TS転生魔法少女マギア★あいり   作:お前も魔法少女になれ

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ここ何日か忙しくて遅くなりました


第七話 ……この町に、魔法少女がいる

 俺は地面に落ちたユニコーンエンブレムを拾い上げる。

 

(……こいつも、昔は魔法少女たちと戦ってた英雄の一人だったんだよな……)

 

「……借りるぜ、お前の力」

 

 その言葉に応えるように、ユニコーンエンブレムは淡く光っていた。

 冷たい金属の感触と共に、微かに温もりを感じるような気がする。

 

「フェルクス、こいつもお前と同じ英雄だったんだよな?」

 

「そうだよ。ユニコーンも、かつてネザードと戦った英雄達の一人さ」

 

「……なら、なんでお前みたいに生き物になって喋らないんだ?」

 

 俺の問いに、フェルクスは少しだけ寂しそうな顔をする。

 

「……本来なら、エンブレム達は僕みたいに生き物の姿を持つことができる。でも、戦いの果てに封印の一部となった彼らは、その力を使い果たしてしまったんだ」

 

「封印の一部?」

 

「うん、僕の仲間……エンブレム達は最後の力を使ってネザードを封じ込めた。だから、今はただのマギアエンブレムとして残っているだけなんだよ」

 

「じゃあ、お前は……」

 

「僕がこうして今も生き物の姿で喋れていられるのは、皆に封印の監視を任されたんだ……一番若い僕が一番長く見れるだろうってさ……結局封印は解けちゃったんだけどね……」

 

 フェルクスは淡々と語るが、その言葉には重いものを感じた。

 最後の力……つまり、英雄たちは戦いの中で力を失い、それでも封印を完成させるために自らを犠牲にしたってことか。

 

 俺は手の中のユニコーンエンブレムをじっと見つめた。

 

「……じゃあ、こいつの力は使えないってことか?」

 

「いや。微かな力は残っているよ。さっきのナイトメアもユニコーンの力を引き出していただろう?」

 

「そっか……じゃあ俺もこれで変身することはできるんだな?」

 

「もちろんさ。微かな力ではあるけどね」

 

 俺はゆっくりと頷いた。

 なら、俺がこの力を使いこなすだけだ。

 ――その時

 

 「ッ……!」

 

 ズキン、と鈍い痛みが走る。

 膝が震え、視界が僅かに揺れた。

 さっきの戦いで、気づかないうちに蓄積していたダメージが、一気に押し寄せてくる。

 

 「大丈夫かい!?」

 

「……ああ、平気だ。ただ、ちょっと……疲れただけだ」

 

 俺はフラつく足を無理やり動かし、公園のベンチに腰を下ろした。

 魔法少女の力は確かにすごい。だが、ダメージは蓄積するし、疲労が抜けるわけじゃない。

 

 時計を確認するまでもなく、夜は深い。

 周囲は静まり返り、虫の鳴き声すら聞こえない。

 

(……とりあえず、今日は帰るか)

 

 そう思った矢先——

 

「……待った、あいり……今何か感じなかった?」

 

「……え?」

 

 言われて初めて、俺は背筋をゾクリと震わせた。

 

 まるで、遠くからじっと観察されているような感覚。

 それは、戦闘時に感じたナイトメアの殺気とは違う。

 もっと冷静で、理性的で、でも確かに“敵意”を持った何かの視線。

 

(……なんだ、この感覚……!?)

 

 俺は本能的に、夜空を仰いだ。

 

 遠く——遥か彼方の闇の中へ。

 

 ***

 

 「……やっぱり、この町に魔法少女がいるんだね」

 

 夜のビルの屋上。

 冷たい夜風に長い黒髪をなびかせ、少女は眼下の街を見つめていた。

 彼女の足元には、黒い獣のような影が佇んでいる。

 三つの頭を持つ漆黒の魔獣。

 

 三つの頭のうち、一つがグルル……と低く唸る。

 

 「……うん、間違いない。今の反応……魔法少女、だね」

 

 この町には、ナイトメアを討ち倒せる力を持つ者がいる。

 確かに感じた——魔法少女の“光”を。

 

 「ボクたちの秩序を乱す存在……なら、放っておくわけにはいかない」

 

 二つ目の頭が、グルル……と低く唸る。

 

 少女は目を細める。

 

「それは、まだわからない」

 

 少女は小さく首を振った。

 

 「……でも、ネザードにとって、ううん、世界にとって魔法少女は害。だから、ボクはそれを排除するためにいる」

 

 この世界に必要なのは、ネザードの“完全な秩序”だ。

 混沌と争いに満ちた世界では、人々は不幸になるだけ。

 だからこそ、ネザードは世界を正しく導かなきゃいけない。

 

 三つ目の頭が、短く唸る。

 

 「……うん。すぐに確かめに行くよ」

 

 風が吹く。

 

 この夜のどこかにいる“光”を持つ者——魔法少女。

 その存在が、ネザードの理に背くものなら……。

 月明かりに照らされた彼女の瞳は、冷たく、鋭く光っていた——。




今回も短いです、ごめんよ

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