融合次元。それは4つの世界が存在する遊戯王ARC-Vにおける融合召喚が中心となった世界である。スタンダード世界やシンクロ世界、エクシーズ世界と同様にデュエルモンスターズが存在し、赤馬零王が総責任者として関わっているとされるデュエル戦士養成機関「アカデミア」が存在する。
この世界のアカデミアの目的は遊戯王GXと異なり、デュエル戦士の育成及び全次元の統一にある。デュエルはスタンダード次元のような娯楽としての遊びではなく、戦争のように戦う手段として扱われ平行世界にあたる遊戯王GXでは生徒として扱われていた彼らは軍人として訓練に励んでいる。
そんな世界に遊城十代として転生した俺は、俺の知る遊戯王を取り戻すためたった一人でデュエルを続けていた。
「行けネオス! ラス・オブ・ネオス!」
「うわぁぁぁぁ!?」
ネオススペースの戦士であるネオスの攻撃が相手の
笑いもなければ感動もない悲しいだけのデュエル……こんなものに一体何の価値があるというんだろうか。遊城十代になってHEROデッキを使い続けて、楽しいデュエルができると思ったら先に戦争。
転生する時に神様が遊城十代が実際に使っていたデッキを全て使わせてくれるというからあのときは嬉しさがあったけど……。
「ありがとうネオス」
デッキに戻ったネオスに感謝の言葉を贈る。俺がこの世界に来てからずっと一緒に戦ってくれたエースモンスターだからな。
「さて……こっからどうすっかなぁ」
本当なら今すぐにでもアカデミアに乗り込んで暴れてやりたいところだが、あそこにはエクシーズ次元派遣軍の総司令官に任命されたエドがいる。迂闊なことはできそうにない。
本当なら物語のどこかで離反したことになっている天上院明日香とご対面できればいいんだが、そううまくいくはずもない。というよりも俺という存在がいる以上、物語にどんな影響を与えているのかがわからない。
「しばらく様子見かなこれ」
近くにあった廃墟化している家の中に入り身を隠す。オシリスレッドの服装をしているためか、アカデミアの人間と間違わられたり脱走兵と勘違いされたりするからな。まぁ、なら服脱げばいいだろって話だけど、オシリスレッドの制服は遊城十代を表す一つだからな。
〜〜〜数日後〜〜〜
今日も今日とて隠れながらあちこち移動している。時々アカデミアの人間に見つかってデュエルを挑まれるが速攻勝利に収めて逃げる。長期戦が俺によって不利なのでね。
「見つけたぞ! 脱走兵よ!」
「ちっ! またかよ」
デュエルアンカーをデュエルディスクに繋がれ強制デュエルが行われる。
「「デュエル!!」」
逃げられないのならやるしかない。圧倒的な力で倒す。幸い手札は割といいほうだからな。
手札はE・HEROエアーマンにE・HEROバーストレディ、融合とミラクル・フュージョン、E・HEROネオス。うん、これ勝てるな。
「先行は私がもらうぞ!! 私のターン! 私は古代の機械兵士を通常召喚!!」
古代の機械兵士
効果モンスター
星4/地属性/機械族/
攻撃力1300 守備力1300
(1):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。
「そしてカードを2枚伏せターンエンドだ!! さぁ、貴様に何ができる!?」
ちょっと待って? いつも思うけどこの人らなんでこれでドヤ顔できるの? ねぇなんで?
「……俺のターン、ドロー。手札からE・HEROエアーマンを通常召喚! 効果によりデッキからE・HEROを手札に加えることができる! 俺はデッキからE・HEROフェザーマンを手札に加える!」
これで俺はとあるモンスターを融合召喚することができる。相手がチェーンしてこないことから特殊召喚を防ぐ類のカードは伏せていないと予測できる。もしかしたらE・HEROエアーマンの効果をわざわざ防ぐ必要もなかったと思ってるのかもしれない。油断はできん。
「俺は手札から融合を発動! 手札に存在するE・HEROフェザーマンとE・HEROバーストレディを融合! 見せてやるぜ! マイフェイバリットカード! 現れろ! E・HEROフレイム・ウィングマン!!」
E・HEROフレイム・ウィングマン
融合・効果モンスター
星6/風属性/戦士族
攻撃力2100 守備力1200
「E・HERO フェザーマン」+「E・HERO バーストレディ」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
赤と緑の二色が綺麗に半分づつ分かれて色づけされた背中に立派な翼を生やし、右手にドラゴンの頭を模した砲身を備えている融合HEROモンスター。原作にて遊城十代のエースカードの一体として登場している。
「なっ!? 融合召喚だと!?」
いや何を驚いているんだよお前。融合次元にいるんだから融合召喚は当たり前なんだろ……?
「赤い制服を着ているからてっきり落ちこぼれだと思っていたのに」
あ、そこはGXと似た感じなんだ。
「まだまだ行くぜ! 手札からミラクル・フュージョンを発動!! フィールド、または墓地に存在するHEROモンスターを除外して新たなHEROを登場させる!! 墓地に存在するE・HEROフェザーマンとE・HEROバーストレディをもう一度融合するぜ!!」
「なに!? 墓地のモンスターを使って融合だとぉ!?」
だからなんでそんなに驚くんだよ。融合使いなら当たり前だぜこれくらい。
「来い、渦巻くHERO! E・HEROGradeTORNADO!」
墓地に行った2体のE・HEROが合わさり暴風を起こしながら1体のモンスターへと進化する。暴風から現れたモンスターがフィールドに降り立つと相手のフィールドのモンスターを威圧する。
「GradeTORNADOの効果を発動! このカードが融合召喚に成功したとき、相手フィールドのモンスター全ての攻撃力と守備力を半分にする!!」
「な、なにぃ!?」
GradeTORNADOの効果で
「バトルだ! E・HEROフレイム・ウィングマンで攻撃! フレイム・シュート!」
フレイム・ウィングマンのドラゴンの頭を模した砲身からエネルギーが放たれ古代の機械兵士を貫き爆破させる。
アカデミア兵
ライフ
4000−1450→2550
「くぎゃぁ!!」
「まだまだこんなもんじゃないぜ!! フレイム・ウィングマンの効果! 相手モンスターを破壊し墓地に送ったとき、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!」
立ち上がったフレイム・ウィングマンがなぜかアカデミア兵にアッパーカットを行った。本当になんでだ?
2550−1300→1250
「も、もうやめてくれぇ……こ、こうさ」
降参なんてさせない。強制デュエルを挑んだからには地獄を見てもらうぜ!!
「させるか!! とどめを刺せGradeTORNADO!」
俺の指示を聞きGradeTORNADOが暴風を起こしアカデミア兵を上昇させる。それがダメージとなりアカデミア兵のライフはゼロとなった。
ダメージを食らったアカデミア兵は悲鳴を上げながら背中から地面にぶつかり気絶する。俺は素早くアカデミア兵の持っていたデュエルディスクを奪い取り破壊する。この世界で軍人としてデュエルする奴らのデュエルディスクには相手をカード化させる力が備わっていることを知っているから。そして負けたプレイヤー自身もカードにさせる。だからこそ破壊する。デュエルディスクがプレイヤーにとっての剣であることは承知の上だ。
「……誰もカードにさせないためだ、悪く思うなよ」
気絶したアカデミア兵をそのままにして俺はそこから立ち去る。騒ぎを聞きつけた奴らがここに来る可能性があるからな。
そう言えばGX世界で登場したヘルカイザーはこの世界ではプロデュエリストとして活動していたらしい。多分まだ俺が出会ってないだけかもしれないが。
丸藤亮……デュエル・アカデミアを卒業したプロデュエリストにしてデュエル・アカデミアの帝王通称カイザー亮と呼ばれるほどの実力者。とあるデュエリストとのデュエルがキッカケでなんか闇堕ちしてヘルカイザーとなってたけど……どうやらこの世界では闇堕ちすることなくプロデュエリストとして生きていたらしい。
今も生きているのかは分からないが、もし出会えたらデュエルの一つくらいはやってみたいな。なにせGX本編にて遊城十代に敗れることのなかった実力者だ。ワクワクするだろ。
「はぁ…少し疲れたな」
ため息を吐きながら割と新しい椅子に座る。アニメ本編には登場しない俺が拠点としている廃墟施設。ここにあるもののほとんどは俺がリサイクルして作り直したものばかりだ。
施設の外見こそ廃墟ではあるが、その内側は拠点にするためになんとか作り替えた。前世で物作りが趣味だった俺にとってはやりがいのある仕事みたいなもんだったけど。
【十代、どうかしたのかい?】
「……ユベル」
デッキからカードを1枚抜き取る。そこに描かれているレベル10の悪魔族モンスターと同じ姿をした霊体のようなものが目の前に浮かんでいた。
ユベル。遊戯王GX第3期のラスボスであり、後に遊城十代にとって精神的パートナーとなる存在だ。女性の右半身と男性の左半身を持つ雌雄同体のカードの精霊でいわゆるヤンデレである。
遊戯王GXの主人公である遊城十代に対し異常な程の愛情と独占欲を持ち、それ故に世界を消滅寸前まで追い込んだ元凶である。その行き過ぎた愛情表現を十代に拒まれ続けた結果「苦しみや悲しみを与え合い、それを共有する事こそ愛し合うという事」、「相手を傷付けている間は傷付けられている側は相手を忘れる事はなく、傷付いた分だけ相手を想う心は強くなる」という間違いなく愛と憎しみを混同した超絶ヤンデレ理論に行き着き、十代の周りの人間を次々に消していくことでアニメ本編の十代を精神的に追い詰めていった。
まぁ、簡単に言うと精神的異常症者みたいなもんだようん。そんな存在がなぜ俺の目の前に霊体のような状態でいるのか? 答えは簡単だ。俺も知らん。なんか転生して目覚めたら普通にデッキにいるわ、話しかけてくるわで最初はめっちゃ戸惑った。
【随分と疲れている顔しているからね。ボクでよければ君を癒してあげたいのだけれど】
「……必要ない」
【そう言うと思ったよ】
ちなみに先程ユベルは女性の右半身と男性の左半身を持つ雌雄同体と述べたが、なぜかこの世界のユベルは女性としての姿をしている。どういうわけかは俺もわからん。というかもう考えるのはやめた。
ユベルの言う癒しというのも……まぁあれだ。男女が行うあれだよあれ、うん。どうやって霊体状態のユベルがそれをするのかは知らんし、なんか怖いから拒絶しまくってるけど。
ユベルは俺の拒絶に苦笑しながら隣に座る。空気椅子するな。笑っちゃ駄目なのに笑いそうになるだろ。
【これからどうするつもりだい?】
「……そうだな。予定通りアカデミアに何とか潜入してエクシーズ次元に行く」
俺の今のところの目的の一つがそれだ。エクシーズ次元に行って侵攻を防ぐ。ぶっちゃけ融合次元でもやれるっちゃやれるんだが……一人でやるのは少しきつい。だったら他の次元に行って仲間にさせてもらおうと思ったんだ。
【なるほどね。ならボクも手伝うよ。ネオスも君に協力するだろうし】
視界の外でなぜかポージングを決めて俺に筋肉を見せつけてくるネオスがいる。おもっくそ無視を決め込んでいたが、ちょっと無理そう。
【……君は何をしているんだい?】
【笑かそうと】
【……アホなのかな?】
アホなんだと思う。というかそんなので俺が笑うと思われていたことがちょっとショックなんだけど……。いや俺みたいな偽十代じゃなく原作十代なら笑ってくれたと思うよ? 笑う暇があればな。
【ほら十代がなんか落ち込んだじゃないか!!】
【ぐぬぬ……】
もう無視でいいな。
そう思いながら俺は瞳を閉じて意識を落とした。
転生十代のヒロイン
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天上院明日香
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セレナ
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早乙女レイ
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ユベル