「あっさでっすわー!!」
「あっさでっすよー!!」
「おわあぁぁぁあああ!!い、いきなり何すんのさ!」
昨日、キメラに襲われかけたり、友達が魔術師だったと知ったり、今度はカラスに襲われたり、森に落ちたり、目がキマったセイバーに殺されかけたり、綺麗な目のしたセイバーに助けられて今度は自分がマスターになったりと色々と激闘の1日を経てソシア家のふかふかのベッドで幸せに眠っていた凌駕はいきなりお腹の辺りで凄まじい衝撃が起こり、飛び起きた。見れば両側から思いっきり飛び込んで来た2人の頭が見えた。
「ははは、随分とモテモテだねマスター」
「セイバー………見てないで助けてくれよ」
「ふふ、この国では人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られるからね。手助けはできないさ。さっ、着替えていこうかカミラのお父君が朝食を準備して待っているよ」
声がする先を見れば笑いながら見守っているセイバーの姿が見えた。どうやら朝食の準備ができたみたいで3人一緒に呼びに来たようだ。急いで着替えをしてから向かうと、そこにはカミラの両親だけでなく昨日のマスターやサーヴァントも大半が来ていた。
「おう凌駕君おはよう。昨日の疲れは取れたかな?」
「おはようございますアルフォートさん。気持ち良くてぐっすり眠れました」
「それなら行幸だ」
アルフォート=ソシア。この屋敷の持ち主でカミラの父親。凌駕は深くは知らないがカミラのお爺さんと凌駕のお爺さんは生前どちらも親交があったらしく、日本に来る際はその伝手を辿って来たらしい。隣で座っているのは奥さんのミレイア=ソシア。顔つきや雰囲気は硬く冷たく感じるがよく2人が遊びにくる際はおやつなどを作ってくれたりする。
「そこにいたか凌駕、食事が終わった後にちょっといいか?」
「俺に?。ごめん、今日は学校があって5時半までは無理だ」
「そうか、だったら今日その時間帯に来てもらえたら有り難い。改めてセイバーの異常や魔術について粗方教えたいからな」
朝食の準備中で待っている間にキャスターから呼び止められた。凌駕に用事があったようだが学校があって時間を合わせられないがそれでも来て欲しいと。どうやら昨日のセイバーの異常や自分が魔術師でもないのに魔力切れを起こしていないことを調べてみたかったらしい。
「それにしても学校か………。偉そうなことは言えないがちゃんと学んだ方が良い。まあ己の場合は師から武と心を重視した修練をしていただいたが何事も無駄になることはない」
「ありがとなキャスター。ところで疑問に思ったんだが」
「なんだ」
「キャスターの師匠って誰なんだ?弟弟子も居たそうだし」
「己の師か。あの方は豪快でな己というより己の血族が当時敵対とまではいかなくても反目していた時期にスケベ親父に送られてな、あそこで実の子のように接してくれたのだ」
「良い人だったんだな」
「ああ、良い御方だ。勿論シゴキはキツくてな、あの時ほど地獄の苦しみにも匹敵する事を受けたのはなかった」
「弟弟子ってのは」
「あのアホはな〜〜〜。情が深いっちゃ深いんだがそれの数倍血の気が多くて、初対面の時には奴は己を殺そうとして来たぞ」
「え!大丈夫だったのか!?」
「己があのアホ弟弟子に深くを取るわけがないだろう。勿論一回地面の中に頭を突っ込ませてわからせをしといた」
「もしかして仲悪いのか」
「仲が悪い訳はないな。どっちかっていうと己はアイツを可愛がっていたぞ。物覚えが良いから師と一緒に色々と教え込んだな」
「そうか、教えてくれてありがとうキャスター」
「こっちこそ、まさか一度死んでまた蘇るとは、そして己のマスター以外にあの時のことを話すとは思えなかったぞ」
キャスターが話す生前の話はどれも楽しそうに話しており、聞いてる凌駕も温かく感じていた。話しているうちにジェイコブとマリアが6歳ぐらいの小さな女の子と一緒に歩いてくるのが見えた。その女の子はキャスターを見つけると一目散に駆け寄ってきた。
「キャスター抱っこして」
「マスター分かったから一旦落ち着いてくれ」
「マスター?その子が?」
「うん!あなたカミラお姉ちゃんのお友達だって。シャンティだよ、よろしくね」
マスターと呼ばれた子は抱っこされながら凌駕に笑顔でそう言った。見れば周りの大人も困ったように笑っていた。そういえば、カミラとこの人たちは一体どういう経緯で知り合ったのだろうか。
「坊主、俺に聞きたい事でもあるのか」
「ああ、えっとジェイコブさん達ってカミラとは同じ陣営以外でどういった関係なんですか」
「そんなことか。簡単なことでカミラの爺は俺の古くからの友人で。アイツに味方として頼まれたが、あのバカ体壊して更に孫娘の方に令呪が浮かんだから急遽ロードの若造の方に話通して日本に来たのだ」
「ロードってもしかしてカミラの言っていた教授のことか」
「あの娘が言っていたのか、なら話が早いな。何と言っていた」
「とても凄い魔術師だって」
「………まあ………ある部分で見ればまあ………そうだな………」
兎にも角にも4ヶ月前にカミラの師匠であるロード、エルメロイ二世から話をしてから日本に渡って来ている。サーヴァントの召喚は時計塔の干渉を受けないように本拠地であるフィンランドで三人とも行ったそうだ。先にカミラとその家族が日本に行ってその後に合流したとのこと。
「マリアさんもその時計塔から来たんですか?」
「いえ私は魔術師じゃなくて代行者ですね」
「代行者?宗教の人か何か?」
「まあそういったものの戦闘員だと思ってくれれば良いわ。本来なら監督役の補佐として出るつもりだったんだけど令呪が宿っちゃったから特例としてマスターになったの」
「監督役ってカミラの言ってたデジテリウスっていう人?その人に一度挨拶に向かいたいのですが知っていますか?」
「あの人は1ヶ月前に一回こっちに来たって連絡は来たんですがそこから暫くそっちに向かえないって連絡が来てそっから音信不通なの。余り知らないけど悪い人ではなかったから心配だわ」
聞けばマリアさんはカミラ達とは面識はなかったが、三ヶ月以上前に合流して日本には先週来たらしい。そうなるとシャンティはマリアの妹なのか。そう聞こうと水仙は更に話しかけようと思ったが間が悪く食事の時間になった。この後も学校に行く準備があるため帰って来た後にキャスターに聞く事にした。
ソシア家の食事も終わり、凌駕は花音とカミラと一緒に車に乗って学校に向かって行った。アルフはまだ怪我で激しい運動は出来ず、また襲撃されるかもしれないため代わりに現代用の服に着替えているセイバーが運転することになった。
「セイバーさん大丈夫?車運転出来ないでしょ」
「お前初めて会った時は昔っぽい衣装してたから現代に適応出来るのか?」
「カノン安心してくれ、こう見えても私は騎乗:Aあるんだ。それに聖杯からの現代知識もあるし朝に簡単に乗せてくれたから危なくない場所なら多少ぎこちなくても運転できるさ」
その言葉の通り、道中危なげなく学校まで着いた。セイバーとアナキンは白のサーヴァントからの護衛のため、学校付近に霊体化で待機している。教室に入ると朝だからか活気に満ちた喧騒が響いている。
「大変な事に気づきましたわ」
「どうしたカミラ、もしや小論文の宿題の直しを忘れた訳ではないよな」
「いえそれは更に直しの直しをしてこいと言われましたわ。重要なのは図書室で牛鬼さんの本を借りようと思ったのに図書カードを家に忘れてしまいましたわ」
「ダメじゃねえか!まあ俺持ってるし借りられるけど、やっぱ白のキャスターについては少しも分からないのか?」
昨日の夜、少しだけしか会議ができなかったが白のアサシンの牛鬼について各々調べることになったが、他のマスターやサーヴァント達と話し合っても白のキャスターの手がかりが出てこなかった。女性、蟲使い、黒い炎、マスターに操られているがもしかしたら戦えないか素人なのか。
セイバーもそうだ。昨日、キャスターとテュルパンと一緒にセイバーについて少しだけ調べてもらったが、最悪なことに剣の宝具以外の真名を唱えられないことが分かった。更にセイバーの正体に近づけるような出身地や生前親しかった人のフルネームなどの情報もきれいにノイズが走っているため、こっちで推理するか呪いを解くかでしか対処法がない。
「宝具が分かればまだ目星がついたのですが、もし使われてたら私達死んでましたわね」
「ない物ねだりはできないか。時間がある放課後に調べるか」
放課後、泣いて頼まれたカミラの小論文を手伝い終わらせた後、二階の図書室に向かった。図書室では、図書委員である花音が週一の委員活動で受付をやっている。
「はいはーい2人とも多分欲しい本は先に持ってきたよー」
「助かりますわカノン。これで早く分かりますわ」
「サンキュー花音。ちょっと見てみようぜ」
花音が取り寄せた本や図鑑には牛鬼についてこのようなことが書かれていた。
牛鬼とは残虐で獰猛な妖怪。毒を吐き、人間を喰らうが、その中の一部は悪霊を祓う神の化身も存在するらしい。海岸の他、山間部、森や林の中、川、沼、湖にも現れるとされる。特に淵に現れることが多く、近畿地方や四国にはこの伝承が窺える「牛鬼淵」「牛鬼滝」という地名が多く残っている。
「なあカミラ。調べるがてらに聞いても良いか」
「大丈夫ですわ。寧ろバッチこいですわ」
「マスターってどうすればいいんだろうか」
調べ物がてら、凌駕はカミラに聞く。天開凌駕は魔術を知らない、昨日の死の恐怖はまだ残っており戦うなんて嫌で今すぐにも逃げ出したい。けれども関わってしまったならば、カミラや花音の友達が危険ならば、少しでも力になりたい。サーヴァントが聖杯大戦に呼ばれるのは叶えてほしい願いがあるからだ。セイバーもそうならマスターとして、助けてもらってお返しとして聖杯を取りたい。そのためにはマスターとしてどう動けば良いのだろうか。
「簡単ですわ。勇気があり臆病で自分のサーヴァントや仲間に誠実であれば良いですわ」
「勇気や誠実はともかく、臆病って……」
「マスターとサーヴァントは一蓮托生。マスターが死んでしまったらサーヴァントも魔力切れで消える。だからこそ蛮勇に身を任せず、ちゃんと逃げるという当たり前の行動が取れれば良いですわ。死んでしまったら私やカノンが悲しくて泣いちゃいますわ。勿論臆病なだけではいけないので勇気も必要ですが」
そう聞いても未だ自信が無かったが、自信満々にそう答えるカミラを見てひとまずの納得が得られた。
「そうか。取り敢えずセイバーとはお互い話し合って理解し合うことにするよ」
「それが良いですわ。お互いのことを知らなかったら元も子もないですわ」
「2人とも何話してるのー?」
「何もないですわー」
カミラとの問答を経て、少しだけ聖杯大戦に臨む意識が改善された。花音の元へ走って行ったカミラに向けて凌駕は心の中で感謝した。
「やっぱ学校の図書室ではこれぐらいしかねえか」
「うーん、一つ一つの伝説とか見た感じあの時牛鬼さんが持っていた刀、探してみた感じ自分が殺された時の武器でしかないですわ。効果は刀が自動追尾して飛んでくるとかそういうのでは」
「でもアレ骨だったんだよね。骨の刀なんて余り聞いたことないなあ」
三人寄れば文殊の知恵とはいうが情報が少なければどうしようもなく、一同は一旦サーヴァント対策に各国の偉人や神話の本を借りて一度カミラ邸に戻る事にした。
「ねえリョーガ」
「安心しろ。ちゃんとセイバーのヒントになりそうなのも借りてる。あのターバンの帽子から多分インドかエジプトの人だろ」
「インドだったら凄いですわ。人間でも世界を滅ぼすことが可能な人が沢山出て来ますわ」
「え、何それ怖いんですけど」
「インドと中国は描写がイカれてたんだよな。そういや今日も俺たちはカミラん家に泊まりに行くのか」
「連絡を取ってみましたが勉強を疎かにしなければ一週間泊まっても良いと許可を貰えましたわ」
「良かったねリョーガ!」
「う、うーーーーん?」
昨日よりも自分と花音の親について何も知らなかったことに驚愕しながらも借りた本を片手に図書館を出る。校門を抜けて少しした先にコンビニがあり、そこにアナキンとセイバーが買ったおやつを片手に待っていた。
「おかえり。分かりそうなのあったかい?こっちもアナキンに教えてもらいながらもスマホで調べてみたけど」
「ついさっきキャスターがこっちに来ると連絡が来ました。ここなら人通りも多いので敵サーヴァントの襲来も来ないでしょう」
「アナキンー。私にはいちごオレを買ってくださいましー」
「ここでおやつタイムにしようよみんな。せっかくだからアナキンにガチャ引いてほしいな。幸運:A+はほんと幸運の神様だよー」
「そう思って買ってきましたよ。それはそれとして私にも少しやらせてくれ」
「私も良いかなマスター。アナキンがやってて興味が沸いたんだ」
「良いよ。なんなら簡単な所だけどやらせてあげようか」
あらかじめ買っていたアナキンからおやつとジュースを貰い、キャスターを待ちながら車の中でゲーム大会をする。念の為、索敵と威嚇目的としてセイバーに雷鷲を上空で巡回させている。因みに彼らがやっているのは『クロニクル・サーガ』という蘇った英雄や偉人たちが戦うというどこかで聞いたことのあるゲームだ。
「うわ硬!そしていやらし!セイバーだいぶイヤな戦法とってくるね!」
「フフフ、バフデバフや状態異常は基本だよ。そら回復と回復封じでじわじわと削り取ってあげよう」
「待って待ってまって………ギャーーーー死んだーーーー!!ちょっとカミラちゃんフレのニムロド貸して、防御無視の必殺技で負かしたる!」
「いやここは協力して2対1であの畜生セイバーに正義の鉄槌を下しませんと!」
「フフフフフフフフ!私の、ボクのヴァスキとヘクトールと趙公明とベヒモスのカチカチ毒殺チームに勝てるかな!毒対策しても無駄無駄、ボルジア兄妹で貫通するよ!」
「俺のデータだけどな」
「ポテトチップス開けるぞ」
「分かりました。ジュース貰いますね」
セイバーの外道戦法により煮え湯を飲まされたおとぼけガールズはタッグを組んで悪鬼に挑む。白熱する3人を横目にお菓子とジュース両手に観戦する。暫くすると外から車のドアにノック音が鳴り、見ればキャスターが立っていた。
「少し遅くなった。調子はどうだ」
「やりましたわ!ついにあの毒殺魔に勝ちましたわ!」
「そ、そんな、ボクは勝ってたはずなのに……HPは削れてなかったのに……即死だなんて!」
「へっへっへ、バフデバフ?状態異常に回復封じ?くだらないね、閻魔王で全員地獄送りにすれば関係ないね!即死最高!」
「この調子だが?」
「真面目にしてほしいと言いたいが、まあ暗い雰囲気になるよりは良いか」
度重なる敗北によって、悪鬼に勝利するためにプライドを捨てて禁忌に走った2人と更に上回る外道をかまされた男が1人。セーフゾーンである屋敷の外にも関わらずこの危機感の無さであった。見かねたキャスターは苦言を呈するが、口元は何処か困ったように苦笑している。
「それで、白のサーヴァントの気配は如何だった」
「昨日感じた魔性の気配が2種感じた。こっちを遠回しに見ててここで挑んでくる様子は無かった。大方本拠地を探りに来たんだろうね。そっちは」
「こっちも同じだ。恐らくそれが牛鬼というアサシンとそのマスターだろう。一応幻術を掛けといたからバレないと思う」
アナキンが運転する中、先ほどとは打って変わって真面目な雰囲気を出しながらセイバーとキャスターはお互いの情報を出し合う。マスター達は周りを見ながら来ないかどうか警戒している。
「ああ、そういえば知らないサーヴァントを見つけたぞ」
「どっち!?」
会話をしながらキャスターは思い出したかのように見たことないサーヴァントを見つけたと言う。さりげなく言ったため聞き逃すところだった他の全員は思わず大声を出してしまった。キャスターは眉間を抑えながら続ける。
「それが奇妙でな。見つけたは良いんだが、使い魔を飛ばしながらこっちを見ていたからな。白だと思ったがそれにしてはあのアサシン共からは離れていたからな。多分どこの陣営につくか探っているぞ」
「え?違う陣営に所属って出来るの?」
「出来るぞ。たとえこっちが白を壊滅したとしても聖杯を手にできるのは一組だけだからな。結局は残った陣営内で戦うことになる」
「安心してくれ。私はどうしてもという願いはないから」
一緒に戦った筈の味方と今度は聖杯を得るために戦う。そのことに顔を青くした凌駕を見てセイバーは慌てて声をかける。
「アナキンとキャスターはどうなんだ?」
「私はまあ呼ばれたから来たぐらいにしか。キャスターは」
「己は願い自体はあるが、お前達を倒してでは意味をなくしてしまう。まあ終わった後に己以上に切実な者がいたら譲ろうかと思っている。ランサーやバーサーカー、テュルパンも同じだろう」
「そっか、それなら良かった」
「みんな仲良くが1番だもんね」
一応仲間割れの展開は無くなったことを知って凌駕達は胸を撫で下ろす。ならば他のマスターは如何なんだろうか。カミラはそのためにイギリスから日本まで飛んできたらしい。
「え、私はただアナキンやバーサーカーさんと同じサーヴァントと友達になるためにやってきましたが」
「ちょっと待って!!!???」
凌駕は3ヶ月の付き合いでしかないが、この破天荒お嬢様の習性はある程度分かっていた筈だ。だが返ってきたのは斜め上にかっ飛んでいった答えだった。叫んだ凌駕の姿を見てアナキンは日本に飛び立つ前に見たカミラの教授の姿となぜか重なって見えた。
「だって義兄上が連れてきたバーサーカーさんが羨ましくて私も友達になってくれるサーヴァントが欲しくなったのと、伝聞でしか聞いたことのない聖杯を手に入れたいのですわ!教授からも半人前の私に激励の証としてアナキンの触媒をくれたのですから!勿論お爺様からもなるべく聖杯取ってこいと言われてはいますけどね」
真相はもちろん違っており、本人は2度と自分のミスで胃壁を削らないようにに自分から配達の荷物を取りに行っていたが、幸か不幸か配達ミスで触媒探しをしていたカミラの手に渡り、そして更に彼女の義兄上が一緒に居たためフィンランドに飛ばれアナキン、シモ・ヘイヘが呼ばれた。なお下手人二人はその後はフィンランドに来た教授に怒りのアイアンクローとドロップキックを顔面に容赦なくかまされた。
「それよりもキャスター!一緒にゲームしましょう」
「やろやろ!私のヘラクレスを中心とした勇者パーティを使ってもいいよ」
「ハァーーー。まあ良いだろう、精々揉んでやるか」
「おっとキャスター、初心者の癖に生意気だね。せっかくだから鼻っ柱をへし折ってあげるよ」
「………心配した俺が馬鹿だったな」
新たなゲーム仲間を作って盛り上がる4人を見て、凌駕は運転中のアナキンと目を合わせながらそう呟いた。
その後はキャスターにも『クロニクル・サーガ』を布教したところ、恥もプライドもなく閻魔王、ハデス、イザナミ、エレキシュガル、ヘル、テスカトリポカの絶対即死軍団を使い始めた。結果急遽この和マンチサーヴァントを倒すため同盟を組まれ、屋敷に着くまで車内では煽りと奇声が響いていた。
「ひゃー、まさかあの魔物から気づかれずにくすねた使い魔でもこっちに気づいてくるとは」
遠く離れた山奥で足をひきずりながら降っていく男が見えた。見れば現代風のきぱつな服装をしており、後ろには盾と斧を携えている。
「しかしまだマスターがどれも若いとはいえ、あっちのサーヴァントは全員良い戦士だ。特にあの顔が怖いのはあの台風みたいな奴を簡単にのせてしまうぐらいには強そうだな。一見ナヨナヨしてそうなのも中々出来る。これは悪感情を持たれない内に青に入った方がいいな」
そう言いながら男は近くに置いてあったアタッシュケースを開けて、包帯を取り出す。どこにも傷はないように見えるが。
「まっ、どうせ最終的には奪えばいいか」
サーヴァントにある筈がない物、右手には紅く輝く令呪の証があった。
次回、「魔術講座」
「時間になったね。それじゃあいくよ!!」
「カミラとー」
「花音のー」
「ア、アナキンの〜」
「「「なぜなに?サーヴァント!はっじまーるよー!」」」
「今回は新たに令呪を持っている謎のサーヴァントが現れたね」
「ええ、ですが今回はそのサーヴァントではなく、青のサーヴァント。ランサーさんを解説したいと思いますわ」
「待ってました!ランサーは三騎士の一つで強いんですよね」
「ええ、強いには強いんですが今回の場合では中堅ぐらいになってしまうんですわ」
「ウッソ!?え、ステータスがそこまで高くないの?」
「それはまずランサーさんのステータスを見てから判断をお願いしますわ」
青の陣営
ランサー
真名 ◼️◼️◼️◼️◼️・◼️◼️◼️◼️◼️◼️
属性 中立・中庸
好きなもの 仁義
嫌いなもの 狂人
ステータス
筋力:B
耐久:B+
敏捷:B
魔力:C
幸運:C
宝具:A+
保有スキル
対魔力:C
保有スキル
勇猛:A+
反骨の相:B
対火傷:B
対毒:B
宝具
???
ランク:A+
種別:対軍宝具
「あれ?意外と悪くないのでは?」
「その通りですわ。それではお馴染みのスキル説明いきますわ
まず一つ目の勇猛。威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化し、格闘ダメージを向上させますわ。
次に反骨の相。これは同ランク以下のカリスマが効かないのですわ。
最後に対火傷と対毒。ジェイコブ翁やランサーさんから聞いたことがあるのですが、どうやら宝具を自分から守るために生前ルーンやら何やら自分の体に刻み込んで獲得したようですわ」
「宝具から守るために?ランサーの宝具って危険なの?」
「実物だけは見たことありますがまあアレが使われたらまずキャスターさんの力を借りなければ大地が焼き腐るほどですわね」
「本当に!?マズいじゃんそれ!」
「だからランサーさんも生前一回も使用してないと語っていましたわね」
「うーんピーキーな宝具。でもそれ抜きにしても強くない?」
「そうなのです。普通の聖杯戦争なら優勝する目処は立つぐらいには強いのです。宝具抜きで考えてると円卓の騎士でモーさんと渡り合えれますがランスロットやガウェインなどのトップ層の円卓の騎士には勝てない、そういうぐらいの強さですわ」
「うーん、そう考えるとそうなのかな。ランサーのステータスは高いけど他のサーヴァントはそれ以上に強いの?」
「というより聖杯大戦というのはただ強いだけでは勝てないのです。過去の聖杯大戦では支援役や偵察役のサーヴァントが最後まで生き残っていたこともあるのですわ。なので最後まで生き残れるという意味ではどうしても辛口判定になってしまうのですわ」
「うーん、強いだけじゃどうにもならないのか。ゲームで例えると『母神転生』みたいにただ弱点属性をつける仲魔だけでなくバッファー、デバッファーも必要になるのか。勝てるか心配になってきちゃった」
「………まあそれらを無視する波旬がいるのですが」
「ん?カミラ先生なんか言った?」
「何でもないですわ。それじゃまた次回!」
「まったね〜!」