転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る   作:ソロモンは燃えている

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食品加工工場探索

 

 

 

 汚染された土地の一部を制圧したことで工場区への道が開かれた。

 さっそく探索のために精鋭部隊を送り込むことにする。

 

 サムライ隊長が長期離脱中のためサムライの精鋭の中から新たに探索部隊のリーダーを任命する。

 また、工場内部にベノムが入り込んでいる可能性もあるため鉄砲衆もメンバーに組み込むことにした。

 

 

 

 探索部隊が工場に到着する。

 所々に光が灯っており、施設がまだ稼働していることが窺える。

 

「さて…今回は隊長がいない。

 だけど、いつまでもあの人に頼っているわけにもいかない。

 俺達の手で成功させてみせるぞ!」

 

「そうだな、司令官や隊長達の負担を少しでも軽くしたい。

 安心して任せてもらえるよう、俺達にも出来るってことを示そう」

 

「私達は経験が浅く、探索も初めてなので足を引っ張ってしまうかもしれません…」

 

「大丈夫だ、誰もが最初は未熟なもの。

 出来る限りフォローはする。

 わからないことがあれば何でも聞いてくれ」

 

「それに、ここにはベノムがいる可能性が高い。君達の力がどうしても必要なんだ」

 

 狭い室内では毒液を避けるのにも一苦労だろう。理想は近づかれる前に倒すこと。

 通常の感染者はサムライが対処し、鉄砲衆は他を無視してベノムを最優先に狙う。

 そう簡単なことではない。

 迫り来る感染者の群れに対する恐怖を押さえ込んで、奥にいるベノムに集中しなければならないのだ。

 よほどサムライを信頼していなければ踏みとどまる事も難しいだろう。

 だが、鉄砲衆の心に不安はなかった。

 鬼を相手に戦い、満身創痍の状態だった時でさえ感染者達の前に立ち、盾となってくれた姿が目に焼き付いている。

 そんな彼らが共に戦ってくれるのだ。

 こんなに安心できることはない。

 自分達は、落ち着いてベノムを狙い引き金を引けば良いのだ。

 

 

 工場に足を踏み入れる。

 機械の稼働音によって引き寄せられたのか、内部には多くの感染者がいた。

 とは言え、サムライ達も何度も探索を経験してきたベテランだ。

 必要だと判断すれば躊躇わずに後退し、少しずつ感染者を減らしていく。

 予想通りベノムがいて、他の感染者と共に向かってきたが……

 

「奴だ!狙うぞ」

 

「了解!」

 

 鉄砲衆が冷静に撃ち抜いていく。

 一撃で仕留め切れないこともあったが第2射、第3射で確実に仕留める。

 幸い、他の感染者に比べれば数は多くないようだ。

 まあ、ウォーカーやランナーの数が異常に多いだけとも言えるが…

 

 時間をかけて確実にクリアリングを行ったことで廊下の感染者は全滅させることに成功した。

 次は各フロアを順番に回っていく。

 扉を開けて、最初のフロアに侵入するが、やはり多数の感染者が待ち構えていた。

 歴戦の兵士にとって多数の感染者など今更恐れるものではない。

 やるべき事は変わらない。

 こう言った事態に対処するために廊下の安全を確保してから扉を開いたのだから。

 

 後退し、廊下に誘い出した感染者から排除していく。

 開けた場所で数に任せて一斉に襲われれば耐えられないのはベノムだろうとウォーカーだろうと変わらない。

 だからこそ地形を活かして各個撃破する。

 探索で必要なのは焦らないこと。

 少しずつでも削っていけば、いずれ奴らを全滅させられる。

 そのために必要なのが退路の確保だ。

 

 距離を取れば鉄砲衆が強敵を仕留めてくれる。

 なら、今までの探索と同じだ。

 支え切れなくなれば、再び後退する。

 それを繰り返して、一つ目のフロアを開放した。

 

 感染者がいなくなったフロアを探索する。

 どうやら事務室のようで、様々な書類が乱雑に置かれている。

 古代技術に関する書類がないかと目を通していく。

 

 

 業務日誌

 

 ◯月◯日

 今日は、HPPの原材料が入荷される。

 品質に問題なし。

 今回の出荷元は◯◯病院であり、感染症の兆候が見られる個体も確認されているが、政府の設定した安全基準はクリアしている。

 機械に掛けて加工すれば問題ない。

 今月のノルマも達成できる見込み。

 

 

 ◯月◯日

 工場内で大規模な感染違反が発生した。

 警備部隊によって事態は沈静化したが、機材の多くが汚染されてしまった。

 徹底的な洗浄を指示。

 ノルマ達成のためには、1日でも早く復旧させなければならない。

 消毒作業が定められた進捗率に達するまで退社は許可しない事とする。

 

 

 ◯月◯日

 ようやく消毒作業が終わった。

 これでHPPの生産を再開できる。

 今回の騒動で生産に遅れが出ているが、勤務時間を延長すればノルマ達成は可能であると思われる。

 消毒液などの備品が底を付いたため、補充しておくよう指示を出す。

 

 

 ◯月◯日

 消毒用の備品が入荷されたが、中身は何故か火炎放射器だった。

 アメリカのルシファー部隊で採用されている耐熱防護服がないと運用できないタイプの軍用品である。

 補充作業を任せた職員に聞き取りを行ったところ、汚物を消毒するならコレだと回答。

 漫画なる古典作品の読み過ぎだと叱責した。

 後日、正式な処分を下す予定。

 火炎放射器については、備品庫に保管する。

 

 

「……備品庫を探そう。火炎放射器があるかもしれない」

 

 その後、いくつかのフロアを制圧したが備品庫ではなかった。

 

 大きな機械が並んでいるここは、HPPとやらを生産するための製造ラインがある一際広いフロアだった。

 機械には血がこびり付いていて、ここで惨劇が起きたことを示している。

 業務日誌には、感染違反を鎮圧できたと書いてあったが、結局再び発生して抑え込めなかったのだろう。

 電気は生きているがケーブルが損傷していて、あちこちで漏電してしまっている。

 我々がフロアに入ってきた音に反応して向かってきた感染者が感電して絶命していた。

 

「感染者が勝手に死んでくれるのは助かるが、これでは進めないな」

 

「向こうに分電盤が見えます。壁沿いに進めば感電せずにたどり着けそうですね」

 

「私が行って電源の供給を止めてきます」

 

 甲冑を着ているサムライでは、細かな動きが出来ず、誤ってケーブルに触れてしまうかもしれない。

 志願した鉄砲衆の一人が壁沿いに進み始める。

 千切れたケーブルが火花を散らしている部分に触れてしまわないように慎重に進んでいく。

 

 無事にたどり着いた鉄砲衆が分電盤を開け、ブレーカーを落としていく。

 すると、ケーブルから発生していた火花が消えた。

 

「よし、これで安全に進めるはずだ。

 お前はそこから我々の援護をしてくれ」

 

「了解しました」

 

 分電盤の前なら、ちょうど視界を確保出来そうなことから万一撤退が必要になった時の援護を頼んで先に進む。

 

 奥に進むと大量の感染者に出会した。

 漏電が蓋をしていたことで感染者が進めずに溜まっていたのだ。

 

「これは無理だな。

 撤退だ!」

 

 明らかに許容量を超えてしまっている数に即撤退を決めたが、かなりの数が反応してしまった。

 

 くっ、これはかなり下がらなければ危ういな。

 

「このフロアから出る!

 お前も急げ!」

 

 分電盤の前で待機している鉄砲衆にも指示を出す。

 

「大丈夫です。

 そのまま戻ってきて下さい!」

 

 鉄砲衆がその場を動く様子がない。

 

 何をする気だ?

 

 何をする気か分からないが、今は考えている暇はない。

 距離を取らなければ飲み込まれて死ぬのだから。

 

 探索部隊がフロアの入り口に到着した時…

 

 バチバチバチバチ!

 

 後方から大きな音がした。

 振り向いてみると追いかけて来た感染者が感電して黒焦げになっている。

 

「上手くいった!」

 

 鉄砲衆が喜びの声を上げている。

 彼が分電盤を操作して、再び電気を流したようだ。

 かなりの数の感染者を感電で殺せたようだ。

 

「よくやってくれた。

 助かった」

 

「お役に立てて良かったです」

 

 このフロアの感染者はかなり減ったはず。

 だが、油断は出来ない。

 かなりの広さがあるため、奥にさらに大量の感染者がいる可能性も否定できない。

 電源を落とした後、鉄砲衆には引き続き待機していてもらう。

 

 火花の音に釣られて手前に集まっていたようで奥にはそれほど感染者はいなかった。

 手早く処理して、機械の影など死角を慎重にクリアリングしていく。

 

 そんな中、倒した感染者のポケットから手帳が飛び出した。

 服装からも一般の労働者ではないように感じる。

 何か重要なことが書かれていないか中身を確認してみる。

 

 

 とある感染者の手帳

 

 HPPの原材料の正体なんて知りたくなかった。

 最初は死刑囚などの凶悪犯だと聞いて、無理矢理なっとくしていた。

 いや、しようとしていただけだったな。

 

 膨れ上がった関東の住民の胃袋を満たすためには、それだけで足りるはずなかった。

 軽犯罪で捕まった者になり、浮浪者になり、今では病院から入院患者まで運び込まれるようになった。

 HPPに対して反対運動も起こっているが、その活動家達も片っ端から捕まえて送られてくるらしい。

 

 恐ろしくて声を上げるなんて出来ない。

 今の総理は、やると言ったらやる人間だ。

 反対派を徹底的に弾圧してHPPの材料にしてしまうだろう。

 あの冷たい目で「では、対案を出せ。人道などと言って反対して人々に飢え死にしろと言う奴らこそ非人道的ではないか」と突き放し、記者達を黙らせた。

 

 それでも、目の前で人間だったものが加工されていくことに耐えられない。

 このままでは、私も壊れてしまう。

 総理は対案を出せと言った。

 食料を確保する別の方法を考えれば良いんだ。

 

 

 

 

 

 ようやく資料が完成した。

 膨大な電力、資源、労働力を必要とするが大量の食料を生産できる高効率温室栽培技術。

 その完成予想図からクリスタルパレスと名付けた。

 これは食料問題を解決する切り札になる。

 

 

 なのに、

 これを世の中に出すことは出来そうにない。

 周りはもう感染者だらけだ。

 ここから無事に出ることは出来ないだろう。

 ロッカールームの◯◯番に資料が入っている。

 一縷の望みを託してこれを書く。

 これが無駄にならないことを祈る。

 

 

 

「これは……ロッカールームらしき場所はさっき探索していた。

 作業服や労働者の私物ばかりだったため探索を切り上げていたが、戻って徹底的に探さなければ!」

 

「隊長、奥に備品庫がありました。

 アーティファクトも無事です」

 

 む、どうやら火炎放射器も確保出来たようだ。

 十分な成果ではあるが、クリスタルパレスの資料が見つかるまでは帰れないな。

 

 その後、ロッカールームの中にあるロッカーをすべて調べて、技術資料を発見。

 工場から脱出したところで偵察部隊のレンジャーから大量のベノムが接近していると報告が入った。

 急いでその場を離脱する。

 資料の捜索を後回しにしなくて良かった。

 二度と探索できないところだった。

 次の機会があったとしても、このベノムの襲撃で資料が無事である保障はない。

 

 今後の探索でも可能な限り見落としがないように注意することにしよう。

 

 

 

 

 

 読切新聞

 

 我々に必要なのは倫理か、食料か!

 

 世界中で稼働している食品加工工場。

 世界の指導者は、囚人や病人、ホームレスなどの貧しい人々を処刑し、肉類をヒトタンパク質処理工場に送るとしている。

 この発表を受けて都民にパニックが広がっている。

 最初期から工場を稼働させ、ヒトタンパク質プロセッサー(HPP)を生産してきた東京都。

 では、その材料はどこから調達したのだろう?

 同時期に行われた大量の死刑囚の刑執行か?

 だが、それだけでは明らかに足りない。

 そこで頭を過ぎるのは環境美化政策だ。

 姿を見なくなった浮浪者達。

 彼らはどこへ行ったのだろう?

 我々が口にしてきた食品の正体…この政策を主導してきた総理に取材し、明らかにしていきたいと思う。






研究ポイントや帝国ポイントを見逃すと二度と得られない仕様を再現してみました。
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