TS転生魔法少女マギア★あいり   作:お前も魔法少女になれ

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戦闘描写って難しいですね
難産でした


第二話 非常にアレなのでは?

「つ、強く祈るんだな? そうすれば魔法少女に……魔法少女になる!?」

 

 自分で言っておいて、改めて衝撃を受ける。

 俺は非日常を求めている転生者で、こんな展開を望んでいたはずだった。

 それなのに、今 "魔法少女になる" という言葉を口にした瞬間、信じがたいものを感じてしまう。

 

「ちょ、ちょっと待て! そもそもマギアってなんだよ! それに俺は魔法少女になるなんて……」

 

「今は考えている暇はない!」

 

 銀色の狐が俺の背中を強く押すように言う。

 そして、怪物が低く唸り声を上げ、獲物を狙うようにゆっくりと足を踏み出すのが見えた。

 

「くっ……」

 

 たしかにそんなことを言っている場合じゃない。

 目の前の怪物は本物の脅威で、俺の命を狙っている。

 

「強く願い込めて、君の内に眠る力を目覚めさせるんだ!」

 

「……ッ!」

 

 俺は手のひらのエンブレムを握りしめ、目を閉じた。

 思い浮かべるのは、たった1つ——

 

「戦える……力をッ……!!」

 

 力強く目を開くと同時——エンブレムが光を放ち腰元に輪が走る。

 

 その光は形を成し、銀色のベルトへと変わった。

 中央には、エンブレムを差し込めるスロットがあり、淡い光が脈打っている。

 

「これは……変身ベルト……?」

 

 まるで最初から俺のために用意されていたように、ベルトは静かに存在を主張していた。

 

 銀の狐が俺を見上げ、真剣な眼差しで告げる。

 

「さあ! マギアチェンジするんだ!」

 

 ベルトの音声が高らかに響く。

 

《マギアチェンジ・スタンディングバイ!》

 

「なるほどな……魔法少女系かと思ったけど、ライダー系か! だったら——」

 

 俺はマギアエンブレムを指で軽く弾き、クルリと回転させながらキャッチする。

 

「馴染みがあるぜ!!」

 

 そのままスロットにエンブレムを差し込み、叫ぶ——! 

 

「——変身(マギアチェンジ)!!」

 

 カチッ! 

 

《フォックスエンブレム・インストール!》

 

 眩い銀の光が爆発する。

 

 光の粒子が舞い、俺の体を包み込んだ。

 まるで無重力のような浮遊感。

 

 視界が白銀に染まり、炎のように揺れる赤い輝きが交じる。

 幻影の狐が駆け抜け、熱を帯びた炎の波が渦巻く。

 

 ——衣装が形作られていく。

 

 まず、肩と胸元を覆う漆黒のインナーが現れ、それを包むように純白の着物風トップスが現れる。

 袖口には赤と金の炎の模様が描かれ、裾がふわりと揺れるたびに、狐火のように輝く。

 腰には鮮やかな朱色の短いプリーツスカートとリボンがふわりと舞う。

 両手には指先が露出した白いグローブ。手を握ると、炎の魔力がちらりと揺らめく。

 足元は黒の編み上げブーツ。

 そして最後に頭には狐耳を模したヘッドアクセが出現し、白銀の髪がさらりと流れる。

 

《マギアチェンジ・コンプリート!!》

 

 銀の光が収束し、炎の幻影が弾け飛ぶ。

 

 そこに立っていたのは——

 炎をまとう白銀の魔法少女——俺だった。

 

「服はライダー系じゃなくて魔法少女系かよ……」

 

 スカートの裾を軽く摘みながら、呆然と呟く。

 思ったよりも可愛らしいデザインに、少し戸惑うが——今はそれどころじゃない。

 

 怪物が唸り声を上げ、一気に距離を詰めてくる。

 巨体に似合わぬ素早さ——瞬く間に俺の目の前まで迫った。

 

「っ、速——!」

 

 咄嗟に身を引くが、避けきれない。

 怪物の巨大な爪が振り下ろされる——! 

 

 本能的に腕をクロスさせて防御する。

 衝撃が腕を痺れさせ、地面に足をめり込ませながらも、耐えた。

 

「耐えられる……この力、本物だ!」

 

 自分の体に漲る力を感じる。

 この身体なら——戦える! 

 

 怪物が低く唸り、再び爪を振り下ろす。

 俺はとっさに横へ跳び、ギリギリで回避。

 

「っのやろう!!」

 

 反撃するべく拳を握り、思い切り振り抜いた! 

 拳が怪物の腹に叩き込まれ、鈍い衝撃が走る。

 確かに手応えはある。あるが——

 

「……効いてねぇ!? つか、これ素手で戦うのか!?」

 

 怪物はわずかに怯んだものの、すぐに体勢を立て直す。

 俺の拳じゃ決定打にならない!? 

 

「おい狐! なんか武器とか技とかねぇのかよ!!」

 

 思わず背後の狐に叫ぶ。

 すると、銀の狐は落ち着いた声で言った。

 

「君はもう持っているよ」

 

「はぁ!? どこにだよ!」

 

「己の内を見るんだ——"狐火" はすでに宿っている!」

 

「狐火……?」

 

 直後、俺の中で何かが目覚める感覚があった。

 掌がじんわりと熱を帯びる。

 

「——これか!!」

 

 意識を集中すると、手のひらに炎が灯る。

 狐の尾のように揺らめく青白い炎。

 

 直感的に右手を前に突き出すと狐火はゆっくりと宙を舞い、怪物へと飛んでいく。

 

 フワァ~

 

「……うわ、遅っ!!」

 

 思ったより弾速が遅い! 

 放った狐火は一直線に怪物へ向かう——が、簡単に横へ避けられた。

 

 さらに狐火が背後の壁にぶつかり、ボンッ! と爆ぜる。

 炎の粉が宙に舞い、焦げた臭いが漂った。

 

「ヤバい! 思ったより威力はある! こんなの下手に使ったら、街が燃える!!」

 

 すぐに狐火を使うのをやめ、拳を握りしめる。

 

「だったら——拳に纏わせて、直接叩き込む!!」

 

 狐火が拳を包み、蒼炎が揺らめく。

 

「これなら……行ける!!」

 

 怪物に向かって突進し、相手が腕を振りかぶった瞬間、踏み込んで懐に潜り込む。

 

「——喰らえッ!」

 

 拳を叩き込むと、狐火のエネルギーが爆発し、怪物の体が大きく揺らぐ。

 だが、まだ倒れない。

 

「これで! トドメだ……!!」

 

 勢いを乗せ、一気に後ろへ跳ぶ。

 全身の力を込めて、軸足を回転させ——回し蹴り! 

 

 狐火を纏った脚が、怪物の頭部を強かに撃ち抜く!! 

 

 爆炎が弾け、怪物の巨体が吹き飛ぶ。そしてそのまま地面に叩きつけられ、黒い霧となって消滅した。

 

 静寂が訪れる。

 

 

 街灯の薄明かりが揺らめき、燃え尽きたような焦げた臭いが漂っていた。

 俺は肩で息をしながら、震える拳をゆっくりと開く。

 

「……はぁ、はぁ……勝った、か……?」

 

 戦闘の興奮が冷めていくにつれ、じわじわと全身に疲労が押し寄せる。

 腕は鉛のようにだるく、足元もふらつく。

 慣れない戦闘で酷使した体が、悲鳴を上げているのがわかる。

 

 だが、それ以上に──心が熱い。

 

 燃え上がるような興奮が、胸の奥から湧き上がる。

 

 俺は、戦った。

 化け物を相手に、全力で拳を振るった。

 ずっと退屈だった日常が、今、この瞬間にぶち壊れた。

 

 血が沸き立つ。喉の奥から笑いが込み上げる。

 戦いの痛みすら、心地よい。

 俺は、本当に戦ったのか? しかも、魔法少女として。

 

「……すごい、君にはとても高い適性があったみたいだね」

 

 耳元で落ち着いた声が響く。

 振り返ると、銀色の毛並みが月光を受けて淡く輝いていた。

 

「そうだ……お前、一体何者なんだ?」

 

 俺の問いに、狐は静かに瞬きをして答えた。

 

「僕はフェルクス。魔法少女を導く者さ」

 

「フェルクス……」

 

 名前を口にすると、不思議としっくりくる。

 

「君の名前は?」

 

「……天宮あいり」

 

 俺が答えると、フェルクスは満足そうに頷いた。

 

「じゃあ、あいり。君は今、魔法少女になった。そんな君にお願いがあるんだ」

 

「お願い……?」

 

 フェルクスの瞳が、夜の闇の中で静かに光る——

 ——が、それよりも。

 

「ちょっと待て」

 

「? どうかしたかい?」

 

 遠くから聞こえる、甲高いサイレンの音。

 徐々に近づいてくる気配に、俺はゾッとした。

 

(やべぇ、これ絶対通報されてるやつだ……!)

 

 思わず周囲を見渡す。

 さっきの戦いの影響で、地面や壁には焦げ跡が残り、電柱の一部は砕けている。

 爆発音や閃光も派手だったし、誰かが110番通報したとしてもおかしくない。

 

「俺たち、ここにいたら非常にアレなのでは?」

 

「……移動しようか」

 

 フェルクスが呆れたように言い、俺たちはその場を後にした。




戦闘シーンで4時間ぐらい頭を抱えてました
駆け足だけどこれで許してほしい
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