちゃった可能性もあるけど…しょうがない、ここは確認しに向かうほうが良いか)
「…ねぇ、二人とも。多分、その話に出てきた道化師だけど…知っているものかもしれない。記憶があやふやなのはカオスが原因だろうが、もしかすると…」
「えっと、ヘルメス様…ここって確か、アポロンファミリアのホームのはずでしたよね?」
「でもそのファミリアも追放されていると聞くが…どうなんだ?」
「…まぁ、合ってみたらわかるよ。おーい、ヘスティアいるかーい!!」
「どうしたんだい、ヘルメスに…ん?」
…アーディたちが連れてこられたのは、オラリオ中にあるホーム。
ヘスティアファミリアの竈の館であり…その主神である彼女が顔を出した。
「…うぇい?わっつ?なんて言ったの、ヘルメス」
「えっと、この子たちは過去のオラリオからカオスの手でやってきたみたいで…アーディちゃんの方は初対面だろうけれども、こっちはわかるだろ?」
「ああ、そうだとも言いたいけど…マジかぁ、カオスかぁ…ベル君以上に厄介なこと、出してきてないかな?」
ホーム内にて、ヘスティアに説明をしたヘルメスだったが、彼女は半信半疑になっていた。
しかし、実際に触れてみれば、その神の目で見れば嘘はついていないだろうし…なにより、今の眷属の過去の姿と言うのも間違いなさそうだ。
「ちょうど、あと少しで帰ってくると思うんだけど…ベル君たち、これ見てどう思うのかな?」
「少なくとも、リューちゃんは混乱しそうだけど、おいておくのはねぇ…本当ならアーディちゃんのお姉さんがいるガネーシャのところが良いかもしれないけど、ここだと爆殺されているから下手すると偽物かと疑っての大暴走がありそうで…」
「ああ…あの子、そんなことを…しそうだな。まずガネーシャのあたりが煩そう」
『過去から失われた眷属がやってきた!!どういうことだ、ガネーシャ、初耳だ、俺がガネーシャだあぁ!!』
「「…絶対に話が進まないだろうなぁ」」
二神の頭に浮かぶのは、騒がしい姿。
確実にわかりつつも、話を進ませる気がなさそうなそんな奴に、まともにできるとは思えない。
そんな二人の様子を見て、ガネーシャを知っているアーディたちも思わず同意してうなずいてしまった…その時だった。
「ただいまです、神様ー!」
「あ、帰ってきた!!」
「今のが、ここのホームの…」
「…あれ?どうしてだろう、私…」
…何で、思い出せなかったんだろう。
忘れたくなかった、だからこそ大事なお守りも身に着けていた。
二度と、出会えないんじゃないかと思っていたのに…
「アーディ…?」
「っつ…!!」
ホームに響いた、一人の少年の声。
それを耳にした瞬間、まるで記憶の蓋がはじけ飛ぶような感覚をアーディは感じ取り、思わず駆け抜ける。
ヘルメスもヘスティアも、思わず静止を試みるが間に合わず、そのまま彼女は駆け抜け、その姿を目にする。
「あれ?お客さんが?」
「誰が…え?」
そこに集っていたのは、このファミリアのメンバーたち。
その中でも一人は、今も一緒にいた親友をもう少しだけ成長させたような少女の姿。
そしてもう一人は、どうしても彼女が再会したかった人の姿で…
「あ、アルーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「え、どなた…グェェェッツ!」
「べ、ベル様が謎の女に抱き疲れてそのままぶっ飛んだぁぁぁ!!」
「え、嘘、あれ、だって…え、いやいやいや、アーディだとしても、何しているんですかぁぁーーーーーーー!!」
涙を流しながら、ベルに抱き着き、油断していたがゆえに勢いよく進む彼女を抑えきれずにぶっ飛ぶようにして外に押し出されたベル。
そんな様子に何が起きたのか理解しきれなかったが混乱するエルフの声などが混じり、しばしの間カオスな状況になるのであった…
「…減点、あの程度で対応できないのであれば、後で撃つ」
…どこからともなく聞こえてきた、鬼畜エルフの声にベルが青白くなったのは言うまでもない。
通している時点で多少は警戒しつつ、
確定でやらかしたのはわかるため、これが無くても雷が落ちていた可能性は大
…どっちにしろ、彼に平穏が無いのか
いや、最新刊(20215/10時点での21巻)でもないのか…
…短編とかそういうのを呼んでも、ほぼ無いような?
むしろ平和な時があった…?