TS転生魔法少女マギア★あいり 作:お前も魔法少女になれ
すみれの部屋。豪奢なシャンデリアの明かりがきらめき、広々とした空間には、芸術品のような家具が整然と配置されていた。
俺は、ふかふかのソファに腰を沈めながら、改めてこの部屋の豪華さに圧倒されていた。
「……すげぇ部屋だよな、何回見ても」
「お褒めに預かり光栄ですわ」
すみれは紅茶を優雅に啜りながら、手元にあるユニコーンエンブレムを見つめている。
変身はできる。しかし、適性がなかった。
「それで――」
すみれが視線を上げ、フェルクスに問いかける。
「マギアエンブレムはどうすれば見つかりますの?」
フェルクスはふわりとソファに飛び乗ると、しっぽをゆっくりと揺らしながら答えた。
「マギアエンブレムは、世界中に散らばっているんだ」
「世界中に?」
「そう。ただ、なぜかこの町には特に多くのエンブレムが集まっている気がするんだよね」
俺は少し考える。
「でもよぉ、昨日探し回って見つけたのは一枚だけだったぜ?」
「昨日は学校周りと公園だけじゃないか。まだ行ってない場所は沢山あるだろう?」
それに……とフェルクスは続けて。
「実際一枚は公園にあったし、まだこの町にはいくつかの反応を感じるんだ。正確な場所は分からないけど……」
「このユニコーンエンブレムは、公園にあったものをナイトメアが取り込んでいたのでしたわね?ネザード側もエンブレムを集めているんですの?」
「そうだね、おそらくは取り込んで自分たちの力を増やすためだ。ネザードの幹部やナイトメアはいくつか持っているだろうね」
「つまり、私が魔法少女になるには、適性のあるエンブレムを世界中から探し出すか、エンブレム持つネザードを倒せばイイ、ということですわね?」
「そういうことになるね」
フェルクスが頷くと、すみれは小さく微笑み、カップを置いて立ち上がった。
「ならば――世界中のエンブレムはわたくしの財力を活かし、鳴神財閥が探し出しますわ!」
その宣言に、思わず目を見開く。
「……マジかよ」
「ええ、マジですわ」
すみれは当然のように言い放つと、専属の使用人に連絡を取るためにスマホを手に取った。
「世界中の研究機関や財閥の傘下に、それらしい物がないか洗い出させますわ。鳴神財閥は情報網には自信がありますのよ」
俺とフェルクスは顔を見合わせ。
「……こいつ、本気だな」
「お嬢様、恐るべし……」
***
暗く広大な玉座の間。天井は高く、巨大なステンドグラスからわずかに差し込む光さえも、闇に呑まれていた。壁に掛けられた無数の黒き旗がゆらめき、空間そのものが不穏な力を孕んでいる。
中央には、闇の王であるネザードの首領が鎮座していた。その身を黒衣に包み、顔は仮面に覆われている。まるで人間の形をしていながら、人ならざる存在のような威圧感があった。
そしてその周囲には、影のように黒い霧を纏う幹部たちが跪いている。
「……報告します」
首領の前に静かに膝をつき、口を開いたのは、ネザード幹部の一人である黒髪の少女だった。
彼女の表情には感情が薄く、ただ粛々と事実を告げる。
「……間違いなく、あの町に魔法少女がいます」
低く、だがはっきりとした声で報告する。
「ほう」
首領の声が響く。それは冷徹でありながら、どこか満足げでもあった。
「我々の秩序を脅かす異分子……ならば、確実に排除せねばならんな」
玉座の周囲に立つ幹部たちが、一斉に身じろぎする。その視線には、それぞれの思惑が滲んでいた。
その中の一人の幹部が黒髪の少女に問う。
「間違いなく魔法少女なのか?」
黒髪の少女は答える。
「あの強い光は間違いなく魔法少女のモノ。ボクにはそれがわかります」
「魔法少女の再来とは……また奴らと戦わねばならんのか…」
幹部たちは一斉にザワつき始めた。
そんな中、一人の幹部が前に進み出る。黒い甲冑のような装いに身を包み、顔には騎士のような兜をつけた男。
「王よ、ここは我が部隊にお任せを。我が配下のグリフォンナイトメアを送り込みましょう」
黒い騎士の言葉に、首領はしばし沈黙したのち、ゆっくりとうなずいた。
「よかろう。フェアツヴァイ、お前に任せる」
「御意」
黒い騎士――フェアツヴァイは深く頭を下げた。
それを見届けた首領は、改めて幹部たちを見渡し、静かに言葉を紡ぐ。
「期待しているぞ。我らが築く世界に、余計な歪みは不要だ」
そう言い残すと首領の姿は闇に消えていき、幹部たちは一斉に立ち上がると拳を胸に当て、声をそろえて唱和する。
「闇の統制を、世界に安寧を」
その声は、まるで呪詛のように空間を震わせ、やがて闇の奥へと消えていった。
こうして、魔法少女の排除命令が下された。
次なるエンブレムを宿すナイトメア・グリフォンが、町へと放たれる――。
短くてすまない、次回は遅くなるかもしれません
苦手なんだよね戦闘描写……