転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る 作:ソロモンは燃えている
サムライとレンジャーの精鋭で構成された混成部隊が駐屯地に侵入した。
「まずは屋外にいる感染者の排除を行う。
サムライは、レンジャーに接近した感染者の迎撃以外の戦闘は極力避けろ」
感染者の排除は、順調に進んだ。
レンジャーの遠距離攻撃に反応し、仕留めきれなかった感染者だけをサムライが倒す。
戦闘自体が少なく、短時間で終わるため、発生した戦闘音に多数の感染者が反応して押し寄せるような事態にはならなかった。
それでも、周辺の感染者を殲滅するのにかなりの時間が掛かってしまった。
少し休憩を入れて、体勢を整える。
建物内の探索を行うこれからが本番だ。
短い休憩を終え、建物内に侵入する。
内部にも多数の感染者がいた。
今度は、サムライが中心となって感染者を排除しながら進んでいく。
武器庫を発見したが、銃や弾薬はほとんど残っていなかった。
「やはり、ここが陥落した時の戦闘で全て持ち出されたようだな」
古代兵器の現物があるかと期待していたが、そう上手くはいかないようだ。
だが、希望はある。
駐屯地内の様子から激しい戦闘があったことが窺える。
撤退戦が行われたなら、遺棄された兵器や情報が残っている可能性が高い。
感染者相手に機密保持もないからだ。
機密情報の処分よりも退避を優先しただろう。
表示板に射撃試験場と書かれた部屋に入る。
かなり広い場所なのに感染者の姿がない。
そのまま奥に進むと土嚢に囲まれた大きな銃が3基並んでいた。
近くの机に資料らしき紙束があったので、読んでみる。
報告書
アメリカから供与された自動迎撃兵器ワスプの試験結果は良好。
特にセンサーの性能は高く、感染者にのみ反応し、フレンドリーファイアは皆無。
実戦配備されれば、かなりの戦果を上げると予測される。
合わせて送付されてきた技術資料を兵器工場に送り、量産を開始することを具申する。
どうやら当たりのようだ。
この技術資料とやらを見つけることが出来れば、王国の兵器開発が一気に進む。
増え続ける感染者への対処も楽になるだろう。
「隊長、この兵器はまだ動いているようです」
ワスプの状態を調べていた部下から報告が上がってきた。
施設の電力が生きていたのだから、この兵器も稼働していても不思議ではない。
これほど時間が経過していても壊れていないのは、さすが古代技術の結晶と言ったところか。
「そうか、探索が終われば現物を持ち帰ることになる可能性もある。
下手に触ると壊してしまうかもしれん。
今は、このまま置いておこう」
技術資料が消失してしまっていれば、現物を解析するしかない。
専門家でない者が余計なことをしない方が良い。
そう部下に伝えて、探索を再開する。
射撃試験場から少し進んだ先に大きな扉があった。
表示板には大講堂と書かれている。
「大きな部屋のようだな。
後退する準備をしておけ」
経験上、こういう部屋には大量の感染者がいる。
即後退し、少しずつ釣り出して殲滅していくのがセオリーだ。
バタン!
長い年月の経過でガタが来ていた扉は、想定以上に大きな音を立ててしまった。
「退避!先程の射撃試験場まで下がるぞ!」
部屋の中が見えた瞬間、叫んでいた。
大講堂の中に隙間がないほどギュウギュウに感染者がいたのだ。
全員が必死に走る。
音がどうとか気にしている場合ではない。
なんとか射撃試験場に駆け込むことに成功した。
「どうするんですか!?
もう逃げ場がないですよ!」
「あの兵器を利用して奴らを迎え撃つ!」
「ええ!?あれはちゃんと動くんですか?」
「分からん!だが、あれに賭けるしかない」
一応、さっき軽く調べた時に故障している箇所は見つからなかった。
弾薬も十分な量が装填されている。
正常に稼働すれば、大講堂にいた感染者の殲滅も不可能ではないはず。
急いで土嚢の後ろに駆け込む。
追いかけてきた感染者が次々と射撃試験場に入ってきた。
ダダダダダダダッ!!!
センサーが範囲内に侵入した感染者を検知し、ワスプが射撃を開始した。
「良し、兵器が動いてくれた。
この兵器が壊されれば終わりだ。
弾幕を抜けてきた感染者を殺して、兵器を守れ!」
3基のワスプは、感染者の迎撃を行ってくれている。
それでも感染者の数が多すぎて接近を許してしまう。
感染者は、無人兵器よりも人間を優先するようで、少し前に立てばワスプに向かうことはなかった。
土嚢を盾にしながら感染者を切り続ける。
レンジャーも後ろから援護してくれている。
どれくらい時間が経ったのだろうか?
長かった気もするが、短かったような気もする。
とにかく、気が付けば動く感染者の姿はなくなっていた。
ワスプも射撃を止めている。
どうやら感染者は全滅したようだ。
大講堂の中を覗いてみる。
感染者の姿はない。
3基のワスプが発する射撃音に釣られて、全ての感染者が追いかけてきたようだ。
講堂内を探索したところ床に鍵が落ちていた。
タグには資料室と書かれている。
今回のアーティファクト『無人迎撃兵器の技術資料』があるとするなら、この資料室だろう。
あの戦闘は無駄ではなかった。
ワスプの利用を念頭においた状態で扉を開けて良かった。
もし、危険だからと開けずに進んで、予期せぬタイミングで扉が壊れていたら…
そう考えるとゾッとする。
やはり、感染者は殺せる時に殺しておくことが鉄則だな。
その後の探索は順調に進み、資料室を発見。
無事にアーティファクトを回収することができた。
資料室で発見された新聞
読切新聞
反撃の狼煙になるか!?
アメリカのフェニックス計画発表を受けて、総理が日本版フェニックス計画の立ち上げを宣言した。
本計画は、岩戸計画と命名された。
古事記にちなみ、岩戸の中に姿を隠してしまった希望を引っ張り出すための計画である。
国内の科学者、技術者の多くを動員し、感染症への対抗策を全力で開発すると言う。
アメリカの成果をただ待つだけではいけない。
日本も自分で考え、行動することが必要だとする総理の言葉はもっともである。
すでに施設は完成していて、総理以下、主要なスタッフの移動も完了しているとのこと。
都知事時代から定評のある総理のリーダーシップによって事態が好転することを期待しよう。