Fate/Pseudepigrapha   作:アマノオーカ

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3ページ目 魔術講座

「帰ったぞきゃすたー」

「お帰りなさい牛鬼さん。お仕事はどうだったんですか」

「途中までは観測できたんだが、変な霧が目にかかった隙に分からんくなった。あっちにもきゃすたーか、ますたーと『煽動者』と同レベルの魔術師がいるな」

 

『黒鳥』と共に出かけていた牛鬼はそう呟きながらキャスターの隣に座り、手掴みでカボチャパイを食べる。実際、青のアーチャーが来る前にあのピカピカ光って鬱陶しい鳥がなければ直ぐにでもランサーとアーチャーを呼んで始末しにかかっていた。それにしても。

 

(途中からますたーから気づかれずに『鳥』の支配権を奪っていた奴。次あったら殺すべきか)

 

自分のマスターである『黒鳥』、死徒から使い魔を知らず知らずのうちにしばらく奪っていたサーヴァント。アレは危険だ。感じただけであるが牛鬼の脳内には警報が鳴り響いて止まず、バーサーカーとは別種の危険存在だと訴えている。直ぐに『黒鳥』へと報告したが、既に気づいて『鳥』を解放し逃走していたため捕まえることが出来なかった。

 

(どうするか、一応ますたーは対策するとは言っていたが、あのろくでなし共に偵察として使われ時間があるのか?)

「牛鬼さん牛鬼さん」

「なんだきゃすたー。早く話せ」

 

今後の敵にもなる推定青のサーヴァントのことを考えていたら、キャスターが頬を膨らませながら袖を引っ張ってくるため困ったように話を聞く。

 

「あのあの、私が作ったカボチャパイ。如何ですか?」

「ん、美味いぞ。それがどうした………おいなぜ口角が上げる」

「ふっふーん、何でもないですよー」

 

キャスターが作った料理が美味しいか聞かれたため正直に答えたがそれを聞いたキャスターがニヤニヤして笑っていたため眉をひそめる。それに対して何でもないと答えながらも更に料理の準備を始めた。

 

「キャスターにアサシンおるかー!」

「ランサー少し声を潜めろって。すまんキャスターにアサシン入るぞ」

 

キャスターが作った料理を更に食べているところにまだ幼く見える少年と、むさ苦しい髭の生やし黒い鎧を身に宿したサーヴァントが部屋に入って来た。

 

「何だらんさーに坊主、今飯を食ってるのが見えんのか」

「ああ、だがアンタも今すぐご飯食べるのをやめるぐらい重要なことが起こったんだ」

 

アサシンの軽口を受けてランサーのマスター、『F』は言葉を続ける。

 

 

 

 

「今、アーチャーのマスターが殺された」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさいませお嬢様が、た………」

 

霊薬に加えテュルパンとマリアの洗礼詠唱により、激しい戦闘は出来ないがそれ以外なら問題無く動けるようになったアルフがカミラ邸の駐輪場の前で待っていたが、出てきたのは勝者の余裕を見せる男とそれに続く負け犬4人衆、そしてそれを見て呆れる運転手だった。

 

「なぜ………対即死攻撃のイザナギとザグレウスとナイチンゲールにフンアフプーとイシュバランケー………更には天敵のアナトまで用意したのに!」

「己とお前たちの差は簡単だ。プレイヤースキルの差だ」

「うるせー!毎ターン即死判定ばっかやってきた奴が偉そうなこと語んじゃねえ!」

「そうだそうだ!キャラがいない中、ちゃんと基本を守って戦ってるボクを見習え!」

「うふふふふふふふふふ………勝ち誇るのも今のうちですわ。次からはティアマト、テュフォン、ルシファー、天津甕星、バロール、アポビスのワンターンキルパで今度こそ正義の鉄槌を下して差し上げますわ………!」

「お嬢様、廃課金者の本気は流石にカッコ悪いのでは」

 

となんだかんだ言いながらも屋敷の中に入っていく。今は料理の準備をしていて、お風呂も沸いており、早く風呂から出る男性陣が先に入ることになっている。

 

「しっかしキャスター、現代の風呂っていうのはとても心地良く感じるなあ〜」

「知っているかセイバー。風呂というのはな、魔術がなくても温泉に出来るんだ」

「何だとキャスターそれは本当か!?それはどうやって出来るんだ」

「これを見ろセイバー!これを風呂に入れると………ホラッ!泡が出て温泉みたいになっただろう」

「凄いな!見てくれマスター、ランサー、テュルパン、アナキン、ジェイコブ!現代って凄いんだな!」

「本当にな。私が生きていた時代では風呂はとても貴重だからこんな風に楽しめられるとは考え深いな」

「そうじゃろそうじゃろ!ジェットバスっていう泡が出てくるのもあるからそれも楽しんでみい!」

「………確かに驚くがあそこまで興奮するか普通?」

「まあ、ジェネレーションギャップの一種な感じで」

「数世紀以上離れているがな」

 

 

広々とした風呂場で入浴剤によって温泉みたいになったお風呂を見て興奮した二人に賛同するテュルパンとアナキン。それに呆れる他三人。サーヴァント達がひとしきり風呂を楽しんでいる間にマスター二人は早々に出るためサウナで整え始める。

 

「ところで凌駕よ。お前さん魔術に興味はないかね」

「いきなり怪しい宗教団体みたいなこと言ってきましたね!?」

 

サウナに入ってしばらくしたらジェイコブからとんでもない提案が飛んできた。凌駕としては昨日魔術回路とかいうのが体の中にあることが分かっただけのパンピーにそれ言われてもどうすることもないのだが。

 

「いや実際自衛手段は必要だぞ」

「サーヴァントから逃げる時にですか?」

「いや魔術師から身を守るためだが。もしかしてカミラは教えてないのか。仕方ないお前さんに聞くが魔術師についてどう思う」

「えーと。取り敢えずカミラやあなたなどからは、良い人達が多いなと感じましたが」

「うんそれ全部極々の希少なダイヤモンドな。実際は自分のためなら家族すらも魔術の材料に出来るどころかそれを目的に子どもを作る人でなしを超えた畜生よりも酷い連中が大半だぞ魔術師は」

「ちょっと待って!!??何その人間文化とかけ離れた宇宙人の集団は!?」

 

ジェイコブがいうには聖杯戦争に参加していたマスターはサーヴァントを使役していただけでも高い価値があるため、少しでも意識高い系は材料としてホルマリン漬けにしてこようとするのが基本であるという。それを聞いた凌駕は事の重さを知ったのか段々と顔色が青くなっていった。

 

「ジェイコブさん。これ本気でどうしたら良いんですかね」

「まあ取り敢えず自衛手段と守ってくれる後ろ盾は必要だな。後ろ盾はカミラに任せれば問題ないぞ。自衛手段は俺に任せろ。昔教職を取っていたからな、一丁前に教室を開いたあの馬鹿弟子にも教師として頼まれてたし、セカンドライフ最初の弟子はお前さんに決まりだな。後で先ずは基礎を教えてやろう」

 

教えるという部分で楽しそう笑う。カミラが言っていたがどうやらジェイコブは誰かに教えるのが大好きみたいだ。その後は風呂から出て夕食も終わり、テュルパンとキャスターと一緒にセイバーの解呪作業に入ってる間にカミラとジェイコブで凌駕の魔術教室が始まった。部屋に入ると真面目そうにメガネをかけて黒板に何かを書き込んでいるカミラの姿があった。

 

「まず魔術ってのはそれぞれの文化や門派の違いはあるが基本的には術者の体内、もしくは外界に満ちた魔力を変換する機構。各門派が取り仕切る基盤(システム)に従い、術者は命令(コマンド)を送って用意されていた機能(プログラム)を実行する、というのが大まかな流れになっている。その命令を送るのに必要な電気代わりが魔力だ」

「そして万能ではなく鋼の錬金術師みたいに等価交換の法則によって出来ることは起こせますが出来ないことはどうしたって出来ませんわ」

「質問なんだが、文化や門派によって違うのは体質的にどの門派がいいのか変わってくるのか?」

「そうだ。もっと詳しくいえばお前さんの認知によってくるがな。まあお前さんに教えるのは俺が時計塔で教えていた強化だ。強化とは簡単にいえばナイフを鋭くしたりガラスを硬くしたりすることだな。応用力は高いがそれゆえに極めるのが難しい」

「難しいなら初心者の自分には無理では?」

「極めるのならな。お前さんには全ての魔術師が使える単純な身体強化だけを覚えてもらう。そのためには魔術回路のオンオフが出来るようになってもらわんとな」

「オンオフ?いつでも開いてるわけじゃないんですか?」

「あん?そりゃおめえ普通いつも電気のランプがつきっぱなしな訳ねえだろう、セイバーが現れた時、もっといえば令呪が発生した時に強烈な痛みを感じなかったか」

 

ジェイコブからの指摘通り、白のセイバーに斬り殺されかかった時、凌駕は右手を中心に身体全体が周囲全ての環境と繋がっているように感じていた。

 

「しかしアレは一種のトランス状態みたいなものだからいつでもできる訳じゃ」

「平気平気よ。俺がまずやるのはそのトランス状態をいつでも解放できるようにするためだからな。カミラ、アレ持ってこい」

「アイアイサー!」

 

ジェイコブに言われ、魔術について簡単な用語を書き終えたカミラは奥から白いアタッシュケースを引き摺り出し、中から様々な薬品の臭気が一斉に漂い始めた。その中には白い粉が入った袋があった。

 

「ねえジェイコブさんアレ」

「ただの魔術師に取っての小麦粉だが」

「小麦粉ってもう隠語じゃ」

「吸うと宇宙まで吹っ飛ぶような感覚がする魔術製の小麦粉だが」

「もう吸うってアレじゃん!」

「違う、コレは魔術で編み出した物であり、吸ってもヤっても依存性はなく身体も壊さない法に引っかからない合法の小麦粉だ」

「あの、やっぱ地道に努力する方針じゃダメっすか?ちょっと流石に法律に引っかかるかどうかのグレーゾーンに手を出すのは流石に」

「そうかあ。カミラ、やれ」

「おけまる。さあこれでリョーガさんも私たちの仲間入りですわ!」

 

世界的に治安の良い法治国家の日本で育った凌駕にとって幾ら合法と太鼓判を押されていようがアブないクスリに手を出せない。だが魔術師という頭がだいぶおかしい種族、それも人間的に負の側面ではなく正の側面に振り切っている者たちにとっては気にすることではなく、凌駕がびびっているのを見たカミラは合法小麦粉を紫色に光ってドロドロしている薬品に混ぜたのを飲ませるのではなく、凌駕の近くの床にぶち撒けて強制的に匂いを嗅がせにきた。

 

「ガアァ!」

「悪いなあ坊主、聖杯大戦という厄ネタに巻き込まれたお前さん自身を恨むんだな」

 

咄嗟に口と鼻を手で覆うとした凌駕だったがいつの間にやら後ろにいたジェイコブに羽交締めにされダイレクトに吸わされてしまう。次の瞬間凌駕の肉体は強烈な痛みと感覚が敏感になり、更には身体から魂が抜け出て上空に飛び出していくような錯覚がした。

 

「それじゃ聞くぞ。今お前さんは銀河系にまで辿り着いたか?」

「あ、あ、青いと思っていたら黒い、宇宙って黒かったんだな。s、そ、こに銀色の宇宙船みた、い?いや星、にも見える」

「ゲハハハハハハ!よーしその調子だ坊主!一発ですぐイケるとは存外上手いな、慣れさせて自分からも魔術回路のオンオフが出来るようになるまで数回イかせてやる!」

「激レア過ぎて凶運の証な銀星を見つけるなんて凄いですわ!あ、もし火星や土星、天王星に海王星に着いたら未だ発表されてないアルテミット・ワンを見つけて教えてくださいまし」

「あっあっあっあっあっあっ………あああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

この夜、この空間からは悪魔のような邪悪な笑い声と哀れな犠牲者の声が響き渡っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんか猛烈にマスターの人権が無くなっているような気配が感じた」

「気のせいだろう」

 

悪魔の実験のような何かが行われている部屋とは別の一室でセイバーはキャスターとテュルパンから呪いの除去をしてもらっている。

 

「昨日今日で見た結果だが、この呪いを付けたのは死徒?っていう魔物なんだよな」

「そうだけど、やっぱアイツ結構腕が良かったのかあ」

「腕が良いどころの話ではないぞ。この呪いを強さは二十七祖レベルがかける呪いじゃな」

 

解呪作業をしていたキャスターとテュルパンの表情が次第に険しくなっていく。

 

死徒二十七祖。西暦三百年頃、朱い月と魔道元帥、そして最後になるはずだった神秘が激突した後に発生した最古の死徒。彼らは物理法則で編まれた地球に穿たれた二十七の吸血鬼の王国にして特異点である。王国という表現から察せられる通り祖はそれぞれ彼ら独自の巨大な領地や数多くの配下といった勢力を持ち、死徒二十七祖と戦うということは一つの大国と戦うといっても過言ではない。そのため、ある代行者が現れるまで討伐することは叶わず、封印するしかなかった。

 

「なあセイバーよ。お主にこれをかけたのは誰じゃ?薔薇か、詩人か、それともまさか黒血かキャスターが調べてきた扇動者か?」

「アイツは自分のことを詩人と言っていたな」

「それなら大丈夫じゃな。儂の感性によるが、儂にも生きていた頃の詩人は無害に等しかったからな」

「改めてテュルパンから話してもらっていたが死徒、それも二十七祖とは神々と同列とは。先週会ってきた面々や二十七祖でない者もまさしく傑物揃いだな」

 

マリアが日本に来る前の更に前、監督役のデジテリウスが友人であるゼルレッチに呼ばれて聖杯大戦への介入について話し合っていた所にキャスターが割り込んできていたのだ。そこからある程度この聖杯大戦についてや黒幕の目的を聞いてきたのだ。

 

「やろうとしている隠者っていうのは聖杯で自分の世界を作りたい。しかしそれをやると世界が滅んでしまうから私たちが止める。けれども隠者は一般的な二十七祖と違って秘匿されていて私たちのマスターは知らないんだっけ」

「そうじゃな。儂が生きていた頃、大帝の治世の時にも二十七祖は既にいたがその時の第十位は既に奴だった」

「そしてゼルレッチという残っている魔法使いがいうには隠者を最初に確認できたのは西暦700年頃、中東で行われた偶像破壊運動(イコノクラスム)とやらで当時反対派だった市民を殺し回っていた死徒、それが隠者だったと。そして2回目にして最後に確認したのは第一次十字軍。当時奴は隠者ピエールと名乗って民衆十字軍を率いれていたことだけが分かっている」

 

十字軍と聞いてセイバーの表情が硬くなる。彼にとって苦い経験でもあるのだろう。しかし隠者の形跡がそっから先が分からないのだ。並行世界運用ができるゼルレッチにすらも観測させない魔術か何かを持っているのだろうか。

 

「テュルパン、キャスター。この聖杯大戦を開催したのはカミラちゃんか、それとも隠者なのか」

「儂が聞いた話だと23年ほど前、元々はカミラの父上が亜種聖杯戦争として開催しようとしたのだがトゥリファスという所で行われた本家の聖杯大戦で大聖杯が無くなって聖杯戦争が執り行われなくなったらしい。だが半年前に一通の手紙が届いたそうじゃ」

 

“古き雪の一族の末裔たちよ、日本にて聖杯大戦を執り行う。そこで貴様らの祖から続く大望も完遂できる”

 

この手紙は千鶴市の管理者(セカンドオーナー)である神崎家から送られてきた物だった。カミラ家と神崎家からの関係は無いに等しいが、10年前アルフォートが行えず、手に入れなかった聖杯を手に入れるため日本の聖杯大戦に行くことに決めた。そこでカミラの祖父、パトリック達が時計塔に勘付かれる前に聖杯大戦への準備を先んじて完了させた。遅れて気づいた時計塔側は子飼いの魔術師を一人だけしか送り込めなかった。

 

「キャスター、君ほどの魔術師なら大聖杯の位置が分かるんじゃないのか?」

「無理だ。やってみたが黒い何かがこの街を覆っているから上手く探すことが出来ん。第一己は魔術は使えるがキャスターの適正が低い。これならアサシンやランサーの方が高いほどだぞ」

 

セイバーの疑問にキャスターは右手を振って否定する。事実、キャスターの適正はセイバーとランサーの次ぐらいに高く、一番最上なのはアーチャーで次にバーサーカーである。

 

「まあキャスターとてそれなりには出来るがな」

「マラジジが聞いたら憤死するかもしれんことを言うでない。そしてセイバーよ。お主の解呪作業、大分出来たぞ」

「本当か!具体的にはどんな感じなんだ?」

「まだお前の真名を取り戻せなかったが、お前の宝具の四つのうち」

「三つだ」

「………四つじゃないのか?」

「いや三つだ」

 

キャスターがセイバーの霊基を粗方検査して確認した限りだとセイバーの宝具は四つあった筈だが、何故だかセイバーは三つしかないと否定する。

 

「分かった三つしかないな。そのうちお前が持つ剣以外は真名が言えず出力が弱まるがいつでも使える様に呪いを弱めれたぞ」

「助かるよキャスターにテュルパン!これなら他のサーヴァントとも戦える様になれたよ」

「まあまだ呪いが解けていないから油断は禁物じゃが喜んでもらえてこっちも嬉しいわい」

 

セイバーの喜びも束の間、外の廊下から衝撃が起こり、怒声と叫び声、バタバタと走ってくる音が聞こえてくる。

 

「この薬漬け犯罪者予備軍ども待ちやがれ!!危うく俺が宇宙で変な蜘蛛によって水晶になる所だったじゃねえか!」

「落ち着け坊主、俺たちゃお前さんを廃人にするつもりはハナからねえんだ!それで魔術が使えれる様になれたからいいじゃねえか」

「そうですわ、そもそも凌駕さんのはあくまでもトランス状態によって見た宇宙っぽい何かですので実際にはそういうことは起こっていませんわ!。なのでちょっと許してくれませんか」

「許すかー!これでも食らえー!」

「ランサー!ランサー何処にいる!?早く俺を助けろ!」

「オンギャーーーー!!!アナキーーン、ヘルプミーーーーーーーーーー!!!!」

「……………え、何この状況………」

 

急いで顔を出した三人が見たものは、必至の形相で逃げるジェイコブとカミラの後ろを鬼の形相をした凌駕が背後に2、3発の光り輝く魔力球を生み出して二人に放っている状況だった。

 

時は少しだけ遡り、ジェイコブとカミラから強制的に嗅がされた霊薬の臭気によって強制トリップ宇宙の彼方へさあ行ってこいを3回された凌駕は無事に魔術回路を自由自在に動かせる様になれたが。

 

『いやぁ無事に成功して何よりですわ』

『坊主もお疲れさん。これでお前さんも無事に魔術師への階段の一歩目を歩ける様になれたな』

『………そうだな。俺も今アンタらにお礼がしたい気分だ』

『大丈夫ですわ。友達ですもの一々気にすることはないですわ』

『よせやい小っ恥ずかしいわ。………ところでお前さん俺に対して敬語がなくなってるな』

『いや、これはちゃんと俺の感情を抑えるためにやらないといけないんだよ』

『りょ、凌駕さん、あの、何だか怖いんですが』

 

段々と凌駕の反応が変わっていっているのに気づいたカミラは少しずつ距離を取ってドアの近くまで行く。ゆっくり振り向いていた凌駕の顔は穏やか過ぎていっそ怖さまで感じるほどの雰囲気を醸し出している。

 

『新しく手に入れた魔術の力、ちょっと判定してくれよクソッタレェェェ!!!』

 

我慢が効かなくなったのか菩薩の顔から一瞬で般若の顔に染まった凌駕はそのまま背後から大きな音を立てながら魔力球を生成させ、自分を廃人化しかけた下手人二人に打つける。

 

『うわっちょっ待て!坊主落ち着け!』

『糞爺これが落ち着けられるか!一回ぶっ飛ばしてやる!』

『逃げますわジェイコブ翁!』

 

先んじて凌駕の怒りに気づいたカミラはジェイコブの腕を引っ張って部屋の外から逃げ出す。続いて凌駕も追いかける。そして現在に続く。

 

「あ、すまん私も一緒に殴っていいか?」

「「死んじゃうからやめてぇ!!」」

 

当たり前の話だが、事の次第を知ったセイバーは自分のマスターをとんでもない目に合わせた二人を守るどころか一緒にお灸を据えようとする。

 

「サーヴァントの殴りは不味い。まあアナキンとランサーに電話しとくから頑張れよ」

「話は終わったかじゃあいっぺん吹っ飛べ」

 

キャスターの無慈悲な発言の後に待っていた凌駕は魔力球を三つ生成させて二人にぶつける。

 

この日、外の花壇の世話をしていたアルフは窓の外から人が吹っ飛んでいくのを目撃したと発言していた。

 

 

次回、「ライダー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこですわ花音ちゃん!」

「任せてカミラちゃん、………よし尻尾ぶった斬れたよ!」

「よっしゃやりましたわこれで装備の素材が全部足りましたわ」

「……………おーいそこのゲーマー。この部分はお前ら二人が司会を務めてるんじゃないのか」

「待ってクエストクリアするまで待って」

「というか凌駕さん、貴方どうやってこの空間に来れたんです?」

「変な爺さんが現れて何も言わずに連れ攫われて気づいたらここに居ただけだ」

「変な爺さんから?」

「よしクエストクリア〜。てっありゃ?二人ともこんなの落ちてたよー」

「ちょっと見せてみろ、“本編で語れないかもしれない裏設定をここで発信しろ”とのこと」

「なるほどなるほど、しばらくはそっち方面を語ってほしいわけですわね」

「続きがまだある“最初はこの世界で起こった聖杯戦争について”とのこと」

「任せてくださいまし!花音ちゃん、黒板持ってきて」

「おお、何もない空間から黒板が出てきた!何で!?」

「まあおそらく宝石好きなお爺様から最初のプレゼントですわね」

「知ってるのかカミラ」

「まあその人も本編に出てくるかもしれないのでまた今度に。そして描けましたわ」

 

 

〜天才美少女令嬢カミラちゃんの誰でも分かる聖杯戦争の歴史〜

 

 

第一次聖杯戦争 1810年頃 結果、失敗

 

聖杯を作ったアインツベルン、遠坂、マキリの三家(御三家)による冬木で行われた最初の聖杯戦争。まともなルールがなく、令呪も無かったためサーヴァントの反乱が起こり中止に。

 

 

 

第二次聖杯戦争 1860年頃 結果、失敗

 

令呪を始めとした細かなルールが幾つか定められて再戦。御三家以外にも四つの参加者も集った。結果は勝敗が定められることなく全滅。

 

 

 

第三次聖杯戦争 1930年頃 結果、勝者ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア

 

この聖杯戦争で初めて魔術協会と聖堂教会が介入し、言峰璃正を監督役として置く。結果はダーニックが他の参加者や御三家、帝国陸軍やナチスドイツを出し抜いて勝者となって願いの『一族の今後の未来を繋ぐ』ことを叶えた。

 

だがダーニックが願いを叶えた後、聖杯戦争に参加していなかった何者かが大聖杯を持ち去った。この時下手人は聖杯戦争の構造をばら撒いて姿を隠した。結果的に世界中で亜種聖杯戦争が勃発した。

 

この時、アインツベルンが「ルーラー」のサーヴァントを呼び出した。このサーヴァントが後の『イギリスの聖杯大乱』の首謀者の一人となった。更にこの聖杯戦争を参考にして、アサシンのマスターとして参加していた魔術師の一族がシステムを模倣し、末裔に当たるファルデウスの所属する組織の手によって後述するスノーフィールドにおける「偽りの聖杯戦争」が開催される。

 

 

 

第一次聖杯大戦、第四次聖杯戦争 2001年頃 結果、失敗

 

イギリス全土で行われた聖杯大戦。後に『イギリスの聖杯大乱』と呼ばれ忌み嫌われる。赤と金に分かれた聖杯大戦。だが、金側のマスターがセイバーのマスターを筆頭に直ぐに仲間割れを始め、そこに赤の陣営も攻め込んできたため、結果ランサーのマスター、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトとライダーのマスター、ウェイバー・ベルベット。通称グレートビッグベン⭐︎ロンドンスター先生以外がサーヴァントも含めて漏れなく戦死したとのこと。

 

そのため、残った赤の陣営で第四次聖杯戦争が行われる筈だったが、聖堂教会からの監督役の筈だったシロウ・コトミネ。正体は前回の『ルーラー』、天草四郎時貞がアサシンのマスターであり、セイバー、アーチャー、ランサー、バーサーカーのマスターを洗脳してそのサーヴァントを使役し、聖杯を取ろうとした。ルーラーの毒牙に罹らなかった赤のライダー陣営、唯一戦死しなかった金のライダーのサーヴァントを有する時計塔師弟、この聖杯戦争に呼び出された正規の『ルーラー』、そして何処からかやって来た死徒で組んだ連合。キャスター陣営の三国志がイギリス全土を巻き込んで起こった。第五の魔法使いの来訪やそれによって時計塔の一部の消滅、アーチャーとキャスター、そして何故か起こった死徒同士の争いによってロンドンが大打撃を受けた。戦争終盤に謎の怪鳥によって大聖杯が持ち去られて強制的に終了となった。

 

生き残ったのはケイネス、ウェイバー、キャスター以外の赤のマスター。そして何処かに消え去った謎の死徒だけであるという。この時に同盟に組みいったライダーのマスターの甥、カウレス・フォルウェッジ・ユグドミレニアが魔術回路をやられ、若隠居したケイネスが指名した次期当主ライネス・エルメロイ・アーチゾルテが成長するまでの代行としてなったウェイバーことロード・エルメロイII世の教え子となった。シロウ・コトミネの暗躍により5年くらいは時計塔と聖堂教会の仲は悪くなったという。

 

 

偽りの聖杯戦争 2015年頃 結果、スノーフィールド一部消失

 

そして一番の問題児達が揃った聖杯戦争。第三次聖杯戦争に参加していたアサシンのマスターの子孫がアメリカ合衆国と協力して劣化品の大聖杯を造って行われた偽と真のサーヴァントと分かれた聖杯戦争。

 

情報が倒錯して詳しいことはわからないが、謎の巨大台風でスノーフィールドの一部が消失。偽のアサシンと真のアーチャー、偽と真を繋ぐセイバー以外のマスターが生き残ったらしい。その内参加していた義兄上は偽のバーサーカーをなんか変な方法で受肉させてエルメロイ教室に連れて来たらしい。

 

義兄上の証言

“いやーなんか最初はバーサーカーさんと一緒に行動していたんですが、着いてホテルで泊まった次の日にフェムさんとその御友人のカスペルさんと一緒に行動することになって、で何やかんやあって真のアーチャーやグガランナっていうのを倒したり空から降ってきたミサイルの威力を抑えたりしてたらなんか終わっちゃって、バーサーカーさんが受肉したのはカスペルさんのおかげです。なんか「僕」がいうにはとんでもなく古い魔術だったらしいです”

 

グレートビッグベン⭐︎ロンドンスター先生の質問

“何か言うことは”

 

義兄上の返答

“とても楽しかったです!!”

 

グレートビッグベン⭐︎ロンドンスター先生の返答

“ーーーーーー!ーーーー!ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!(人間の言語ではなくなりました)”

 

 

 

第二次聖杯大戦

 

現在、千鶴市において聖杯大戦の開催者にしてセカンドオーナーである千鶴家率いる白陣営とカミラ家率いる青陣営に別れている。

 

 

 

 

「ふう。とても疲れてしまいましたわ」

「あれがカミラの言ってた教授と義兄上かあ………教授っていう人やっぱ苦労してんな」

「カミラちゃんの義兄上ってとても似ているね!」

「そうですわ!義兄上は私が教室に入ってにっちもさっちもつかない時から世話を焼かせてもらって、今ではパパとママと一緒にドライブやBBQに連れて行ったりしてますわ」

「そうか何だかんだ良い人なんだな。話は変わっちゃうがこの大聖杯を盗んでいった奴は誰も知らないのか?」

「そうなんですわ、御三家は第四次聖杯戦争で凛先輩が日本で留守番していた遠坂家以外全員没落。多分一番情報を持っていたアサシンのマスターが残していた資料が紛失して分からなくなってしまったんですよ」

「一番内容が濃く感じる第一次聖杯大戦とは一体?」

「それはです、ウグッ」

「「カミラ/カミラちゃん!?」」

「い、いきなり口を閉じられましたわ……、近くに紙が、どれどれ“それはいつか本編の断章で書く予定だから待って”」

「まあ一番重要そうな内容だからな仕方ねえか」

「まあこれぐらいで終わりましょうか。それではまた次回!」

「「待ったね〜!/待ったな〜!」」

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