転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る   作:ソロモンは燃えている

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サムライの価値は?

 

 

 

 工場の正面入口に来ている。

 後ろから腕の立つ部下3人が続く。

 私を含めて4人のサムライが工場の探索を行うメンバーだ。

 

「行くぞ、サムライの価値を示すのだ」

 

 工場区の探索が決まった後、私はレンジャーの隊長に侮って下に見ていたことを謝罪した。

 だが、返ってきた言葉は意外なものだった。

 レンジャー達が我らに嫉妬していたと言うのだ。

 レンジャーにサムライのような火力はない。

 今後、出現が予測される強力な感染者を相手にするにはあまりにも無力だ。

 だから、この戦いで役に立つ方法を必死に考えた。

 そうしてたどり着いたのが自らを囮にする戦術だった。

 

 レンジャーは、自分を過小評価している。

 この先もレンジャーの価値が失われることはない。

 敵地に侵入し、十分な後方支援を行える拠点を構築するまでは、決して存在を悟られてはならない。

 拠点を建設する土地を確保するためのクリアリングを担えるのはレンジャーだけだ。

 その上、あの囮戦術は感染者との戦いのあらゆる場面で使えるだろう。

 

 出番がなくなっていくのは、むしろサムライの方だ。

 すでに限界を感じ始めている。

 最後の襲撃の時点でレンジャーが囮をしてくれなければ、耐えることも出来なかったはずだ。

 今後、壁の外で戦うことはますます難しくなっていく。

 古代技術を復活させて、バリスタ以上の兵器が配備できるようになれば壁の内側で万が一の時に備えることしか出来なくなる。

 せめて、こういったミッションで役に立てなければ、何のためにいるのか分からん。

 

 

 

 工場に入ってすぐの通路には感染者が5体ほどうろついていた。

 近づくとこちらの気配に反応して向かってきたが、この程度の数なら問題ない。

 狭い通路とはいえ刀を振り回せるだけの広さはある。

 手早く仕留め、通路の安全を確保した。

 

「さて、どこから探すか」

 

 一番手前の扉を見ると扉の上に表示が付いている。

 

 更衣室

 

 どうやら従業員が作業着に着替えるための部屋のようだ。

 とりあえず、ここから見てみよう。

 

「かなりガタが来てますね。

 一度開けると使い物にならなくなりそうです」

 

 扉を調べた部下の報告を聞き、無理もないと思う。

 ここは、古代に作られたもの。

 今だに形を保っているだけでも驚異的なことだ。

 そんな技術を持っていても古代人は感染者との戦争に負けた。

 我らもアーティファクトを手に入れなければ話にならない。

 

「構わん、開けろ」

 

 司令官の期待に応えなければならないのだ。

 こんな事で躊躇などしていられない。

 

 バタン

 

 扉を開けた音に反応したのか、奥から3体の感染者が走ってきた。

 更衣室の中は狭く、戦い難いため通路に誘き寄せて倒す。

 

 更衣室の中は静かで、これ以上感染者はいないようだ。

 中に入り、隅々まで見て回るが、目ぼしいものはない。

 次の部屋に向かおうとした時、床に落ちている紙切れが見えた。

 何となく気になり、拾い上げてみる。

 メモ用紙のようだ。

 

 

 嫌な奴が来た

 ぶくぶくと太りやがって

 食べ過ぎなんだよ、デブ!

 少しは痩せろと注意しても返事すらしない

 一人でずっとぶつぶつ呟いている

 気味が悪い

 パンデミックで忙しいのは分かるが、あんなのまで雇わないでほしいよ

 

 

 ただの愚痴を書いたものだったか。

 収穫はなかったが、気を取り直して次に向かう。

 

 

「ここは、便所のようですが探索しますか?」

 

 部下の言いたいことも理解できる。

 トイレにアーティファクトなどあるわけがないからな。

 

「中に感染者がいるかもしれん。

 この先、危機的な状況になった時に背後から襲われてはたまらん。

 安全を確保するためだ」

 

 その言葉で部下も納得した。

 中に入ると個室からドアを突き破ってランナーが出現した。

 

 やはりいたか。

 状況から考えて、トイレに逃げ込んだ後に発症したと言ったところか。

 見ておいて良かった。

 

 トイレをクリアリングした後、大きな部屋の前に来た。

 扉の上には『事務室』と書かれている。

 

「注意しろ。

 今までより広い部屋だ。

 大量の感染者がいるかもしれん」

 

 意を決して扉を開ける。

 

 内部に視線を走らせ、瞬時に状況を把握する。

 室内にいるのは8体。

 

「まず、手前の4体を片付ける。

 行くぞ!」

 

「「「応!」」」

 

 内部に突入し、各々のターゲットに斬り掛かる。

 通常のランナーくらいなら苦戦することもない。

 ターゲットを切り捨てた時、奥にいたランナー達が反応して向かってきているが机が障害物となって迂回していたため余裕を持って迎撃できた。

 後続も切り捨て、部屋の探索を開始する。

 

 更衣室と違って、経理に関する書類、在庫リストなど様々な書類があった。

 しかし、どれも技術開発に役立つものではない。

 

 奥の製造ラインの部屋に期待か。

 そう思って部屋から出ようとした時、机の上に血で汚れた紙を見つけた。

 手に取ってみると…

 

 

 あのデブ、感染してやがった!

 みんなアイツにやられた

 なんとか倉庫に閉じ込めることに成功したけど、俺ももう駄目だ

 頼む、これを読んでいるならアイツを外に出さないでくれ

 くそ、意識がもうろうと して き

 

 メモはここで終わっている。

 

 

 無言で部下に紙を見せる。

 

「隊長……これは…」

 

「ああ、厄介な奴がいるみたいだな」

 

 だが、どんな感染者がいようと諦める選択肢はない。

 製造ラインの部屋へと進む。

 

 

 扉を開けた瞬間に分かった。

 目に映る大量の感染者達。

 この場での迎撃は不可能。

 

「一旦、下がれ!」

 

 素早く通路を戻り、入口付近で追いかけてきた感染者を迎え撃つ。

 反応したのは手前にいた感染者だけ。

 それぞれの移動速度の差でバラけてもいたため、各個撃破することが出来た。

 

「良し、これを繰り返して少しずつ減らしていくぞ」

 

「それだと、かなり時間が掛かってしまいますよ」

 

「無理をして失敗する方がロスが大きい。

 急いては事を仕損じるだ」

 

「あるいは、急がば回れですね」

 

 製造ラインの部屋には、かなりの数の感染者がいた。

 一度に相手をするのは難しいため、少しずつ釣り出して倒すことを繰り返す。

 ようやく部屋全体をクリアにした頃には、さすがに疲労を感じていた。

 

「視界の悪い室内での戦闘は勝手が違うな。

 常に緊張を強いられているせいか思うように体力が回復しない」

 

「仕方ありませんよ。

 それにしても、かなりめちゃくちゃになってますね」

 

「そうだな、ここまで破壊されているとは…いったい何があったんだ」

 

 頑丈な機械が見るも無惨に破壊されている。

 

「隊長、奥にまだ部屋があります」

 

 奥に進み、扉を見てみると…

 

「……倉庫か」

 

 メモの内容が頭に浮かぶ。

 しかし、ここ以外は全て探索した。

 

「気を付けろ。

 例の太った感染者がいるはずだ」

 

 ここで引き返すわけにはいかない。

 覚悟を決めて扉を開く。

 

 中にいたのは異形の感染者だった。

 確かに太っている。

 だが、それだけではない。

 上半身が異様に大きい。

 あれは肥大化した筋肉だ。

 こちらに気付いた感染者が向かって来る。

 

「あれがデブか」

 

 肉体がこれほど顕著に変異しているのだ。

 エリート以上の脅威なのは間違いない。

 

「それでも、臆すわけにはいかんのだ!」

 

 タイミングを合わせて踏み込み、腹部に一閃。

 

 ちっ、分厚い脂肪で内臓に届かなかったか。

 

 切った手応えは、今までの感染者とまるで違った。

 大きな傷口を作り、ダメージは与えている。

 だが、奴にとってそれは致命傷には程遠いものでしかない。

 そして、致命傷でないのなら動きを止めないのが感染者だ。

 

 デブが振り向きざまに腕を振り抜く。

 

 咄嗟に腕でガードするが、その圧倒的な怪力によって吹き飛ばされてしまった。

 

「隊長!」

 

「無事だ!

 それより、奴を仕留めろ!」

 

 私の命令で部下達がデブを相手取っている。

 私も向かいたいところだが…

 

 なんて力だ。

 後ろに飛んで衝撃を受け流したのに甲冑の上からでも痺れるほどの威力。

 軽装甲のレンジャーでは、下手すれば一撃で死にかねないな。

 

 脅威ではあるが、一体だけなら問題ない。

 目の前で3人のサムライがデブを圧倒している。

 2人でも勝てるだろうが確実を期すなら3人で当たるべきか。

 

 レンジャーの矢は、あの分厚い脂肪で阻まれてしまう。

 もし、あんなのが増えていくならレンジャーだけで前線を押し上げるのは難しいだろう。

 甲冑で音が出てしまうが、少数ならそこまで問題にはならないはず。

 サムライの仕事もまだなくならないようだ。

 

 結局、部下達の奮闘でデブは倒された。

 腕の痺れも取れたため倉庫の探索を行う。

 ここに大切なものが保管されていたようで、無事にアーティファクトを発見することが出来た。

 

 

 目的を達成したことで工場を後にし、帰路についた。

 その道中で、部下がアーティファクトとは別に紙のようなものを持っていることに気付いた。

 

「それは?」

 

「工場で拾いました。

 古代のことが色々と書かれているようで、何かの役に立つかと思って持ってきたんです」

 

「…新聞というやつか。

 確かに情報は大切だ。

 司令官に渡しておこう」

 

 

 

 

 

 読切新聞

 

 

 政府の地方再生政策、都知事が反発!

 

 

 先日、政府が打ち出した地方再生政策に都知事が不快感を示したことで注目を集めている。

 日本の人口が10億人を超える中、人口の大部分が都市部に集中している一方、地方は過疎化に苦しんでいる。

 東京だけで一億五千万人を超え、関東全体で3億人、日本の人口のおよそ3割が東京周辺に住んでいることになる。

 長年、問題視されてきた東京一極集中を打破しようとする今回の政策だが、都知事は国民の自由を奪うものだとして真っ向から反対の姿勢だ。

 確かに国民の居住場所選択の自由を奪う政策に我々も疑念を抱かざるを得ない。

 政府が主張するように東京一極集中には多くの問題があった。

 しかし、それは過去の話だ。

 都知事がアメリカで開発されたHPPを導入したことで食料の安定供給が実現している。

 同時期に行われた環境美化政策によって街中に溢れていた浮浪者の姿も見なくなった。

 現在の都知事が就任してから都民の生活は確実に良くなっている。

 都民からの支持率が高い都知事の意向を無視した政策を進めても効果は限定的だと思われる。

 他にも問題はあるが、都知事なら解決してくれるだろう。

 本誌は、これからも有能な都知事の動向に注目していきたい。






探索ミッション完了。
ゲームと同じように新聞ネタも付けました。
ゲームをやった人なら分かることですか、この都知事はやべぇ奴です。
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