TS転生魔法少女マギア★あいり 作:お前も魔法少女になれ
俺は荒く息をつきながら、拳を握りしめたままの手をゆっくりと開く。
足元には、ついさっきまで暴れていたナイトメアグリフォンの名残——グリフォンエンブレムが静かに転がっている。
俺はエンブレムを拾い上げて大きく息を吐いた。
(……勝った。倒したんだ……!)
ほんの数分前までの激闘が嘘のように、辺りには静寂が戻っている。
だが、地面に走る無数の亀裂、吹き飛ばされた瓦礫、えぐれたアスファルトが、ここが戦場だったことを物語っていた。
「……っと、のんびりしてる場合じゃねぇな」
余韻に浸る間もなく、遠くから警察のサイレンの音が近づいてくる。
このままここにいたら確実に見つかる……!
『あいりさん! 今すぐそこを離れてくださいまし! まだ警察への根回しが完全ではありませんの! 家の者が対応に動いておりますけれど、現場を押さえられたら厄介ですわ! 』
突然、念話越しにすみれの焦った声が飛び込んできた。
『先ほどのメイドを待機させておりますわ! すぐ横の裏通りまで撤退してくださいまし! 』
メイド……そうだ、ここに来るときにバイクを運転してたあの人か!
『助かる! じゃあフェルクス、行くぞ!』
『うん、早くここを離れよう!』
俺は走りながら変身を解除。魔法の光が弾け、制服姿へと戻る。
そして、大通りを駆け抜け、裏路地へと飛び出した、ちょうどその時。
「お待ちしておりました、天宮様」
メイド服に身を包んだ女性が、大型のバイクに跨り待機していた。
警察のサイレンがどんどん近づいてきている。
「お乗りください、時間がありません」
「すみません、助かります!」
俺とフェルクスはすぐさまバイクに飛び乗る。
メイドが手際よくアクセルを吹かすと、バイクは発進し、裏路地を抜けていく。
パトカーの赤色灯が商店街を照らし出した頃、俺たちはすでにその場を後にしていた。
しばらくバイクを走らせ、商店街から完全に離れると、すみれからの念話が入る。
『あいりさん、ご無事で何よりですわ』
『なんとか無事だ。迎えも助かる』
『当然ですわ。気にしないでくださいまし……バイクはあいりさんの家に向かわせていますので、今日は解散して明日また詳しい話をいたしましょう』
『おう、ありがとな。じゃあ、また明日な』
そんな会話をしているうちに、バイクは自宅の前へと停車した。
メイドはエンジンを止めると、振り返りながら俺を見つめる。
『あ! 少しお待ちになって、その……グリフォンエンブレムをですわね、一度、こちらに渡してくれると嬉しいのですけれども……』
すみれの言葉に俺は苦笑する。新しいエンブレムが自分に適性があるのか試したくて仕方がないのだろう。
『わかった、メイドさんに預けておくよ。結果は明日直接教えてくれ』
『まあ! ありがとうございますわ!! メイドには最速で帰ってくるように伝えてくださいまし!』
すみれのはしゃぐような声を聞き流しながら、俺はポケットからグリフォンエンブレムを取り出し、メイドに手渡す。
「バイク、ありがとうございました。それとこれ、すみれに渡してください」
「かしこまりました、お嬢様に必ずお届けいたします」
メイドが深々と一礼し、バイクは静かに消えていく。
「……ふぅ」
俺は玄関の扉を開け、家の中へと足を踏み入れた。
すまない、ネタ切れなんだ
正直、最初の二話までで、やりたいことをやり切っててな……
今後の更新は話を思いついたらします