剣士ベルの冒険譚   作:暁海斗

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手合わせ

 

 

 

 

 

 

 

女神アストレアが自分の眷属達に声を掛けると・・・あっという間に大人数が集まって来た・・・

 

 

アリーゼ

「何々、何か面白そうなことをするのかしら!!」

 

ライラ

「輝夜と・・・見た事無い子供が向かい合ってるぜ」

 

「入団希望者か?」

 

リュー

「アストレア・ファミリアは、男子禁制の筈」

 

「輝夜は、何を考えているんだ」

 

アストレア

「輝夜、本気を出すのかしら・・・」

 

 

 

 

闘技場の中央で、ベルは少し考えていた・・・

 

 

 

ベル

「・・・あれ、ボクってお母さんと修行をしてたけど・・・他の誰かと手合わせなんかした事無いな・・・」

 

「お母さんは、規格外だったし・・・お母さんからある程度の実力を認めて貰った訳だけど・・・」

 

「オラリオの冒険者って強いのかな・・・」

 

「実力は、見せても良いのかな・・・非常に悩む」

 

 

この時、卯ノ花お母さんに言われた言葉を思い出す・・・

 

 

 

卯ノ花烈

「ベル、オラリオの冒険者と刃を交える事が有れば、本気を出してはいけません」

 

「本気を出せば、屍の山が出来てしまうでしょう」

 

ベル

「・・・屍の山・・・」

 

刀鍛冶

「斬魄刀は、何十年も前に廃れて失われた技術だからな」

 

「誰も覚えていないだろうが・・・一部の冒険者は血相を変えて、斬魄刀の事を問い詰めて来る筈だぜ」

 

「使ったら壊れる魔剣より使える武器だってな」

 

卯ノ花烈

「ベル、最初は相手の攻撃を全て避けるのです」

 

「相手の最初の動きを見れば、おおよその力量は把握出来る物です」

 

ベル

「瞬歩は使っても良いですか?」

 

卯ノ花烈

「瞬歩は構いませんよ」

 

「極東の移動術・・・とでも言っておけば誤魔化せますので」

 

刀鍛冶

「だが、始解と卍解は使わない方が良いぜ」

 

「あんな魔剣を遥かに凌駕する天変地異みたいな能力は如何やったって注目される」

 

「信頼できる仲間になら、見せても良いと思うぜ」

 

ベル

「・・・鬼道は使っても大丈夫ですか?」

 

卯ノ花烈

「稀に、恩恵を授からなくても魔法のようなスキルを生まれながらに使えると聞いた事が有ります」

 

「その理由を使えば、問題なく誤魔化せますよ」

 

ベル

「分かりました」

 

「相手の動きを見て、力量を判断してから行動しようと思います」

 

卯ノ花烈

「私の可愛い息子のベルがオラリオの軟弱な冒険者に負けるとは思いませんが」

 

刀鍛冶

「姉さんと真正面から、勝負できる時点で十分規格外だからな」

 

「ベルも半分は人を辞めちまったんだな・・・虚の仮面迄使えるようになっちまうし・・・」

 

「おじさんは、長い事生きてきたが・・・驚くしかねえよ」

 

ベル

「それじゃあ、定期的に手紙を出しますね~」

 

「行ってきま~す!」

 

 

 

 

 

 

 

輝夜

「この少年・・・相当の手練れと見た」

 

「舐めて掛れば、痛い目を見るのは私の方か・・・」

 

「この勝負、最初の一閃に私の今出来る全てを込める・・・」

 

アストレア

「輝夜、手合わせのルールはいつもの鍛錬の時と同じで良いのかしら」

 

輝夜

「少年・・・勝負は、相手の体に木刀を接触させる・木刀を弾き飛ばす・組み伏せる・・・この条件を満たした場合、勝利で良いか?」

 

ベル

「ボクは構いませんよ」

 

輝夜

「では、アストレア様・・・コインを投げてください」

 

アストレア

「・・・コインが地面に落ちた瞬間が勝負の開始になるわ」

 

 

女神アストレアは、親指でコインを打ち上げる・・・

 

 

 

キ~ン!!

 

 

上空に打ち上げたコインが回転しながら、落ちて来る・・・

 

 

チャリン♪

 

 

 

コインが落ちた瞬間、輝夜が一閃の構えでベルに切りかかってくるが・・・

 

 

カンっ!!!

 

 

ライラ

「マジかよ・・・輝夜の一閃を木刀の切っ先だけで受け流したぜ!!」

 

アリーゼ

「輝夜は手加減しているようには見えなかったわ!!」

 

リュー

「有り得ない!!」

 

「輝夜はレベル4の冒険者の筈だ!!」

 

 

 

ベル

「えっと・・・次は僕から行きますね」

 

 

ベルは、後ろにバックステップで下がった瞬間・・・一気に瞬歩で輝夜の後ろに回り込んで、首筋に木刀を当てる・・・

 

 

輝夜

「・・・参りました」

 

 

アストレア

「・・・勝者、男の子」

 

ベル

「ありがとうございました」

 

「それでは、ボクは失礼しますね」

 

アストレア

「え、君は入団の相談に来たんじゃないの?」

 

ベル

「ただお話を聞きに来ただけです」

 

「元々、手合わせするつもりは無かったですし」

 

「それに、アストレア・ファミリアは男子禁制なんですね」

 

「そちらのエルフの方が言っていたのが聞こえましたから」

 

「なら、男のボクは他のファミリアを探しに行きますね」

 

「お騒がせしました~」

 

 

ベルは、荷物を纏めてアストレア・ファミリアのホームを後にした・・・

 

 

 

アリーゼ

「リオン~♪」

 

「貴方が勝手に男の人を嫌うのは勝手だけど・・・レベル4の輝夜を圧倒する実力を持った男の子が帰っちゃったじゃない!!」

 

ライラ

「これだから堅物のエルフは・・・」

 

「男嫌いも程々にしろよ・・・だから、エルフは結婚できねぇんだよ」

 

リュー

「私が悪いのか!?」

 

輝夜

「一瞬で私の背後に回り込む程のスピード・・・」

 

「それに、一閃を簡単に受け流す実力・・・大きい魚を逃がしてしまったか」

 

アストレア

「少し後を追ってみましょう」

 

「ライラ、輝夜、一緒に着いて来てくれる?」

 

ライラ

「良いぜ!」

 

輝夜

「あの少年に聞きたい事が有るからな」

 

 

 

女神アストレア・ライラ・輝夜の3人はベルの後を追い始めた・・・

 

 

 

 

ベル

「デメテル・ファミリアに話を聞きに行ってみようかな」

 

「農業系のファミリア・・・ダンジョン探索系じゃないけど、畑仕事は嫌いじゃないから」

 

「話を聞くだけなら、無料だよね~」

 

 

 

 

デメテル・ファミリアの農場・・・

 

 

農夫

「デメテル・ファミリアの農場へようこそ」

 

「野菜を買いに来たのかな?」

 

ベル

「ボク、今日オラリオに来たんですけど・・・まだ自分が所属するファミリアが決まっていないので、お話を聞きに来ました」

 

農夫

「なら、デメテル様の所まで案内するよ」

 

ベル

「ありがとうございます」

 

 

 

アストレア

「デメテル・ファミリアの農園まで来たわね」

 

ライラ

「しかし、オラリオに来たばっかりって事は・・・恩恵を持ってねぇって事だろ」

 

輝夜

「それなのに、あの圧倒的な実力・・・」

 

「あれを恩恵無しでやっているとしたら、規格外だな」

 

 

 

デメテル

「貴方がお話を聞きに来た男の子ね」

 

「私は、デメテル・・・デメテル・ファミリアの主神を務めてるの」

 

ベル

「初めまして。ベル・クラネルです」

 

「今日、オラリオに来たばかりなので・・・自分が入るファミリアを探しています」

 

デメテル

「私のファミリアは、主に農業を生業にしているの」

 

「ベル君は、冒険者になる為にオラリオに来たの?」

 

ベル

「そのつもりだったんですけど・・・碌なファミリアが無かったもので」

 

デメテル

「今は、オラリオが多少荒れてる時期でもあるからね・・・」

 

「無理もないわ。でも、ロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアはオラリオ二大ダンジョン攻略系のファミリアよ」

 

ベル

「ロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアは碌なファミリアじゃないと聞いているので行きません」

 

デメテル

「なら、アストレア・ファミリアは?ダンジョン攻略系のファミリアよ」

 

ベル

「アストレア・ファミリアは、男子禁制みたいなのでお断りされちゃいました」

 

 

 

アストレア

「私は、お断りしていないわよ」

 

ライラ

「リューが言ってた事は、戯言だから気にすんな!」

 

輝夜

「少年ほどの実力者を逃がしてしまうのは惜しいからな」

 

「リューは、放っておいて細かい話をしよう」

 

デメテル

「アストレアがスカウトに来たみたいよ♪」

 

ベル

「ボク、エルフの人は苦手なんですけど」

 

アストレア

「あら、何で?」

 

ベル

「だって、他の種族を毛嫌いしてるって聞くじゃないですか」

 

「あまりギクシャクしているのは苦手なので」

 

ライラ

「安心しな・・・堅物エルフは無視していれば良いさ」

 

「長命と魔法しか取り柄が無い・・・時代錯誤のエルフは結婚できねぇ!!」

 

輝夜

「そう事実を的確に言ってやるな」

 

アストレア

「ベル君と言ったかしら・・・君さえ良かったら、アストレア・ファミリアに入らない?」

 

「私は、歓迎するわよ♪」

 

デメテル

「もし、アストレア・ファミリアが自分に合わないと感じたら、入団から1年経った後に他のファミリアに改宗も出来るわ」

 

「今は、難しく考えないで冒険者として経験を積むのも必要な事よ♪」

 

「デメテル・ファミリアは、いつでもベル君を歓迎するけどね♪」

 

ライラ

「アタシは、ベルが入ってくれるとスゲェ嬉しいけどな」

 

「弟が出来たみたいでよ!」

 

輝夜

「色々と聞きたいことも有るのでな」

 

「そう肩を張る必要は無いさ・・・リューは、私達で適当に丸め込むさ」

 

ベル

「・・・そういう事なら、1年だけお世話になります」

 

アストレア

「1年と言わず、ずっと居てくれても良いのよ」

 

「アストレア・ファミリアにようこそ・・・ベル♪」

 

 

 

 

女神アストレアからのスカウトも有り・・・ベルは、1年間だけアストレア・ファミリアに入団することを決めた・・・

 

 

 

ライラ

「ベル、リューみたいな堅物の女は嫌いか?」

 

輝夜

「金髪エルフは、羨望の対象だと思うがな・・・性格は置いておいて」

 

ベル

「ボク、綺麗な黒髪の人が好きです」

 

「ボクを育ててくれたお母さんみたいな・・・優しくて、黒髪を綺麗に束ねてる大人の女性が好きです」

 

アストレア

「ライラ、輝夜、遠回しにリューを苛めてちゃ駄目よ」

 

「リューも、もう少し男性嫌いを直しても良いと思うのだけれど・・・」

 

「中々、難しいわね」

 

「とりあえず、ホームに戻ってベルを皆に紹介しましょう♪」

 

 

 

 

アストレア・ファミリアのホーム

 

 

アストレア

「と言う訳で、ベルがアストレア・ファミリアの新しい団員として入る事になりました~♪」

 

「アリーゼ、ダンジョンの事とかをベルに教えてあげてね」

 

アリーゼ

「団長として、手取り足取り教えてあげるわ!」

 

「最初は、ホームの間取りの説明からね♪」

 

リュー

「私は反対だ!」

 

「何故、男を入れる必要が有るのです!!

 

アストレア

「ベルは、恩恵が無い状態で輝夜に勝つ事が出来る規格外の逸材なの」

 

「主神の判断に反発するのなら、それ相応の理由を言って貰いたいわ」

 

ライラ

「リュー、お前は当分の間はオラリオの警備に回れよ」

 

「ベルの事は、アタシ等で担当するからよ」

 

「男嫌いのエルフ様は喧しくて、話にならねえぜ」

 

アストレア

「そうね・・・ベルがダンジョン攻略に行けるようになる迄はアリーゼとライラに教育を任せましょう」

 

「輝夜はリューと一緒に警備に回ってね」

 

輝夜

「仕方ない・・・リュー、さっさと行くぞ」

 

リュー

「輝夜!!まだ話は終わってない!」

 

アリーゼ

「輝夜!リオンの事をお願いね!」

 

「ベル君、リューの事は気にしないでね!」

 

ベル

「大丈夫ですよ。向こうから嫌うなら、ボクから関わる事は有りませんから」

 

「あ、ボクは外に小さな小屋を作っても良いですか?」

 

「あまり女性達と一つ屋根の下で暮らすのは、色々とトラブルの原因になりかねないので」

 

アストレア

「それは別に構わないけど・・・テントを用意しましょうか?」

 

ベル

「自分のテントは持っているので大丈夫です」

 

「少し、快適に過ごせるように改造はしますけど」

 

アストレア

「常識の範囲内でなら大丈夫よ」

 

 

アストレア・ファミリアのホームの裏に、ベル専用の生活区域を作って、本格的なキャンプを楽しめるようにしました・・・

 

 

 

 

 

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