TS転生魔法少女マギア★あいり   作:お前も魔法少女になれ

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戦闘描写が苦手すぎて三日間、頭を抱えていました



第六話 身をもって体感してるよ!!

 夜の公園に、不気味な気配が漂っていた。

 

 目の前に立ちはだかるのは、黒い獣——ナイトメア。

 その姿は漆黒のユニコーン。四肢はしなやかで、筋肉の引き締まった身体は無駄のない美しさを持っている。だが、その瞳には理性も誇りも感じられず、ただ闇の意思に従う獣のようにギラついていた。

 

 俺は腰のベルトにマギアエンブレムを差し込む。

 

《マギア・チェンジコンプリート!!》

 

 銀の光が弾け、俺の身体が魔法少女の姿へと変わり、闘志が燃え上がるのを感じる。

 

 変身が完了した瞬間、黒い影が視界から消える。

 次の瞬間――

 

 反射的に横へ跳ぶ。直後、俺のいた場所を黒い閃光が駆け抜けた。

 

 後方の街灯が一瞬で吹き飛び、鉄の柱がへし折れる。

 ユニコーンは地面をえぐりながら止まり、ゆっくりと首を持ち上げた。

 

「……マジかよ、速すぎる……!」

 

「気をつけて、あいり! ナイトメアは特殊な能力を持ってる! 警戒して戦うんだ!」

 

 フェルクスの声が聞こえた瞬間、俺は地面を蹴った。

 

 ユニコーンが二回目の突進を放つ。

 突風が肌を撫で、黒い閃光が体をかすめる。

 

「じゃあ、こいつの能力は何か分かるか!?」

 

 ナイトメアをかわしながら叫ぶ。

 

「ナイトメアは個体ごとに能力が違うんだけど……こいつは、ユニコーンエンブレムを取り込んだナイトメアだ!」

 

「……ってことは?」

 

「ユニコーンの力を使う! つまり——素早さを活かした突進だ!」

 

「んなもん今、身をもって体感してるよ!!」

 

 俺は再び飛び退く。

 目の前を通過したユニコーンの突進は、空気を切り裂くほどの勢いで、再び地面をえぐりながら止まった。

 

 距離を取る。だが、奴の脚が地を踏みしめた瞬間——漆黒の角が、赤黒く輝く。

 

「——ッ! アイツの角! なんか怪しく光り始めたぞ!!」

 

「そうだ……思い出した!あとユニコーンは……角からビームを撃つ!」

 

「なにぃ!?」

 

 刹那——眩い閃光が一直線に飛び、俺の体をかすめた。地面が抉れ、土煙が舞い上がる。

 

(……マジかよ、突進に加えてビームまで撃てるのか!?)

 

 完全に格上だ。迂闊に突っ込めば、一瞬で串刺し、距離を取ればビーム。

 

(考えろ、俺。 どうすればあいつに勝てるか……)

 

 俺は拳を握り、狐火を生み出す。

 適当に放った狐火はゆっくりと飛んで行き、当然のように回避された。

 

「……くそ、狐火の使い勝手がもう少し良ければ……」

 

 せめてもう少しスピードか、せめて複数出せればな……と考え。

 

「……そうか、これ、複数出せるんじゃねえのか?」

 

 ユニコーンが地面を蹴る。

 

(考えてる暇はねぇ!)

 

 俺は両手を前に突き出し——

 

「——行けッ!」

 

 二つの狐火が、ユニコーンの進路上に浮かぶ。

 突進してきたユニコーンは狐火に直撃し、爆発の衝撃でヤツの動きが止まった。

 その瞬間、右手に狐火を纏わせ、ヤツ目掛けて大きく踏み込む。

 

 「喰らえッ!!」

 

 狐火を纏った拳がユニコーンの首元に直撃、炎が爆ぜ、黒い身体が焼かれていく。

 

「——ギャアアア!!」

 

 ユニコーンは叫び声をあげ、火の粉が舞い上がる。

 だが——

 

「……まだ、か!」

 

 ユニコーンが地を蹴り、一瞬で間合いを取った。

 ダメージは入った。だが、決定打ではない。

 

(こいつ、まだ動ける……!)

 

 ユニコーンの赤い瞳がギラリと光る。 角が赤黒く発光し——

 

「ッ!! ビームが来る!!」

 

 咄嗟に地面を蹴って回避する。

 鋭い光線が俺の頬をかすめ、地面に深い焦げ跡を刻んだ。

 ——速い。突進も速いが、ビームの発射もほぼ溜め無しだ。

 

 ——なら、どうする?

 

 俺は僅かに視線を横に流し、公園の地形を確認する。

 目の前には無事な街灯が一本、そのすぐ後ろにはジャングルジム。

 さらに奥にベンチ。

 

(……いけるか?)

 

 狐火をヤツの突進の進路上に置いておくのは多分もう通じない。

 おそらく一度見せた技が通じるほど甘い相手じゃないだろう。

 

 ——なら、

 

 「……誘導する!」

 

 俺は一歩踏み込むと、あえてユニコーンの目の前に立った。

 

「ほら、こっちだ!」

 

 ユニコーンの瞳が細められる。

 

 一瞬の静寂。

 

 瞬間、黒い影が地面を蹴り、猛スピードでこちらへと突進してきた。

 

(狙い通り……!)

 

 俺はギリギリのタイミングで横に跳び、同時に狐火を放つ。

 突進中のこいつは回避できない!

 

「当たれ!!」

 

 爆発する狐火。

 ユニコーンの身体が爆風に包まれ、バランスを崩した。

 

(今だ!!)

 

 狐火を放つと同時に、俺はすでに最も威力の高い一撃を準備していた。

 

 炎を足に纏い、地面を蹴る。

 跳躍。燃え上がる炎。

 

「喰らい……やがれェェ!!」

 

 空中で回転しながら、火焔を纏った踵落としをユニコーンの頭上に叩き込む!

 

 直撃。

 

 ユニコーンの角が折れ、漆黒の身体が崩れていく。

 

「ギ……ギィィ……!!」

 

 ユニコーンは咆哮を上げ、その姿は黒い霧となって消滅した。

 

「やっ……やった……!」

 

 荒い息を吐きながら、俺は膝をつく。

 息を整えているとフェルクスが声を掛けてきた。

 

 「いやぁ、驚いたよ。 ナイトメアを倒してしまうなんて」

 

「へへっ……まぁな……だけど、もう少しスマートに決めたかったぜ……」

 

「いや、これで十分さ。初めての強敵相手に、ここまでやれたんだからね。 さあエンブレムを回収しよう」

 

 俺は地面に落ちたユニコーンエンブレムを拾い上げる。

 

(……こいつも、昔は魔法少女たちと一緒に戦ってた一人だったんだよな……)

 

「……借りるぜ、お前の力」

 

 その言葉に応えるように、ユニコーンエンブレムは淡く光っていた。




戦闘シーンで体力を使い果たしので文字数少なめです
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