転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る   作:ソロモンは燃えている

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転生した私、市庁舎を攻める

 

 

 

 33日目、ついに都市の中心部にある市庁舎への攻撃が始まった。

 出来る限りの準備はしてきた。

 二重に補強した防壁。

 その後ろに4基のバリスタを組み上げた。

 防壁の前にバリケードも設置した。

 ほぼ全ての兵力もここに投入している。

 これで勝てなければ、都市の制圧など不可能。

 撤退も考えなければならなくなる。

 そうなれば、どれほどの被害が出ることか…

 

 たった一度の負けが致命傷となり得る。

 この戦争で、人類はいつだって崖っぷちだな。

 だからこそ、開き直って勝つことだけを考えることが出来る。

 

「作戦……開始!」

 

 

 先行したレンジャー部隊が矢を射かける。

 その攻撃に反応して市庁舎から大量の感染者が飛び出してきた。

 やはり、その大きさに見合うだけの数の感染者が潜んでいたようで、その勢いが衰える様子はない。

 その場に留まれば軽装甲のレンジャーではあっという間に飲み込まれてしまう。

 

 感染者を引き連れたまま後退し、防壁の内側まで下がる。

 追いかけてきた感染者を防壁の前に陣取ったサムライ一番隊が迎え討つ。

 バリケードによって勢いが削がれているとは言え、大量の感染者を相手に肉弾戦をするのだからサムライの勇気には頭が下がる。

 

 壁の後ろに展開しているレンジャー部隊やバリスタも射撃を開始している。

 特にバリスタは、予想以上の威力を発揮していた。

 その巨大な矢は、感染者が密集している場所を狙えば複数体を貫通し、致命傷を与えていく。

 防壁に殺到していることで感染者の密度は地面が見えないほどだ。

 

「バリスタは、エリートを最優先に狙え!

 レンジャー部隊は弾幕を切らすな。

 とにかく撃ち続けろ!」

 

 この数が相手ではサムライにエリートを相手取る余裕はないため、極力バリスタで仕留めるよう指示を出す。

 建物の中にいたことで肉体的な損傷が少ないのか、全ての感染者が最低でもランナーと言う状況だ。

 エリートの割合も思ったより高い。

 これでは、サムライの体力も長くは持たない。

 

「二番隊、前に出ろ!

 一番隊は壁の内側まで後退」

 

 感染者の数はまだまだ増え続けている。

 戦いはまだまだ続く。

 余裕のある内に交代し、交互に体力回復を図らなければ。

 

 壁の後ろに下がったサムライ達が荒い息を吐いている。

 それほど長く戦っていたわけではないのにかなり消耗しているようだ。

 エリートを含む大量の感染者を相手にしたのだから無理もない。

 だが、各々が水を飲み、無駄な力を使わないようにじっとして体力の回復に努めている。

 士気は充分。

 本当に頼りになる。

 

 

 それでも戦い続けていれば限界が来る。

 途切れることなく押し寄せる感染者の波に体力の回復が追いつかなくなってきた。

 もう交代させる余裕すらない。

 サムライ達は、全員が前に出て、互いを守りながらなんとか抗っているが飲み込まれるのは時間の問題だった。

 

「サムライは壁の後ろに下がれ!」

 

「しかし…それでは!」

 

「お前達を無駄に失うわけにはいかない!

 補強された防壁は、そう簡単には破れない。

 私を信じろ!」

 

「……了解した。

 総員、下がるぞ!」

 

「「「「「応!」」」」」

 

 さすがの練度だ。

 互いをフォローしながら一糸乱れぬ動きで後退している。

 防壁の上に展開しているレンジャー達の的確な援護もあって、無事にゲートを通過した。

 

 肉壁となっていたサムライ達が下がったことで感染者が防壁に取り付き、叩き始めた。

 その衝撃で防壁が軋みを上げている。

 これだけの数になると圧力も半端ないな。

 補強してなければ、あっという間に破壊されていただろう。

 

 やはり、このまま終わらせてはくれないか。

 …が、サムライの体力を回復させる時間は稼げた。

 

 防壁のゲート部分が破壊された。

 開閉のために構造が複雑になる分、どうしても耐久力は落ちてしまう。

 防壁に開いた穴から感染者達が侵入してくる。

 

 だが、それはこちらも想定していたこと。

 

「サムライは、侵入してくる感染者を抑えるんだ!」

 

 防壁の後ろでサムライ達は、既に体勢を整えて待ち構えていた。

 防壁の穴から一度に侵入できる数は限られている。

 彼らなら十分に止められる。

 

 メキメキメキ!

 

「し、司令官

 左側の防壁の一部が突破されました!」

 

「くっ、早すぎる!」

 

「防壁の穴は、我らが塞ぐ!

 お前は指揮に集中するんだ!」

 

 サムライ部隊の一部が突破された場所に展開、感染者を押し返していく。

 

「任せる!

 レンジャー部隊は曲射を継続。

 バリスタは、市庁舎の柱部分を狙え!」

 

 バリスタの操作員が戸惑いながらも私の命令に従って市庁舎へと照準を変更して攻撃を開始する。

 

 これは賭けだ。

 けれど、それほど分の悪い賭けではないと思っている。

 市庁舎がいくら頑丈な建物であっても長い時間の経過で劣化しているはず。

 バリスタの威力があれば崩せる。

 

 その判断は正しかったようで、私は賭けに勝った。

 建物を支えていた柱が破壊されたことで市庁舎の一部が崩落したのだ。

 崩れたのは、当然バリスタが攻撃していた側。

 こちらに向かってこようとする内部の感染者達が集まっている部分だ。

 予想より大きな崩落になったおかげで、かなりの数を巻き込めたようだ。

 廃墟から感染者が出てくる勢いが明らかに衰えている。

 

「良し、廃墟を破壊したことで終わりが見えてきた。

 もう少し耐えれば我々の勝利だぞ!」

 

 長く、激しい戦いの中でようやく見えた希望に兵士達が最後の気力を振り絞る。

 

 廃墟から出てきた最後の感染者を殺した時、緊張の糸が切れたのか膝をつく兵士が続出した。

 それほど疲労が溜まっていたのだ。

 防壁もボロボロになっている。

 この戦いの中でサムライ3名、レンジャー7名を失った。

 本当にギリギリの勝利だった。

 

 もっと時間をかけて戦力の拡充と防衛施設の強化を行なっていれば防げた犠牲ではないかとも思う。

 だが、私の予想が正しければ感染者との戦いは時間との戦いでもある。

 目の前の戦いで犠牲を避けることができても、その先により破滅的な事態が起きてしまうなら意味がない。

 この進軍ペースで間に合うという確証もないのだから、結局は可能な限り急いで進むことしか出来ないのが辛いな。

 

 

 その後、周辺の残党を掃討し、廃墟の跡地に新たな居住区を建設。

 北部の廃墟である病院への備えを行いながら東部の開拓を進めていく中で偵察部隊から新たな報告が入った。

 

「東から接近する感染者の群れを確認!」

 

 その報告に私の中の疑念はますます確信に近づいていく。

 群れの規模も最初の襲撃を上回っている。

 市内に到達するのは38日目と予測される。

 まだ、3日ほど猶予はある。

 廃墟攻略後に解体したバリスタのほとんどを東の防衛に割り振る。

 北の廃墟から小規模襲撃が続いているためある程度の戦力は残さなければならないため、バリスタ1基とレンジャー2部隊で抑えてもらう。

 

 残りは、急ピッチで防衛線の構築を行っていく。

 群れの規模はかなり大きいが、廃墟攻略戦ほど厳しくはならないはず。

 前回と違い、北部を除く市内の地形の大部分は判明している。

 想定外のルートを取られて奇襲されることもないだろう。

 何事もなければ、問題なく防衛できる。

 

 

 38日目

 

 200体を超える感染者の群れが襲ってきた。

 最初の襲撃と比べて倍以上の規模ではあるが、廃墟とその周辺にいた感染者の総数はそれを遥かに超えていた。

 その戦いを乗り越えた経験が兵士達に落ち着きを与えていた。

 この程度の数には負けない。

 それは油断などではなく、確かな経験に裏打ちされた自信だった。

 結果、防壁に少し損傷を受けたものの、兵士の犠牲ゼロで群れを全滅させることに成功した。

 

 残るは北の廃墟のみ。

 だが、北の廃墟は中央にあった廃墟よりもさらに巨大な建物だ。

 間違いなく最も困難な戦いになるだろう。

 王国からの補給を待ち、万全の準備を行ってから攻撃を仕掛けよう。






廃墟攻略でベテラン化が進みました。
このマップも次で終盤になります。
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