それは、トゥインクルシリーズ3年で出るべき、そして出たいレースを走り引退まで指折り数えてた時だった。
「ジャーニーってさ、結構乙女な所あるよね」
「は? 」
彼とトレーナー室で寛いでいる最中、唐突にそう言われた。
「えっと、それはどういう意味で」
「言葉の通りだよ、この3年間を通してジャーニーがどれだけ先を見て、計算を積上げれるか分かった……だからこそ、ジャーニーと〝再会した時〟の行動が可愛らしいなって」
「…………………」
言葉が出なかった、と言うよりも何も考えられなかった。いきなり過去の自分の行動を乙女のようだと言われ、その上で可愛いと言われ頭が真っ白になってしまった。
「ふふふ」
「とっトレーナーさん、私がびっくりしてるのに笑うなんて……少々酷いんでは無いですか」
「ごめんごめん、ジャーニーが珍しい表情を見せてくれたからさ。ソレがとっても可愛くて……ついね? 」
どうしましょう、今すっごく頭に熱がこもってます。バチバチというか、クラクラというか、今自分を客観的に見れてる事が奇跡とすら思える程です。心臓なんてもはやライブ会場です。
彼はいつの間にかソファの隣に腰掛けて居た。
「ジャーニーが俺から声掛けて欲しくて、思い出して欲しくてあんな事をしてたって思うと……愛おしく思えるんだ」
「あのっごめんなさい……ゆるして下さい」
自分の過去の行いと、その時の心情を察せられ、たまらず私は腕で顔を隠してしまう。
「とっくの昔にキミのあの遠回しな〝アプローチ〟は許してるよ、それよりも腕は退けて欲しいな」
「おっお断りします」
「なんで? 」
「今、とても貴方に見せれる顔をしてませんので」
「どんなキミも見せて欲しい……って、思ってても? 」
「ッ!?」
「俺も、どんなキミでも頼りになる男になるからさ……ダメかな? 」
あぁもう……いつの間にこんなにも、御しにくいお方になってしまったんでしょうか。
「わかり、ました」
「ありがとうジャーニー……うん、綺麗だ。そして可愛い」
「トレーナーさんは、存外意地悪ですね」
「俺もまだまだ子供だったって、事かもね」
「と言うと? 」
「ほら、よく言うじゃないか……好きな子ほどいじめたくなるって」
このっ………この人は、本当にっどこまで私の事を想っていてくださるんですか!
「トレーナーは、一体どれほど私の事が好きなんですか」
「キミを生涯のパートナーにしたいと思うほど」
「えっ? 」
「本当は卒業まで我慢するつもりだったけど、我慢が効かない子供でごめん……好きだ、結婚しよう」
トレーナーは私の左手を握り、そう言った。左手の薬指には、何時はめたのか分からない〝指輪〟があった。
「えっあ……あ……」
私は、現実が分からなくなった。今この瞬間の、理想と夢と願いを煮詰めた光景に、現実を捨ててもいいやと思ってしまった。
「はい、私も貴方をお慕いしております……何時までも」
彼は私の涙を指で拭いながら、熱い抱擁を交わしてくれた。