計算高い旅人、されど乙女   作:ゴールド@モーさん好き

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第1話

 それは、トゥインクルシリーズ3年で出るべき、そして出たいレースを走り引退まで指折り数えてた時だった。

 

「ジャーニーってさ、結構乙女な所あるよね」

「は? 」

 

 彼とトレーナー室で寛いでいる最中、唐突にそう言われた。

 

「えっと、それはどういう意味で」

「言葉の通りだよ、この3年間を通してジャーニーがどれだけ先を見て、計算を積上げれるか分かった……だからこそ、ジャーニーと〝再会した時〟の行動が可愛らしいなって」

「…………………」

 

 言葉が出なかった、と言うよりも何も考えられなかった。いきなり過去の自分の行動を乙女のようだと言われ、その上で可愛いと言われ頭が真っ白になってしまった。

 

「ふふふ」

「とっトレーナーさん、私がびっくりしてるのに笑うなんて……少々酷いんでは無いですか」

「ごめんごめん、ジャーニーが珍しい表情を見せてくれたからさ。ソレがとっても可愛くて……ついね? 」

 

 どうしましょう、今すっごく頭に熱がこもってます。バチバチというか、クラクラというか、今自分を客観的に見れてる事が奇跡とすら思える程です。心臓なんてもはやライブ会場です。

 彼はいつの間にかソファの隣に腰掛けて居た。

 

「ジャーニーが俺から声掛けて欲しくて、思い出して欲しくてあんな事をしてたって思うと……愛おしく思えるんだ」

「あのっごめんなさい……ゆるして下さい」

 

 自分の過去の行いと、その時の心情を察せられ、たまらず私は腕で顔を隠してしまう。

 

「とっくの昔にキミのあの遠回しな〝アプローチ〟は許してるよ、それよりも腕は退けて欲しいな」

「おっお断りします」

「なんで? 」

「今、とても貴方に見せれる顔をしてませんので」

「どんなキミも見せて欲しい……って、思ってても? 」

「ッ!?」

「俺も、どんなキミでも頼りになる男になるからさ……ダメかな? 」

 

 あぁもう……いつの間にこんなにも、御しにくいお方になってしまったんでしょうか。

 

「わかり、ました」

「ありがとうジャーニー……うん、綺麗だ。そして可愛い」

「トレーナーさんは、存外意地悪ですね」

「俺もまだまだ子供だったって、事かもね」

「と言うと? 」

「ほら、よく言うじゃないか……好きな子ほどいじめたくなるって」

 

 このっ………この人は、本当にっどこまで私の事を想っていてくださるんですか!

 

「トレーナーは、一体どれほど私の事が好きなんですか」

「キミを生涯のパートナーにしたいと思うほど」

「えっ? 」

「本当は卒業まで我慢するつもりだったけど、我慢が効かない子供でごめん……好きだ、結婚しよう」

 

 トレーナーは私の左手を握り、そう言った。左手の薬指には、何時はめたのか分からない〝指輪〟があった。

 

「えっあ……あ……」

 

 私は、現実が分からなくなった。今この瞬間の、理想と夢と願いを煮詰めた光景に、現実を捨ててもいいやと思ってしまった。

 

「はい、私も貴方をお慕いしております……何時までも」

 

 彼は私の涙を指で拭いながら、熱い抱擁を交わしてくれた。

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