転生した私がゾンビアポカリプスの世界でコロニーを作る   作:ソロモンは燃えている

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転生した私と戦場の守護神

 

 

 

 群れの進行ルートを予測し、設定した迎撃地点に木の杭を配置していく。

 ルート予測が外れた場合に備えて資源を温存しておく必要があるため、十分な数を用意できたとは言えない。

 囮となったレンジャーがトラップゾーンに引き込んだ後、木の杭が壊される前に他のレンジャーの攻撃で数を減らす。

 これを徹底すれば、今回の襲撃を乗り越えることが出来るだろう。

 

 幸いにも、群れは予想されたルートを外れることなく向かってきた。

 囮役のレンジャーが誘導を開始する。

 木の杭を十全に活用するために群れの周りを走り回って、一塊にしてからトラップゾーンに引っ張っていく。

 こうしないと一部に集中してしまい、その部分の消耗だけが激しくなってしまうのだ。

 破壊されてしまえば足止め効果は失われてしまい、誘導が難しくなる。

 理想は全ての木の杭が満遍なく消耗していくこと。

 群れの数が多く、用意できる木の杭が少ないほど難しいミッションになっていく。

 それでも囮役のレンジャーは、任務を見事にやり切って見せた。

 見事な誘導で群れを一塊にして、トラップゾーンに突っ込ませたのだ。

 その後も、足止めと未使用の木の杭への誘導を兼ねて群れの周りを走り回っている。

 攻撃役のレンジャーたちも囮役を避けて効果的に矢を放ち、群の数を順調に減らしていく。

 兵士たちは、期待以上の働きを見せてくれた。

 特に囮役のレンジャーは、誘導中に群れに釣られて動いた感染者の一団に回り込まれ、退路を塞がれる形となった時、とっさの判断で木の杭の一部を動かすことで活路を作り上げて見せた。

 

 終わってみれば、群れの襲撃を犠牲なしで乗り越えることが出来た。

 だが、その実情はギリギリの勝利だった。

 戦闘が終わった後に残っていたのは、木の杭の残骸ばかり…

 その機能を維持しているものがほとんど残っていなかった事実がそれを証明している。

 とは言え、最も困難な時期を切り抜けたことも事実。

 居住区の運営にも余裕ができ、サムライの投入によって戦闘面もでも優位に立てる。

 ここからは、私たちが攻める時間だ。

 

 20日目の補給でサムライが合流し、進軍速度は劇的に上昇した。

 西にバリスタを設置し、東に向かって進軍。

 ちょうど湖を時計回りに進んでいく形だ。

 途中で小さな廃墟を発見。

 小規模な廃墟とは言え、こちらの軍事力も強化が軌道に乗ったばかり。

 しっかりと準備を整え、攻撃を開始する。

 

 軍事力を増強した成果が出たのか、2日で廃墟攻略を完了させた。

 しかし、順調だった進軍もここで一旦停止となる。

 再び群れが動き出したのだ。

 

 

 27日目

 

「群れが移動を開始しました。

 第2波です!」

 

「前線の部隊を呼び戻せ。

 迎撃準備を行う」

 

「進行ルートの予測はどうなっている?」

 

「感染者の群れは西から侵入、そのまま湖に沿って北上してくると思われます」

 

「奴らがあえて遠回りしてくることはない。

 今回は、ルート予測が外れることはないでしょう」

 

「それでも万一の備えは必要だ。

 使わなかった資源も内政に回せば無駄になることもない」

 

「西の防壁には、既にバリスタが配備されています。

 防壁の補強と兵士を移動させれば準備完了です」

 

「襲撃まで、まだ猶予があるな。

 この時間を無駄にせず、内政も進めよう」

 

 群れが動き出したとは言え、すぐにエリアに侵入してくることはない。

 その猶予は、おおよそ丸一日。

 備える時間は十分にある。

 二度目の襲撃とあって、その数もかなり増えているが、まだ木の杭でなんとか出来る規模に留まっている。

 バリスタの援護ある。

 今回は、危なげなく勝利できるだろう。

 

 群れは予想通り西から侵入し、湖に沿って北上してきた。

 こちらの準備は万全。

 順調に数を減らし、殲滅は完了した。

 

 

「襲撃は問題なく乗り切れました。

 セオリー通りなら、西へ領土拡張となりますが…」

 

 群れの動きに釣られ、あるいは戦闘音に反応した感染者も襲撃に参加するため、襲撃後はその数を大きく減らしている。

 領土を広げる絶好の機会となるのだが…

 

「…………」

 

「どうしました?」

 

「いや、今回の襲撃…報告された数よりもかなり多かった。

 反応した周辺の感染者がそれだけ多かったということだ」

 

「それは、この辺りの感染者の密度が高いからでは?」

 

「それを差し引いても多すぎる」

 

「……つまり?」

 

「おそらく……西に廃墟がある。

 それも、かなり大規模な…」

 

「……ぬぅ」

 

 戦力に余裕が出てきたとはいえ、廃墟攻略は簡単なものではない。

 それが大規模なものとなれば尚更である。

 

「警戒しつつ、西へ進軍するとしよう。

 くれぐれも廃墟を安易に刺激しないよう慎重に進め」

 

「了解」

 

 西へ進軍を開始して程なく、廃墟が発見された。

 

「まさか、こんな近くに、これ程の規模の廃墟があったとは……」

 

 司令部からそれほど遠くない場所に廃墟はあった。

 土地柄か、市庁舎のような大きな建物はないが、集落が丸ごと廃墟化しているため、中にいる感染者の総数はかなりのものになるだろう。

 西からの圧力が強いと思っていたが、これが原因か…

 

 さっそく廃墟攻略の準備に取り掛かる。

 小さな廃墟一つならともかく、これ程の数の廃墟を相手にするには入念な準備が必要になる。

 防壁とバリスタ、特にバリスタは2基は欲しい。

 戦闘が開始されても一度に全てを相手取ることは出来ないため、手前から一つずつ潰していくことになる。

 このように、廃墟攻略とは時間も労力も掛かるものなのだ。

 それでも放置することは出来ない。

 総攻撃が始まれば、廃墟の中にいる感染者たちも一斉に出てきて、居住区に押し寄せることになる。

 いかに時間と労力が掛かろうと、こんな近くにある廃墟群をそのままには出来なかった。

 

 

 戦闘開始から4日で廃墟内の感染者の排除は完了した。

 空になった廃墟は、取り壊して資源にできる。

 廃墟攻略のご褒美みたいなものだ。

 それに廃墟とは、元々多くの人々が暮らしていた場所。

 その土地は、居住区を建設するのに向いていることが多い。

 今回確保した土地を廃墟の資材を使って開拓していく。

 これで大きく住民を増やせる。

 住民が増えれば経済が回り、軍事力を増強することが出来る。

 それは、兵士を増やすことだけではない。

 防衛兵器の建設、維持に労働者を回す余裕が出るということでもある。

 

 そろそろ、あれを試す時かもしれない…

 

 新技術である『火焔砲塔』

 植物から燃料を生成する必要があるため、木材の生産量が落ちてしまうが、この先必ず必要になる技術だと確信している。

 進めば進むほど感染者の数は増大の一途をたどっている。

 実際、この地でも2回目の襲撃で木の杭によって対処できる限界に近い数の感染者が押し寄せてきた。

 バリスタや防壁と併用すれば、まだ凌げる規模ではある。

 だが、この先も感染者が増え続けることを考えれば、面制圧が可能な兵器の導入は不可欠だ。

 余裕がある内に実戦証明《コンバット・プルーフ》を得ておきたい。

 危機的状況下で効果が未知数の兵器に頼るようなことは避けるべきだ。

 

 

 38日目

 

 3回目の襲撃が発生。

 やはり感染者の数が増大しており、木の杭だけでは対処できそうにない。

 廃墟攻略とその後の内政で手一杯だったため、火焔砲塔はまだ配備できていない。

 その代わりにバリスタの増設とサムライの増強を行った。

 

 木の杭で足止めしつつ、バリスタやサムライで数を減らす。

 この戦術で今回の襲撃も殲滅できたが、さすがにこれだけ数が多いと兵士たちも疲労の色が隠せない。

 壁に取りつかれ、激戦になったのだから無理もない。

 3重に補強した壁も、一部は2枚目まで破壊されていた。

 

 次の襲撃で火焔砲塔を投入する。

 設置する場所は、慎重に選ばなければな…

 

 火焔砲塔は、バリスタよりも構造が複雑で建設に時間が掛かるし、移設も容易ではない。

 群れが動き出してから、すぐに建設に取り掛かってもかなりギリギリになってしまう。

 各方向からの侵入ルートを想定し、適切な迎撃ポイントを設定しておく必要があるのだ。

 

 

 47日目

 

 4回目の襲撃発生。

 進行ルートは、南からだった。

 

 まずいな、湖に沿って進んでくるだろうが、左右どちらから来るか分からない。

 スプリットする可能性も否定できない。

 …やむを得ない。

 両岸に火焔砲塔を設置する。

 労働者に負担を掛けることになるが、どちらかに賭けるわけにもいかない。

 負けた時に支払うのは住民の命だ。

 こういう事態に対処するために資源には余裕を持たせていた。

 火焔砲塔1基分の資源しか残ってなかったらと思うとゾッとしてしまう。

 

 結果として、群れはスプリットすることなく右回りで北上してきた。

 火焔砲塔の準備は完了している。

 私は、その威力を直に確かめるために前線に来ていた。

 目の前に迫っている群れは、この遠征が始まった当初とは別次元の規模だ。

 当時の我々では、到底勝ち目などない。

 だが、私たちもかつてのままではない。

 その成長の一つの形が火焔砲塔だ。

 

「焼き払え!」

 

 群れが射程距離に入ったことで号令を下す。

 

 次の瞬間、火焔砲塔の砲口がわずかに唸り、轟音と共に炎の奔流が放たれた。

 圧縮燃料が噴射され、空気を焼き切るような熱風が前線を包み込む。

 密集して押し寄せていた感染者の群れが、一瞬で火の海に沈む。

 火焔砲塔の回転軸が軋みながら左右に振られ、炎がまるで生き物のようにうねり、感染者を飲み込んでいく。

 燃え上がった感染者は、悲鳴を上げることもなく焼き尽くされ、崩れ落ちていく。

 

「す、凄い……これほどの威力とは…」

 

 圧倒的なまでの制圧力に身体が震えていた。

 

 いける、これならどんな大群が相手でも戦える。

 そんな確信を得られた。

 

「第1射終了、燃料補充開始します!」

 

 おっと、そうだった。

 火焔砲塔は、無敵の超兵器ではない。

 燃料補給と砲身の冷却を兼ねたクールタイムが存在する。

 再び発射可能となるまでの時間は、バリスタと兵士たちで守らなければならない。

 だが、兵士たちの顔は明るい。

 火焔砲塔の予想以上の威力が彼らに希望を与え、奮い立たせているのだ。

 

「燃料補充完了、第2射いきます!」

 

 砲口から再び放たれた炎が感染者の群れを蹂躙していく。

 掃射が終わった時、一時的にではあるが前線から感染者の姿が消える。

 そんな光景が何度も繰り返された末に襲撃は終わりを迎えた。

 兵士たちの心は高揚していた。

 彼らの目には、火焔砲塔が戦場の守護神のように映っていた。

 

 

 54日目

 

 全ての方角から襲撃が発生。

 これまでとは一線を画す数の感染者が襲来した。

 しかし、全ての侵入路に火焔砲塔を配置した居住区の守りは鉄壁だった。

 クールタイム中に防壁に取りつかれ、損傷を受けるも、ほとんどの壁は壊されることなく殲滅は完了し、居住区を守り切ることができたのである。

 火焔砲塔は、これから膨大な数の感染者に対する守りの要となるだろう。

 こうして、湖畔の地に開拓地が完成した。






初めてショッキングタワーを使った時の感動を思い出しながら書きました。
この世界の住民にとっては、まさに神のように感じるでしょうね。
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