転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る   作:ソロモンは燃えている

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転生した私、2万の感染者に挑む

 

 

 

 ついに攻撃ミッションが始まった。

 敵は2万もの感染者。

 それも獲物がテリトリー深くに侵入するまでじっと動かずに潜んでいる、今までにない行動をする厄介な存在。

 それでも、我々はここで足を止めるわけにはいかない。

 なんとしても群れを殲滅し、王国の領土を広げる必要がある。

 

 

 今回の作戦は、3つのフェーズに分かれている。

 その第1フェーズが開始された。

 多くの車両が道路を進んでいく。

 放置車両の中で状態の良いものは工場で修理され、実戦投入が可能になっていた。

 列車のような馬力はないため感染者の集団を轢き潰すことは出来ないが、線路がない場所にも多くの物資を輸送できるのが強みだ。

 群れが動き出す地点まで進出した彼らは、車両から物資を下ろし、作業を開始する。

 今回の作戦の要であるワスプに電力を供給するための前線拠点『アウトポスト』を建設しているのだ。

 運ばれてきたワスプもアウトポストを囲むように配置されていく。

 

「感染者の群れが動き出しました!

 こちらに向かって近づいてきます」

 

「レンジャーとサムライは、遅滞戦闘を開始せよ!」

 

「「了解!」」

 

 敵がこちらの準備が整うのを大人しく待っていてくれるはずもなく、予想通り動き出してしまった。

 アウトポストの準備が終わる前に取りつかれてしまえば、こちらの負けだ。

 時間を稼ぐために機動力のあるレンジャーと継戦能力が高いサムライに攻撃を指示する。

 鉄砲衆の攻撃力は高いが通常の感染者相手には過剰であり、機動性が低く、弾薬の補給に戻る必要があるなど今回の作戦には不向きなため参加していない。

 

 周辺に散っていた彼らは、さっそく感染者と戦闘を開始する。

 最初はそれほど激しいものではなかった。

 作戦の目的上、アウトポストから出来るだけ離れた地点で戦闘を開始したため、前線が長くなり、感染者もまばらだったからだ。

 だが、前線が長いということは、全てをカバーすることが困難になるということでもある。

 部隊の隙間を抜けてアウトポストに向かう感染者も殺さなければならないが、その間も後続の感染者が途切れることなく押し寄せており、部隊はジリジリと押し込まれる形となった。

 後退すればそれだけ前線も短くなり、部隊間の連携も取りやすくなるが、相対する感染者の密度も上がることを意味する。

 しかも、倒した感染者の数よりも後ろから新たに押し寄せる感染者の方がはるかに多いため、その密度は上がり続けていく。

 後退すれば一時的に問題は解消されるが、時間経過で再び前線を支えきれなくなってしまう。

 そして、その時間は繰り返すごとに短くなっていくのだ。

 

「くっ、ここはもう限界だ。

 拠点の準備はまだ終わらないのか!?」

 

「完了の合図はまだ出ておりません」

 

「拠点までは、もう間近だぞ。

 これ以上、下がってしまえば作戦が破綻してしまう」

 

「ですが、この数が相手ではここに留まっても飲み込まれてしまうだけで、碌に時間を稼ぐことも出来ませんよ」

 

「…………ギリギリまで粘ってから後退する」

 

「了解です」

 

 兵士達が決死の覚悟で僅かな時間を稼ぐ。

 それが人類の命運を繋ぐのだと信じて。

 

「うああああああああ!!」

 

 サムライの一人が感染者の圧力の前に押し倒された。

 多数の感染者に集られ、姿が見えなくなる。

 すぐに声が聞こえなくなったことが、彼がどうなったかを教えてくれる。

 だが、彼の運命を気にしている者はいない。

 そんな余裕などないからだ。

 他の誰もが同じ運命をたどろうとしている。

 

 すでにアウトポストは肉眼で見えるほど近づいている。

 すぐ後ろにはワスプがある。

 これ以上は下がれないところまで押し込まれていた。

 

「王国のために!」

 

「人類のために!」

 

 それでも、誰も愚痴や不満など口にしない。

 未来への希望を高らかに叫び、感染者に立ち向かう。

 当然、感染者の大群を前に次々と犠牲者が増えていく。

 そんな地獄の中でも、彼らは決して引かなかった。

 その献身がついに身を結ぶ。

 

「狼煙が上がった。

 アウトポストが完成した合図です!」

 

「よし、部隊を退避させろ!」

 

 自分の体すら盾にして前線を支えていた部隊が後退を始める。

 すぐ後ろにあったワスプが次々に起動し、その後退の援護を開始した。

 銃口が咆哮を上げ、センサーが捉えた感染者のみを撃ち抜いていく。

 たちまち感染者の死体の山ができる。

 感染者の身体は死んだ瞬間から崩壊を始め、すぐに塵になってしまう。

 そのため、感染者は死んだ仲間の死体に遮られることなく接近してくるが、ワスプの殲滅力の前に徒労に終わる。

 

「おおっ、これがワスプの威力か!」

 

「凄まじい制圧力だな」

 

 労働者が弾薬を運び、給弾作業を行う。

 補給している時間は、弾幕が途切れ、無防備になってしまう。

 その間、ワスプと労働者を守るのが第2フェーズにおける彼らの任務だ。

 とは言え、ワスプによってかなり間引かれているため、接近する感染者を殲滅することはさほど難しくはない。

 第2フェーズに移行できるかどうか。

 そこがこの作戦における最大の難所だった。

 

 銃声は絶えることなく続いた。

 感染者の殲滅は順調に推移している。

 2万という数は終わりがないのではないかと錯覚させるが、如何に感染者の数が膨大であっても無限ではない以上、終わりは必ず訪れる。

 丸2日経ったころには感染者の姿がまばらとなり、やがて消えた。

 

 作戦は第3フェーズに入る。

 残敵掃討である。

 レンジャーとサムライに追撃の指示を出す。

 木などの障害物に引っかかって動けなくなっている感染者を探し、排除することで周辺の安全を完全に確保することが目的だ。

 地形を把握し、怪しいポイントを割り出せるレンジャーが中心となって索敵を進めていく。

 それから3日という時間を掛けて、周辺から感染者を完全に駆逐できたことを確認して作戦は終了した。

 

 犠牲を出しながらも、今回の作戦は成功した。

 これで王国は、再び未知の領域に進出することが可能になった。

 感染者に滅ぼされることのない強い王国を作るため、さらなる領土を求めて進み続ける。

 それが犠牲になってくれた者たちに報いる唯一の方法なのだから。

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